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RSSフィード メモリアルリミット ~Limit of memories~

日時: 2013/05/25 02:20
名前: メダフィーミング・KR

◇諸注意&余談的近況報告
 皆さん、こんばんは。このHNを名乗るのも何年ぶりだろうというくらいご無沙汰しております。
 今回の私の小説ですが、前作"記憶を旅して"の正式な続編となりますので、前作をお読みくださると嬉しく思います。
またメダロットに関係ない恋愛小説ですみません! マイペースに書いていきますので、お付き合いいただければ幸いです。


◇あらすじ
 確かな記憶を取り戻し、最も大切な人の存在に気付いた夢原深也。それを可能にした幼馴染の春崎望。
困難を乗り越え、幸せを得た二人に奇妙な兆候が表れ始めたのは、あれから一年の歳月を経て、高校卒業を間近に控えた頃だった。
 成長した二人の織り成す恋物語が、今再び動き始める――


◇メモリアルリミット ~Limit of memories~ (本編)
~目次 Contents~
>>1 ~登場人物 Characters~&~序章 Prologue~
>>2 ~第1章 Anniversary~
>>3 ~第2章 Recollection~
>>4 ~第3章 Suggestion~
>>5 ~第4章 Graduation~
>>6 ~第5章 Celebration party~
>>7 ~第6章 Newcomer~
>>8 ~第7章 Conversation~
>>9 ~第8章 Recreation~
>>10 ~第9章 Movie theater~
>>11 ~第10章 Time of us~
>>12 ~第11章 Preparation~
>>13 ~第12章 University life~
>>14 ~第13章 Shade of heart~
>>15 ~第14章 Driving school~
>>16 ~第15章 Confusion~
>>17 ~第16章 Suddenly~
>>18 ~第17章 Reflection~
>>19 ~第18章 Sea and BBQ(1/3)~
>>20 ~第19章 Sea and BBQ(2/3)~
>>21 ~第20章 Sea and BBQ(3/3)~
>>22 ~第21章 Fireworks display~
>>23 ~第22章 The first driving~
>>24 ~第23章 Doubly blessed~
>>25 ~第24章 Music festival~
>>26 ~第25章 Calculation~
>>27 ~第26章 Discouragement~
>>28 ~第27章 Ring of the oath(1/2)~
>>29 ~第28章 Ring of the oath(2/2)~
>>30 ~第29章 Sorrowful back~
>>31 ~第30章 Lovers' quarrel~
>>32 ~第31章 Invitation by Mai(1/2)~
>>33 ~第32章 Invitation by Mai(2/2)~
>>34 ~第33章 Second anniversary(1/2)~
>>35 ~第34章 Second anniversary(2/2)~
>>36 ~第35章 Presentiment~
>>37 ~第36章 Start of accident~
>>38 ~第37章 Advice of Mai~
>>39 ~第38章 Reason for the rage~
>>40 ~第39章 Farewell letter~
>>41 ~第40章 Lost of memories~ 【望side1】
>>42 ~第41章 Anguish of Shinya~
>>43 ~第42章 A wonder person~ 【望side2】
>>44 ~第43章 Determination~
>>45 ~第44章 Blackout~ 【望side3】
>>46 ~第45章 Everlasting love~
>>47 ~終章 Epilogue~
>>48 ~筆者のあとがき~


◇メモリアルリミット ~Side memories~ (短編)
~目次 Contents~
>>49 ~第1章 二人の馴初め~  【五月side】
>>50 ~第2章 男は黙って謝罪~ 【五十嵐side】
>>51 ~第3章 あたしは大丈夫~ 【九条side】
>>52 ~第4章 守りたい人なら~ 【桜木side】
>>53 ~第5章 歩いていこう~  【初音side】
>>54 ~第6章 退院おめでとう~ 【司馬side】
>>55 ~本当に 最後のあとがき~ 【筆者side】


◇最終更新
 2013/5/25 メモリアルリミット短編 
       ~第6章 退院おめでとう~【司馬side】
       ~本当に 最後のあとがき~【筆者side】投下。
 全章完結!



Re: メモリアルリミット ~Side memories~ ( No.52 )
日時: 2013/05/15 21:00
名前: メダフィーミング・KR

◇~第4章 守りたい人なら~【桜木side】


 八月五日。今年も夏本番がやってきた。今日の最高気温は今シーズンで最も高いらしい。
俺は夏が好きじゃない。俺の幼馴染は夏が好きなようだが、俺は暑いのが嫌いだ。
 ただでさえ暑苦しくて忌々しい季節だってのに、じめじめうじうじしてる野郎が俺の知り合いにいるから、堪ったもんじゃない。
俺はそいつが好きじゃない。何か腹立つ。
 事情は麻衣や司馬から聞いていた。何でもそいつの彼女が大変なことになってるらしい。
大変なことって何だよって話だが、詳しいことは麻衣や司馬も分からないようだ。
 俺も取り立てて関心があるわけではないし、他人の込み入った事情に首を突っ込むと、総じて地雷を踏むことになると理解している賢しい俺は、傍観者の立場を崩さない。
 しかし今回はどうにも心の中がモヤモヤしてしょうがない。
ただ一つ確かなのは、麻衣はそいつに気があるってことだ。俺はそれがどうにも気に入らないんだろうと思う。
 せっかく麻衣が自分の感情にケリつけて、そいつの背中を押してやってるってのに、そいつがじめじめうじうじしてるもんだから、俺はここんとこずっとヤキモキしてる。
 そいつがウジウジしている分には別にどうでもいい。俺には関係ないし。
でもその影響で、麻衣まで元気がなくなるなら話が違ってくる。麻衣は俺の大事な幼馴染だから。
 あいつが幼馴染である彼女のことには必死なように、俺だって麻衣のためなら必死になる。
そこに理由なんて存在しない。強いて言えば"守りたい人だから"なんだと思う。
 とにかく、俺は俺のやり方であいつの背中を押してやらなければならない。
勘違いするな、全ては麻衣のためだ。だから――お前が男らしくいなきゃダメなんだよ、夢原。


 俺は夢原を電話で呼び出した。俺の方からあいつに電話したことは一度もないし、今後もするつもりはない。
今回は唯一の例外だ。だから夢原はひどく驚いた声を出した。
『桜木か……何の用だ』
 何の用だ、とは不躾だな。まぁ長々と話す間柄でもないし、その方がいいんだが。
「お前に話がある。会って話したい。これから出れるか」
『会って話したいって……これからすぐに? 電話じゃダメなのか』
 電話越しにも躊躇う様子が伝わってくる。無理もない、逆の立場なら俺でも断る。
「ああ、大事な話だ。場所はお前に任せる」
『……今、ちょっと取り込んでるんだ。一人で考えたい。だから、また今度に……』
 夢原は歯切れが悪い。分かってる、彼女のことで悩んでるんだろ。俺もその話だ。
「お前に守りたい人がいるように、俺にも守りたい人がいる。夢原、来い」
『……分かった。じゃあ一時間後に、場所は○○駅の近くにある○○公園で』
 それでも夢原は逡巡していたが、やがて観念したように呟いた。
 俺の有無を言わせぬ強い口調で、どういう話なのか大体の検討が付いたらしい。
「ああ、すぐに行く」
 そう言って、俺は電話を切った。確か○○駅は夢原の自宅の最寄り駅だったはずだ。
俺の家からだと電車で四十分近くかかる。さっさと支度して家を出ないと間に合わない。
 本当なら俺がここまでしてやる義理はない。だが、麻衣のためだ。やむを得まい。


 ○○駅の北口改札を抜け、右手に三百メートルほど歩いた場所にその公園はあった。
 申し訳程度の砂場に、ブランコと滑り台しかない、正直言って寂れた公園だった。
この炎天下では遊んでいる子供もいない。当たり前だ、俺だって本当なら今すぐ帰りたい。
 何だってこのクソ暑いのに、外の公園なんか指定しやがったんだ、あのバカ――。
 俺は心の中で悪態を吐きながら夢原を探した。夢原は日陰のベンチに座っていた。
「呼び出しておいてアレだが、何でこんなところを指定したんだ」
 あまりに暑いので、本題より先に文句が出てしまった。
「大事な話だって言うから、人気のないところの方がいいと思ったんだ」
 まあどっかの洒落たカフェで話すことでもない。野郎二人で入っても楽しくない。
「それで、今日は何の用なんだ。申し訳ないが、手短に頼む」
 夢原は俺と目を合わせることなく、ポケットに手を突っ込んだままで言った。
 俺は多少ムッとしたが、暑いのは確かだったし、我慢して本題に入ることにした。
「麻衣から聞いた。もし俺がお前の立場だったら、同じように途方に暮れていたかもしれん。
 部外者である俺が言えた義理でないことは分かってるが、それを承知で言わせてもらう。
 部外者だから見える視点ってのもあるんだ。だから……お前は、迷うな」
 俺の要領を得ているとは言い難い言葉に、夢原は訝しむように眉を顰めている。
「例え春崎さんがどんな状態にいようと、お前は彼女を信じろ。そして彼女が信じたお前自身を信じろ。
 春崎さんを救えるのはお前だけなんだ。お前が彼女の道標だ。違うか?」


 夢原は口籠っていたが、やがて顔を上げた。苦虫を噛み潰したような表情だった。
「簡単に……言うなよ。あいつは……望はもう、俺の知ってる望じゃないんだ……」
 何だって? 俺の知ってる望じゃないって、何だよ。俺は一瞬、言葉を失った。
「あいつは……俺やお前たちと過ごした記憶を全部っ、何もかもっ、忘れてっ……」
 夢原は嗚咽を噛み殺し、涙を見せまいと必死に唇を噛み締めていた。
 それが俺の初めてみる、夢原の弱さだった。
 俺が浅はかだったのか? 所詮事情も知らなかったくせに?
「バカ野郎っ」
 俺は怒りに身を任せ、夢原の胸倉を掴んだ。やつは目に涙を溜めたまま俺を睨む。
「だから何だってんだ? そんなことで、お前は彼女を諦めちまうような腰抜けクズ野郎だったのかよ。
 見損なったぞっ。男なら、どうしても守りたい人がいるなら……掴んで離しちゃいけねえんだよっ。
 さっさと行けよ……手遅れになる前に。とっとと行けっ!!」
 俺は吐き捨てるように言い、同時に夢原の胸倉を離した。夢原の目の色が変わった。
「桜木……悪い。俺、行ってくる。望のところに。ありがとな」
 それだけ言い残して、夢原は俺に背を向けて駆け出した。全く、世話が焼けるやつ。
おかげで柄でもなく大声出しちまった。誰かに見られでもしてたら厄介なことになるだろ。
 まあ……怒りを抑えられなかったのは、夢原にというより、俺自身に対してだった。
俺が麻衣にしてやれることがなんなのか。もどかしい思いを抱えて、踏み出せない自分に。
 夢原――お前は強いやつだよ。俺なんかよりずっとな。だから、迷う必要なんかない。