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RSSフィード Brain Game of Medarot(完結)

日時: 2014/04/06 19:50
名前: メダフィーミング・KR

 ――覚悟のない奴から脱落していく、それがこのゲームの掟だ。これはゲームであっても、遊びではない。
 ゲームをクリアする唯一の方法は、論理的推理によって事件を解決し、組織の内通者であるクロを指名すること。
 米澤穂信著『インシテミル』×『ダンガンロンパ』×『メダロット』、異色のメダロット推理小説、遂に公開――。


◇Story◇
 人類が生まれる遥か以前、太古の地球には超高度な文明が栄えていた。メダロ人たちによる超古代文明である。
 現代人類にそのように呼称されている文明は、メダロ人の末裔であり魂でもあるレアメダルに関する情報とともに、各国の政府高官や世界メダロット協会上層部などによって情報制限が掛けられるほどのトップシークレットの一つだった。
 しかしそのような情報制限も結果的に長くは続かなかった。
 2022年の世界大会決勝において、Dr.ヘベレケによって明らかにされた当該情報は人類に大きな衝撃を与えた。
 その後、人々がメダロットに対する認知を改めていくようになってからは、それは最早世界の常識となっていった。
 この物語は遥か太古の昔、独自の文明を築きながら明日を生き抜くために戦っていた、メダロ人たちの物語――。


◇Word◇
・メダロ人
 自らの意志で自らの身体を改造し、かつて地球上で最も著しい自律進化を遂げた高度な知的生命体の総称。
・フユーンストーン
 どんな願いでも一つだけ叶えられると噂されている幻の石。その存在や真偽は全てにおいて謎に包まれている。
・デスレスト
 メダロ人たちによって長きにわたり続けられている戦争を忌み嫌い、世界に安息を齎そうとしている謎の組織。
 "死"のみが世界に安息を齎すと考えており、そのため各界で優秀なメダロ人のメダルを盗んで破壊している。


◇Warning◇
 一.この物語は主にアニメダの世界観を踏襲しています。ゲーム及び漫画の設定とは多少異なると思われます。
 二.上記の設定に基づき、超古代のメダロ人たちによる戦時中が舞台となっているため、人間は登場しません。
 三.物語に登場するメダロットに関して、読者の皆様が抱いているイメージと大幅に異なる可能性があります。
 四.作者はメダロットかつ推理系小説を書くのはこれが初めてのことです。過度な期待はご遠慮くださいませ。


◇Contents◇
<第一部>
 登場キャラ >>1
 プロローグ >>2
 Day1 >>3-6
 Day2 >>7-12
 Day3 >>13-20
 Day4 >>21-27
 エピローグ >>28


<第二部>
 登場キャラ 2 >>29
 プロローグ >>30
 Piece1 >>31-34
 Piece2 >>35-40
 Piece3 >>41-47
 Piece4 >>48-52
 Piece5 >>53-55
 エピローグ >>56


 あとがき >>57-59


◇Last up date◇
 2014/4/6 全編完結
 2014/3/30 第二部完結
 2013/4/6 第一部完結
 事件のまとめ資料をアップ。(第一部 Scene16まで読まれた方向け、ネタバレ注意)

[1353238250-1.txt] [1353238250-2.txt]


Re: Brain Game of Medarot ( No.40 )
日時: 2013/09/06 00:56
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece2――Scene10【竜side2】


 先に動いたのは私だった。
 ダッシュで一気に距離を詰めて、右腕のソードを見舞う。
「はっ!」
 気合を込めて放った一撃は空を切ったが、簡単に命中しないであろうことは想定内。
 避けられたと悟った瞬間に、腰を屈めて背後にローキックを放つ。
 しかし手応えはなかった。
 回避と同時に私の背後を取ったストレイツォは、ジャンプで難なく回避して見せた。
「おやおや……その程度ですか?
 もう少し意外性のある攻撃を期待していたのですが」
 ゆらゆらと首を横に振りながら、ストレイツォは嘲るように口にする。


 私は歯噛みしたいのを堪えながら考える。
 ストレイツォは七本槍一の先見の明の持ち主。
 それに裏打ちされた数々の攻撃パターンを持つ。
 さらに厄介なのが、命中すれば必ずクリティカルになる両腕パーツのアサッシン――。
 格闘攻撃にもかかわらず『飛ぶ斬撃』と称されるアサッシンは、中距離から攻撃が可能。
 唯一の弱点はがむしゃら攻撃の特性上、攻撃直後に防御も回避も不可能になること。
 しかしその弱点すら、頭部に装備された反撃パーツが補って余りある強さを生み出す。
 迂闊に懐に飛び込めば返り討ちに遭う。
 戦闘能力では明らかに相手に分がありますね……。


 とは言え、此処で時間を食っている暇はない。
 上階では今もラストさんとクララさんが、七本槍のメンバーを相手に時間を稼いでいる。
 早く制御室兼動力室に乗り込まねば――。
「あなたにしては表情に出てますよ。
 『早く制御室兼動力室に乗り込まねば』と考えてますね」
「一々癪に障りますね……どこぞのゴミ屑以下の粗大ゴミといい勝負ですよ」
 考えている時間はない。
 即断即決というのも探偵に必要な要素です。
 一か八か――。


 ストレイツォに向かって、薄暗い廊下を一気に駆け抜ける。
「はっ!」
 気合を込めて再びソードを見舞うと、先程と同様ストレイツォは即座に背後を取る。
「これが私の度肝を抜く作戦ですか?
 『予定通り』過ぎて笑いが込み上げて来ますよ」
 背後に向かって振り向き様に再びローキックを放つ。
 ストレイツォは悠々とジャンプし、空中からアサッシンを繰り出した。
「――待っていたんですよ、この時を」
 その瞬間、三段跳びの要領で右側の壁を使って大きく飛び上がる。
 ストレイツォは空中からアサッシンを放って着地したばかり。
 隙だらけの頭部に、思い切り飛び蹴りをかましてやりました。


「がふッ……」
 蹴りはクリーンヒットし、ストレイツォは廊下に吹き飛び倒れ込んだ。
「私が同じ手を使うとでも?
 貴方の方こそ、私の『予定通り』の動きをしてくれましたよ」
 華麗に着地した私は、床に這う哀れな虫のように無様な彼に吐き捨てた。
「なっ……何故だァ!?貴様の攻撃は『予定通り』だった!
 なのに……何故反撃に失敗したんだァ!?」
 ストレイツォは今まで見せていた冷静さを失い、初めて狼狽を露わにした。
「今の攻撃はパーツによる攻撃ではない。
 ただの『飛び蹴り』を反撃できるわけがないでしょう?」


「た、ただの『飛び蹴り』だと……?
 こんな重い蹴り、貴様にできるわけが……」
「私は"世界一の格闘家"と暮らしていましてね。
 これくらいの格闘戦はわけないんですよ」
 私は間抜け面で床に転がるストレイツォに言い捨てて、視線を正面に移した。
 ――動力室兼制御室。
 ラストさんとクララさんが持ち堪えているうちに、急がねば。
 ストレイツォを無視し、目の前の分厚い鉄扉を目指して駆け出そうとした。
 ――その時。


「ふっふふふ……ふふふふふ……。
 ふははははは……ふっひふっはっはっはっ!!」
 私は踏み出し掛けた足を元に戻し、床に転がるストレイツォを凝視した。
 ストレイツォはふらふらと立ち上がる。
 憎悪に満ちた鋭い眼光で私を睨み付けた。
「舐めるなよ、女ァ……我が名はストレイツォ・サーペント、毒を持つ名だ。
 この私に楯突いたこと、後悔するぞ……この雑魚がァァァァァ!!」
 気でも狂ったか? それとも……これがやつの"本性"なのか……?
 短時間に思考を巡らせるが、狂ったように突進してきたストレイツォが迫っていた。
 咄嗟に顔の前で両腕を交差させ、防御態勢を取る。


「カハッ……!」
 ストレイツォのタックルを受け、私は壁に激突して床に投げ出された。
「貴様のようなやつに……この俺が負けるはずがない。
 最も優れた存在である、この俺がァ……!!」
 狭い廊下にストレイトォの咆哮が反響した。
「……貴方は何も分かっていない。
 自分の戦闘能力だけが強さだと勘違いしている。
 英雄気取りの負け犬の遠吠えですか。
 反吐が出ますね、その思考回路には……」


「黙れと言っている……。
 減らず口を叩きやがって……このクズがァアアアアア!!」
 逆上したストレイツォは両腕の鉤爪を交互に動かし、五連撃アサッシンを放った。
「ぐっ……」
 狭い廊下が仇となり、縦横無尽の五連撃アサッシンは回避することができない――。
 まさに回避不能の、絶対クリティカル。
 身構えた両腕から火花が飛び散るのが見えた。
 防御に使用した両腕はあっさり大破。
 ダメージは胸にまで達し、頭部にも貫通した――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.41 )
日時: 2013/09/12 22:51
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece3――Scene11◇


「最後に何か言い残したことはありますか?
 死にゆく者の願い、聞いて差し上げましょう」
 シオンが冷徹に言い放った。
 眩い照明が逆光となっているため表情は見えない。
 俺は小さくかぶりを振った。
 少なくとも七本槍のこの三体に言うべきことはない。
 せめて竜の任務だけでも成功してくれれば、俺の死も無駄にはならないのだが――。
「そうですか。では……安らかに」
 シオンは能面のように表情を変えず、ミサイルを構え直す。
 俺は静かに目を閉じた。


「がはっ……」
 誰かが呻き声を上げた。俺でもクララでもない。
 それに、いつまで経っても痛みを感じない。
 ――どういうことだ?
 俺は怪訝に思いながら目を開けた。
 意外にも目の前でシオンが左腕を押さえ、背後に目を向けていた。
 ネリスとナベシマも訳が分からない様子で、呆然と立ち尽くしている。
「な、何者だ!?」
 いち早く状況を察知したらしいシオンが、怒声を響かせた。
 ――第三者の狙撃か?
 シオンの視線を追って行くと、彼の肩越しに三体のメダロ人が見えた。


「やれやれ……無様な格好だな、ラスト。
 この貸しは百倍にして返してもらうぞ」
「――助けに来た。
 ラスト、クララ、無事か? 何とか間に合ったようだな……」
「……ほ、本当に大丈夫なんでしょうね……。
 こ、此処、完全に敵のアジトじゃない……」
「バイスにファル……なのか?」「ディムさん!」
 俺とクララの声が重なった。
 しかし驚きのあまり二の句が継げない。
 まさかこれが竜の言っていた、万一の時のための"援軍"なのか――。


「BGMの生き残りか……。
 君たち、僕らの楽しみをよくも邪魔してくれたねぇ?」
「……絶対に許さないよ。
 どうなるか分かってるよねぇ? ただでは済まない……よッ!」
 二体のネリスが苛立ちを含んだ物言いで吐き捨て、先制のファイヤーを放つ。
 距離が離れていたため、バイス、ファル、ディムは軽快な動作でそれを回避。
「シオン、さすがにマズいニャン……。
 こんなの私たちの予定にはないニャン……」
「怯むな、ナベシマ。
 此処で引き下がったら、主に顔向けできないぞっ」
 狼狽えるナベシマに対し、シオンが頬を引き攣らせながらも声を張り上げた。


「「僕はこれ以上ないくらい楽しくなってきたよ……。
 さあ、ショーの始まりだッ」」
 二体のネリスが同時にほくそ笑み、バイスたち三体に向かって突進して行く。
「ふん……デスレストだかハウスダストだかの雑魚ども。
 まとめてかかって来い。バイス様が蹴散らしてくれる」
 言いながら、バイスは右腕のフーフからミサイルを発射。
 二体のネリスを迎え撃つ。
 だが、バイスのミサイルは空中で相殺されて爆発した。
「此処に踏み込まれたからには、生きて帰すわけにはいきません。
 残念ですが、死んでもらいましょう」
 ミサイルをリボルバーで撃墜したシオンが、バイスに敵意のこもった目を向ける。


「手負いの一兵卒が俺に敵うとでも思ってるのか?
 はっ。負け犬の遠吠え甚だしい。躾けがなってないな」
「ですから、尚更ですよ。
 この左腕を使い物にならなくしたお前は……此処で殺す」
 言い終えると同時に、シオンがリボルバーを連射。
 バイスは巧みなステップで避ける。
 一方、ネリスの突進はファルの空中からの援護射撃に妨げられ、睨み合いが続く。
「……ええい、もうどうにでもなれニャン!」
 呆然と突っ立っていたナベシマも我に返り、ディムに向かって格闘戦を仕掛ける。


 混戦の様相を呈し始める中、俺はある事実に気が付いた。
 ――傷付いたパーツが回復している。
 背後に目を向けると、クララと目が合った。
 クララは微笑を浮かべ、小声で囁く。
「七本槍の方たちがバイスさんたちに気を取られている隙に、直しておきました」
 クララはタッチナーブ、フィールナーブに変化させた両腕パーツを掲げて見せた。
「……ありがとう、クララ」
 礼を言って立ち上がり、再び視線を前方に戻す。
 戦況は一進一退といったところか。
 俺はバイスたちを援護しようと足を踏み出しかけた、が――。


「――此処は俺たちに任せて、ラストとクララは先に行け」
 二体のネリスにナパームを撃ち込みながら、ファルはちらりと俺たちを見て言った。
「バカかお前は……探偵なら頭を使え。
 何のためにバイス様が直々に助けに来てやったと思ってるんだ?
 お前たちがいても邪魔なだけだ、早く行け。
 こんな雑魚ども、五分以内に片を付けてやる」
 シオンのリボルバーを回避し、ミサイルで応戦しながらバイスが声を張り上げる。
「……い、いざとなったら逃げるから……。
 あんたたちは、早く行きなさいよ……!」
 ナベシマのライトブローから逃げ惑いながら、ディムが喚く。


「……すまない。必ず任務を達成し、戻って来るっ!」
 俺は一瞬の逡巡の後、覚悟を決めて叫んだ。
 三者三様の助っ人に心からの敬意を表して。
 後ろ髪を引かれ、戸惑いを見せるクララの手を取り、俺は訓練場を駆け抜けた。
 俺たちに気付いたシオンが右腕の銃口を向ける。
 しかしそれをバイスがブレイクで威嚇する。
「貴様の相手は俺だ。
 まあ、貴様では些か役不足だが……ふん、我慢してやろう」
「あまり調子に乗らない方がいい……」
 バイスとシオンのやり取りを背中に聞きながら、俺たちは訓練場を後にした――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.42 )
日時: 2013/09/19 20:59
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece3――Scene12【バイスside1】◇


 ラストとクララが訓練場を後にする様子を横目に、シオンとやらと正対する。
 やれやれ、今時旧式のメタルビートルとは。
 絶滅危惧種か天然記念物だな。
 ふん……BGMではラストに見せ場を譲ってやったが、ちょうど良い機会だ。
 ふざけた組織がこのバイス様に二度と逆らえぬよう、鉄槌を下してやろう。
「……ナベシマ。これ以上は我慢ならない。
 こっちもメダフォースを使うぞ」
「シ、シオン、正気かニャン?
 シオンのメダフォースは諸刃の剣ニャン!」
 シオンが低い声で言うと、ディムと対峙していたナベシマとやらが狼狽える。


「へぇ。久しぶりにシオンの本気が見られそうだねぇ。
 こいつは面白くなってきた……よッ!」
「ネリスは喜んでる場合じゃねーニャン!
 だあああああッ! どいつもこいつも自分勝手なんだよオラアアアアアッ!」
 ネリスとやらがファルのナパームを避けつつ言うと、ナベシマが突っ込む。
 いつの間にか語尾も消えている。
 とうとう化けの皮が剥がれたか……。
 などと考えていると、シオンが雄叫びを上げた。
 その身体がみるみる黄金色に変わる。


「ウゥウ……アアアァァァッ!!」
 カブトメダルの十八番、一斉射撃か?
「気を付けろっ!」
 ファルとディムに注意を促し、俺自身も即座に回避できる体勢を整える――。
 が、シオンとやらは射撃パーツを使うことなく、一瞬にして目の前に現れた。
「なん……だと……?」
 腹と背中に鈍い痛みが走る。
 気付いた時には床に叩きつけられていた。
 軌道がまるで見えなかった。
 しかしよもや格闘戦に打って出るとは――。


「射撃タイプだから一斉射撃とでも思ったか?
 そんな底の浅い考えでは足元を掬われる。
 尤も、あんたにはその姿がお似合いだけどな」
 これがメダフォース、バーサーク――。
 ちっ。
 まさかパーツだけでなく、カブトメダルまで初期型だったとはな……。
 しかしそうこなくては面白くない。
 厄介なやつらほど潰し甲斐があるものだ。
「ふん……いくら身体能力が強化されても、ダメージは蓄積されていくはずだ。
 絶対ヒットのミサイルで追い詰め、レーザーで叩き潰す……それだけの話だ」


「そう事が上手く運ぶとでも? ネリス、HWK型は任せたぞ。
 ナベシマ、頭部パーツで援護を。連携攻撃で先にBAF型を叩く」
 不敵な笑みを浮かべ、二体に指示を出すシオンに連続でミサイルを発射した。
 だが絶対ヒットのミサイルは、シオンのリボルバーで的確に撃ち落とされる。
「ファル、ディム。俺の手を煩わせるなよ」
 俺は苛立ちを抑え切れぬまま、負けじと二人に指示を飛ばす。
「わ、分かってるわよ……」
「――ああ、ネリスは任せろ。どちらかはメダフォースで実体化した幻だ。
 幻が繰り出すような重みのない攻撃にダメージを受ける俺ではない……」
 二人の返答を聞きながら、シオンに格闘戦に持ち込まれないよう距離を保つ。


「はあ。頭部パーツを新型に換装して置いたのは正解だったニャン……」
 ため息を吐きながら愚痴を零すナベシマに目を向ける。
 するとどういう訳か、ナベシマの赤いボディが徐々に背景と同化していく。
「ちょ、ちょっと……純正のCAT型でしょ……?
 な、何で隠蔽行動ができるのよ……」
「数は少ないが、最新のCAT型の頭部パーツはステルス行動なんだ」
 俺はディムに言いながら身構える。
 相手はステルスからの不意打ちサンダーで、こちらの足を止める作戦だろう。
 索敵を持たない俺たちには、ステルスは確かに脅威だ。
 だが、こっちには絶対ヒットのミサイル。
 行動パターンさえ見切れれば――。


「ふん……そこかっ!」
「ニャ、ニャ!?」
 ミサイルが着弾し、ナベシマが姿を現す。
 やつが動揺している間に、ディムが攻撃に移る。
「もらったぁあああ!!」
 ナベシマに気を取られている内に、バーサーク状態のシオンが目の前に迫る。
 想定通りだ。多少のダメージは致し方あるまい。
 しかしこの距離では、いくら身体能力が強化されていても避け切れまい――。
「甘いぞ……!」
 驚愕を露わにするシオンの左腕に、俺のレーザーがゼロ距離で命中した――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.43 )
日時: 2013/09/26 21:55
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece3――Scene13【竜side3】◇


「どおォ~したァ? 孤高の名探偵殿ォ~?
 随分知った口を利いてくれたよなァ~? その程度かよッ!!」
 そう言って、ストレイツォが私を蹴り飛ばす。
 明らかに低俗な挑発ですね……。
「ぐっ……」
 そう思いつつも、思わず呻き声が漏れる。
 両腕に力が入らず、身動きが取れない。
 得意のキックをかますような力も残っていない。
 機能停止も時間の問題だろう。


 地下にひっそりと設けられた重要拠点。
 易々と到達できるとは思っていなかった。
 おそらく七本槍の誰かが待ち構えていることも、もちろん織り込み済みだった。
 それなのに、最後の最後でしくじるとは……。
 私の詰めが甘かったということか……。
 ――ラストさん、クララさん、すみません。
「その程度でこのストレイツォ・サーペントに挑もうとはなァ~?
 がっかりだ……さっさと死ねやァァァ!!」
 ストレイツォがアサッシンを放とうと、両腕の鉤爪を振り上げた、その時――。
 一筋の光線が視界の端を掠めた。


「ぐあッ……!」
 淡い桃色の光線を受けたストレイツォがバランスを崩し、音を立てて転がった。
 タイムアタック……?
 私は不覚にも論理的思考とは宇宙一程遠い、格闘バカのことを思い出していた。
 重い頭を動かし、光明の少ない廊下の先に視線を走らせると、そこには――。
「そんなところに突っ立っていられると邪魔よ」
 行方不明の元デスレスト七本槍、レイが立っていた。
 悠然と右腕を下ろす。
「貴様ァ……裏切りやがって……覚悟はできてるんだろうなァ……?」
 顔を引き攣らせながら、右腕を軸に起き上がったストレイツォが言った。


「あんたの方こそ覚悟は出来てるのかしら。
 "一人ぼっちの七本槍"さん?」
「てめぇ……お前は俺を怒らせた……うぉぉぉおおおおお!!」
 怒り狂ったストレイツォが声を荒げる。
 両腕の鉤爪を構えて、レイに突進する。
 一方レイはバックステップで距離を取りつつ、両腕のタイムアタックを放つ。
 しかしストレイツォはそれを物ともせず、レイ目掛けてアサッシンを連発した。
 レイはタイムアタックでそれを相殺し、絶対クリティカルの攻撃を打ち破る。
「思ったよりやるじゃない。
 でも冷静さを欠くあんたが、私に勝てるわけないわよ」
「チッ……ほざけ、下等な裏切り者風情が……」


 お互いに攻撃手段、戦闘スタイルを熟知している。
 決め手がない……。
 すると、肩で息をするストレイツォから一瞬視線を外し、レイが目配せした。
 ――今のうちに早く行きなさい。
 私はその意味を悟る。
 同時に、彼女が此処に来た目的も。
 ――恩に着ますよ、レイ……。
 私は心の中で呟き、対峙する二人に背を向けた。
 傷む両腕に耐えながら、出来る限り音を立てないように、這うように進んだ。
 動力室兼制御室――目の前の鉄扉を押し開けて、そっと身体を滑り込ませる。


 真っ暗闇の室内。
 扉の近くの壁際を弄り、電気のスイッチと思しき物を押す。
 室内に明かりが灯った。
 室内を見回してみると、広さは六畳程度はあろうか。
 しかし殺風景な部屋の一角を、物々しい装置が占拠しているため狭く感じる。
 これがデスレストを操る黒幕に繋がる"転送装置"――。
 七本槍のメンバーは"主"と崇めている、デスレストの支配者。
 緊急時にすぐに連絡が取れるよう、必ず何処かにあると踏んでいた"装置"。
 やはり動力室兼制御室にあった。
 この装置を使えば"主"に辿り着ける――。


 私は"転送装置"の傍らに置かれた、デュアルコンピューターの前に腰掛けた。
 パスワードを要求する画面が表示される。
 既に調査済みのパスワードを入力。
 "4444"――。
 デスレストなんて俗な名称をつける組織が、いかにも好みそうな番号です……。
 続いて、スタート画面が表示された。
 手早くいくつかのアイコンをクリックしていく。
 さらに幾重ものパスワード画面を潜り抜けると、一つのメニューがポップした。
『"転送装置"を起動しますか?』


 私はそこで手を止める。
 私の目的は"転送装置"を見つけて、起動させること。
 そして"主"の待つ場所に赴き、奪われた私の知人のメダルを回収すること。
 しかし手負いのこの身体で、"主"からメダルを奪い返せるだろうか……?
 それに"主"の傍には、ほぼ間違いなく護衛がいると考えるのが道理……。
 だが、今この瞬間にも彼女のメダルは壊されようとしているかもしれない。
 一瞬の逡巡が命取りになる――。
 私は決意し、無意識に閉じていた目を開く。
 起動する旨を問う画面の下のOKボタンに、マウスカーソルを合わせた――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.44 )
日時: 2013/10/04 00:10
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece3――Scene14◇


 クララの手を引いて二階訓練場を後にした。
 向かう先は竜曰く"ある装置"が眠る地下。
 俺は走りながら、装着したままのイヤホンマイクの位置を直した。
 乱れる呼吸を抑えつつ、それに向かって叫ぶ。
「竜、応答しろ。竜っ」
「竜さん、応答しないんですか……?」
 クララは竜を憂うように、眉を顰めながら聞いてきた。
「ああ……応答はない」
 敵幹部と遭遇した場合や、緊急の際以外の通信は、なるべく控える手筈にはなっていた。
 しかし竜が通信を遮断する理由はないはずだ。


 俺は考えたくはないケースを想定した。
 最後に入って来た竜からの通信を思い返す。
 竜は七本槍の一体と遭遇した旨を告げていたはずだ。
 かつて竜は"十二使徒"と呼ばれる戦闘特化集団に所属していた、という噂を耳にした。
 そんな猫背の名探偵がそう易々と敗れるとは思えないが、万一ということもある――。
 俺は突入の前に、竜にマッピング提供された、デスレスト第一邸の平面図を取り出す。
 さらに頭部パーツのアンテナを使って、竜の居場所を確かめる。
 十数秒の後、竜の居場所を特定した。
 先程の平面図と照らし合わせると、竜は今――。


「……動力室兼制御室だ」
「え……?」
 唐突に声を上げた俺に、クララは表情を硬直させ、戸惑ったように問い返してきた。
「竜の居場所だ。竜は無事に当初の目的地である動力室兼制御室に侵入出来たようだ。
 だが、何らかの原因で応答することができない状態にあるのは間違いない。急ごう」
 俺はクララの返事を待つのももどかしく、再び駆け出す。
 一階の最西端に設置された、怪しげな下り棒を使って地下に下りた。
 竜の情報によれば、建物の内部から地下に移動するにはこれを使うしかないらしい。
 先に階下に下り立った俺は、目を丸くして不器用に下りて来たクララを受け止める。
 コンクリートの壁に囲まれた地下は光源が乏しく、ひんやりと肌寒さすら感じた。


 しかし此処からは一本道だ。
 時間が惜しい今、迷わなくて済むことは有り難かった。
 俺はクララを目を見合わせて頷き合うと、最奥部の動力室兼制御室を目指して走る。
 三分ほど走った頃だろうか。
 俺は違和感と呼ぶには具体的すぎる異変に気が付いた。
 前方から機械音や銃声のようなもの、何かが壁にぶつかるような物音まで聞こえる。
 俺はクララを庇うようにして、出来るだけ足音を殺して慎重に音源に近付く。
 音源に近付くに連れ、さらに桃色のエフェクトがちらちらと視界を走るようになる。
 ようやく一人のメダロ人の後ろ姿が見えた。
 同時に、俺は思わず息を呑んでいた。


 ――何かが渦巻くような特徴的なシルエット。
 約一ヶ月前、BGMでクロとしてゲームに参加し、一戦を交えた元デスレスト七本槍。
「レイ……?」
「レイさん?」
 無意識にその名前が突いて出た。
 クララも同様だったらしく、同時に声を上げていた。
 今や行方を暗ましている、此処にいるはずのない人物。
 それなのに、どうして――。
 俺の呟きが聞こえたのか、レイはちらりと振り返り、ほんの僅かに目を見開いた。
 が、その一瞬の隙を突いて、前方から黒い影が恐ろしい勢いで突進してきた。


「あっ……危ないっ」
 クララの声でレイは前方に目を戻したが、黒い影のタックルは避けられなかった。
 俺とクララの前の前に転がったレイはすぐに体勢を立て直し、大きく息を吐いた。
「時間がないわ。
 此処はあたしに任せて、早く行きなさい。竜ならあの部屋の中よ」
 レイは黒い影を威嚇するように視線を前方に固定したまま、背中越しに口を開く。
「しかし……」
 俺はレイに加勢するか、竜の待つ部屋に急ぐか否かの判断を迫られて言いよどむ。
「いいから話はあとっ! 早くしなさい!」
 レイに一喝されて、俺は初めて前方の黒い影をしっかりと見据えた。


 コンセプトは不明だが、格闘型らしき藍色の機体。
 彼も七本槍の一人なのだろう。
 修羅のように憤怒に満ちた表情とは裏腹に、その身体はボロボロで損傷が激しい。
 ――やつは本気だ。
 本気でレイを、俺たちを潰そうとしている目だった。
 竜もこいつに重傷を負わされているかもしれない。
 迷っている暇はなかった。
「……レイ、すまない。必ず戻る、約束だ」
「バカね、分かってるわよ。
 もう一度あたしと勝負してくれるんでしょう?」


 表情は見えないが、レイがクスリと笑みを浮かべたのが、俺にも分かった。
「ああ……絶対だっ!」
 俺はクララの手をしっかりと握り締める。
 力いっぱい床を蹴って、一気に加速した。
 擦れ違い様に、ソードを敵の右腕に一閃。
 レイの援護射撃を受けながら走り抜ける。
 敵の視線を背後に感じたものの、レイの援護が効いたらしい。
 敵が俺たちを追って来ることはなかった。
 俺はそのままの勢いで、動力室兼制御室の分厚い鋼鉄の扉に体当たりした――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.45 )
日時: 2013/10/10 21:15
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece3――Scene15◇


「竜っ!」「竜さん!」
 動力室兼制御室の鉄扉をぶち破り、開口一番、俺とクララの声が重なった。
 慌てて室内に視線を巡らせると、手狭な室内の一角に物々しい装置が鎮座している。
 その装置の傍らには配線の繋がれたコンピューターが置かれており、竜はそこにいた。
 竜はちらりとこちらを振り返って、仏頂面にほんの少しだけ苦笑いを浮かべている。
「恐ろしくタイミングのいい方たちですね……。
 あなた方が此処に来たということは、手筈通り"援軍"が到着したということでしょうか」
 竜の言う"援軍"とはバイスたちのことだろう。
 もしかしたら、レイもそうなんだろうか。


「ああ。まさかこんな形で再会するとは思っていなかったが……。
 バイスたちが来なければ危ないところだった。礼を言う」
 俺の反応に竜は一度頷いたが、すぐに表情を引き締めて付け加えた。
「それは全てが終わった後に。
 時間に余裕があるわけではありませんので、手短に言います。
 奇襲をかけて、奪われたメダルを取り返すなら……。
 チャンスは今、一度切りと考えるべきでしょう」
「それは……どういうことだ?」
 竜の発言に理解が追い付くのに時間がかかる。
 俺は慎重に言葉を紡ぎ、竜に聞いた。


「私の推測が正しければ、この装置は敵のアジトに繋がる"転送装置"です。
 そこで待っているのは……敵の黒幕と、残る七本槍の一人と考えていいでしょう」
 俺は竜の発言の一部にふと引っ掛かりを覚えたが、先にクララが口を開いた。
「あ、あの……どうしてそんな装置が?
 デスレスト第二邸には、こんなものは何処にも……」
「いえ。BGMの際にも何処かに隠されていたと思います。
 クロの部屋は隈なく探しましたか? 見落としはありませんか」
 レイの部屋――。
 そこに入ったのは、本人を除けば俺だけだ。


 俺はおよそひと月前の記憶を弄る。
 レイに通されたのは一部分に過ぎなかった。
 部屋の隅の天井に、屋上に通じる鉄の梯子が取り付けられていたくらいだ。
 例えば浴室に、トイレに。
 この"転送装置"がなかったとは、とても断言できない。
「さあ、決断の時です……ラストさん、クララさん。
 デスレストを止められる存在がいるとしたら、それはあなた方だけです。
 奪われたメダルを取り返しに、行ってくれますか?」
 俺が黙考していると、竜が真摯な目でそう言った。
 今考えるべきことは、デスレスト第二邸に"転送装置"があったかどうかではない。


「あ、あの……竜さんはどうされるんですか?」
「私は……此処に残ります。
 この身体では、足手まといになるのが関の山でしょう」
 クララの言葉に竜は考え込むように俯き、やがて悔しそうに言った。
 クララの視線と竜の言葉に、俺はようやく竜が大怪我を負っていることに気付いた。
「しかし、このまま放って行くことは……」
「私はこれでも幾度か死線を掻い潜って来ました。
 貴方に心配されるほど軟じゃない。
 むしろ貴方に心配されるなんて、私の自尊心が許しませんね……」
 竜は大破してまともに動かすのも億劫であろう、両腕を膝の上に置いてそう言った。


 強がりだということは分かっていた。
 しかしそれ以上に、自分が原因で俺たちが此処に残るようなことになったら――。
 竜はそれこそ俺たちのことを許さないだろうし、自分で自分を許せなくなるだろう。
 ――答えなら出ている、最初から。
「クララ。此処から先は本当の意味で、もう後戻りはできない。
 それでも、行けるか?」
 俺は竜から視線を移動し、クララを見据えてそう言った。
「もし此処で逃げたら……わたしはわたしを許せません。
 行きましょう、ラストさん」
 それはさっき、俺がシオンに向けて言った言葉だった。
 クララは俺なんかよりも、よっぽど覚悟が出来ている。


 俺は頷いて、再び竜を見た。
「竜。後のことはよろしく頼む」
「事後処理は慣れていますので、どうぞお気遣いなく。
 では、準備はいいですか?」
 竜は表情を変えずに一つ頷いて、意志を確認するように付け加えた。
 "転送装置"の対面に移動し、クララと目で意志確認した後、竜に言った。
「ああ。いつでもいい」
 コンピューターの画面には"転送装置"の起動を確認するメッセージが表示されている。
 竜はマウスカーソルを表示ウィンドウのOKボタンに移動させ、エンターキーを押した。
 数秒後、"転送装置"の起動を裏付けるように、カタカタという音が微かに聞こえてきた。


「竜。一つだけ聞いてもいいか?」
「嫌です、と言ったらどうするんですか?」
 竜はこの期に及んで意地の悪いことを言うが、俺はそれを聞き流して言った。
「お前は……デスレスト七本槍の一人なのか?
 傍らで聞いていたクララが、はっと顔を上げる気配を感じた。
 その質問は、さっき俺が竜の発言で感じた違和感の正体でもあり、核心を突く内容だ。
 彼女はさっきこう言った。
『残る七本槍の一人』と。
 上階で戦った、シオン・ネリス・ナベシマの三人の七本槍。
 この扉の向こうで今も戦っている、レイともう一人の敵。


 それを踏まえると『残る七本槍は二人』のはずだ。
 しかし竜はそうは言わなかった。
 さらに彼女は、デスレストに関する膨大な情報を得ていた。
 これは何を意味するのか。
 答えは簡単だ。
『彼女自身が組織内部の人間、七本槍の一人だから』に外ならない。
 竜は憮然とした表情をしていたが、短くため息を吐くと、早口でこのように述べた。
「……九ヶ月前から半年前までの約三ヶ月、デスレストで潜入捜査をしていました。
 当時私は『幻の七本目』と呼ばれていた……ただ、それだけのことですよ」
 刹那、激しい浮遊感を覚えた。そして視界が暗転し、俺の意識は飛んだ――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.46 )
日時: 2013/10/18 22:59
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece3――Scene16【竜side4】◇


 ラストさんとクララさんを見送り、私は大きく息を吐いた。
 紆余曲折あったが、とにかくこれで目的の半分は達成したことになる。
 自分の手でメダルを取り返すことはできなくなったが、致し方ない。
 私は私で、もう一つの任務を遂行するだけのこと。
 私はコンピューターを操作し、素早く全てのデータのバックアップを取る。
 デスレストに関する貴重な情報源。破棄するには惜しい。
 12%……24%……36%……48%……60%……。
 バックアップの進行を伝える表示ウィンドウを見守る。
 コツコツと指を鳴らしていると、バックアップ完了のメッセージが表示された。
 私はHDDを抜き取り、代わりに小型の機械をコンピューターに取り付けた。


 万一の時のために持って来た、小型の高性能起爆装置――。
 画面に目を戻す。
 十数秒の後、予め組み上げていたプログラムが立ち上がる。
 キーボードを操作し、ロックを解除するプログラムを打ち込む。
 カタカタという小気味の良い音だけが室内に響く。
 やがて、その音が止んだ。
 画面には起爆装置のスタートを促すメッセージが表示されている。
「これで此処に残っている配下の七本槍は、黒幕の下には戻れない……」
 私は躊躇いもなくエンターキーを押した。
 画面は起爆装置の作動を告げる表示に切り替わる。
 爆発まで、あと十分――。


 爆発を知らせる警報装置と邸内放送を耳にして、どっと疲労感が押し寄せる。
 とは言え、此処でデスレスト配下とともに果てるつもりは毛頭ない。
 バックアップしたHDDを小脇に挟み、足に力を込める。
 ほとんど力の入らなくなった両腕を引き摺るようにして、出入り口に近付く。
 しかし何なんですかね、この無駄にクッソ重い鉄扉……。
 両腕と脚部が壊れてたら、絶対に開けられないじゃないですか。
 辛うじて機能停止を免れた脚部で鉄扉を蹴飛ばし、動力室兼制御室を後にした。
 再び廊下に出ると、レイとストレイツォのロボトルは既に決着が着いている。
 レイのタイムアタックは長期戦になればなるほど有利になる。
 高い先見性を持つストレイツォと言えども、妥当な結果ですね。


「派手なことしてくれるわね……打ち上げ花火のつもり?」
 機能停止したストレイツォから視線を外し、レイは私を見て言った。
「まあ、こういうのも嫌いじゃないけれど」
 レイはロボトルによる疲れか、肩で息をしながら愉快そうに口許を曲げる。
『起爆装置が作動しました。
 爆発まであと十分です。爆発まであと十分です』
 そう言っている間にも、警報装置と邸内放送の無機質な機械音声が耳に届く。
「とにかく話は後で。脱出が先です。
 私の作った起爆装置は、東京ドームをも軽く吹っ飛ばせる威力ですから」
「うわ、怖っ……。
 今日ほどあんたを敵に回さなくて良かったと思った日はないわね」
 レイは大袈裟に肩を竦め、床に転がったストレイツォのメダルを拾い上げた。


「彼を助けるつもりですか。
 あなたがそんな行動に出るとは……些か意外ですね」
 私が思ったままに口にすると、レイは目を閉じて自嘲するように笑った。
「ちょっとした気紛れみたいなものかしら。
 まあ……あたしもラストに助けられたし。
 もし彼も、ストレイツォも孤独の中でもがいているとしたら――今度はあたしが、手を貸す番なのよ」
「彼の影響力もバカにできませんね……」
「別に深い意味はないわ。
 もう一度ラストと戦って、今度こそ息の根を止めたいだけ」
 何だか今さらっと怖ろしい言葉が聞こえたような気がするのですが……。 


『起爆装置が作動しました。
 爆発まであと七分です。爆発まであと七分です』
 再び警報装置と邸内放送がこの地下廊下にも響く。
「急ぎましょう。私たちが爆発に巻き込まれては本末転倒です」
 レイは慣れた手付きで転送端末を取り出し、ストレイツォのパーツを格納した。
「ところで、そんな身体で走れるの?
 胸部からはオイルも漏れてるみたいだけど?」
「……私を誰だと思ってるんですか?
 私のすることには全て意味があるんですよ。
 これは爆発の威力を高めるために、わざと垂れ流しておいたんですよ……」


 レイは絶対嘘だよ、めっちゃ強がってるよこの人、みたいな目で私を見た。
「あっそう。じゃあ、あたしは先に行くわ」
 レイはそう言って踵を返すと、さっさと歩き始めた。
 やっぱりこの人、めちゃくちゃ性格悪いじゃないですか……。
 怪我人を目の前にして、手も貸さないとかおかしいでしょう……。
 関西弁の知人の爪の垢を煎じて飲ませたいくらいですよ。
『起爆装置が作動しました。
 爆発まであと五分です。爆発まであと五分です』
 私は三度流れる警報装置と邸内放送を聞きながら、彼女の後を追った――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.47 )
日時: 2013/10/24 21:40
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece3――Scene17【バイスside2】◇


『起爆装置が作動しました。
 爆発まであと十分です。爆発まであと十分です』
 警報装置と邸内放送が作動したらしい。
 つまり、竜の作戦は成功したということだ。
 引き立て役は気に食わないが、デスレストを潰すためなら仕方がない。
 俺はファル、ディムと目配せを交わす。
 時間稼ぎの役目はこれで終わりだ。
「なっ……起爆装置だと……?
 ま、まさかこいつらの他にも侵入者が……?」
 リボルバーを構えて睨み合っていたシオンが、滑稽なことに狼狽を露わにした。
 ふん。デスレスト七本槍などと幹部を気取ってるくせに、程度の低い連中だ。


「で、でも裏口はストレイツォが守ってるはずニャン。
 いくらなんでも、そう易々とは……」
 ディムと対峙していたナベシマが聞き慣れない名前を口にした。
 どうやら裏口にも敵が張っていたらしい。ご苦労なことだ。
「フフ……ナベシマ、もう少し頭を使ったら? 組織に裏切りは付き物だよ。
 そして、恐怖に染まった裏切り者を始末するのが最高に気持ちが良いんだ。
 さあ、早いところ目の前の雑魚どもを片付けて、裏切り者の始末を……」
「いや、こいつらの始末は後回しだ。
 今の俺たちにそんな時間的余裕はない」
 ファルと対峙し、なおも戦闘を続けようとするネリスの言葉をシオンが遮った。


「はぁ? 何で?
 僕はさっさとこいつらを片付けたいんだけど?」
「起爆装置が作動したということは、転送装置も壊されているはずだ。
 主が危ない。一刻も早く玉座の間に戻らねばならない」
 シオンは失態を犯したとばかりに、苦悶の表情を浮かべる。
「そんなの今更じゃん。
 それに主には鉄壁の護衛がいるでしょ? 心配ないよ」
 それでも納得がいかないらしく、ネリスが反論を口にする。
 ……どうでもいいが、こいつらは根本的に仲が悪いのが見え見えだな。


「敵の実力を甘く見ていた。
 事実俺たちは苦戦している。撤退して体勢を立て直す」
「あ~あ……興醒めだよ。
 せっかくこれ以上ないくらい面白くなってきたのに……」
 ネリスはわざとらしくため息を吐いて、大袈裟に肩を竦めた。
 オロオロと交互に二人を見ているナベシマとやらが哀れだな。
『起爆装置が作動しました。
 爆発まであと七分です。爆発まであと七分です』
 再び警報装置と邸内放送が流れる。
 それを機にシオンが俺たちの方を振り返った。


「命拾いしたな。この勝負はお預けだ。お前たちは必ず倒す」
「せいぜい首を洗って待ってるといいニャン!
 ……い、いえ何でもないです……」
「ま、次はないと思った方がいいと思うよ。
 僕の鉤爪が、オイルを欲してるからねぇ」
 捨て台詞を吐くので、ひと睨みしてやったら三人はそそくさと立ち去った。
 ……あいつら、自分たちのセリフが小悪党丸出しなのを分かってるのか?
 まあいい。
 無駄な思考に脳内のキャパシティを割くことは俺の美学に反する。
 一先ず俺たちも可及的速やかに此処を立ち去った方がいいだろう。


「ファル、ディム。俺たちも帰るぞ。
 もう用は済んだ。此処に留まる理由はない」
 どうでもいいが、この二人は結構ダメージを喰らったようだな。
 あのオカマと猫娘、さして強いようには見えなかったが……。
 考えながら歩いていると、後ろを歩いているファルが唐突に口を開いた。
「――そういえば、聞きそびれていたが。
 ディムはどうしてBGMに参加したんだ?」
「……な、何よ、藪から棒に……。
 べ、別にどうだっていいじゃない、今更……」
 不意に、一陣の風のようにレイに飛び掛かって行ったディムの姿を思い出した。
 普段の言動からは考えられない行動だっただけに、その真意は確かに興味深い。


「――差し支えなければ聞かせてくれないか……?」
「……ふ、深い意味なんてなかったわよ……。
 けど、もしフユーンストーンが手に入ったら……。
 し、死んでしまった人の霊を呼び寄せることが出来たら……。
 す、素敵なことだと、思わない……?」
 そういえば、こいつは有名な霊能力者だったな。
 こういう連中は本質的には詐欺師と変わらんと思っていたが……。
 まあ、誰でも死んでしまったやつに、もう一度会いたくなる時はある。
「……そうだな。俺もあいつに会えたら――。
 思い残すことはなくなるのかもしれないな」
 ディムの言葉を受けて、ファルがぽつりと呟いた。


 ああ、こいつも親友を亡くしたんだったか。
 ラストがそんなことを言っていたような気がする。
 ふん……どいつもこいつも辛気臭い連中だ。
 後ろを向いていても始まらん。
 裏切りも孤独も死別も、全ての哀しみは自分を高めるための糧に過ぎない。
 少なくとも俺はそうだった。
 他人に価値観を強制する気はないが、同情する気もない。
 そいつの苦しみはそいつ自身が背負うべきものだ。
 誰も肩代わりできない。


『起爆装置が作動しました。
 爆発まであと五分です。爆発まであと五分です』
「……おい、走るぞ。
 爆発に巻き込まれたりしたら、笑い話にもならんからな」
 俺は二人を急かした。
「――そうだな。急ごう」
「……ちょ、ちょっと待ってよ……」
 常に同じ態度で接する、それが唯一の優しさだ――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.48 )
日時: 2013/12/31 20:12
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece4――Scene18◇


「……ストさん。ラストさん、起きてくださいっ」
 誰かが俺の名前を呼んでいる。
 俺は激しい頭痛に苛まれながら、ゆっくり目を開けた。
 驚くほど近くにクララの顔があって、無意識に息を呑む。
 心臓に悪いぞ、クララ……。
「此処は……?」
「分かりません。
 あ、あの、わたしも気付いた時には此処で倒れていて……」
 身体を起こして聞くと、クララは戸惑ったように目を伏せて、そう口にした。
 竜に通信を試みたが、やはり応答はない。


 此処に来る前から竜と通信できたくなっていたから、予想通りではある。
 通信を諦めて周囲を見回してみる。
 空間自体はそう広くない。
 円形なので分かりづらいが、大体六畳くらいの広さだろう。
 周囲には松明に火が灯されゆらゆらと揺れており、申し訳程度の明るさを保っている。
 喩えるなら宛ら、ボス部屋手前のセーブポイントと言ったところか。
 この部屋の出入り口は一ヶ所だけだ。
 半円状の暗い穴が、ぽっかりと浮かんで見える。
 此処まで来たからには退く気はないが、どの道暗闇に向かって進むより外ないようだ。


「立てるか? とりあえず進むしかない。出来るだけ慎重にだ」
「大丈夫です。わたしこう見えても、怪談とかホラーには強い方なんです」
 何が大丈夫なのかさっぱり分からない。
 しかし伊達に一ヶ月間暮らしていたわけではない。
 クララの天然ぶりにはもう慣れた。
 俺は微苦笑でもって答えると、先に立って歩き始めた。
 再び緊張の糸を張り巡らせる。
 半円状の穴のような出入り口を抜けると、百メートルはありそうな長い廊下に出た。
 その長い廊下の左右には、等間隔にメダルの形を模した松明に火が灯されている。
 此処は地上なのか地下なのか不明だが、何だか薄ら寒い。気温が低いせいだろうか。
 クララの手を引いて慎重に歩みを進めると、やがて行き止まりに突き当たった。


 目の前には一枚の鉄扉。
 俺はクララと顔を見合わせた。
 たぶんこの先に七本槍の残る一体、そして組織を統括する黒幕が待っているはずだ。
 索敵を使って、危険やトラップがないかどうか調べてみるが、異常は見つからない。
 二人で頷き合う。
 覚悟は決まっている――。
 俺は深呼吸して、鉄扉を押し開けた。
 眩い光が視界を覆い尽くし、思わず目を細める。


 コロッセオのような玉座の間。
 広さは優に三十畳は超えるだろう。
 床には足音を遮る臙脂色のカーペット。
 両側には半円型の窓。
 青白い照明が煌々と輝き、ダイヤモンドダストのような幻想的な光景を形作る。
 視線を前方に戻す。
 その先に周囲より五段ほど高い場所に、黄金の椅子に座るメダロ人。
 近付いて目を凝らして見ると、装着しているパーツはFSL型のファンシーロール。
 彼女がデスレストの黒幕なのだろうか?
 見た目からして、とてもそうは見えない。
 そしてカーペットと同じ色に染められた背後の暗幕から、もう一人メダロ人が現れた。


 装着しているパーツはLHB型のエイシイスト2――エイス。
 かつての俺の戦友がそこにいた。
「久しぶりだな、ラスト。一年ぶりか?」
 表情を変えることなく、エイスは徐に口を開いた。
「エイス、お前……生きてたのか。
 どういうつもりだ。散々心配させやがって……」
「俺をその名で呼ぶな。そんな名前はとっくの昔に捨てた。
 今の俺は……デスレスト幹部の最古参、七本槍のリーダー。
 それ以上でもそれ以下でもない。もうお前の知ってる俺じゃない」
 俺の言葉を遮り、エイスは強い口調で明確に拒絶の意志を示す。


「あ、あの……エイスさん。
 ラストさんはずっと貴方のことを心配していました。
 だから危険を承知でBGMに参加したり、デスレストに関する情報を集めていたんです」
「あんたがクララか?
 ラストの助手だか何だか知らんが、あんたには関係ない。口出しするな。
 生半可な気持ちで首を突っ込むことがどういうことか、分かってるのか」
 最初はおずおずと口にしたクララだが、エイスに切り捨てられると目の色が変わる。
「生半可な気持ちじゃないっ。
 確かにわたしは、貴方とラストさんの過去を知りません。
 けど、BGMでラストさんに出会ってから一ヶ月、わたしはずっと彼を見ていました」
 クララは語気を強めてそう言うと、さらに大きく深呼吸して続ける。


「ラストさんについて行くと決めたあの日、わたしはただ真実を知りたいと願いました。
 誰かに決められた道ではなく、わたし自身が決めた道。
 誰のせいにもしない道ですっ」
 クララの言葉に気圧されたのか、エイスは苦々しい表情で首を横に振った。
「あんたは良い目をしてる。
 あんたが信念を持って此処に来たということは認めよう。
 だが、この世の中正しいだけじゃ生きていけない。
 正しいだけじゃ、誰も……何も救えないんだよっ……!」

Re: Brain Game of Medarot ( No.49 )
日時: 2014/01/10 00:19
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece4――Scene19◇


「それは……どういう意味だ?」
 無意識に呟きが漏れる。
 エイスは心なしか目を細め、刺すような視線を向ける。
「言葉通りの意味だ。
 いつだってこの世の中は理不尽なことで満ち溢れてる。
 争いの絶えないこの世界に希望はない。
 だから、俺は組織に手を貸すことにした」
「違う。それは単なる拒絶だ。
 お前は絶望して、希望から目を逸らしているだけだ。
 この世界にだって希望はある。
 希望を持ち続けていれば悪い結果にはならないっ」
「うるさいっ。それは詭弁に過ぎん。
 事実、誰一人戦火を止めることはできなかった。
 だがデスレストなら、絶望を癒やすことができる。
 永き眠りが唯一の希望となる……」


 俺はエイスの言葉に押し黙る。
 エイスの言う通り、俺にはメダロ人たちの戦争を止められるような力はない。
 いや、俺だけじゃない。
 きっと一人ひとりの力では戦火を止めることはできない。
 俺がエイスを、デスレストのしようとしていることを止めるのは間違いなのか?
「ラストさん、大丈夫です」
 クララが俺の肩に手を置き、力強く頷いた。
 そうだ。
 それでも――悩んで悩んで悩んで、悩み続けて、自分に問い掛け続ける。
 それは自分が背負い続ける苦悩だ。
 それが正しいとか、間違ってるとかじゃない。
 それが自分と向き合うということだ。
 皆迷いながら自分の道を決めて、歩き出す。
 俺は自分の弱さから逃げない。
 俺は俺の道を自分で決める――。


「エイス。俺はお前のやり方には賛成できない。
 チアたちのメダルは此処で返してもらうぞ」
「……覚悟は出来てるようだな。いいだろう。
 ただし、お前たちが俺に勝てたらの話だ。
 メダルを返して欲しければ、俺を倒して行けっ!」
 エイスはそう言ってファイティングポーズをとり、臨戦態勢に入った。
 俺はクララと目を見合わせて頷き合うと、エイスの視線を受け止める。
「……臨むところだ」
 シオンたちと戦った時と同じく俺が前衛、クララが後衛で構えを取る。
 張り詰めた空気が流れること数秒、先に動いたのはエイスだった。
 ダッシュで一気に距離を詰めると、左腕のハンマーで殴り掛かる。
 俺は寸でのところで右に転がるように回避し、慌てて体勢を整えた。
 エイスは追撃することはなく、しかしゆっくりと距離を詰めてくる。


 ――速い。
 格闘タイプとしてはおそらく一、二を争う速さだろう。
 元々エイシイスト2のパーツは装甲が薄く、スピードを重視した設計だ。
 スピードだけなら劣っているつもりはないが、厄介なのは左腕のハンマー。
 威力特化で貫通特性が付随しているにも関わらず、カテゴリは殴る攻撃だ。
 つまり隙を最低限に止めながら、必殺の攻撃を叩き出すことが可能となる。
 さらにエイス自身の鍛錬によって、その威力は通常の数倍に跳ね上がる――。
「どうしたラスト。
 お前の力はそんなものではないはずだ。本気を出せっ!」
 エイスの悠然とした足取りは、まさに王者の風格を醸し出していた。
 二対一とは言え、このままではジリ貧になることは目に見えている。
 思い出せ、エイスと鍛錬を積んだ日々を。
 必ず何処かに隙が生じるはずだ――。


 ヒュッと一陣の風が吹いたと知覚した刹那、エイスが眼前に迫っていた。
 下から突き上げるようにしてハンマーを突き出す。
 エイスの得意とするアッパーだ。
 回避は間に合わない――。
 咄嗟に両腕をクロスさせて防御。
 重い一撃が幾らかのダメージを伝える。
 しかし殴る攻撃と言えどもリスクは伴う。
 一定時間は防御が不能に陥る。
 俺は防御から一転、右腕のソードを振り上げ、エイスを右斜めに切り裂いた。
 切り裂いたはずだった、のだが――。


「ふん……甘いな、ラスト。
 俺の頭部パーツの特性を忘れたのか?」
 言われて思い出す。
 エイスの頭部パーツの特性は"未満防御"。
 威力の低い攻撃を往なし、無効化することが可能だ。
 右腕がソード攻撃であることに加え、防御から攻撃に転じた分、威力が弱まった。
 ゆえに今の攻撃は未満防御の対象範囲だったらしい。
 それにしても左腕で殴った直後に、タイムラグなしで未満防御に移るとは――。


「俺が一年間鍛錬を怠っていたとでも思ったのか?
 見縊ってもらっては困るな……」
 言いながら、エイスは再びストレートで左腕のハンマーを繰り出して来た。
「ぐっ……」
 右腕の殴る攻撃を行った直後のため防御が取れず、回避も間に合わない。
 胸部にエイスのハンマー攻撃が決まり、俺は思わず呻き声を零していた。
「ラストさんっ」
 後方で待機していたクララが、即座に喰らったダメージを回復してくれる。
 まだだ。まだ大丈夫だ。
 俺は一人じゃない――。