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RSSフィード 劇場版メダロットM サラダ☆イズ☆ロースト

日時: 2013/06/25 00:50
名前: 流離太

 ―― 遠くない未来。人類は、小型ロボット「メダロット」と共に、繁栄の一途を辿っていた。
 「メダロット」。それは、太古の昔に宇宙人が残した人工知能「六角貨幣石(メダル)」を頭脳として搭載した、全く新しいロボットである。ティンペットと呼ばれる基本フレームに様々なパーツを組み合わせることによって、無限の可能性を秘めている。
 コンビニやおもちゃ屋で気軽に買えるメダロットは、人間のよき友人として、車や携帯電話と同じくらい社会に浸透していた。

 しかし、その関係は、ある日突然崩れた。世界を転覆せんと企む魔神「グレイン」を党首とする組織「サラダ記念日」の台頭によって。
 メダロットの権利獲得を声高に叫ぶ「サラダ記念日」は、植物町を本拠地とするテロリスト「ロボロボ団」や自分達を捨てた人間に恨みを持つ「野良メダロット」と手を組み、私設軍隊を結成。あっという間に世界の大半を支配下に置いた。結果、街は荒廃し、人々はメダロットに憎しみの目を向けるようになった。

 この話は、「サラダ記念日」に抵抗する勢力「リバティーズ」とメダロットの友情を描いた物語……だといいね。


※WARNING※
 このお話は「メダロットM」もう一つの最終回です。
 しかも主人公が別の作者さんから借りたキャラだったり、仮面ライダー555とかDISAPPEARANCEの影響を受けていたりします。
 一応これら作品を見ていなくても理解できる内容となっておりますが、上記の点をご理解いただいた上でご覧ください。



チャプター3「混沌のカオスフィクサー」 ( No.4 )
日時: 2013/06/25 22:01
名前: 流離太

 正午を迎えた北海道函館市の空は、よく晴れ渡っていた。昨日から降り続いていた雪は、雲間から差し込む陽光を受け、透き通ったミゾレ状になっている。短靴でそこら中を歩き回れば、たちまち靴下まで水浸しになってしまうだろう。
 そんな状態の路面を軍靴で駆け、立ち並ぶ赤煉瓦倉庫の間を抜ける者達がいる。白灰色を基調とした迷彩模様の服に身を包む、青年達が十数名。いずれも、十七~二十代くらいだ。
「クッ!!」
 突如、一団の中の一人が、駆け抜ける仲間達を背にする。丸いレンズのサングラスをかけた、黒髪の少年だ。

「今だッ!! トラックの荷台へ向かって撃つんだッ!!」

 少年は声を枯らさんばかりに叫び、肩に下げた「二○××式メーサー小銃」を構える。たちまち黒光りする銃口から、青白い光を帯びた弾丸が何発も、トラックに詰まれたオイルタンクへ放たれる。
 次々と起こる爆発。腹を思い切り殴られたような衝撃を与える轟音。天高く立ち上る紅蓮の火柱。
 灼熱の壁は、眼前にて燃え滾る。全てを飲み込み、灰燼と化さんばかりの勢いで。
 ……だが、
 よく見れば、炎の向こう側に、無数の黒い影を確認できる。それが炎をくぐり、視界に入った時、

「ぁ……あぁ……」

 青年達は、絶望のうめき声を発す。

「ラダラダ」
「ラダラダラダラダ」

 やがて姿を現した影の正体は、全長一メートル程あるロボット―― メダロットの軍団だった。脚部は雪道でも難なく動けるよう、キャタピラの付いた戦車型に換装されている。

「ちぇっ。やっぱりこれしきじゃあ通じない、か」

 少年は口元に苦笑を浮かべ、銃を構えたまま後ずさる。額を冷や汗が一筋、伝う。

「いやぁ、参った参った。まいっちんぐマチコ先生。なんつって……キヒッ」

 部隊を引き連れ、おちょくるような声と共に現れたのは、漆黒のメダロット。不気味な単眼に宿る光には、人間への蔑みが滲んでいる。

「あーあ、ひっでぇなァ。せっかくメダロットのみなさんに配ろうと思っていたオイルが台無しだ。……どう責任をとってくれる? リバティーズ陸戦隊長『山川ダイキ(やまかわ・だいき)』ィ?」

 名指しされた少年―― ダイキは、不遜な笑みを見せ、男を鼻で笑う。

「フン。じゃあ、僕達の仲間を勝手に連れ去って人体実験をした責任はどう償ってくれるのかな? サラダ記念日十二神将が一人、混沌の『カオスフィクサー』君?」

 負けじと言い返すダイキに、邪神型メダロット「カオスフィクサー」は嘲るような笑みを見せる。

「キヒッ。償う必要なんてねェぞ? 人間の魂をメダルに移植するのは、偉大なる我らが総統『グレイン』にお仕えするに相応しい体となるため! 感謝こそすれ、責められる云われはナッシング!」

 カオスはヘラヘラと、言葉を続ける。

「お前達もさっさと降伏して、俺達と同じ体になれよォ? ……まぁ、本音を言うなら、このまま抵抗し続けてくれた方がイヂメ甲斐があるってモンだけなァ?」
「ふーん……そうかい」

 ダイキは気のない声で返事をする。まるで、カオスの主義主張になんら関心がないと言わんばかりに。

「……だけど、これだけは確かだ。僕らはお前達のしたことを許すつもりはない。お前達は、僕らの大切なものを奪っていった。向日葵みたいに明るいあの娘の――」

 爪が親指に食い込むほど硬く拳を握り締め、顔を上げる。


「―― 魔法少女・プリティーサーラの笑顔を……」


 カオスは、ポカーンとカメラアイを点にする。

「…………ハイ?」

 青年達が「サーラたん……うう」とむせび泣く中、ダイキは言葉を続ける。

「許せないんだよっ。サラダ記念日に占拠されて、電波がTVに届かなくなったあの日とお前達をっ。僕がどんな気持ちで金曜日の夕方六時を楽しみにしていたと思ってるんだよ……!」
「知らねェっつのッ!!! てか、そんなことのために戦ってたのかよお前らッ!!?」
「うるさい!! なんのために戦おうと、僕らの勝手だ!!」

 言い終わると同時に、ダイキは肩に乗せていた小銃をカオス達に向ける。

「とにかく、交渉は決裂―― と見なしてもらって構わないよ?」
「交渉ゥ~?」

 カオスは肩をすくめる。
「白々しぃんだよ、このダラズが。どうせ最初っから、答えなんて決まってたんだろ? コラ?」
「フッ、違いないね」

 ダイキは、サングラスを人差し指で持ち上げ、余裕の笑みを浮かべる。
 対峙する両軍。今にもひびが入り、壊れてしまいそうな程、張り詰めた空気。その場に身を置く者達の表情に宿るのは、確かな覚悟。
 そして、今――

「全員、構えろ!! この鉄クズ共を殲滅するッ!!」
「ヒャハァッッ!! 全員反逆罪でッ!! 死刑ッ!! 死刑ッ!! 死っ刑ィイイイイイッ!!! ――ぶち殺せェッ、サラダ記念日の精鋭達ィッ!!! ヒャーアアアアアアアアアッッ!!!」

 人間と機械。互いの存亡を賭し、両雄に率いられた軍勢が、ぶつかり合った。