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RSSフィード Brain Game of Medarot(完結)

日時: 2014/04/06 19:50
名前: メダフィーミング・KR

 ――覚悟のない奴から脱落していく、それがこのゲームの掟だ。これはゲームであっても、遊びではない。
 ゲームをクリアする唯一の方法は、論理的推理によって事件を解決し、組織の内通者であるクロを指名すること。
 米澤穂信著『インシテミル』×『ダンガンロンパ』×『メダロット』、異色のメダロット推理小説、遂に公開――。


◇Story◇
 人類が生まれる遥か以前、太古の地球には超高度な文明が栄えていた。メダロ人たちによる超古代文明である。
 現代人類にそのように呼称されている文明は、メダロ人の末裔であり魂でもあるレアメダルに関する情報とともに、各国の政府高官や世界メダロット協会上層部などによって情報制限が掛けられるほどのトップシークレットの一つだった。
 しかしそのような情報制限も結果的に長くは続かなかった。
 2022年の世界大会決勝において、Dr.ヘベレケによって明らかにされた当該情報は人類に大きな衝撃を与えた。
 その後、人々がメダロットに対する認知を改めていくようになってからは、それは最早世界の常識となっていった。
 この物語は遥か太古の昔、独自の文明を築きながら明日を生き抜くために戦っていた、メダロ人たちの物語――。


◇Word◇
・メダロ人
 自らの意志で自らの身体を改造し、かつて地球上で最も著しい自律進化を遂げた高度な知的生命体の総称。
・フユーンストーン
 どんな願いでも一つだけ叶えられると噂されている幻の石。その存在や真偽は全てにおいて謎に包まれている。
・デスレスト
 メダロ人たちによって長きにわたり続けられている戦争を忌み嫌い、世界に安息を齎そうとしている謎の組織。
 "死"のみが世界に安息を齎すと考えており、そのため各界で優秀なメダロ人のメダルを盗んで破壊している。


◇Warning◇
 一.この物語は主にアニメダの世界観を踏襲しています。ゲーム及び漫画の設定とは多少異なると思われます。
 二.上記の設定に基づき、超古代のメダロ人たちによる戦時中が舞台となっているため、人間は登場しません。
 三.物語に登場するメダロットに関して、読者の皆様が抱いているイメージと大幅に異なる可能性があります。
 四.作者はメダロットかつ推理系小説を書くのはこれが初めてのことです。過度な期待はご遠慮くださいませ。


◇Contents◇
<第一部>
 登場キャラ >>1
 プロローグ >>2
 Day1 >>3-6
 Day2 >>7-12
 Day3 >>13-20
 Day4 >>21-27
 エピローグ >>28


<第二部>
 登場キャラ 2 >>29
 プロローグ >>30
 Piece1 >>31-34
 Piece2 >>35-40
 Piece3 >>41-47
 Piece4 >>48-52
 Piece5 >>53-55
 エピローグ >>56


 あとがき >>57-59


◇Last up date◇
 2014/4/6 全編完結
 2014/3/30 第二部完結
 2013/4/6 第一部完結
 事件のまとめ資料をアップ。(第一部 Scene16まで読まれた方向け、ネタバレ注意)

[1353238250-1.txt] [1353238250-2.txt]


Re: Brain Game of Medarot ( No.50 )
日時: 2014/01/18 21:58
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece4――Scene20◇


 クララの援護を受け、体勢を建て直した俺は反撃に転じた。
 ダッシュで距離を詰めてエイスの懐に入ると、右腕のソードを見舞う。
 エイスは軽やかなバックステップで距離を取るが、想定内の動きだ。
 着地点を予想していた俺は、即座に左腕のハンマーを叩き込む。
「いい動きだな。だが左腕の軌道が丸見えだ。
 俺の動体視力を甘く見てもらっては困るな」
 俺の渾身の一撃を右手で受け止め、エイスは不敵な笑みを零した。
 さらに身体を捻ると、空気を切るように左腕の裏拳を放ってくる。
 がむしゃら攻撃の直後で防御も回避もままならないが、寸でのところで屈み込んで直撃を免れた。
 しかしエイスは容赦なく次の動作に移っていた。
 右足からの踵落としだ。
 避けることができず、目の前に火花が飛び散る。
 頭部にダメージを受けた。
 視界の隅で、再びクララがダメージ回復のモーションに入るのが見えた。


「目障りだな……俺とラストのタイマン勝負に女は不要だ」
 呟き終わるや否や、エイスはクララに向かって行く。
 マズい――俺にとって一番の弱点はクララを機能停止させられることだ。
「くっ……クララ、逃げろっ」
 俺は立ち上がりながら叫ぶが、それが不可能なことは分かっていた。
 回復のために一度チャージを開始すると、一定時間は身動きが取れない。
 エイスはクララの目の前に立つと、抵抗できないクララに連続ジャブを放つ。
 そしてエイス渾身のトドメの左フックが、クララの胸部に決まった。
「けほっけほっ……」
 エイスの重いパンチを受け、クララは苦悶の表情で膝から崩れ落ちる。
「……クララっ!」
「ラ……スト、さん……ご、めんなさ……」
「俺とラストの勝負に手を出すな」
 ものの数秒でクララを瀕死に追い込むと、エイスは無情に言い放つ。


「ラスト。これは俺とお前の真剣勝負だ。
 かかって来い……お前の力を、本気を見せろ」
 エイスの挑発に、俺は無意識に叫んでいた。
「……うおおおおおぉぉぉっ!!」
 最早エイスしか視界に入っていない。
 俺はやつに向かって全力で駆け出した。
 そのままの勢いで左足を軸に蹴りを放つが、いとも簡単にかわされる。
 ニヤリと口許を曲げるエイスに、さらに左腕のハンマーで応戦した。
「いいパンチだ。ようやく本気を出したのか?
 そう来なくては面白くない。次はこちらから行くぞ」
 俺のハンマーを右腕で受け止めると、先程と同様に左腕から裏拳を放ってくる。
 がむしゃら攻撃直後のため、当然防御も回避もできない。


 しかし俺はエイスの攻撃が直撃しようとも意に介さなかった。
 右腕のソード、左腕のハンマーをとにかく連続して打ち込む。
 ただ無心で、打ち込み続けた。
「ちっ……」
 防戦一方のエイスは後退し距離を取ろうとするが、俺はそれを許さず前に出る。
 俺の攻撃を全て捌き切っていたエイスだったが、徐々に動きが鈍ってきた。
「ぐっ……!」
 そして俺の全神経を集中させたハンマーが、遂にエイスの胸部を捕らえる――。
「……やっぱり強いな、ラスト。なあ、一つ聞いていいか?
 お前をそこまで駆り立てるものは何だ。何がお前を突き動かしている?」
 カーペットに片膝をついた姿勢のまま、エイスはそんな風に聞いてきた。
 俺は乱れた呼吸を整える短い間に、何人もの顔を走馬灯のように思い出していた。


 始まりは俺の目の前から姿を消した親友、エイスを探し出すことだった。
 そんな折にデスレストからの招待状が届いて、様々な出会いを経験した。
 BGMで犠牲になり、デスレストに囚われたチア、リード、ヴァンのこと。
 作戦を立て、俺たちのことを信じて背中を押してくれた竜とレイのこと。
 竜の援軍要請を受けて助けに来てくれたバイス、ファル、ディムのこと。
 そして自ら俺の助手に志願し、最後まで俺を支えてくれたクララのこと。
 きっと俺一人では何もできなかったことだろう。
 俺は一人じゃなかった。
 皆が俺に力をくれた。
 自分の信じる道を態度で、生き様で示してくれた。
 俺はエイスに右手を差し出しながら、ようやく言うべき言葉を見つけた。


「確かに、孤独の中でしか得られない強さもある。
 だが、誰かと過ごすことで得られる強さもある。
 俺はこの一年……いや、この一ヶ月で目の当たりにしてきた。
 俺が強くなったのだとしたら、それが俺の得た強さだ」
 エイスは黙って俺の言葉を聞き、何度か瞬きした後、不意に笑みを浮かべた。
 エイスは俺の手を取り、ゆっくりと身体を起こして立ち上がると、口を開く。
「……そうか。お前なら、お前になら。
 永き眠り以外の方法で、希望によって。
 俺たちの絶望を、忌わしき記憶を……。
 哀しみを解き放てるかもしれないな……」
 だが言い終わるや否や、エイスの背中にナパームが連続ヒットした――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.51 )
日時: 2014/02/02 01:30
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece4――Scene21◇


「ぐわあっ……!」
 俺の前の前でエイスは苦痛に顔を歪め、膝から崩れ落ちた。
 そしてその先に、俺は見た。
 ファンシーロールだ。
 玉座から様子を見守っているだけだった彼女が、立ち上がって左腕を突き出していた。
 彼女の攻撃か――。
 その表情は氷のように冷たく、表情に乏しい。
 俺は背筋が寒くなるのを感じた。
「くっ……貴様、何を……」
 エイスは口から血ともオイルともつかぬ液体を滲ませ、吐き出すように言った。
「愚かな……。
 忌わしき記憶に目覚めながら、まやかしの希望に縋るとは……」


 忌わしき記憶――。
 エイスも口にしていた。
 デスレストなら絶望を癒すことができると。
 永き眠りが唯一の希望なのだと。
 それが"忌わしき記憶"に関係しているのか?
「忌わしき記憶とは何を指している。
 お前は何を知っている? お前たちの目的は何だっ」
 無意識に一歩二歩近付いて問い掛けると、ファンシーロールは次のように告げた。
「良いでしょう……貴方にも教えてあげましょう。
 忌わしき記憶――後世の記憶を


 後世の記憶……?
 それが忌わしき記憶とやらの正体だって言うのか?
「来世の記憶と言い換えても良いでしょう。
 私には――未来を予見する力があります
「未来を……予見する力……?」
 ファンシーロールの言葉は続く。
 彼女の言葉をまとめると、つまりこうだ。


 俺たちメダロ人は戦火の果てに、地球全土を焼き払い、荒廃させてしまった。
 生き残ったメダロ人たちはメダルに魂を封印し、永き眠りに就くことにした。
 そうすることで争いを収め、これ以上地球を荒廃させないようにしようとした。
 そして遥か彼方の未来、人類と呼ばれる知的有機生命体が俺たちを眠りから覚ます。
 時は2020年代。地球は平和を取り戻し、再び繁栄の道を刻み始めていた。
 そんな地球で俺たちメダロ人は、人類をパートナーに生活を送るようになっていた。
 ところが俺たちメダロ人とは異なり、人類には決定的な寿命が存在していた。
 人類の文明は自らの肉体を改造するものではなく、医療技術による延命だった。
 肉体を持つものはいずれ朽ち、命を全うする。全ての生物に共通する定めだ。
 メダロ人は魂そのものであるメダルを破壊されない限り、半永久的に生き続ける。


 それは文字通り、永遠の別れだ。
 パートナーとの信頼関係が厚ければ厚いほど。
 過ごした時間が長ければ長いほど。
 悲愴の針山となって縦横無尽に俺たちの心に突き刺さり、ぽっかりと穴を空ける。
 それは癒えることのない悲しみ。
 今の俺たちにはとても経験のしようがない、悲しみの鎖に繋がれた煉獄――。
 その先にあるものは、終わらない"無"だ。
 記憶も、感情も、何もない。
 そこにあるのは空っぽの"メダロ人"という器だけ。
 メダロッターと呼ばれるマスターを失ったメダロ人は専門機関に引き取られる。
 そこで記憶回路を浄化され、真っ新な状態で新たなパートナーを探す旅に出る。
 それが、俺たちメダロ人の一生だと言う。
 その来世の記憶に目覚めているのが、ファンシーロールなどの一部のメダロ人だ。


「……私はマスターと、永遠の時を生きたかった……。
 私の願いは……ただ、それだけだったのに……。
 どうして、どうしてなのっ……!」
 彼女は、ファンシーロールは泣いていた。
 口許を戦慄かせ、涙を流していた。
 俺は咄嗟には何も言うことができなかった。
 何しろ想像を遥かに超えた話だった。
 彼女の言う未来は、本当に俺たちに訪れる未来なのだろうか。
 俄かには信じ難かった。
 だが彼女が嘘を吐いているようには見えない。
 それは本当に、変えられない未来なのだろうか。
 変わることのない固定された未来なのだろうか。


「……最初は俺も訳が分からなかった。
 唐突に現れた記憶が、いったいいつのものなのか。
 だが、既視感ではない。
 実際に俺が経験した記憶だと、なぜだかはっきりと理解できた」
 俺の背後で、どうにか身体を起こしたエイスが言った。
「それが俺の前から姿を消した理由……。
 お前がデスレストに力を貸した理由なのか?」
「……ああ。親友であるお前にも話せなかった。
 到底信じてもらえるような話ではなかったからな……」
 そんな折にエイスの前に現れたメダロ人がいた。
 それが同じ"忌わしき記憶"を持つファンシーロールだった、というわけか……。


 いや、何かおかしい。
 何かが引っ掛かる――。
 俺は違和感を覚えて眉根を寄せた。
 しかしエイスの話は続いている。
「だがお前と再会し、俺は信じてみたくなった。
 永き眠りという逃げじゃない、希望を……」
 エイスの言葉が終わると同時に、ファンシーロールが動いた。
「……ならば貴方が絶望に沈む前に、せめてもの救いを与えましょう。
 まやかしの希望でも、忌わしき絶望でもない、永久の眠りを……」
 言い終わるや否や、彼女の頭部パーツが妖しく明滅し始めた――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.52 )
日時: 2014/02/15 20:35
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece4――Scene22◇


「ぬうわあああああぁぁぁぁぁっ……!!」
 突如としてエイスが叫び声を上げる。
 俺は思考を中断し、驚いて背後を振り返った。
 エイスは両手で頭部を押さえ、痛みを堪えるように歯を食い縛っている。
 しかしそれも長くは続かなかった。
 やがてエイスは力を抜き、だらりと両腕を伸ばしたまま立ち上がる。
 まるでマリオネットのように、何者かにコントロールされていた――。
「エイス、どうした! 目を覚ませ!」
「…………」
 俺の声は届いていないのか、エイスは何ら反応らしい反応を示さない。
 ふらふらとゆっくりとした足取りで、無言でこちらに近付いてくるだけだ。


「……ラ、ラストさん……ダメです……。
 エイスさんは、操られています……」
 ファンシーロールの長い独白の間に、どうにか応急処置を施したのだろう。
 クララが足を引き摺るようにして、頼りない足取りで立ち上がっていた。
 俺は慌ててクララに駆け寄り、彼女の手を取って身体を支えながら聞いた。
「クララ、どういうことだ……?
 まさか、エイスはファンシーロールに……」
「はい……あれは彼女の妨害行動です。
 対象を混乱させ、意のままに操れるんです。
 そして、それを得意としていたのが……。
 私の親友――セシルなんです……」
 クララは申し訳なさそうに口にし、意を決して背後を振り返った。


「セシル……セシルなんでしょう?
 もうこんな無意味なことは止めてっ」
「……だったら何だって言うの?
 クララ、もう私はあの頃の私じゃない。
 もう戻ることはできないのよ……。
 私はマスターのいない未来なんて耐えられないっ……!」
 ――違和感の正体はこれだったのか。
 エイスの目の前に現れたのはセシルだったんだ。
 ファンシーロールとして生きることにした、ウィンドセシル――。
「眠りに就く。皆もあたしも、覚めない眠りに。
 それがあたしの……唯一の希望なのよっ……!」
 彼女の悲痛な叫びに呼応し、エイスの足取りも確かなものに変わっていく。
 セシルにコントロールされたエイスが、右腕のソードを振り上げて突進してきた。


「セシル……! どうしてこんなっ……!」
「危ないっ!」
 俺はクララとともに床に倒れ込み、その際にエイスの足を引っ掛けて転倒させた。
「クララ、エイスは俺が止める。
 君はセシルを説得するんだ……!」
 俺は体勢を立て直して立ち上がると、クララを見据えてそう言った。
「でも、ラストさん……私には……」
 クララは揺れる瞳を俺に向けた。
 心の迷いが表情に表れている。
 俺は彼女の肩を掴み、ありったけの気持ちを込めて言葉を投げ掛けた。
「君ならできる。彼女を救えるのは君だけだ!
 さあ、早くっ……!」
「……はいっ!」
 クララの目に決意の光が灯るのを確認して、俺は背を向けてエイスと対峙する。


「エイス……お前の苦しみを、悲しみを。
 今この俺が解き放ってやるぞっ……!」
 再び立ち上がり突進してくるエイスの両腕を受け止め、膝蹴りで動きを鈍らせる。
「セシル、もうやめてっ。
 こんなことして、貴女のマスターが喜ぶのっ!?」
 エイスの両腕を押さえ込む俺の耳に、クララの憂いを含んだ声が聞こえてくる。
「クララ、貴女には分からない……。
 私の気持ちなんて、分かりっこないのよっ……」
「確かにセシルの気持ちは、わたしには分からない……。
 でも、未来は変えられるっ。わたしたちで変えようよ。
 悲しみのない未来を、わたしたちで創るのっ……!」
 クララの必死の説得に、セシルは気圧されたように黙り込む。
 もう一息だ。


「将来出会うはずのマスターとの大切な記憶まで壊したいの?
 マスターと過ごすはずの未来まで壊したいの?
 そんなこと……しちゃいけないっ!」
「……違う、そうじゃないっ!
 マスターは私と出会うことを望んでないのよっ。
 私だってマスターと出会わなければ、悲しい思いをしなくて済むっ……」
 身体を戦慄かせ、声を震わせるセシルに、クララは諭すように語り掛ける。
「それは違うよ、セシル……。
 だってわたしは、セシルのことが好きだもの。
 セシルがマスターを好きなように、貴女のマスターだって……。
 セシルが大好きなはずだよっ!」


「……っ!!」
 セシルが息を呑み、動揺を露わにした。
 それを受けて、操られているエイスの力も弱まる。
 その隙にエイスをカーペットに捻じ伏せると、俺はクララとセシルを見上げた。
 玉座で泣きながら座り込むセシルに、クララはゆっくりと歩み寄り、手を差し出す。
「セシル……もう大丈夫だよ」
「クララ……マスター……ごめんなさい……」
 嗚咽を漏らしながらセシルは、しっかりとクララの手を握り締めた。
 全ての戦いが、終わった――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.53 )
日時: 2014/03/14 19:17
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece5――Scene23◇


 それから二週間が経った。
 俺は自分の借家に戻り、出発の準備を整えていた。
 此処はデスレストに居場所を悟られないための借家。
 その役目も今日で終わりだ。
「大体こんなところか……」
 部屋を見回し、独り言を呟いていると、玄関のドアを叩く音が聞こえてきた。
 玄関に駆け寄りドアを開けると、竜とレイが手持ち無沙汰な様子で立っている。
 この二人を前にするとどうも落ち着かない。
 全てを見透かされそうだ……何となくだが。


「私の顔に何か付いてますか。
 それとも私に蹴られたい願望でもあるんですか」
 竜と暮らせるのは強靭な精神の持ち主か、とんでもないアホだけだろう……。
「いや……竜のことだからな。
 また突拍子もない侵入の仕方をするものだと思っていた」
「理由もなくそんなことをするはずがないでしょう……。
 何ですか。喧嘩売ってるんですか?」
「いや、何も売ってない……。
 まあ、何もないところだが上がってくれ」
 二人をリビングに通し、俺は残り一パックとなっていた紅茶を淹れて出した。


「家具類はそのままなのね。
 ベッドの下とか、回収し忘れた物があるんじゃない?」
 レイが首を伸ばして寝室を見た。
 いったい何を期待してるんだ、レイは……。
「家具類は元々此処にあったものだ……。
 それで、今日は改まってどうしたんだ?」
「貴方こそ、聞きたいことがあるんじゃないですか?
 例えば――その後、組織がどうなったのか」
 俺が用件を聞くと、竜は机の上で手を組みながらそう言ってきた。
 それでわざわざ此処まで足を運んでくれたのか。


「そうだな……。
 そういえばシオン以下、七本槍のメンバーはどうなったんだ?」
 俺が知っているのはデスレスト第一邸を爆破した、というところまでだ。
「結論から言うと、バイスたちと挟み撃ちにして、一網打尽にしてやった。
 シオンは手負いだったし、ナベシマは戦力的にそこまで脅威じゃないし。
 問題はネリスだけど、さすがに三対五じゃ不利とみて、白旗を挙げたわ」
「まさか貴女まで、第一邸に潜入してくるとは思いませんでしたけどね……」
 得意気に語るレイとは逆に、竜の口調は苦々しげでもある。
 レイに助けられたのが癪なのか。
 竜にとって、レイは予定外の援軍だったわけだ。
 しかし思い切ったことをしたが、竜の爆破作戦は成功だったということか――。


「そうか。
 デスレストは解散したと聞いたが、七本槍の処遇は?」
「正確には名前と活動を改めただけですけどね。
 恒久的平和を目的とした非営利組織として再出発。
 現在はセシル氏の命で、盗んだメダルを持ち主に返して回っているとか」
 竜の話によれば、デスレストが盗んだメダルの数は三百を超えるらしい。
 それは返して回るのは些か骨が折れそうだ。
「何はともあれ、一件落着か。
 それで、二人は今は何を?」
 二人を交互に見ながら水を向けると、レイが頬杖をつきながら答えた。


「あたしは一応、元七本槍だからね。
 シオンたちとメダルを返して回ってるわよ。
 竜は元々探偵だったわけだし、元の鞘に収まったって感じじゃないの?」
「何だかんだで、私までメダルの返還に協力させられているんですがね……」
 竜が恨めしそうにレイを見るが、レイは素知らぬ振りをして取り付く島もない。
 だが、合点が言った。
 竜が苦々しげなのは、レイに助けられた借りがあるからだ。
 それでメダルの返還にも協力しているということか。
 レイも侮れないな……。


「如何せん人手不足でしてね……。
 いっそ貴方も協力してくれませんかね。
 ちなみに拒否権はありません。
 断わればドラム缶にコンクリ詰めにして、東京湾に沈めるつもりですから」
 竜が恐ろしいことを言った。
 肝を冷やしていると、レイがさり気なく話題を変える。
「それはともかく、消息不明だった親友と和解できて良かったじゃない」
 俺は迷いなくレイの助け舟に乗った。
「その件に関しては、二人には大いに世話になった。
 言葉だけでは足りないだろうが、心から感謝している」


「別にそんなのはいいけど。
 今はどうしてるんだったかしら?」
 レイはこそばゆいのか、心なしか目を逸らしながら聞いてきた。
「エイスはデスレストから足を洗った。
 今は仲間と自警団を組織したと聞いている。
 一時に比べれば落ち着いてきたとは言え、まだ戦時中だからな」
「そう。まあ、此処からが頑張り時っていうか、新たなスタートになるものね」
 レイの言う通りだ。
 まだ何も終わっていない。
 此処からが真の始まりだと思う。


「では、大体話も済みましたし……。
 私たちはこの辺りでお暇することにしますかね」
 会話が途切れたタイミングで、レイをちらりと視線を送りつつ、竜が口にした。
「そうか。この後チアたちが顔を出すことになっている。
 二人は会わなくていいのか?」
「遠慮しておきます。
 彼女と顔を合わせると、色々と厄介なことになるのでね……」
「あたしも遠慮しとくわ。
 危害を加えた側の心理として、合わせる顔がないもの」
 そう言って二人は席を立つ。
 俺は一つ頷き、彼女たちを玄関まで見送った――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.54 )
日時: 2014/03/19 19:40
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece5――Scene24◇


 竜とレイが帰ってから一時間と経たずに、チアたちが訪ねてきた。
「ラストさん、お久しぶりです。
 その節は助けていただいて、本当にありがとうございました」
「ラスト君、久しぶりだな!
 元気そうで何よりだ! 私か? 私はもちろん元気だぞ!」
「よお。久しぶりだな、ラスト。
 トレーニングも兼ねて遊びに来てやったぜ」
 ノックの音を聞いて玄関の戸を開けると、早速三者三様の反応が返ってくる。
 どうでもいいが、何となくこの三人が一緒に立っていると違和感を覚える。
 クラスの番長と委員長とマドンナが一堂に会していると思えば納得できるか。


「んだよぉ、ラスト。
 おれらの顔に何か付いてっか? 早く上げてくれよ」
 さっき竜にも言われたな……。
 その発言は流行ってるのか?
「いや、よく来てくれたな。
 何もないところですまないが、まあ上がってくれ」
 三人をリビングに通し、俺は残り一パックとなっていた煎茶を淹れて出した。
「家具類はそのままなのだな。
 引っ越すと聞いているが、一人で大丈夫なのか?」


「ベッドの下は男のロマンが詰まってんだよな。
 どれどれ、まだ何か落ちてんじゃねえか?」
 リードが寝室を覗きながら口にすると、ヴァンがずかずかと寝室に入って行く。
「お、おい!
 君、人の寝室に勝手に入るのは失礼じゃないか!」
 慌ててリードがヴァンの後を追う。
 そう言いつつ、リードも寝室に入っているわけだが……。
 というか、だから何で寝室に興味を示すんだ?
 疾しい物は何もないのだが。


 やれやれ、と肩を竦める俺に、チアが近付いて来て、すっと俺の手を握った。
「ラストさん。
 その節は本当に、何とお礼を申し上げて良いのか分かりません」
「いや……誰かを助けるのに理由なんてない。
 当たり前のことをしただけだ」
 真摯に俺を見上げてくるチアの視線がむず痒くて、視線を逸らしながら言った。
 チアは首を横に振り、ふっと微笑む。
「当たり前のことを当たり前に出来る人は強い人ですよ。ラストさんは強い人です。
 それと……あの時の発言を撤回させてください」
「あの時の発言?」
 俺が聞き返すとチアは一瞬目を伏せたが、すぐに決意の色を滲ませて答える。


「……なんにも分かっていなかったのは、私の方でした。
 私は自分しか見えてなかった。
 今回のことで、そんな自分を見つめ直すことができました」
「……そうか。
 弱い自分を見つめ直すことができる君も、立派な強い人だな」
 俺が言うとチアは照れたように顔を綻ばせ、さらに言葉を紡ぐ。
「ありがとうございます。実は私、KWGフェチなんです」
「…………は?」
 唐突な話題の転換に、俺は思わず間抜けな声を出す。
 そんな俺を見て、チアは口許で人差し指を立てると、悪戯な笑みを浮かべた。


「ですから私、KWG型のパーツが大好きなんです。
 ヘッドシザースやブラックスタッグを装備してる方には目がなくて……。
 つい仲良くしたくなってしまって、お竜さんにはよく煙たがられるんです」
 さっき竜が去り際、苦虫を噛み潰したような顔をしていた理由が判明した。
 原因はこれだったのか……。
 そんなことを明るく告白されても、何と答えればいいのかさっぱり分からない。
「あ、でもラストさんは特別です。
 今度ゆっくりお礼をさせてくださいね? 約束です」
 にっこりと可憐に微笑むチアの真意は、相変わらず俺には読めないままだ。


「お? てめえ、ラストっ!
 おめえクララだけでなく、チアにまで手ぇ出すってのか?
 カーッ! これだからムッツリスケベってやつぁは!
 憎いぜ、こん畜生がっ!」
「ラスト君! どういうつもりだ!
 私の目の前で不純異性交遊など言語道断だぞ!」
 寝室から戻って来るなり、二人が騒ぎ立てる。
「ふふっ。そんなんじゃないですよ?
 ラストさんは私なんて眼中にないですから」
 チアはそっと手を離すと、二人を振り返って笑みを振り撒く。
 いや、眼中にないとか、そういう誤解を招くような言い方はちょっと……。


「あ? んだラスト、てめえチアを振ったのか?
 ちょっとお前、ツラ貸せや」
「ラスト君……女の子の純情を弄んだのか?
 紳士な男子としてあるまじき行為だぞ!」
 なぜか二人が殺意の籠った視線で俺を睨み付けてきた。
 言わんこっちゃない……。
 この二人、道中ですっかりチアに骨抜きにされたか。
「暴力はダメですよ。
 お二人ともラストさんに助けていただいたんですよ?」
「お、おう。分かってるよ。大丈夫だ、男に二言はねえ」
「むむむ……私としたことが失礼した。
 ラスト君、許してくれ! この通りだ」


 コントというか最早茶番だな……。
 俺は苦笑いを浮かべるしかない。
「さあ。用も済みましたし、私たちは帰りましょう。
 ラストさんのお引っ越しの邪魔をしてはいけませんから」
「うむ。何かあったらいつでも呼んでくれたまえ!
 友情の証として、いつでも手伝いに来よう!」
「しゃーねえな。力仕事ならいつでも俺を呼べや。
 トレーニングがてら、この程度なら朝飯前だぜ」
 チアはリードとヴァンの背中を押して行く。
 俺は肩を竦めながら、不思議な清々しさを感じていた――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.55 )
日時: 2014/03/30 00:12
名前: メダフィーミング・KR

◇Piece5――Scene25◇


 俺は一ヶ月以上を過ごした借家の室内を、最後にゆっくりと見回した。
 その残り香を嗅ぐように、そっと目を閉じ、クララと過ごした日々を回想する。
 クララは一足先に、三日前にこの借家を後にしていた。
 セシルに懇願され、旧デスレストのトップに迎え入れられることになったからだ。
 今後はクララとセシルのツートップ体制の下、組織の再建を図っていくらしい。
 別れ際のクララの表情が瞼の裏に甦る――。
 クララの物憂げな目、力なき微笑。
 それを思い出すと、何とも言い難い気分だ。
 それでも俺たちは、それぞれの道を歩き出す。


 チアも、リードも、ヴァンも、バイスも、ファルも、ディムも、レイも、竜も、シオンも、ナベシマも、ネリスも、ストレイツォも、セシルも、そしてエイスも――。
 皆が自分の道を見つけて、ゆっくりと歩き出している。
 その道は決して楽なものではないだろう。
 時には困難にぶつかり、時にはもがき苦しみ、時には酷い挫折も経験するだろう。
 何度となく出会いと別れを繰り返し、意味のない諍いに涙を流す時もあるだろう。
 それでも俺たちは、知っている。


 自分の弱さと向き合える強さを。
 手と手を取り合うことで得られる心の強さを。
 離れていても、この空の何処かで繋がっていることを。
 変わっていく景色の中で、唯一変わらないものがあるとしたら――。
 それは、俺たちの記憶だ。
 俺は彼らと過ごした日々を忘れない。
 悠久を生きるメダロ人として……忘れない。


「ラストさん……出発なさるんですね」
 不意に背後から声が掛かった。
 驚いて振り向くと、そこにクララが立っていた。
「クララ……どうして此処に?」
 俺が問い掛けると、クララはすっと視線を落としながらも、訥々と語り始める。
「お見送りに来ました。というより……本当は今でも迷っているんです。
 セシルと組織を再建し、世界平和を目指すことが私のしたいことなのかなって。
 本当はラストさんと一緒に旅を続けたい、それが私の本心なんじゃないかって」
 俯きがちなクララの瞳が大きく揺れる。
 それが彼女の心情を如実に表していた。
 俺は何を言うべきか迷いながらも、どうにか言葉を見つけて口にする。


「クララ……チアたちのメダルは取り戻した。
 エイスやセシルとも和解した。当初の目的は果たした。
 もう俺と君がともに過ごす理由は、ないんだ……」
 俺の言葉を聞いて、クララが顔を上げた。
 何度も見てきた彼女の強い瞳と目が合う。
「分かってます。分かってるけど……。
 私はラストさんと……一緒にいたいですっ!
 それは一緒に旅をする理由には、ともに過ごす理由には、なりませんか……?」
 彼女の真っ直ぐな視線に耐えられず、俺は目を逸らしてから答えた。


「すまない。俺は君を大切に思っている。
 それは嘘偽りのない本当の気持ちだ。
 だが俺はもっと、もっと世界を知りたい。
 世界の真実を、この目で確かめたい。
 俺のエゴに君を付き合わせるわけにはいかない。
 君を危険な目に遭わせたく、ないんだ」
 一息に言い切ってから、視線を戻す。
 案の定、クララは泣き笑いのような表情を浮かべていた。
「……そう、ですか。
 ラストさんが言いそうなこと、何となく分かってました。
 私の話を聞いてくれて、私と過ごしてくださって……。
 ありがとうございました」


「……いつか必ず帰って来る。
 だから、これは決して別れでも、最後でもない。
 BGMとデスレストという枷に嵌められた俺と君の物語は、此処から始まるんだ」
 俺が手を差し出すと、クララは一瞬迷ったようだが、すぐに俺の手を握り返した。
「いつの日かまたお会いできる日を楽しみにしています。
 ラストさん、どうかお元気で」
「君には感謝してもしきれない。
 いつか恩返ししたいと思っている。
 いつか必ず……また会おう」
 俺はクララの目を見て、最後にしっかりと握手を交わした。
 そして荷物を手に取ると、俺はクララに見送られて借家を後にした。


 ドアを閉めてすぐ、背後からクララのすすり泣く声が聞こえてきた。
 初めて聞くクララの泣き声だった。
 BGMで犠牲者が出た時も、セシルを止めようとした時も、決して見せなかった涙だ。
 会おうと思えば、またいつだって会える。
 それは誰に言われるまでもなく、俺もクララも理解している。
 それでも抑え切れない感情が、一粒の涙となって零れ落ちた。
 しばしの別れだ。
 俺たちは別れるために出会うんじゃない。
 再び出会うために、別れるんだ。
 クララ、君を忘れない。
 心からの感謝の言葉を。ありがとう――。

Re: Brain Game of Medarot ( No.56 )
日時: 2014/03/30 00:16
名前: メダフィーミング・KR

◇Epilogue◇


 胸には強さを
 気高き強さを
 頬には涙を
 一滴の涙を


 高く跳べ高く空へ
 高く蹴れ高く声を上げ
 いつか挫けたその日の向こうまで


 きみの声忘れない涙も忘れない
 これから始まる希望という名の未来を


『Little Busters!』より ラストside




 今キミがどこにいたって
 変わるはずないよね
 心はいつでも 繋がってる


 遠く離れていても 忘れずにいてね
 あの日感じた情熱 ふたりで重ねた夢


 茜色の空 沈んでく夕日
 上を向いて 歩いていこう


『茜空』より クララside




【End Roll】


CAST
 ラスト(ヘッドシザース)
 クララ(アクアクラウン)


 バイス(ブラウンバイソン)
 ファル(フライファルコン)
 ディム(クライバンシー)


 チア(ディアアイドル)
 リード(レッドマタドール)
 ヴァン(バンカラン)


 レイ(ゴッツハリーン)
 竜(ブラックスタッグ)
 ストレイツォ・サーペント(オリメダ)


 ネリス(スフィンク)
 ナベシマ(ペッパーキャット)
 シオン(メタルビートル)


 エイス(エイシイスト2)
 セシル(ウィンドセシル/ファンシーロール)




オープニングテーマ
 Little Busters! Rita 


挿入歌
 Beautiful days
 ゼツボウシンドローム
 BOX15
 イキキル


 学級裁判 黎明編
 学級裁判 太陽編
 議論 -BREACK-
 議論 -HEAT UP-


 Strike Enemy
 スピリットの誓い
 Do or Die  他


エンディングテーマ
 茜空 瀬戸麻沙美




SPECIAL THANKS(敬称略)
 風瑛
 地
 ゼブラー


 凍零
 カヲトリス
 雪の城


 故宮
 流離太
 海月


 通りすがりのコンビニ店員
 ランド
 けむ


 小説コーナー及び読者の皆々様




原作
 メダロット
 ダンガンロンパ
 インシテミル


著作
 メダフィーミング・KR




Brain Game of Medarot 完

Re: Brain Game of Medarot(完結) ( No.57 )
日時: 2014/04/06 19:38
名前: メダフィーミング・KR

◇あとがき――Scene1◇


 あとがきって何を書くか悩みますよね。改めまして、メダフィーミング・KRです。
本作「Brain Game of Medarot」にお付き合いいただき、誠にありがとうございました!
 投稿が2012年11月末だったので、休止期間も含めて1年4ヶ月も掛かってしまいました。
初のメダロット、初の推理小説だったので苦労しましたが、完結できてホッとしています。


 第一部、第二部と全50話の長丁場となりましたが、お楽しみいただけたでしょうか?
改めて述べる必要もないでしょうが、完結できたのは多くの方々の感想のおかげです。
 さて、此処からは「ストーリー」と「キャラ」について振り返りたいと思います。
お時間のある皆さんは、ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。ではどうぞ!




1.ストーリーについて
 まず第一部ですが、皆さん既にご存知の通り、推理がメインの小説になっています。
推理小説を書こうと思ったのはダンガンロンパ、そしてインシテミルの影響ですね。
 元々「奥深くに宿りし心」という小説で推理小説を書こうと思っていたんですが、
色々と不都合が出てきまして、ライズ小説板に投稿した作品で唯一未完のままです。
 そのような経緯もあって、今度こそ推理小説を書き切ってやろうと思ったんです。


 さて、ではなぜ題材をメダロットにしたのか、という話をさせていただきますと、
これはラ地オでもお話しましたように、私だけメダロット小説を書いていないわけで、
「そろそろメダ小説書けよオラァ!」という重圧(被害妄想)が大きかったからですw
 とは言っても、メダロットで推理小説とか書いてみたら斬新で面白いんじゃね?
という気持ちもありましたから、挑戦してみようと思い立ったというのが理由ですね。


 本編についてはあまり話すこともないのですが、ちょっとした苦労話をしますと、
やっぱりメダロットによる事件を考えることが、一番苦労したことになりますね。
 皆さんに事件の真相、クロをいかに見破らせずに話を組み立てるか悩みました。
結果的に通りすがりのコンビニ店員さんにクロを看破されてしまったわけですが、
まあそれはそれで、推理を楽しんでもらえたのなら良かったかなって思ってます。


 次に第二部について。全然推理してないやん! という突っ込みは分かってます。
ゼブラーさんが仰ったように、テコ入れではありませんが、ガラリと方向性を変えました。
 第一部と同様、もう一度推理ゲームをやる案ももちろんあったわけなんですが、
もう事件と推理を組み立てられないというか、正直ネタ切れで無理でした(真顔)
 そんなわけで、第二部はデスレストの内部に迫るという方向にシフトしていきました。


 ちなみに方向性を変えた理由はもう一つありまして、それがゲストキャラでした。
私が今まで書いてきた記憶旅やメモリミなどの作品がメダロットと無関係だったこと、
リレー小説にも参加していないことから、ゲストキャラに対する憧れがあったんです。
 今回せっかくメダロット小説を書いているので、やるしかないと思ってやりましたw
地さん、ゼブラーさん、凍零さん、カヲトリスさん、雪の城さん、ありがとうございました!


 ゲストキャラに関しては、書いていて楽しかったんですが、もちろん苦労もあって。
特に自分で書いたことがない性格のキャラが多かったので、その点では苦労しました。
 原作でそのキャラが出てる箇所は、たぶん10回くらいは読み直したと思います。
いかに原作のイメージを尊重しつつ、新しい一面を引き出せるかが大きなテーマでした。
 原作とは違うイメージを持たれたかもしれませんが、その辺はご容赦ください!




 ストーリーに関してはこんなところでしょうか。
次回は「キャラクター」について、一部と二部に分けて振り返ってみたいと思います。

Re: Brain Game of Medarot(完結) ( No.58 )
日時: 2014/04/06 20:04
名前: メダフィーミング・KR

◇あとがき――Scene2◇


2.第一部のキャラについて


◇ラスト(ヘッドシザース)
 モデルはアニメ版メダロットのロクショウ+ちょっぴり氷菓の折木奉太郎でしょうか。
主人公の探偵役を誰にしようか考えていた時、冷静沈着なロクショウが採用になりました。
 ちなみに名前の由来は、緑青→錆→rust→ラスト。主人公なので捻って考えました。
あとはエイス(始まり)と対比させる意味で、Last(終わり)という意味もありますね。
 本編ではチアとクララの二人にフラグを立てたせいで、叩かれたこともありましたが、
最終的にはそのどちらとも恋愛関係にはならなかった、難攻不落の鈍感野郎でした。


◇クララ(アクアクラウン)
 モデルはダンガンロンパの朝比奈葵と氷菓の千反田えるの折衷という感じです。
スイマーなどの設定は朝比奈、口癖などの性格は千反田がモデルになっています。
 脳内CVは佐藤聡美さん。名前の由来は、アクラクラウン→アクアクララ→クララ。
アクアクラウンは私の好きな女型メダでもあるので、絶対に出そうと思ってましたw
 チアの退場後はヒロイン、そしてラストのパートナーとして活躍してくれました。
書いてみて思ったんですけど、変化パーツって実はめちゃくちゃ強いですね(確信)


◇バイス(ブラウンバイソン)
 モデルはダンガンロンパの十神白夜。脳内CVも同作の石田彰さんです。
御曹司役ということで、何となくブラウンバイソンがそのイメージだったので採用。
 ちなみに名前の由来は、バイソン→バイスン→バイス。単なるもじりですね。
ダンガンロンパ同様、カマセ役として存在感を出してくれたんじゃないでしょうか。
 死亡フラグな台詞を口走ったり、本作でも単独行動の目立ったバイスでしたが、
第二部ではラストたちの救援に駆けつけるなど、きちんと信頼を築けたようです。


◇ファル(フライファルコン)
 モデルは特にありませんが、強いて言えばダンガンロンパの大神さくらでしょうか。
無口キャラという意味では参考にしました。脳内CVは安元洋貴さんが近い感じです。
 名前の由来は、フライファルコン→ファル。最早もじってすらいないというオチw
ラストも冷静なキャラなので、どう差別化を図っていくかで一番悩んだ気がします。
 あとは他のキャラが割と個性が強めなので、どうしても影が薄かったように思います。
その分、BGMに参加した経緯をしっかりと語らせることで、印象付けを図りました。


◇ディム(クライバンシー)
 モデルはダンガンロンパの腐川冬子。脳内CVも同作の沢城みゆきさんです。
腐川のイメージで探していたところ、クライバンシーが候補になり、そのまま採用。
 名前の由来は、クライバンシー→暗い→dim→ディム。実は結構気に入ってます。
 第一部の終盤ではレイに飛び掛かったり、第二部ではラストたちを助けに来たり、
霊能者に似合わず、割と戦闘好きだったようです。ジェノサイダー的な一面?(適当)
 まあ相手がナベシマでなかったら、コテンパンにされていたことは否定できません。


◇チア(ディアアイドル)
 モデルはダンガンロンパの舞園さやか。脳内CVも同作の大本眞基子さんです。
アイドル役を出すにあたり、アイドル型のディアアイドルですぐに採用になりました。
 ちなみに名前の由来は、アイドル→チアガール→チア。割と単純に付けています。
 個人的にはダブルヒロインの片割れ、という位置付けで書いていたつもりです。
舞園さんが報われなかった分、BGMでは救ってあげたい気持ちが強かったですね。
 結果的に救われたのか分かりませんが、チアの思いはラストにも届いているはず!


◇リード(レッドマタドール)
 モデルはダンガンロンパの石丸清多夏。脳内CVも同作の鳥海浩輔さんです。
委員長役ではやり辛かったので、調教師に変更してレッドマタドールを採用しました。
 事件を考える上で、さり気なく防御パーツを持っているメダが必須条件でした。
ちなみに名前の由来は、調教師→犬の引き網→リード。適当さが際立っています。
 本編では文字通り全員をリードし、今後の方針などを決めようと頑張ってくれました。
とは言え、真っ先に被害者にされてしまうという、むごい結果になりましたが……。


◇ヴァン(バンカラン)
 モデルはダンガンロンパの大和田紋土。脳内CVも同作の中井和哉さんです。
大和田のイメージではバンカランしかいないだろう、ということで採用しました。
 ただ反撃持ちゆえ、どう被害者に持って行くかという点では非常に悩みました。
ちなみに名前の由来は、バンカラン→バンカラ→ヴァン。名前をもじっただけです。
 本編においては第一部の序盤で第一の事件に関して重要な証言を残してますし、
終盤ではラストたちに理解を示したり、退場者の中では見せ場があった気がします。


◇レイ(ゴッツハリーン)
 モデルはダンガンロンパの江ノ島盾子。脳内CVも同作の豊口めぐみさんです。
第一部のラスボス、クロに誰を選ぶか悩みましたが、メダ4で印象に残った彼女を採用。
 ちなみに名前の由来は、ゴッツハリーン→タイムアタック→光線→Ray→レイ。
七本槍のメンバーの中ではエイスに次ぐ古参で、二本槍という裏設定がありました。
 第一部の終盤で彼女にトドメを刺さなかったのは、第二部で再登場する伏線でした。
キャラ紹介ではツンデレと書きましたが、果たしてツンデレだったのか最後まで謎。

Re: Brain Game of Medarot(完結) ( No.59 )
日時: 2014/04/06 19:47
名前: メダフィーミング・KR

◇あとがき――Scene3◇


3.第二部のキャラについて


◇エイス(エイシイスト2)
 モデルは漫画版メダロット3で、タマオの愛機として登場するエレクトロン。
また格闘家という意味では三國無双の呂布。脳内CVも同作の稲田徹さんです。
 先に名前を決めて、その後で名前から機体を選んだという経緯がありました。
名前の由来は言うまでもなく、ラストのところでも書かせていただいた通りです。
 ラストと対比させて、格闘タイプのライバルキャラというイメージで書きましたね。
頭脳派のラストと互角の戦いを演じたため、最強の格闘家を名乗るのはやめた模様。


◇セシル(ウィンドセシル/ファンシーロール)
 モデルはアニメ版メダロット魂の第14話に登場するファンシーロールです。
第二部はこの回をイメージして書いたとも言えるほど。脳内CVも同作の斉藤レイさん。
 クララの親友なら同じエレメントタイプが良いだろうと、ウィンドセシルを採用。
 実は組織のボスを誰にするかは全然決めてなくて、書いてる途中で決めたんです。
結果的にクララがBGMに参加した理由と結び付いて、彼女がラスボスに昇格しました。
 ナベシマを組織の幹部に据えるなど、采配には最後まで疑問の声がありましたがw


◇竜(ブラックスタッグ)
 ゲストキャラ一人目は、地さんの「ディサピア」シリーズでお馴染みのお竜さん。
お竜さんのゲスト参加は早い段階で決まっていて、第一部のScene1に伏線があります。
 実は私、お竜さんが大好きでして、こちらからゲスト参加をお願いした経緯があります。
第二部でデスレストを潰すために貢献し、ストレイツォとの死闘を演じてくれました。
 「ディサピア」の竜のイメージを大事にしつつも、どこまで「BGM」の竜として、
新しい一面を引き出せるか意識して書いたつもりですが、上手く行ったでしょうか。


◇ストレイツォ・サーペント(オリキャラ)
 ゲストキャラ二人目は、ゼブラーさんの「レジェンドダッシュ」に登場するストレイツォ。
七本槍一の先見性を持つことは書きましたが、四本槍という裏設定もありました。
 作中で唯一のオリキャラだったので、いかにイメージを膨らませられるかが鍵でしたが、
頭脳と戦闘、両方を兼ね備えたマルチタイプというイメージで固めていきました。
 ちなみに「レジェンドダッシュ」では頭部パーツの特性が設定されていませんが、
私の方で「反撃」に設定し、隙のない戦闘スタイルを持っているスタンスで書きました。


◇ネリス(スフィンク)
 ゲストキャラ三人目は、凍零さんの「スィメモ」に登場するネリスです。
個性派揃いなデスレスト七本槍の中でも、群を抜いた個性を持った存在でしたね。
 裏設定では五本槍で、七本槍の中では頭脳派の曲者というイメージで書きました。
 ネリスのようなキャラは書いたことがないので、正直最初は戸惑ったんですけど、
書いている内にクセになってきまして、書いていて一番楽しかったかもしれませんw
 最終的にはネリスに喋らせておけば悪役っぽくなる、何ともありがたいキャラに。


◇ナベシマ(ペッパーキャット)
 ゲストキャラ四人目は、カヲトリスさんの「泉の女神さま」に登場するナベシマ。
裏設定では幻の七本槍である竜を除き、最も新参者の六本槍という設定でした。
 こちらもネリス同様、最初はどう悪役にするか?という意味で非常に悩みました。
最終的にはデスレストでも、そのまま突っ込み兼苦労人というスタンスでいきました。
 ナベシマがいることで物語が和むというか、ある意味重要なキャラになりましたね。
しかし「戦闘特化のエリート集団」に抜擢された理由は、最後まで謎のままでした。


◇シオン(メタルビートル)
 ゲストキャラ五人目は、雪の城さんの「メダ知ら」に登場するシオンです。
 裏設定では三本槍とエイスやレイに続き、ゲストキャラの中では最も古参でした。
実はそれが理由で、ネリスやナベシマを従え、二人に指示を出したりしています。
 しかしシオンはどういうスタンスで行くか、ゲストキャラの中では一番悩みました。
シオンはヨシノあってのシオンで、シオン単体では全くイメージが湧かなかったんです。
 そのためメダ知らのシオンというよりは、新しいイメージを膨らませて書きました。




 というわけで、長々と書いてきた「あとがき」もこの辺で終わりにしたいと思います。
此処までお付き合いいただいた皆さん、心の底から本当にありがとうございました!
 また別の形で、新しい物語を紡ぐことになった際には、どうぞよろしくお願いします。