>> メダロットライズ にもどる

RSSフィード スリープオンライン・メダロット 変革の赤
   

日時: 2018/10/14 23:38
名前: 雪の城

>>[942] メダ知らない俺が妹だったら歓喜する世界に飛び込んだようだ。
    の内容と繋がっています。
    

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第1章 SO・M /弥生大附属高校 編 >>1-59
第2章 サーバー/   親友   編 >>60-
   
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(side A 0) 変革の赤       >>1-8
(side S 1) 動き始めた日常    >>9-13
(side G 1) ターコイズの本気   >>14-20
(side S 2) 疑いと親友      >>21-23
(side G 2) ゼロの世界      >>24-28
(side S 3) リアルへの干渉    >>29-31
(side G 3) 伝説プライム     >>32-35
(side S 4) 農園部のキャバ嬢   >>36-38
(side G 4) 伝説の力       >>39-44
(side S 5) 親友と親友      >>45-49
(side G 5) 静かな騒ぎ      >>50-52   
(side S 6) 高ぶる感情      >>53-55 >>56
(side G 6) お久しぶりさようなら >>57-59

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(side G 7) 記憶奪還計画序章   >>60-62
(side S 7) 迷宮の父親      >>63-65
(side G 8) 奇抜の女神さまっ   >>66-68
(side S 8) 対人関係       >>69-70
(side G 9) 旅立ち        >>71-74
(side S 9) スクールデイズ!   >>75
(side G 10) 迷いの森       >>76-77
(side S 10) 嫌われ者と人気者と  >>78-80
(side G 11) 外の街で       >>81-84
(side S 11) 持ちたい荷物     >>85-86
(side G 12) ボス         >>87-89
(side S 12) 悪いな、今でも    >>90-92
(side G 13) 学園side ver.SOM   >>93-99
(side S 13) ソメイヨシノ     >>100-102
(side G 14) 分かれ道        >>104-110


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New

18/10/14
>>104 >>105 >>106 >>107 >>108 >>119 >>110


メインキャラクター

梓李皇(ゲーム内ではリオ)……イケメンというよりは美形。成績優秀で生徒会副会長を務める私立有名な学園の高等部二年。
               父は国民的アイドル。母は海外で活躍する指揮者。

ターコイズ…………………………ゲーム内(SO世界)における李皇のパートナー。機体はマカイロドウス。
               普段は明るく心優しいメダロットではあるが、スイッチが変わればある意味恐ろしい愛機になる。

ランス………………………………ターコイズと敵対している水色かかった銀色の西洋甲冑をきた槍使い。
               異常な強さを持っているが「マザー」に味方することと
               Aの世界の勇者であったこと、ターコイズの過去に詳しいこと以外不明。


笹沼カノン…………………………李皇が通う学園の同級生にて、同じ農園部の仲間。ハーフの女の子でややどじっこ体質。
ゲーム内ではササ
ミライ………………………………SO世界でリオが住む村で服屋を営む優秀な魔法使い。出身はSO・0。そっちの世界では有名人。
現実の世界では池川総司朗   服屋を営みながら、村の自治団体の手伝いもしている。

彼変…………………………………ミライと共にSO・0から来た凄腕剣士。主に自治団体の手伝いは彼変がしている。
現実の世界では斎藤健一    現実世界では医者らしく人間の診察もしている。

メタビー……………………………リオが住む村にある自治団体の女の子ササが持つパートナー。機体はもちろんメタルビ―ドル
               
櫻井琴平……………………………李皇と同じ学園に通う彼の親友。生徒会では議長を務め、農園部では副部長である。
               メダロットが好きな妹が居たが通り魔被害にあい亡くなった。  めだ知らの主人公。>>[942] 

大島歌織……………………………李皇が通う学園の同級生。学園一の嫌われ者だが、琴平だけが優しくしてくれた。
               琴平以外の自分を含めた全てが嫌いで憎んでいる。

柊……………………………………SO世界でリオが住む村の隣にある公園にある自営団体「ギルド」の「ブルースカイ」のメンバー
               精霊と言われる術の源の長の一族(10種類)と契約を結んでいる。なんでもやでメインは武器加工職人



サーバー……………………………李皇の動きを監視しているかのようなタイミングで色々要求してくる自称データの集合体
               今まで親友の琴平以外理解できなかった李皇の本質を
               直接会ったことも話したこともないのに理解している。



学園side 13   ソメイヨシノ(2) ( No.101 )
   
日時: 2016/12/24 03:43
名前: 雪の城



岬に頼まれて断れる櫻井ではない。櫻井が行くといえば、李皇は止められなかった。櫻井は何度も来ている家な為特に案内することなく、リビングへと向かえば出てきた時と同じように一杯の紅茶と炭酸水、植物図鑑がガラステーブルの上に載っていた。
岬が三人がけソファに琴平を誘う。それに琴平は応え座ればすぐに岬が隣に座った。李皇はその前へと座る。
岬が言う。

「李皇まで居なくてもいいんだけど」

正直にいえばとっとと部屋に行きたい。胸騒ぎ所か寒気までもが酷くなった。部屋のベッドで寝ていたい。だが、ここで帰ってしまうと取り返しがつかない気がした。
居たところで何もできないかもしれないが、櫻井が再びどこかにいってしまうのは怖いものがある。

「乱暴者が俺の親友に手を出さないのか見張る義務がある。従兄としてな」
「僕は日本に来てから君以外に手をあげたりしなかったろ」

留学先ではあげていたということか。
岬の言葉に呆れた。だが、より注意しなくてはいけないということになる。どうしようもないこの環境に苛立つ。が、本当にどうしようもできない。足を組みあえて睨みつける。だが、岬はそれを軽く流した。
一人で腹が立って具合が悪くなっている。そんなことでは本当にどうしようもない。気でも紛らわす為にテレビをつけた。
ちょうど琴平が好きなアイドルがテレビに出ていた。

「梓。この子こんな声してたっけ?」

ふと聞かれ前見たときのことを思い出す。変わりないブリブリとした可愛さと若さだけが売りの女だったと思う。

「していたな」
「なんだろ。こんなブリブリした子じゃなかったと思うんだけど」
「妹属性を売りにしているんだから、以前から変わりなくぶりぶりしているぞ。こいつは」

批難を込めて言えば、すぐに岬が噛み付くように反論した。


「いいじゃん!アイドルなんだからぶりぶりしてる方が可愛いよ!」

だがその言葉に櫻井は首をかしげた。
恐らく以前見た好きだった頃と何かが違うと思っているのだろう。
昔本で読んだことを思い出し、少しだけ笑う。

「錯覚による自己催眠状態だろうな。
もし、俺がどこか手の届かない所にいってから、岬が来て俺であると強くお前が思ったとする」
「なにその過程。なんで僕が李皇にならなきゃ」
「黙っていろ。
そうすると、お前の中では岬は岬という名前をした李皇になる。俺であるから声は当然低く聞こえるだろうし、顔つきもすこしは男らしくなるだろう」
「そんなことってあるのか?」
「ああ。今こうやってお前が聞いている俺の声だって、岬の声だって、「空気の振動」という「物理現象」と「脳の働き」という「心理現象」の双方が関連して「つくりだされている」ものに過ぎないからな。脳の働きが間違っていれば、お前の中で作り出されるものは現実と違っていても何もおかしくはない。岬が突然俺に見えたという幸運なことになったとしても、おれはお前が違うと認識しない限り、ずっと岬は俺に見えるっていうことだ」

後半少しからかいを含んだ声音で言う。岬の表情が歪み、李皇を睨みつける。少しだけ気分が軽くなった。

「ねえ、いまさらっと幸運って言ったよね!どういうこと!李皇!」

調子が良くなった所で反論をしようと口を開く。が、すぐ近くに高塚がいることを感じ、やめた。

「お二方、喧嘩はおやめください」

振り向けば高塚はキッチンワゴンにティーセットやジュースなどをいれて持ってきていた。櫻井へと尋ねる。

「櫻井様はダージリンでよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます。お願いします」
「あ。そういえば」

櫻井が高塚へ礼を言った事でふと思い出した。以前父から贈られて櫻井と飲もうと思っていたものがあった。
再び振り向き高塚を見る。

「高塚さん。桜紅茶がありましたよね」
「えーそんなのあるのー?」

櫻井よりも早く、岬がくいついた。ワゴンの中には氷が入ったガラス鉢の中に入る炭酸水の瓶もある。だが、岬の興味は完全に桜の紅茶へと行ってしまった。だが、高塚は微笑んで李皇の言葉に頷いた。

「はい。ご用意できます」

李皇は櫻井を見て言う。

「櫻井。お前の為に用意したんだ。飲んでいってくれ」
「僕も飲みたい!」
「・・・仕方がない。ついでだ。高塚さん、お願いします」
「はい。かしこまりました」

高塚は一礼すると李皇の考えを読み取っていたのかティーポットからカップへ紅茶を汲んだ。まさかティーポットに用意してあるとは考えて居なかった李皇は素直に驚く。だが、紅茶からする桜のいい匂いと高塚さんの優しい表情で彼はそういう人物であったことを思い出す。李皇が驚いている内に高塚は手際よく給仕を終え、一礼してワゴンと共に部屋から出て行った。
一息ついて高塚が淹れてくれた紅茶へと手を伸ばす。口元へと紅茶を運べばよりいい桜の香りがして、口に含めばそれが口全体に広がった。わずかな苦味の後に桜餅のような風味があった。桜紅茶を飲んだのは初めてだったけれど、李皇はそれを気に入り自然と笑みがこぼれた。ほんの少しだけど気も楽になった気がする。

「お姫様?」
「はあ?」

櫻井の小さな呟きの後すぐ、ガシャンとカップをソーサーの上に叩きつけた音が聞こえた。李皇はカップをソーサーへと戻せば首を横に振る。

「今のお前がお姫様に見えるか」

紅茶を楽しむこともせずぐびぐびと飲みカップを乱暴に扱うものが姫であるわけがない。仮に居たとしたらそれはそれで認められない。
咎めればすぐに岬は苦笑いを浮かべた。

「だよね。いきなり言うからつい、条件反射で」

どんな条件反射だばか。
というよりも早く、櫻井は何かを考え思いつめたような声で言う。

「姫に見えない姫」

明らかにおかしい櫻井に何か聞く前に、彼は紅茶を見ながら言った。

「実は女の子だったりしないよね」
「んなわけあるか!」

岬がすぐに怒鳴る。櫻井は首を横に振るが、岬の苛立ちは収まらない。岬が櫻井に暴力を振るうよりも早く、彼の腕を掴み牽制した。
だが櫻井は李皇を見た。

「実は女の子だったり、しないよな」

「まさか、俺が?」

その言葉に驚く。農園部の部室で上半身裸になって着替えた事があれば、旅行などで一緒に温泉に入ったことだってある。自分が男であるかどうかなんて疑わずともわかるだろう。

「俺に対して言ってるのか」

櫻井からの返事がない。岬の腕を離して櫻井に言う。

「いくらなんでも、俺が女だというのは無理があるだろう」
「それ、李皇が言うの?自分と同じ顔の人を女だと信じてた君が?」

岬に揶揄されれば、李皇は笑った。

「風呂の付き合いまでした親友が女かと聞いたんだぞ。しかも5年目にしてた。言わずにいられるか」
「でも一緒にいて思うよ。李皇上品だし、どこかの国のお姫様です。ハート。って言っても「ああ」って納得できるレベル」
「そうか。まあ、お前みたいな野蛮人とは教育が違うからな。お前が機械と仲良くしている間、俺は教養や礼儀と仲良くなっていたからな」
「ほんとお姫様っぽいよねー。あ、それとも
り「おうさま」?」

息がつまった。いっきに身が縮こまった感覚がした。とっさに距離を取ろうとして踏ん張る。これ以上岬を話させてはだめだと直感で感じるが何も言葉が出てこない。

Re: スリープオンライン・メダロット 変革の赤 ( No.102 )
   
日時: 2016/12/24 03:36
名前: 雪の城

「そうだ。名前で思い出したんだけど。櫻井君って名前めずらしいから調べてみたんだけど、琴平って真っ白な桜の名前だったんだね」

岬は唐突に植物図鑑をめくり、桜の項目にを出した。綺麗なソメイヨシノがページの大半を占める中、白い琴平の桜が写っていた。そのページは李皇がその植物図鑑の中で一番好きなページだったから開きぐせがついていた為、すぐに開く事ができた。岬は琴平の項目を二回叩いた。

「日本に居たの小学校の時だけで、しかも僕アメリカンスクールにいたからさ、桜を愛でる習慣なんてなかったんだ。皆薄桃色の桜だけだと思ってたから、真っ白な桜があるなんて気づかなかったよ」

岬の言葉が琴平へと向けられる。今はどうしても琴平と話をさせたくはなかった。適当な言葉を言う。

「琴平の花を見たことがないなんて、哀れだな」

岬の視線が李皇へと移る。李皇は続けた。

「写真で見るよりも綺麗だぞ。あと、真っ白じゃない。ほんのりとした紅色があるだろう。中輪サイズの花なんだが、それが満開の時期になれば葉を隠す勢いでたくさんつくんだ。そうすると、白に隠れて緑が見え、その色合いが素朴ながら美しくて優雅だ。そうだな、お前も知っている鮮やかな薄桃色のソメイヨシノを見たあとならば、相乗効果で美しく見えるかもしれない」

そこまで言って岬が笑ったのが解った。にやりと口だけを動かして笑ってから、笑顔を作ったのが解った。
言葉が詰まる。
こいつはやっぱり、何か

「見に行きたいなぁ。コトヒラとソメイヨシノ」

その言葉で櫻井が身を崩した。頭を抱え蹲る。すぐに李皇は櫻井へと駆け寄り支える。頭を抱えた琴平の指の先が真っ白になっているのが解った。冷や汗が流れる。

「どうしたの。琴平君」

焦りを感じさせる声ではあるが、白々しいその声音にしか李皇は聞こえなかった。

「岬、高塚さんを呼んできてくれ」
「わかった」

できるだけ、こいつが遠くに行く方法を考える。

「あと、戻ってくるときに水を」

言えば岬はすぐに動き、高塚さんを呼ぶ声が家中に広がった。
櫻井の体を支えながら冷静に考えようとするが頭がひどく重く何も考えられない。

「スリープオンライン」
「っ!」

テレビから聞こえる総司の声に身が硬直した。声にならない悲鳴が溢れる。

なんで今、この言葉がここに流れる。

ただの偶然か。いや、そんなはずはない。
きっと岬が仕組んでいる。いや、岬がそこまできるわけがない。テレビの電波まで操作できるはずがない。
では誰が、誰がこんなことができる。これがただの偶然だとするならば、この胸騒ぎは一体何だ。

「メタビー」

櫻井の言葉に我に返り、彼を見れば、彼はテレビを食い入るようにして見ていた。総司がガッツポーズと共に爽やかな笑みを浮かべる。違和感を感じそれが恐怖に感じる。

「君も今日からメダロットと一緒にロボトルだ!」

その言葉と同時に琴平から強い何かを感じた。頭痛が身を襲う。反射的に目を閉じる。
ピンク色の何かが目に移る。

「ヨシノ」

学園side 13   ソメイヨシノ(3) ( No.103 )
   
日時: 2016/12/24 03:43
名前: 雪の城

櫻井の言葉でそれがヨシノなのだと、何故か理解できた。
だが苦しくてそれを問い詰める事ができない。ただただ苦しくて切ない。
直感的に櫻井がここではないどこかに行ってしまうのだと解った。
嫌だった。櫻井の服を掴み言う。

「櫻井。待ってろ、もうすぐ医者が」

もうなにも隠すことができない。見苦しいほど焦った声で言う。
だが櫻井は苦痛から出た涙を拭き取り、李皇を見て言う。

「梓」
「櫻井」

答える声が上擦る。櫻井の表情や声が今までの彼の声とは違く、はっきりとした強い意思を感じる大人の声だった。
櫻井は言う。

「梓。俺は戻らないかもしれない。でも、行かなくちゃいけないところが見つかった」

俯くしかできなかった。琴平はやはり自分一人で立つことができる。おれとは比べ物にならないほど強い人間だった。

「でも、お前には恩があること、決して忘れない」

櫻井の言っている事が解らない。

「恩って、なんだ」

彼に恩を感じることがあったとしても、彼が李皇に恩を感じることなんて何もなかったはずだ。
だが、櫻井はそれに答えることなく李皇の手を掴んで続ける。

「戻らないかもしれない。けれど、お前のところには必ず戻ってくる」

意味が解らない。それよりも戻らないかもしれないという櫻井の言葉の方が怖い。あの子が消えたように、櫻井も消えてしまったら結局俺の手元には何も残らない。

「なにいってるんだ」

ひどく弱々しい声が出たと思う。櫻井の目が見開き驚いたのがわかった。けれど、包み隠す気力すらなかった。
手が離された。
そのまま手は床へと落ち、立ち上がった櫻井を目で追うことすらできなかった。
後ろで岬と櫻井が話しているのを聞いた。

次の日、櫻井琴平はまた姿を消した。

ゲームside 14 分かれ道(1) ( No.104 )
   
日時: 2018/10/14 23:35
名前: 雪の城


ゲームside

学園都市を出てからしばらく道を進むと分かれ道にあたった。
二つに分かれた道それぞれに木製の看板が立てられており、先導して歩いていた柊はそれを見ると「男山」と書かれた看板に手を置いて言う。

「ようやく王都前の最後の難関についたぞ」
「え?何も見えないんだけど」

ササとメタビ―はあたりをきょろきょろと見まわす。それから顔を見合わせて首を傾げた。柊はその二人の反応を花で笑い、もう一つの看板を掌の先で指し示す。

「正しく言うと女性はなんも問題なくすんなりと王都に行けます。こっちの女村になるからな。ここまでこれた女性パーティーなら問題ない。ただそこまで行って門をくぐればいいだけ。普通は楽だぜ?」


竜神村を出る前、ブルースカイのウェイ達が王都に行けないと言っていた理由を思い出した。最短ルートの途中で男と女で別れる道があると言っていた。ササもこの分かれ道があったことを思い出したのか、手を打つと女村の看板がある方を指した。

「じゃあ、私はこっちになるんだね」
「そうなんだけどな」

柊はダアトに向かってひとさし指を向けた。

「男」
「は?」

次はターコイズに向ける。

「男」
「はい」

流れるような仕草でその指をメタビ―、リオに向けて男と言い最後に柊自身に向けた。その指が柊へ向かう頃には柊が何を言いたいのか全員が理解しており、視線は唯一の女性であるササに向かった。

「私だけ女の子なんだ」
「そういうこと」
「でも分岐点はここで」
「女村の姿すら今はまだ見えてない」

ダアトが言うと全員が黙り沈黙が広がった。
女の子一人でまだ村も見えてない所を行かせないといけないというのは確かに不安がある。しかもササは柊のように単体で戦うことができないメダロッターだ。一人で道中を進むのは無理だろう。

「女型に誰かがなってもうらとかで誤魔化して通ることはできませんか」

できればメタビ―になってほしいと思いながら尋ねるが柊は首を横に振った。

「それが、初めて女村にはいるメダロットは性別チェックが入るんだ」
「性別チェック」
「ああ。仕草とかそういうものを厳しくチェックされて少しでも基準からそれるとメダル破壊される」
「ひぇ」

おそらく女型になってでもササについていく気だったのだろう。メタビ―から悲鳴が漏れた。彼はすぐに首を横に振ってから隣にいたササと距離を取る。

「わりぃササ。ぼっちで行ってくれ」
「うーん、仕方ない。かな」
「……いや、ぼっちで行かなくてもいい手段はあるんだ」

やや濁すような誤魔化すような微妙なニュアンスで柊が言う。
その言葉に全員が首を傾げた時、柊は視線を下に落とし言う。

「おれは、行けるんだ」

ゲームside 14 分かれ道(2) ( No.105 )
   
日時: 2018/10/14 23:30
名前: 雪の城

まさか。

頭の中で一瞬性別を間違えて飛び蹴りを頂いたあの時の映像が流れる。思わず一歩後ろに下がる。ターコイズ以外の他の面々も様々な表情をもって後ろに下がっていた。

不用意なことを言う前に改めて柊の容姿を確認する。

漆黒の髪の毛は長く、スタイルはすらりとしており男性的ではない。容姿も整っている方ではあるから女性ですと言われても信じるかもしれない。
でも今まできいてきた声は男のものだ。バリトンボイスというわけではないが女性やミライのように高いわけではない。あと性格や仕草が男らしすぎて疑う余地もなかった。
それをまさかこんなところで告げられるとは思ってもいなかった。
彼と仮契約をしているダアトを見れば彼も知らなかったらしく、距離をとってなぜかくるくると回転している。

「え、ちょっと。せんせ」

気まずそうにしていた柊はダアトを止めるべく手を伸ばすもくるくる回転する速度があがったことによりそれができず、わたわたと手だけ伸ばしてダアトを追いかけている。

「せんせ、しっかりしてくれよ。なんだよそれ」
「こっちが、こっちが、こっちだって」
「ああ、こうなるから言いたくなかったんだよ!怒るなよ。何も悪い事してないって!」

だめだ。ダアトだけじゃなく柊も何かおかしなことを言い始めた。

「女性でしたか。気づかずにすみません」

その中一機だけ普段と変わらない口調でターコイズが詫びた。その言葉にダアトに手を伸ばしていた柊が反応し、ターコイズの方を向く。

「まさか俺が?」
「え?」
「え?ってえ?」
再び沈黙が広がった。
ダアトの回転も止まり柊を見上げ尋ねる。

「女性じゃないのならなぜ入れるんだ」
「……それきいちゃう?」

全員が頷く。
男なのに厳しいセキュリティがある女村に入れる理由。怪しすぎる以外になにもない。
柊はしばらく言いにくそうに笑ってごまかしていたがややあってため息をつき、言った。

「一緒に旅をしていた相棒が居るんだ」
「それでなんでそんなにいいにくそうなんだ」

ダアトが厳しく追及すれば柊の表情は歪んだ。

「……聞いても後悔しない?」
「リアルの奥さんとか?」

ササが尋ねれば柊は首を横に振った。

「残念ながら彼女すらいない寂しい独身男性です」
「じゃあ、こっちの世界で結婚した相手とか?」
「ははは、どうしても俺を既婚者にしたいようで?」

柊の表情が険しくなる。おそらくそっち方面じゃないようだ。女性の扱いは慣れていると思っていたからリオ自身もその可能性を考えていたが、おそらく交際関係ではないのだろう。
ダアトがいう。

「契約しているメダロットか」

柊はすぐに首を横に振った。しかし振りすぎて明らかにその否定が嘘だと解る勢いだ。ダアトの表情が曇る。

「なぜ黙っていたんだ」
「ち、違うんだ。せんせ。契約してない!契約はしていない!!」
「契約はしていないけれど一緒に旅をしたメダロットの方が居るんですね」
「……はい」

ターコイズの確認に柊が力なく同意した。

「その方は女村で高い地位についていると」
「……村長だ。村を立ち上げたときにいたメンバーの代表をしている。おれもそれに軽く携わったから特例で入れてもらえるんだ。ただそれだけの関係なんだ。契約するとかしないとかそういう関係じゃなくて」
「解った」

柊の言葉の途中でダアトが遮るような強い口調で止めに入った。ダアトは男山の方に進めば振り返り全員に言う。

「つまり、ササは一人で行かなくてもお前が行けばいいという事だろ。ならよかったじゃないか。ササとお前が女村。残った俺たちが男山。優秀な精霊術師であるお前なら一人でササを守れるだろ」
「……ああ」
「じゃ、そういうことで。行くぞ。リオ、ターコイズ、メタビ―。男はこっちだ」

ダアトはまたくるりと男山の方向を向けば前に進んだ。リオ達は顔を見合わせた後にササと柊を見る。柊はため息をついたあとに後頭部を掻いてから言う。

「男山は険しい山だけど、管理されていて野良メダロットや賊にあうこともない。だから体力がさえあれば問題なく通過できる。休憩を忘れずにルートを間違えずに慎重に進んでくれ」
「解りました。ありがとうございます」
「あと、個人的な頼みで悪いんだが」

柊の視線が先を行くダアトに向かう。

「ダアトのこと、よろしく頼む」

思わず隣にいたターコイズと視線があう。なんとなくターコイズが笑ったのが解った気がした。
メタビ―が鼻で笑った後に軽く握った拳を前に出していった。

「お前こそ、ササに変なことすんなよ」

それに柊が笑って腰を落とし、メタビ―の拳に向けて自分の拳を合わす。

「むしろ変なことをしたやつをボコボコにしてやるよ」

ゲームside 14 分かれ道(3) ( No.106 )
   
日時: 2018/10/14 23:31
名前: 雪の城

男山は柊が言ったように管理されている山だった。険しい急勾配であるが管理された山道の為歩きにくいことはなかった。前リアルの世界で親友に連れてきてもらった登山道の方がきつかったかもしれない。

先を進んでいたダアトが急に立ち止まり振り返った。
すぐ後ろを歩いていたメタビ―はぶつかりそうになるもギリギリのラインで避けた。

「お前、急に止まんなよ」
「……すまなかった」

柊達と別れてから一言も話すことがなかったダアトから零れ落ちるように出た言葉は、普段聞いている声よりも低く重たいものだった。
リオはダアトと視線を合わせる。

「気にしなくていい」
「ありがとう。でも、この旅が終わったら、契約を終了しようと思っている」
「な、なんでだよ!」

メタビーがダアトの腕をつかむ。リオはターコイズと視線を合わせた。

「柊と俺は格が違いすぎているんだ」
「格!?格ってなんだ!」
「地位、身分。ですね」
「地位や身分なら変わらないだろ」

メタビーが言うとダアトは首を横に振った。

「一緒に旅してて解っただろ。学園都市でも女村でもあいつは行く先々で名を残している。対して俺は何もできていない所か主人に捨てられたメダロットだ」
「お前、そんな」

ダアトは自分のパーツを見てから項垂れた。

「俺は俺自身だけでは何もできないメダロットなんだ」
「そんなことねぇだろ。ダアトの索敵能力は間違いなくすげぇって」
「はい。あなたの索敵のおかげで私たちは問題なく戦えています」

メタビ―とターコイズがすぐに否定するもダアトは首を横に振った。

「でも、それだけだ。俺はただ頭でっかちなだけで何もできないダメなメダロットなんだ」
「ダアトさん、あまりそう思い詰めるのは」

リオがダアトの頭部へ手を伸ばし触れようとした。その時、後ろから声がかかった。
「ダアト?まさか、お前か?」

振り向けば派手な髪型をした銀色の鎧を着こんだ男がいた。ダアトはすぐにリオの後ろに隠れた。

「まじで!?まじでダアト!?」

リオの後ろに隠れたダアトに触れようと、派手な男が手を伸ばす。ダアトの反応からしてまともな人物ではないと判断したリオは男の腕をつかんで止める。

「どちら様ですか?」
「あ、ああ、わりぃな。俺はレン。ダアトの前の主人だよ」
「え」

ダアトを見るが彼は何も反応を示さない。けれど彼の性格から考えればもし違えばすぐに否定するだろう。
ターコイズが呟いた。

「泥沼ですね」

ゲームside 14 分かれ道(4) ( No.107 )
   
日時: 2018/10/14 23:32
名前: 雪の城

女村の入り口で受け付けの女の人と話す柊を見て、ササはため息をついた。
あの分かれ道でメタビ―達と別れた後、柊はずっと無言だった。無言のまま襲い来る賊や野良メダロットを倒してずんずんと道を進んでいた。
ダアトとの件があって落ち込んでいると思い、ササは声をかけなかった。だが、門にいる女の子と話している柊の表情は明るく緩んでいる。
腹が立つ。

「ちょっと。柊」
「おっと、ごめんな。連れが怒ってる」
「かわいい子連れてるのね。新しい彼女?」
「まさかー」

あはははと笑って否定する柊の足を蹴る。受付の女の人がふふふっと笑う。
全く笑いごとじゃないことがさっき起こったばかりのこちらはけして笑うことができない。

「あなた、ダアトの事どう思ってるの!?」
「ダアト?どなた?彼女?」
「ゆい、そのネタ好きだな」
「だって、うちのボス以上にあなたにお似合いの人いないじゃない?」
「ボス?ボスってことは、こいつと一緒に旅していたっていうこのこと?」
「そうよ。本当にこのゲームできてすぐの事みたいだけど、うちのボスと色々回ってたのよね」
「ちょっとだけだよ。すぐ別れることになったんだけど」
「でもここに来たっていうことは、ボスに会いにきてくれたんでしょ?」
「違う。王都に行きたいんだ。俺のメダロットも男だし」
「え?」

門の方から可愛い声がした。その方向を見ればハードネステンがササたちの方を見て固まっていた。

「柊さん、俺のメダロットって、どういう事ですか。私以上に相性のいいメダロットはいないって言ってたじゃないですか!どうして、どうしてそんな!」
「そ、そんなこと言ったの?」
「こ、ココロアタリガナイ」

珍しく柊が固まっている。受付をしていた女の子の方をみれば彼女は小さな声でササに向けて、あのハードネステンが女村の村長だといった。

「いいました!!ミチといると楽でいいって言いました!!また会いに来るからとも言ってくれました!だから私、私ずっと待ってたのに!!」
「うわ、最悪」
「シカタナイダロ イロイロアッタンダヨ」
「三年も放置して、しかも他のメダロットと一緒にいてしかも女の人と一緒にくるなんて!」
「あ、私、私は全くこの人眼中にないので」
「ボス。大丈夫ですよー。このこ、本当に柊さん狙ってないです」

受け付けの女の子も一緒に否定してくれる。

「本当に?」
「はい。間違いなく。私たち王都に行きたいんです。そのために連れてきてくれただけです」
「まあ、そうなの?ということは私に会いにきてくれたのね」

彼女の言った意味が理解できずに固まった。固まっているうちにハードネステンは柊へと駆けてきて、彼の掌に触れる。

「柊さん、今日こそ私と契約してください」

ゲームside 14 分かれ道(5) ( No.108 )
   
日時: 2018/10/14 23:32
名前: 雪の城


「ダアト、すまなかった。俺のところに戻ってきてくれ」

ダアトの前の主人と名乗ったレンはダアトをしっかりと見れば深く頭を下げた。まさかの言葉にリオたちは驚いて言葉を詰まらせていれば、レンは山道に正座をし、そのまま深く頭を付けた。
リオは驚き彼の肩に手をあてて頭をあげるように促す。

「頼む、今の主はお前なんだろう。ダアトを返してくれ。俺の最初のメダロットだったんだ。俺にはダアトが必要だったんだ。でもあの時はくるってて、全部が嫌になってて、それで!」
「悪いが俺はダアトさんの主じゃない。ダアトの主人は女む」
「柊は主人じゃない」

リオが説明をしている途中でダアトが否定した。ダアトは続けて言う。

「柊は主人じゃないし、俺の主人は今誰でもない」

レンは顔を上にあげた。

「それなら、頼む。ダアト」
「……パームスとディアステージはどうした」

可愛い女の子のメダロットが浮かんでくる。目の前にいる男と一緒にいる姿はとても想像ができない。
だが、その目の前にいる男が目を潤ませた。

「あの子たちは俺を裏切って早々にいなくなった」
「だから、言っただろ。お前みたいな名も知られていないプレイヤーがレアメダロットに注目されるわけがないと」
「だって」
「あの子たちが近づいてきたのはコンテストで優勝したパーツが目的だって。取られたのか?」

ダアトが言うとレンはその場で号泣した。メタビ―がダアトの隣に立つ。

「どういうことだよ」
「彼と組んでいる時、急にレアメダロットが俺たちに接触してきて、彼のメダロットにしてほしいと頼んできたんだ。明らかに怪しいから俺はするべきではないと否定したんだが、こいつは彼女たちの言うことを聞いて彼女たちと契約を交わしたんだ。
彼女たちからしてみれば俺は不要だからな。こいつに俺を捨てて自分たちを遣うようにって頼んで、俺はヒルシュケーファのパーツから相性の悪いドクタースタディにされて、契約を破棄されたんだ」
「相性悪かったのかよ」
「俺のメダルはスナイパーだ。頭部のしかけるしか一致してない。今はメダリアを柊からもらっているから対応できているけれど」
「レン様がされたことは外道の類ですね」

ターコイズの言葉に促されるように俺たちは再び土下座をしているレンを見る。
ダアトが言う。

「お前、あの女たちに騙された後、どうしていたんだ。メダロットいないだろ」
「王都でずっとバイトしながらお前を探して暮らしてたんだ。でもようやく龍神村近くのギルドに所属しているっていう情報を入手して」
「それで一人でここまで来たのか」
「山越えてから誰かに頼んで一緒に行こうと思って」

ダアトはため息をつく。

「馬鹿だな。一緒に行ってくれる人なんているわけないだろ」
「でも、居てもたってもいられなかったんだ。正直、自分がしたことだけど、生きてるとも思っていなかった。だから、本当に会いたくて」

ダアトのため息がまた聞こえた。

「もう俺に会うという目標は達成したんだ。王都に行くぞ」
「ダアト、すまない。一緒に帰ってくれ」
「山中で考える。悪い、リオ達。一人負担を増やしてもいいか?」
「いいけどよ、お前、こいつ連れて行って大丈夫なのか?」

リオもそれに頷く。一緒に連れて行くこと自体問題はない。いくら整備されている山道でも、一人にするのは不安がある。ここまでこれたのだって奇跡だと思っている。
でも山を越えたら柊がいる。
柊に彼を見せても大丈夫なのだろうか。本当に契約を解除するつもりなのだろうか。
ダアトには色々聞かなければいけないことがある。でもきっと彼はそれを聞いても答えてはくれないだろう。そんな気がする。

ゲームside 14 分かれ道(6) ( No.109 )
   
日時: 2018/10/14 23:33
名前: 雪の城

固まったままの柊を引っ張り村の中に入る。男の柊が村の中に入っても騒ぎが起こらないのは、柊にべったりとくっつく村長ことハードネステンのミチやその仲間がいるからだ。
「柊さん」
「はい」
「柊さん」
「はい」
「柊さん」
「はい」

このやりとりを何度聞いたか解らない。
とりあえずとっととここを抜けなければいけない。

「うふふ」

このハードネステンは何か怖い。非常に怖い。
たださえ泥沼化している現状を悪化させられたらこちらとしてはたまったものではない。

「柊さん、ここにずっといてくれませんか?」
「は」
「しっかりして」

引っ張っている手を強く握り前に引く。
バランスを崩した柊は派手な音を立ててその場に転んだ。

「何するの」

ミチがこちらを睨みつけてくるがそんなの構っていられない。

「もっと意識がはっきりしてる人にそういうことは聞くべきだと思うけど。ほらしっかり」

柊を見下ろしながら言えば、彼は頭を横に振りながらも立ち上がりササとミチを見て苦笑した。

「あれ、もう町の中?」
「何言ってるの本当に!」
「いや、悪い」
「柊さん」

ミチが柊の手を握る。柊はミチを見れば頭を優しく撫でた。

「悪いな。おれは今ほっておけないメダロットが居るんだ。彼が確かな人の所に行くまでメダロットの契約はしないって決めてる」
「じゃ、じゃあ、そのメダロットが違ういい人を見つけたら、私の所に来てくれますか」

柊は首を横に振った。
「俺は今所属しているギルドがあるし、なによりここは男子禁制の村だ。そこの村の長をやっているあんたが男であるおれと契約するわけにはいかないだろ?」
「じゃ、じゃあ」

柊は腰を下ろしてミチと視線を合わせる。その光景にササは思わず息をのんだ。

「ミチ。俺と離れて三年も経つ。村もこんなに大きくなった。あんたは俺が居なくても大丈夫だよ」
「……はい」

落ち込んでいるミチの頭をなでてから柊はササと視線を合わせて先を歩いた。ササはミチに頭を下げてから後ろをついて歩く。少し離れた所から供の者がついてきているのを確認してから、ササは柊に聞いた。

「なんでダアトに言ってあげないの」
「何が?」
「ほっておけないメダロットってダアトの事でしょ?」
「……そんな言い方しあらせんせ拗ねちゃうだろ」
「でも」
「せんせとの契約はせんせが他の誰かの所に行くまでって決めてるんだ。それはせんせも知ってる」
「そうなの?」
「ああ。おれはせんせと契約するほど立派なメダロッターにはなれないから、あくまでも代用品だ」
「代用品って」

柊は肩を震わせて笑った。

「ミチや皆には悪いけどさ、おれはせんせは一番このゲームで強いとおもんだよ。戦うことは誰だってできるけど、あそこまでの知識とサポート力はせんせじゃないとできない。ちゃんとそれを理解できるメダロッターと出会えた時、俺はダアトに恩を返せるんだ」
「恩って何?」
「恩は恩だよ。ササだって、恩を感じて大事に思う相手がいるんだろ?それと一緒さ」

ゲームside 14 分かれ道(6) ( No.110 )
   
日時: 2018/10/14 23:34
名前: 雪の城

山を下りるまでずっとレンとダアトは無言だったが、その重い空気を払拭したいメタビ―はリオとターコイズにずっと話をしていた。内容はササの失敗談が多いからリオは右から左へと流すことで誤魔化していたが、時々李皇としては笑えないものもあったので一部心のうちにとどめることにした。
だがその話もどんどんネタがなくなってきたのか、同じネタも話すようになってきた頃山が開けてきた。
山の向こうには分かれ道が見え、柊とササが立っているのが見える。
メタビ―の声が弾む。

「自分の主人に会えるのってやはり嬉しいものなのですね」

ターコイズが言った言葉にリオは頷く。

「そうみたいだ。お前ももう少しで会えるから、期待していてくれ」
「ですが、私には記憶が」
「大丈夫だ。会ったら思い出すさ。もしダメでもフォローはする」
「ありがとうございます。リオ様」

森を抜ければササが走ってこちらへ向かってきた。それを見たメタビ―も走ってササへと向かう。

「ササ。無事だったか」
「うん。メタビ―も変わりなくてよかった」
「おうよ」

ササの視線がリオたちに向かう。ササの後ろからついてきた柊がレンを見て首をかしげる。

「どちら様?」
「あ」
「あ?」

リオとメタビ―は視線を合わせる。レンは一礼した。

「俺はダアトの主人のレンです」
「あ?」

柊から聞いたこともないぐらいドスのある低い声がした。思わず武器を構えそうになる。隣にいるターコイズはしっかりと構えていた。

「ば、ばか。まだ俺は了承してない」
「でも契約している人は誰もいないと言ってただろ。まだ望みがあるということじゃないか」
「ねぇよ。んなもん」

柊が否定する。ササが苦笑いする所をみるとおそらく女村で何か話したのだろうか。
ダアトが言う。

「なんでお前が言うんだ」
「俺が今のお前と契約している者だろ」
「どういうことだ、ダアト」
「柊と交わしているのは仮契約だ。あと、それも破棄する予定がある」
「は?聞いてねぇ」
「言ってないからな」

柊がレンを睨む。メダロットだろうとプレイヤーだろうと斬り倒す所を見てきただろうか、彼の睨みはリオですら身が竦みそうになる。

「で、こいつと契約するって?誰だよ。この男は」
「俺の前の主人だ」
「……冗談だろ」
「本当だ。俺が前の主人っ」

レンが話している途中で柊が一瞬でレンの前に現れ、腰に差していた合口を抜きながらレンを蹴り倒し彼の胸に片膝を置き喉元に刃を這わせた。
一瞬の事に反応が遅れたリオ達は柊の只ならぬ雰囲気を感じ取り、距離を取る。

「柊!レンになにを」
「黙れ!」

柊の怒声は何度か聞いていた気がするが、今までのものが冗談の範囲で怒っていなかったのだと感じるぐらい、鋭い殺意を感じるものを感じた。
隣でターコイズが構える音がした。

「柊」
「よくもノコノコとダアトの前に出てきたな」

レンは口をぱくぱくと開閉させるだけで何も言葉を発することができない。だが柊はレンに殺意を向けたまま言う。

「スナイパーメダルをつけたものが「しかける」と「たすける」のパーツをつけ脚部は「車両」のままでいて生きていけると思ったのか。
ダアトがお前に裏切られてどれだけ苦しんで悲しんだのか解っているのか。
何も知らないくせに調子よく現れて、主人だなんてよく名乗る気になったな。ああ?」

レンの口から悲鳴が漏れ、柊が膝を乗せている彼のひざ元から鈍い音がした。

「柊さん、だめです。それ以上は」
「こいつはダアトを殺すつもりだったんだ。それを許せるはずがない」
「ちゃんとこいつ反省してたぜ」

メタビ―が言う。柊は視線をレンに向けてからダアトに向ける。

「反省してたらさ、過去にしたことも帳消しになるのかよ」
「……俺は、許してる。仕方なかったと思ってる」
「そうかよ」

柊は合口をしまうと立ち上がった。レンから離れてダアトの方へ向かい、正面に立って言う。

「せんせが許してるのなら、もういい。好きにしろよ。でも、俺は、絶対に許さない。だから一緒に行動するのも許すつもりはない」
「解った。世話になった」

ダアトは柊から離れ倒れたままのレンの方へ向かう。
柊はリオの肩を軽くたたくと口だけで笑った。

「リオ。行こうぜ」


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