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RSSフィード リレー小説 メダロットRise
   

日時: 2012/10/29 01:08
名前: 凍零

※お知らせ
・今まで使っていた「リレー小説 メダロット ライズ」は都合上、凍結することになりました。
 これからはこちらで話を進めていきたいと思います。
 ご迷惑をおかけしますが、今後ともよろしくお願い致します。
・メンバーに雪の城さんを追加しました。



リレー小説をやるにあたって
■順番(略敬称)
1:凍零
2:ゼブラー
(3:鎌兎)
(4:土竜)
5:カヲトリス
6:地
7:雪の城


一周したらまた最初に戻ります。
()がついている間、その人の順番は抜かしてください。

■この小説について
今まで「リレー小説 メダロット ライズ」で投稿していた話を再構成し、設定等も一部変更しています。
なので、上記の小説とは全くの別物と思ってくださって構いません。

■注意事項
・次の方が投稿するのは、前の方が投稿し終えて3日経ってから。3日経ってからの1週間以内が基本的の原則です
※修正期間中は10日間ルールは無しで、書いた人の次に書く人も、同じ日に投稿してくださって構いません。
ただし、一日一周のみです。

細かい事等に関しては「リレー小説 メダロット ライズ」を参考にしてください。



Re: リレー小説 メダロットRise ( No.57 )
   
日時: 2012/08/24 00:18
名前:

第32話「月島一歩によるビッグブリッヂの死闘
        または雨月惣葉による最終決戦に向かう敗北の物語
                     そして河内拓馬による妖星乱舞」



「おいおいお嬢さんどうして俺達だけここで待たされるんだ?」

郷屋ヒロキは不満を漏らした。

「葉奈だけ通して俺達だけってのはなぁ」

空条マサキも同様に不満を漏らす。

「クククク……本来なら君達も月島葉奈ですら城には入れなくなかったところ。神が仰るから仕方なく通したんだ」

F・G・シャインもまた不満そうに理由をはなす。

「でもこんなところで待機させられるだけってのは我慢ならないぜ!!」

シュラは激しく異議申し立てをした。


「君は僕にした事を少しでも覚えていればそんな事はいえないはずだ!!!」

F・G・シャインは激昂した。


と、その時葉奈が戻ってきた。
葉奈は息を切らして走ってき、ヒロキ達を見つけるなり有無を言わさぬ態度で叫んだ。

「ヒロキ!マサキ! あと、途中で拾ったメダロット!」

「シュラだ!」

「今すぐビッグブリッヂまで頼む! 兄貴とギルドが見つかった!」

ヒロキとマサキは何も言わず、ただニヤリと笑いながら親指を立てると2人でシュラを担いで葉奈と共に城をあとにした。
F・G・シャインはその様子を見ながら思う。
今の話を聞くにシュラと葉奈達は元々知り合いだったというわけでなく、本当にここに来る途中たまたま出会っただけ。
そのシュラを兄弟を救う戦いに連れていくというのはどういう神経なのだろう、と。

そのお人よしは弱点なのか……はたまた彼女を物語の主人公へと昇華させる武器となるのか……




―――ビッグブリッヂ―――――――――――――――――――――――――――――――――――



月島一歩はパートナーのギルティ、愛称ギルドと共にビッグブリッヂへと訪れた。
罠かもしれない。
着くや否や、囲まれて、抵抗するまもなく殺されるかもしれない。
「あまり軽率な行動ばかりしてるとお前ら……死ぬぞ」という先ほどの男のセリフを思い出す。

しかし、彼らは決して軽率な行動をしていない。
己の命とここまで連れてきてくれた仲間の命、救うならば後者の命だと確固たる意思を固めてきた。

ナコムは棺桶を背負ってそこに待っていた。
彼の背後には3人の仲間たちが疲れ切った顔で拘束されていた。

「約束どおり来たか」

ナコムは目をギラつかせて笑みを浮かべた。
一歩はそのナコムの目をまっすぐに見据える。

「俺たちがお前に勝てば3人とそのパートナーのメダルは解放してくれるんだな?」

ナコムが「その通りだ」と相槌を打つと、ギルティが更に確認を行う。

「それから、ヴィレッタの体も返してもらえるんだろうな?」

ナコムは「おっと忘れていた」と棺桶の中からすでにメダルを失ったヴィレッタの肢体を取り出す。

「勿論。持って行きたきゃ好きにしな」

そして、ヴィレッタを乱暴に時雨たちの方に放り投げる。
もはやヴィレッタには心はなく、命もない。
だがしかし、すでに魂無き体でもせめてもの葬り方をしてやろう、とギルティは決意した。

「そろそろ始めようか」

笑みを消し、真剣なまなざしでナコムはギルティを見据える。
そもそもナコムが目指したものはギルティとの直接対決。
人間の虐殺でもなんでもない。
自らの友を破壊した原因を作ったギルティとの戦い。

ただし、それはギルティが倒れなければの話。
人間を憎み、人間を恨み、人間を呪うナコムは、ギルティを撃墜し、自らの柵を取り除けば、自らの理性を投げ出せば……
ひとたび、虐殺を繰り返すだけの生きた屍となることだろう。

それを分かっていながらナコムはギルティの撃墜を望む。
友を撃墜された悲しみを持っているうちに、友との思い出を覚えているうちに、闇軍団のコマンダーとしてギルティへ挑む。

「始めようか」

ギルティもまたナコムを真剣な表情で睨む。
ナコムの覚悟を全て受け止め、ある意味では1人のライバルとして見据える。


「「ロボトルファイト!!!」」


そして、2人の戦いは始まった。
『理性を保っていられるシステム・SHADOW』で強化されたナコムがまず攻撃を仕掛ける。
システム・SHADOWによって何倍にも強化された弾幕がギルティに襲い掛かる。
初めて月島家で対峙したときとは比べ物にはならない威力だが、ギルティもまたあの頃とは違う。
ここに来るまでに様々に辛酸を舐めさせられてきた。
フォーミュラーフレームナンバー0を名乗る謎のメダロットエグゼリオ……
闇軍団ギガコマンダープラダ……
自身の想像にも及ばない化け物たちを相手にしていた。
その化け物たちを知った今、システム・SHADOWで強化されたナコムに恐れおののくギルティではなかった。

ギルティは襲い掛かる弾幕を横に大きく跳びながらかわし、地面を転がりながら着地する。
すかさずギルティもまたナコムに向かって弾丸を放つ。

するとあっさり過ぎるほどナコムはギルティの弾丸を頭に喰らう。
最初からよける気など無かったかのように。

「まだまだだぜ……ギルティ!」

しかし、ナコムはまるで今のギルティの攻撃が無かったかのように立ち上がる。
システム・SHADOWを搭載したナコム最大の特徴はこのしぶとさなのかもしれない。

「ギルティ……まだいけるか?」

そばにいた一歩が問う。

「当たり前だ……これくらい覚悟していたさ」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「リターン・マッチだ、ベリアル。今度は正々堂々叩き潰す……ッ!!」

フォーミュラーフレームナンバー2バロン、エグゼリオを除き、覚醒に最も近いこのフォーミュラーはナンバー3ベリアルに再戦を挑んだ。
対し、ナンバー3ベリアルもまたこの挑戦に対し、積極的に受け入れた。

「GAUUUUUUU……」

四足でしっかりと地面を踏みしめ、バロンを睨む。
バロンはベリアルの瞳の向こうにある何かを見つめて満足そうに言う。

「ここに来るまでの間に何があったかは知らんが、随分といい目をするようになったな……」

「GAAAA!!!」

戦いの始まりはベリアルの攻撃から始まった。
稲妻を地面に描くようにして超スピードでバロンに接近する。
奇襲、不意打ちとも言えるベリアルの攻撃だったが、バロンはこれを盾で防御、ベリアルの動きを止める。

「GRUUUUUUU……」

ベリアルの目からは強い戦意と意思を感じる。
絶対に負けたくない、敗北に、自身の弱さに対する激しい拒絶がそこにはあった。

「ほぅ……本当に何があったのだ」

その時、ベリアルの後方でベリアルに向けて大きな声で指示を出す者がいた。

「ベリアル離れろ! その盾は盾であり、射撃パーツだ!」

それを聞くやいなやバロンは盾の目の前にいるベリアルに向けて盾に取り付けられた銃火器を発射した。
が、しかし、そこにはすでにベリアルはいない。
見ると、先ほどまで腰を抜かしていた雨月惣葉は立ち上がり、ベリアルはその前に立ちふさがっていた。

「ク……いっつ……!」

「ソウハ大丈夫か!?」

頭を抑えながら苦痛の表情をする惣葉をベリアルは心配そうにみる。
雨月惣葉に起こった異常はまさしく、ナンバー2バロンそして、そのパートナー叉月心火が現われたときから起こっていた。
どうにも、この心火という男の顔を見れば見るほどに、惣葉の頭痛はひどくなる。

しかし、それに反してロボトルにおける状況判断は鋭くなりばかりで、また勝利への欲望も大きくなっていた。
いやそれだけではない。
本来惣葉はバロンの性能など知らないはずである。
にも関わらず惣葉はとっさにバロンの性能を知っているかのようにベリアルに指示を出した。

まったく未知の存在でありながら懐かしいような気がするメダロット……バロン。
彼に対し、いつものように恐怖しながらも、彼についてもっと知りたいという好奇心が同居していた。
不安定で混沌とした精神状態でありながら、惣葉はいつもよりも落ち着いていた。

「俺に何が起こっているかわからないが……ベリアル、チャンスだ……ヤツに勝つぞ!!」

雨月惣葉は頭を抑えフラフラとしていたが、かつて無いほど好戦的な目で叉月心火とバロンをにらみつけた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

続く

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.58 )
   
日時: 2012/08/14 07:29
名前:


エデン城では戦局に変化が生じていた。
元々、数回に分けた攻撃での長期戦を仕掛けることで、
城を守っていたヴァレンをじわじわとなぶり殺しにする作戦であった闇軍団だが、
N・G・ライトの帰還で戦法を変えざるを得なかった。

そう、つまり、総力戦。
現在、輸送艦「マッドマン」で詰んできた全ての闇軍団が一斉にエデン城に向けて攻撃を仕掛ける。
ビッグブリッヂ付近にいた戦闘員達もナコムを除き全員エデンに集中させ、ほんの気まぐれで遊びに出かけていたプラダも偶然ではあるが戻ってきていた。

そして、それだけではない。
そもそもN・G・ライトがその程度で倒される相手だったのであるならば、最初からギアスは彼を騙して呼び出すようなまねはしなかった。
まだ足りない。
N・G・ライトのいるエデンに打ち勝つには、彼に対抗できるだけの戦力が必要だった―――――――――――



『敵軍、攻撃を開始しました!!』

エデン城中にアナウンスが響く。
しかし、今回のアナウンスはそれだけではない。

『ギ、ギアスです!! 敵の中には総帥ギアスがいます!!』

そのアナウンスの直後、別のアナウンスが流れる。

「ギアスの相手は私、N・G・ライトに任せろ。他のものは城の防衛を頼む!!」

N・G・ライトは自室から全体に向けたアナウンスをすると、すぐにエデン城の出口へと急ぐ。
その途中で同じく戦場に向かうヴァレンを見つけた。
ヴァレンは壁にもたれ腰を下ろし休んでいたが再び戦場に立つために立ち上がる。

「もう限界ではないのかい?」

ヴァレンに対してシャインが心配をして声をかけたいた。
城に戻るたびにシャインによる回復を受けていたヴァレンであったが、蓄積されたダメージはもはやシャインの回復でも全快できないほどとなっていた。
本当は立つだけでも精一杯ではないかとシャインは何度も思ったのだが、この男はこれまで闇軍団の攻撃を全て防いでいる。

ヴァレンはN・G・ライトを見つけると、気丈に振る舞った。

「何気におっせーんだよジジイ」

N・G・ライトはあえて、ヴァレンを心配した様子を見せずに言う。

「おそらくギアスが出てきたのは、私を他の戦闘に関わらせない為だ……お前に任せてもいいのだな?」

一度何かを決意したこの男はてこでも動かない。
こちらに出来るのはその意思の確認だけだ。

「何気に問題ない……」

ヴァレンは無理に笑って、また戦場への扉をくぐる。

「ルクにこの国を守りぬくと約束したんだ……ここで引いたら嫌われる」

N・G・ライトもヴァレンと同じく、戦場への扉をくぐる。

「死ぬなよ。死ななければ国を守った報奨はいくらでもできるからな」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


河内拓馬と愉快な仲間達はエデン城へたどり着いた。
河内たちがたどり着いたと同時にエデンの門から2体のメダロットが現われる。

1体はトランプのジョーカー型メダロット、ヴァレン。
門を出るやいなや、門の前に仁王立ちになった。
もう1体は神?型メダロット、N・G・ライト。
門を出るやいなや、上空から迫りくる金色のメダロット、闇軍団総帥ギアスに向かって飛んでいった。

そして、河内は見つけた。
闇軍団のメダロット達が次々にヴァレンに襲いかかるのを遠くからニヤニヤと見つめているメダロット、プラダの姿を。
本来ならば、河内が取るべき行動はこの島の脱出だった。
しかし、河内はプラダを追った。
あのメダロットは放置してはいけない、直感したからだ。
ただ、自分達の任務に支障を来たすだけではない、あのプラダというメダロットはあらゆる者を不幸にする恐ろしさを秘めていた。

「……いくぞ」

河内の合図と同時にメッシュが飛び出す。
右手に握りしカリパーを振り上げ、プラダに奇襲をかける。

「おっと危ない! 中々いい殺気だぜ? お前?……が、駄目…!全然駄目…!」

プラダは難なくかわし、攻撃に転じる。

「さぁ! 奇襲に失敗したお前がどうなるか教えてやろう…! 敗北…! 死亡…! 絶望だぁ…!!」

プラダは氷の槍ををつくり、攻撃したばかりで、体勢の崩れたメッシュに撃ち込む。
体勢の崩れたままではゲンジによる防御も間に合わず、万事休すのメッシュ……のはずだったが
メッシュの前にデスティニーが立ちふさがり、光の壁で氷の槍を反射する。

「まださ…まだデプレッション…絶望するには早い」

反射され、プラダに真っ直ぐに飛んでいく氷の槍……しかしそれもまた壁に阻まれる。
プラダに作り出した氷の壁に。

プラダは自分の攻撃を見事にいなした2体(本当は5体)のメダロットをとても満足げにニタニタとしてみる。

「フフ……フハハハッハ! 愉快だ愉快だぜお前ら! いい反応だねぇ……だからそこで隠れてる人間さんも出ておいで!」

プラダは氷の槍を近くの茂みに向かって投げる。
その瞬間、茂みから河内が飛び出してきた。
先ほどまで河内のいた茂みの周りはプラダの能力によりカチコチに凍った。
飛び出さずにあのままあそこにいたと思うと、河内は背筋が凍るおもいだった。

プラダは2体と1人の行動を高く評価していた。
高い性能を持つ2体のメダロットは勿論、自身こそが弱点になると察知していたが故に姿を隠していた河内。
おそらくこの作戦を考えたのは河内だろう。
次に河内たちが、同様な行動にでて、どう自分を攻撃するのか。
そして、自分が見事にそれをいなし、こいつらを殺すことを想像すると嬉しさのあまり絶頂を迎えそうであった。

「ハッハッハッハ……! ところがどっこい……! メインディッシュは貴様らではありません……! 残念…ざぁ~んねぇ~~~ん!!!!」

高笑いするプラダを見て初めて気が付いた。
メッシュ、デスティニー、河内の足元が凍り付いている。
そして、メッシュに装備されている3体のメダロットに関しても同様に、僅かに地面に着いているところで凍らされて身動きが取れない。
派手な笑いと言葉にばかり注目していた隙に、プラダは気付かれぬよう静に…しかし俊敏に…あたり一面を凍らせていたのだ。

「ここで貴様らをゆっくり殺してたいとこらだが……今が最ッ高のチャンスなんでね……このままエデン城が崩れるのをみてな
 そして、希望を失ったお前らを戻ってきてゆっくりと……ぶ・ち・こ・ろ・し♪ ヒャーッハッハッハ!」

プラダは甲高く笑ってエデン城城門へと向かった。
その様子を1人と5体は氷から足を抜こうと必死でもがきながら見送るしか無かった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ギルティとナコムの戦いは長期に及んでいた。
が、ナコムの圧倒的生命力にギルティは息を切らしており、どちらが優勢は火を見るよりあきらかだった。

「ギルド! あの棺桶だ! あの棺桶がナコムのシステム・SHADOWを機動させている装置だ!」

一歩がギルティに指示を出す。
しかし、ギルティは決して棺桶を攻撃せず、ただひたすらナコムを攻撃し続けていた。

「ギルド! だから……」

「分かってるさ、一歩。でもダメだ。この戦いはそんな終わらせ方じゃダメだ」

ギルティはこの戦いにおけるナコムの戦意にある種の敬意のようなものを感じていた。
よくよく考えれば、ギルティもナコムも立場は同じだ。
お互いに相手によって親友を殺され、そして、それに対する恨みも大なり小なり持っている。
これは、友をかけた戦いなのだ。

「この戦いは相手の弱点を突くとか、意表を付く様な奇襲とか、そんなので勝っちゃダメなんだ……」

ギルティの言葉に同調するように今度はナコムが言う。

「〝負けたと思うまで負けない〟!! それがこの死闘だ……だから俺は絶対に負けない! 負けないと思っているからなぁ!!」

負けたと思うまで負けない。
簡単に言えば、心を折ることが勝利条件となるこの戦い。
しかし、その条件で言えば、明らかにギルティの方が不利である。
無限コンティニューのできるナコムに負けを認めさせるような一撃を入れなければナコムには勝てないが、しかし、ギルティにはそんな体力はもう残っていない。

と、そこにボロボロのフィアットが到着した。

「ギルドーーー!! 兄貴ーーー!! 無事かぁ!?」

「葉奈!?」

一歩とギルティは振り返る、そこには数日前に分かれた一歩の妹、葉奈の姿が。
思わず、駆け寄る一歩。

「葉奈ぁーー無事だったのかぁ!!」

そして、熱い抱擁をし、感動の再開を祝う、兄弟愛を演出……のつもりだったが葉奈は一歩の顔面に跳び蹴りを入れていた。

「エデン入りするの遅すぎだろーー!!」

「ウボァ……!」

その様子を見ていたヒロキとマサキは思った。

「イイハナシダッタノニナ-」

相変わらずの妹にある意味で安心する一歩だった。
そして相変わらずの兄にやはり安心する葉奈だった。

「あぁそうだ、ギルドの戦いに助っ人連れてきたよ!」

葉奈はシュラを紹介する。
途中、出会ったばかりなので詳しくはしらないが、なにやら闇軍団のやり方についていけず、闇軍団を裏切った凄腕メダロットらしい。

「ヒャッホゥー! 俺が着たからには百人力! ついでにビッグブリッヂ効果で千人力だ!」


「あ、悪いけど、そういうの無しで」

「え?」

一歩はこの状況にいたるまでの経緯を掻い摘んで説明し、この戦いにおけるギルティとナコムに手出し無用ということを伝えた。
シュラがシュン…としたが、しょうがない、とフィアットに戻っていった。

、とその時、葉奈と一歩の足元までギルティが飛んできた。
ナコムの攻撃をモロに喰らってしまったらしく、傷が深い。

「「ギルド!!」」

思わず叫ぶ2人。
しかし、間髪いれずナコムの攻撃がギルティに襲い掛かる。
いや、ギルティだけではない。
一歩と葉奈にもその弾幕は襲い掛かった。

ナコムはギルティしか狙っていなかった。
偶々、ギルティとナコムの近くにいたため、攻撃範囲に2人が入ってしまっただけだった。
そうでもなければ、ナコムは決して2人を攻撃しなかっただろう。
ギルティがナコムの棺桶を狙わなかったのと同じで。

「うおおぉぉぉーーーー!!!」

ギルティは葉奈と一歩の前に立ちふさがり、ナコムの弾丸を全弾受けた。
一歩と葉奈はそこから動けずに、ただそれを見ていた。

当然、ギルティは倒れる。
そして、ナコムはギルティが立ち上がらないこと確認して銃をおろした。

「これで決着か……つまらない最後だったな……それでは……」

ナコムは橋を爆破するスイッチを取り出し、ボタンを押そうとする。

「……待…っ……て…………!!」

ギルティがゆっくりと立ち上がる。
フラフラとした足取りで、もうこれ以上戦えない様子だ。

「まだ……勝負は…ついていない……ぞ……」

「もういいギルド!!」

一歩が思わず、ギルティの肩に手をかける。

「ギルド、後はシュラに任せて……」

葉奈もまた、ギルティの肩に手をかける。

ギルティはそれでも引かない。

「ここで……引いたら……俺の負けになっちまう…それじゃ………それじゃあ……」

ギルティは2人を手を振り払い叫ぶ。


「 俺 は ヴ ィ レ ッ タ に 何 も し て や れ な か っ た 事 に な る ! ! 」


と、その時、ギルティの体が輝く。

同時にナコムの後ろのヴィレッタの体も同様に輝いた。



(ありがとう……ギルティ……)

ヴィレッタの声が聞こえる。

(でも……あたし以外の友達の事も考えてやりな!!)

「ヴィレッタ……お前……お前」

(そこの2人の親友を大切にするなら、あたしが最後に力を貸してやるよ!!)




光が収まる。

そこにはギルティがいた。

しかし、いつものギルティではない。

頭や脚部は普段と違うが、両腕のパーツが違う。

紅く……そして、カタールソードという独特な形のソードを持つ、いつもとは違うギルティの姿。

まるで……ヴィレッタのように。

「「ギルド!?」」

ギルティは何かを悟ったように冷静に言う。

「すまなかった一歩、葉奈。2人心配をかけた。でも……この一撃だけは見届けてくれ……これでダメだったら、今度は2人の言うとおりにするから……」


ギルティは両腕を構え、ナコムに向ける。
ナコムはそれを受けて、同様に構える。

「ナコム……この攻撃が俺の本気の攻撃だ」

「やっと本気かよ? 遅いな、オイ」

両者、真剣なまなざしで見つめあう。


「おらぁああぁぁ!!!」

ナコムが両腕の射撃パーツを全力で撃ちまくる。
その射撃範囲たるや凄まじく、ナコムの後方以外にビッグブリッヂ上に逃げ場が無いほどである。
無論、ギルティの近くにいる葉奈と一歩もその例外ではない。

「おおおぉぉぉおお!!!」

対してギルティはそれを迎え撃つ。
両腕についているソードが〝発射される〟。
そしてそのソードは超高速でうねうねと跳びまわり、ナコムの攻撃を全弾防ぐ。

「何ィ!?」


そして、その後空中でソードは方向を転換し、ナコムに一直線に飛んでいく。

これがギルティの〝能力〟
自身のパーツをカスタマイズする事で様々な射撃パーツに自分のパーツを作り変える。
今回は、ヴィレッタのカタールソードを素材にした友情のカスタマイズだ。

月島兄弟の想い、ヴィレッタの想い、ギルティの想い全てが重なり、奇跡の発現をしたその能力に目を見開く、ナコム。
次の瞬間ナコムは無抵抗に遠隔のソードに切り刻まれる。


「……こんな隠し玉を持っていたとは……やられたぜ!!」

そして、倒れるナコム。
システム・SHADOWは起動……しない。

システム・SHADOWはその者の闘争本能を限界まで引き出してエネルギー換える装置。
ナコムの心の底から戦意が消えたため作動はしない……とは元闇軍団シュラの言葉だ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
続く

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.59 )
   
日時: 2012/08/14 07:42
名前:

「ベリアル……一旦下がれ、やつの近接攻撃は一発でも喰らえば終わりだと思え!!」

惣葉の戦いは続いていた。
戦いが進むにつれて、惣葉の思考はよりいっそうキレだし、ベリアルの動きもそれに呼応するように最適化されていった。
しかし、バロンはそう簡単な相手ではない。
惣葉とベリアルの必死の猛攻もまだまだ余裕を持って対処している。
唯一の救いはバロンがまだベリアルに一撃も攻撃をあてることに成功していないことだった。

「バロン、どうした? 随分長引いているが?」

「ベリアルのやつ、どんどん速く、そして複雑な動きが出来るようになっている……ここまで戦いの中で成長するものなのか?」

「GAAAAAA!!!」

ベリアルがまた攻撃を仕掛ける。
今度はいきなり横に移動し、バロンの視界から消える。
バロンがベリアルの進行方向に目を移したときにはすでにベリアルはバロンの目前に着ており、バロンはすぐに剣で向かえ撃とうとした。
しかし、ベリアルはその動きに気が付き、すぐに方向転換をしてバロンの攻撃をかわし、惣葉の元に戻る。

「バロン!かわせ」

と、そのとき、バロンの横方向から何かが迫ってきた。
みると、先ほどベリアルが攻撃を仕掛けたのと同じ方向から一本の木が倒れてきていた。
おそらく、バロンの視界から消えた隙に倒れるように攻撃しておいたのだろう。
バロンは落ち着いて木の倒れるのをバックステップで交わす。

「ベリアル!!」

「GYAAAAAAAAAAAA!!!!」

と、突如べリアルが牙をむく、木を回避したばかりのバロンに向けて爪を振りかざして超スピードで迫ってくる。

「ぬぅ!!」

その瞬間、バロンに初めてまともなダメージが入った。
ベリアルはすぐにバロンから離れ距離をとり、バロンの様子を見る。

「なかなかやるなベリアル……しかしまだまだパワーが足りない」

バロンの特徴は頑丈さと破壊力。
滅多な攻撃では壊れないその装甲と、一撃でありとあらゆるものを粉砕する威力だ。
勿論、それに咥えて、ギルティやエグゼリオのような〝能力〟を隠し持っているが、まだそれをベリアルに見せるつもりはないらしい。

「まだダメなのか……っ!!?う、うおああああああああああ!!!!」

と、その時惣葉の頭が更に痛む。
頭が木っ端微塵に吹き飛んでいるのではないかと惣葉は思うほどであった。
もはや、視界もはっきりしない。
が、彼の中にある何かはよりいっそう強く、強くなっていく……。

「ソウハ……!」

「大丈夫だ! ……とは言い難いな、ベリアル……つ、次が…最後の攻撃になると、お、思う……」

そういうと、惣葉はこれまでにない凄まじい殺意をバロンに向ける。
その殺意の矛先であるバロンは思わず凍りつくような感覚を覚えるほどであった。

「行くぞ!!ベリアル!!!」

と、その瞬間ベリアルが輝きだす……。
そして、惣葉もまた輝く……。

「G U U A A A A A A A A A A A A A A A A A ! ! !」

「あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! !」

光輝くベリアルがバロンに向けて一撃を放とうとしているのが見えたが、次の瞬間ベリアルが消えていた。
そして、バロンの周りに竜巻が発生した。
いや、違う。
ベリアルがバロンの周りを回転しているだけだ。
あまりの速さにそれが竜巻として、強風を発生させるにいたっているのだ。

「殺れええええベリアルゥゥゥ!!!!」

惣葉が瞳孔を開いて、叫び散らす。



そして、次の瞬間



突然、惣葉が光を失い倒れた。
とうとう体がもたなかったのだ。

それと同時にベリアルもまた光を失い、まさにバロンに攻撃する直前、といったところで動きが極端に鈍くなった。
バロンはそれを見逃さず、剣を振り下ろし、ベリアルに最初で最後の一撃を喰らわせた。
ベリアルは機能停止する。

バロンはそれを肩に担ぐ。

「やっと終わったか。途中覚醒しかけた瞬間は冷や冷やしたが……まぁいい」

心火が惣葉を肩に担ぐ。



「記憶が戻れば、覚醒できるさ……雨月惣葉とベリアルよ……」




そして、心火とバロンは惣葉とベリアルを連れて、その場を去った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


エデン城上空ではギアスとライトの一騎打ちが始まっていた。

2体の一撃一撃は重く、速く、ほかのメダロットの介入を許さなかった。
、というよりも他のメダロットは最初からギアスにそのように命令されているからなのか、ライトの事など無視をして全員城門にいるヴァレンを攻撃していた。

「……ちっ」

「行かせはせんぞライト……我々もこれが最後の攻撃だと思って攻撃しているのでな……」


ギアスは意地悪く笑い、その目は闇に染まっていた――――――――――――――





そして地上では、壊滅状態のエデン兵に変わってヴァレンが闇軍団の相手をしていた。

ヴァレンは巧みな銃技で射撃型メダロット数百体、必殺の斬撃で近接メダロット数百体の相手をこなし
かつて、N・G・ライトと1対1で戦ったという逸話を信じざるをえないような、凄まじい戦いを展開していた。

しかし、彼にも限界はある。
N・G・ライトが戻ってくるまでの間もずっと彼は戦っていたのだ。
むしろ、ここまで戦い続けたこと自体が異常だ。
その動きは、徐々に鈍り、その攻撃は、威力を少しずつ失っていった。

「ちッ……負けて……たまるかぁーーー!!!」

最後の力を振り絞り、迫り来る闇軍団のメダロットを一気に吹き飛ばすヴァレン。
まさしく彼にとって最後の一撃であり、この一撃をもって闇軍団のメダロットは全滅……かと思われたその時だった。

「ゼェ……ゼェ……畜生ッしぶといヤツだ……」

「ヒヒヒヒヒヒヒッ……随分お疲れだなぁ、死神」

ヴァレンは自分の前方にいるプラダの姿を見た。
先ほどの戦闘でヴァレンはプラダを圧倒した……が、プラダの逃走によってその戦闘は一時中断となった。
その後、プラダはずっと待っていた。
ヴァレンが闇軍団の攻撃を受け続け、ダメージが蓄積し疲れきるのを。

そして、ヴァレンの疲れきった今、プラダは、再び彼の前に立つ。
今度は勝利を確信して立つ。

「さっきは痛い目にあわされたからな。今度はお前の番だぜぇ……味わいな、屈辱を…! 痛みを…! 敗北をッ…!!」

プラダは連続で氷の槍をヴァレンに投げつけた後に、ヴァレンに向かって真っ直ぐにつっこむ。
ヴァレンは氷の連激を剣でいなし、突っ込んでくるプラダを銃で迎え撃つ。
が、しかし、プラダはこの銃弾をすべて氷の壁で防御し、ヴァレンに接近を続ける。
接近したプラダは氷の剣を作って、ヴァレンに切りかかる。
ヴァレンは自らの剣でそれを迎え撃つ。
双方の剣はXの字に交わり、動きを止める。

「ヒヒヒ……落ちてるぜ……攻撃の精度も威力もなぁ……!」

プラダはが剣に力をこめるとヴァレンは剣ごとはじかれ、体勢を崩す。
体勢を崩しながらもヴァレンはプラダに向けて銃で応戦。
予想外の攻撃にプラダはこれをモロに受ける。

「がぁ……!?」

が、プラダは攻撃を受けながらも体勢を崩したヴァレンを見逃さない。
ヴァレンの手足に氷気を飛ばして凍らせて、動きを封じる。

「ちぃ…!」

大ダメージこそ受けたものの、プラダはヴァレンの動きを一時的に封じることに成功した。
残虐で、歪んだ笑みを浮かべてプラダは氷の槍を作り出す。
そして

「フフフ……クカカカ……アーーヒャッッヒャッハッヒャ!! これで!! オレサマの!! 勝ち!!勝利!!栄光!!」

ヴァレンに向けてその槍を振り下ろす。
最期を覚悟し、ヴァレンは目をつぶった。



ズブリッ



……しかし、ヴァレンは死なない。



「な、な、な、なんだテメェはよぉ~~!」

プラダの攻撃はヴァレンの目前に立ちはだかった〝ある人物〟によって防がれた。
その人物とは……

「ルク!!」

思わずヴァレンが叫んだ。

「へ…へへ…見てらんなくてさ…」

ルクは腹を貫かれ、血が大量に流れ出していた。

「お、お前、気でも狂ったか?」

「ウッ…グッ…アンタ言われる筋合いはないわよ……」

ルクが痛みに堪え、横たわりながら言った一言を聞いて、プラダは思わず一歩下がった。
人間を殺すことを喜びとするプラダであったが、こんな人間は初めてだった。
人間とは殺される恐怖にプラダから逃げ惑うものであり、決して自らプラダの攻撃を受けにくるようなものではない。
この目の前にいる人間は一体何者なのか……。
プラダはわけが分からなかった。

しかし、そこに大きな隙が生まれた。


「次元剣技:虚無の花!!!」

「……!?」

プラダの横っ腹にメッシュの協力な一撃が直撃した。

「バカな……あの氷が解けるはずが……」

遅れて到着した河内がプラダを足蹴にしていう。

「残念だったな……あの氷も計算済みなんだよ……逃走されるのは予定外だったがな」

運命の二機のうちの1体、デスティニー。大天使型メダロットパーティクルである。
パーティクルの右腕パーツは〝症状クリア〟ありとあらゆるマイナス症状を打ち消す行動である。
デスティニーのこのパーツにより、河内たちはすぐに氷を溶き、この場に駆けつけたわけだ。

宿敵を倒して、ひと段落の河内であったが、その傍らではそれどころではないメダロットと人間がいた。

「ルク…ルク!!」

腹を氷の槍で貫かれた少女、宝条ルクを抱きながらヴァレンは悲痛な叫びを上げる。

「ルク……どうして?」

「わたし……嫌だもん…… ヴァレンの…いな……い世界…なんて……」

河内は止血をしようと腹の部分に自分の上着を当ててみたが、そんなもので止まるほどのものでは無かった。
どうしようも無く立ち尽くす。
そんな絶望的な状況とは裏腹に闇軍団の輸送艦「マッドマン」がエデン上空から去って行く。
よくあたりを見渡せば、闇軍団のメダロットはいない。
ヴァレンと宝条ルクは立派にエデンを守りきったのだ。

しかし、それと引き換えに宝条ルクは、死亡するだろう。

と、その時、上空からN・G・ライトが現われた。
突如現われたあまりの大物に河内は思わず、メッシュ、デスティニーをつれて身を隠したが、N・G・ライトは気にも留めていないようだった。
ルクの状態を見るやいなや、N・G・ライトはすぐに自身の真っ黒な腕を巨大化させる。
N・G・ライトの腕は伸縮自由なのだ。

そして、ルクをその手で優しく包んだ。

「何をしやがる!!」

ヴァレンはN・G・ライトに食って掛かったが、N・G・ライトはヴァレンを急かすように言う。

「すぐにこの娘をエデン城に運ぶのだ!」

「何気に意味がわからねえ事を言うんじゃ…」

「治療をする!」

「……あ?」



「知らなかったか、今やエデンは人間を治療する技術もトップクラスだ」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

エデン城の[手術室]と書かれた部屋の前でヴァレンは落ち着かないようで待っていた。
ヴァレンの横ではシャインが一緒に待っており、様々な事を話してくれた。

ヴァレンが出て行ってから、N・G・ライトは人間の治療技術を取り入れ始めたこと……
ライズ国と友好な関係を気付き始めたこと……

「神も自分で言っていた〝随分人間に甘くなった〟と。君たちの影響かもしれないね……」

「……そうか」

と、その時N・G・ライトが手術室から出てきた。

「神!」

「じじい!」

ヴァレンはN・G・ライトに詰め寄る。

「ルクは……!!」

N・G・ライトは努めて冷静に言った。


「…………一命は取り留めた」

それを聴いた瞬間ヴァレンは思わず腰を抜かした。
あまりの嬉しさに声も出なかった。

「……恐ろしい生命力の娘だな」

そういってN・G・ライトは再び手術室へと戻ろうとする。
が、その時。

「おい、ジジイ!」

ヴァレンはN・G・ライトをよびとめる。

「……ルクの事……か、感謝するぜ」

照れくさそうに、しどろもどろで言うヴァレンを背にN・G・ライトもまたヴァレンに声をかける



「10年前の件……協力できなくてすまなかったな……謝罪する」


そういって、再び手術室へ入っていったN・G・ライトとヴァレンを見てF・G・シャインは優しく微笑んだ。
かつて、この2体のメダロットが殆ど殺し合いに近い、大喧嘩をした事を思い出し、それが彼女にとってとても可笑しなことに感じたのだった。

「クククク……まったく世話のかかるお方達ですね」


その笑みは、普段の狂気に染まる笑みとはまた違うもので、太陽のようにまぶしかったとかなんとか。




第32話 完



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■あとがき

うわあああーーーー超長かった!!!つかれたぁぁぁぁあ!!!!
3人の戦闘を一気に書きなぐり、エデン編を大体完結させ……あとついでにディサピアの原作再現もいれちった♪
次回からはまたなんか違う展開が生まれると思うので、凍零さん任せました!!!
ベリアルとギルティを良く書き間違えたので、まだ誤字として残ってるかもしれません。すんません……。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.60 )
   
日時: 2012/08/24 00:09
名前: 凍零

第33話 


 闇軍団による襲撃は、予想以上に酷い有様となっていた。
 建物は殆どが壊れ、逃げ遅れたメダロット達が機能停止になっていれば、まだなっておらず瓦礫に埋もれて逃げる事も適わず。
 宝条ルクの治療を終えてすぐに、N・G・ライトは復興準備を始めようとしていた。
 しかし、すぐに実行しようにも人数が足りなかった。ルクやヴァレンも手伝わせるように促したら、快く引き受けてくれた。
 それでも人数は足りない。途方に暮れている中、F・G・シャインから通信が入ってくる。

『神、ご報告を』
「どうした」
『人間一人とメダロット二人を捜索する件なのですが……申し訳ありません、逃してしまいました』
「そうか……ならば放っておけ。 これ以上は探しても時間の無駄になる」
『はっ。 それでは神、これで通信を』
「待て」

 報告を終え、通信を切ろうとするとN・G・ライトがそれを引き止めた。

「生き残りの偵察部隊の報告によれば、どうやらここに人間が何人かいるようだ」
『それは、先程の人間と月島葉菜とそのオマケ共の事ですか?』
「いや、それ以外にもいるらしい。 面倒事になる前に、お前が見つけておいてくれ」
『了解です、神。 もし使えそうであるなら……』
「ああ、復興作業を手伝わせておけ」



 どれ程の距離を走っていたのか、思い出す余裕が無い。
 既に追手が来ないのはわかっていた。しかし、罠である事も否定できず、ひたすら逃げる事だけを頭に入れて走った。
 走って走って、辿り着いたところはエデンの郊外、目の前には海。そこを渡ればライズ国へ戻ることができる。
 しかし、ビッグブリッジはまだ遠い。息は切れて呼吸を整えようとするが歳に合わない距離を走ったせいか、一向に息が整わない。

「くっそ……はぁ、はぁ。 体力、減ったか……俺……」

 少しずつ息は整ってくる。咳も頻度が減り、もう少しすれば息が整う。
 それを見越して、ようやくデスティニーは河内に声をかけた。

「シフトさん、ここから出る前に、一度カミュラに連絡を取っておこう」
「……何でだ? 別に……戻ってからでも、いいと思うが……」
「勘だよ……それに、由愛宗夜とフェイトの件もある……彼等を捜索するなら、カミュラに相談した方が早いと思ってね」

 河内が息を整えている間、デスティニーは何度かフェイトに連絡を出していた。
 しかし、一向に連絡は来ない。いくら面倒くさがりなフェイトでも律儀に連絡だけは寄越していただけ、何があったのか。
 河内もようやく息が整い、デスティニーの言う通りにカミュラに連絡をし始めた。

『……はい、呼びました、河内さん?』
「ああ……その、由愛宗夜の件なんだが……」
『ええ、無事保護したのですよね。 フェイトから連絡はありましたよ』
「そ、そうなのか? それで、そのフェイトなんだが……」
『二人なら無事ですよ。 こんなこともあろうかと、フェイトにビーコンをつけていますから。 勿論、貴方やデスティニーにも』

 慌てて体を触りはじめる河内に、シフトは冗談と付け足す。
 笑いながら言うのが逆に怪しく感じてしまう。それでも河内は一旦頭からビーコンの事を忘れさせ、話の続きをさせるよう促した。
「それで、フェイトは今どこにいるんだ?」
『それがですね……途中で道に迷ってしまっているようで、海の上で立ち往生しているみたいなんですよ』
「……は?」

 幾らなんでも冗談というレベルではない報告に、河内は唖然とした。横にいたデスティニーは呆れたのか少々溜息を吐く。
 もう一度カミュラに聞くと、同じ返答が返ってきた。どうやら本当に迷ってしまったらしい。

『なので、今救出班を送らせています。 シフトさんとデスティニーにはこのまま悪いですが、フェイト抜きで新たな任務を与えさせて頂きます』
「……俺は別に構わない」
「僕もいいよ……それで、任務というのは?」
『数日後に行われるライズ甲子園。 シフトさんとデスティニーは、そこに行ってもらいます』
「……理由は?」
『現地に着いたら連絡してください。 その時にお話ししますので。 それでは』

 その言葉を最後に、通信は終わる。一方的に切られて河内は一瞬通信機を投げ捨てようとするが、寸でのところで理性が掛かり捨てずに済んだ。
 エデンから出るため、次の任務のためにどの道ライズ国へ行く事は確定事項だった。
 いざという時のために偽造の入国証を持たされている。これでビッグブリッジに行っても怪しまれずに済む、とカミュラから説明されていた。
 本当に役に立つのか、偽造の入国証を見ながら、ふと河内は思った。

「なぁデスティニー、メッシュはどうするんだ?」


もう一レス使います。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.61 )
   
日時: 2012/08/24 00:10
名前: 凍零




「助かりました。 その……」
「別に気にするな、助けられる人は助けるのがモットーだからよ」
「では改めて、有難うございます、一歩君。 あなたとあなたのメダロットのお蔭で、僕達は助かったのですし、スタッグ……僕達のメダロットのメダルも取り返してくれて」
「よ、よせやい! 恥ずかしいっての」
「兄貴が恥ずかしがるなんて、明日は雪でも降るんじゃないかな」
「なんでだよ!?」

 ナコムが倒れ、周囲にいた闇軍団がざわめく。その隙を一歩は見逃さなかった。
 全員に聞こえるようにして叫ぶ、人質とメダルの解放を。暫くすると何体かのメダロットが人質を解放させるよう促し、人質に一人ずつ、メダルを与える。
 その直後だった。闇軍団が一斉に動きを止まり、そしてまた動いたら一斉に踵を返して一歩達とは反対側の方へと走り出した。
 それが撤退していると理解するまで、少し時間が掛かった。
 人質の方を見ると、既にメダルをつけ、パートナーとの再会に喜んでいた。一歩も思わずギルティの方へと目を向ける。
 その場で感傷に浸っているように地面を見たまま、ギルティは立っていた。
 声をかけようにもいかず、葉菜に相談すれば「そっとしてあげるべき」と言われ、暫くギルティはそのままにしておくことにした。
 すると一人の人質が一歩へ向かって走ってきた。それが聖夜だった。

「仲が良いんだね、二人とも」
「今の会話でどうしたらそう見えるんだ!?」
「あはは、それよりお礼をしたいんだけど……今の手持ちじゃ、これくらいしか」
「ち、ちょい待ち! 金はいいからな! いくらあんたが金持ちだからといってよ!!」
「え、こいつ金持ちなの兄貴?」

 葉菜の質問に聖夜は軽く「そうだよ」と返事をし、一歩に三枚の紙を見せた。

「お金じゃないよ。 今度行われるライズ甲子園のチケットなんだけど、君たちにあげるよ」
「な、何ぃ!? いいのかよ……?」
「うん。 僕は仕事で忙しい身だし、恵は興味ないみたいだし。 このまま持ってても宝の持ち腐れだしさ」

 震えている一歩の手を掴むと三枚のチケットを強引に手渡しする。
 葉菜はチケットを凝視し、一歩は心底驚いていた。

「助けてもらったお礼ということで、いいかな?」
「あ、ああ……。 なんというか、その」

 ありがとな、という言葉を言おうとした直後、上空から一体のメダロットが降りてくる。
 ギルティ以外のその場にいた者達がそのメダロットへと視線を向け、何人かは知り合いで、何人かは初対面で。
 それはF・G・シャインだった。まるでこの場にいた者達を最初から知っているかのように、F・G・シャインは平然と口を出した。

「やっと見つけたよ、君たち」
「お前は……確か、F・G・シャイン、だったか?」
「その通り、元闇軍団・シュラ。 それはそうと……ここにいる者達全員に、我が神からお伝えしたい事を言おう」
「……なんだか嫌な予感」

 ヒロキとマサキは直感でそうだと感じた。すぐさま逃げる準備をしようと。
 しかしそれは叶わなかった。F・G・シャインはそれを知っていたかのように瞬時にヒロキとマサキの目の前に立ち、通路を塞いだ。

「おっと逃がさないよ……少しでも、人数はほしいからね」
「読まれていた……だと……?」
「では単刀直入に言おう。 君たちは今からエデン国の復興作業を手伝ってほしい。 構わないね?」

 全員の意見も聞かず、復興作業に半ば強引に参加させられた。
 ライズ甲子園が始まる一日前に、一歩と葉菜とギルティ、そして時雨は隙を見て逃げ出したのはまた後の話。


もう一レス使います。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.62 )
   
日時: 2012/08/24 00:10
名前: 凍零



『―――か―――ラダ―――お――聞こ―――』

 ノイズが酷くまともに聞き取れず、頭パーツをやられたのか視界が揺れている。
 聞こえてくる通信は撤退命令だろう。それはエデン襲撃の終わりの合図だった。
 メッシュの攻撃が全身に直撃し、大分損傷している。足を動かすのがやっとであり、両腕は棒のように動かず、プラダは何度も舌打ちを繰り返す。

「全く……酷い、やられ方だよ……あんな、連中なん、かに……くっ」

 あの状況で逃げられたのが幸いな事だった。
 一人の人間に全員が意識を向け、プラダの事など途中から見る目の無いまま、その隙にプラダは必至に体を動かしてなんとかその場から退くことができた。
 路地裏の道が見え、咄嗟にそこに入る。エデン国のどこかというのは、はっきりとしているが、地図が表示出来ずにいるので明確な位置がわからなくなっていた。
 壁に寄り、重い息を吐きながら座り込む。
 ふと、プラダが通った道を見ると、オイルが混じった足跡と体のどこからか落ちたオイルが地面にこびりついていた。
 恐らく逃げ始めた時からオイルは流れていたのかもしれない。そうなると、そのオイルの跡を追うだけで見つかってしまう。

(それが、友軍なら……なんて、何を思ってるんだねぇ僕は)

 一度座り込んでしまい、両腕はやられてしまっているせいで立ち上がる事が困難となっていた。
 本来ならスラフシステムが自動的に作動して修復されるのだが、今回のように国へと攻撃する時には前線に立つメダロット達のスラフシステムの能力を一時的に除去してしまう。
 それはメダロット達にとって「死」を連想させるため。メダルが排出されたらそれは死亡という扱いとされ、回収はされない。
 しかし、今のプラダのように意識はあるが重体というパターンではきちんと回収してくれる。機能停止以外ではまだ救いがあるのだ。
 逃げ出して少し経ってからエマージェンシーは流した。果たしてそこからプラダを見つけてくれるのかは、運に頼る以外他ならなかった。
 
しばし、たたずむ。
 耳を澄ませると足音が聞こえてくる。音からしてメダロットに違いない。救援だろうか、それとも。

(どっちでもいいか。 何だかずっとこのままこうしていたくなってきたよ……でも、心残りがあるとすれば、あの人間)

 プラダはその事だけを考えていた。
 咄嗟にヴァレンを庇った宝条ルクの事が、何故か頭から離れない。
 あの状況下の中でメダロットを庇うような行動が、プラダにとっては信じられない事だった。今まで見たこともない、体感したこともない何かがプラダの底から湧いてくる。
 有り得ない邪魔をされてトドメを討ち損ね、挙句不意打ちとはいえ重症を負い、プラダは何が何だかわからなくなった。

(全く、今日は厄日だねぇ。 次から次へと面白可笑しい事ばかりが現れたもんだよ……最高の一日だった)

 それからプラダは何も考えなかった。目を閉じて少しは楽になろうという考えも、聞こえてくる足音が追手かもしれないから逃げるべきという考えも、全て破棄していた。
 何も考えずにいると、周りの音が鮮明に聞こえてくる。
 足音がもうすぐプラダの方へと近付いていく。やはり漏れていたオイルを追って来たらしく、オイルという単語が聞こえてきた。
 だが、足音と声はすぐ近くで止まった。
代わりに聞こえたのは仲間同士で囁き合う声。そしてもう一つは浮遊メダロットの脚部パーツ独特の浮遊音が僅かに。

(一体何が……)

 止まっていた思考が動く。僅かな力を振り絞って顔だけをそちらの方へと向ける。
 見えたのはメダロットの影だけだった。片方は複数、片方は一体だけ。
 複数の影から声が聞こえてくる。どうやら救援のようだった。聞き覚えのあるというよりも、音声認識だけで自軍の登録されたデータが自動的に受信されるもののため。
 ここでプラダが声を出さずにいても、場所が判明されている以上何をしても意味はないと、プラダは何もする気はなかった。
 すぐに救援が来ないのは、メダロット達が目の前のメダロットに気圧されているからなのか、動けずにいた。
 救援側のメダロット達が遂に痺れを切らし、一体のメダロット相手に先制攻撃を始めたのを、プラダは黙って見ていた。
 恐らく所属も名前も何も言わずにいたのだろう。未だに浮遊型メダロットは口を開かない。
 射撃音が聞こえてくる。しかし物に当たったような音はせず、全弾外れたのだろう。接近も全て外れた。力一杯振り下ろしながら払った音が空を切る。

(おいおい、何やってるんだか。 たかがメダロット一体に時間掛けるような馬鹿な真似……)

 溜息混じりに心の中で罵倒しようと、その瞬間、プラダは驚愕した。
 建物で陽射しは届きにくい場所で、謎の発光。それは突然と、そしてすぐに消える。
 直後、メダロットの足音がゆっくり着地したような音。恐らくは二足メダロット。
 周囲に動揺が走る。プラダもだった。何が起こっているのかが見えない分、プラダは何が起きたのかがわからなかった。
 次に聞こえてきたのは射撃音。ライフルとガトリングが混ざった音と共に、物に当たる音も同時に聞こえてきた。
 当たっているのは救援側のメダロットしかいなかった。成す術も無く次々とメダロット達は機能停止していく。流れ弾が来なく、一つも外してはいないのだろう。
 そして機能停止したメダロット達が無造作に倒れる音を最後に、綺麗に止んだ。
 一体何が、浮遊型と二足型は何なのか。

(メダチェンジとは思えない……あの発光も気になるけれど)

 暫くして、足音がプラダへと近付いてきた。
 影が路地裏を挟む建物の壁に入り、メダロットが路地裏の入り口手前で仁王立ちしていた。
 先程の銃声の原因、救援に来たメダロット達を倒した張本人なのは間違いなかった。しかし、あの時の浮遊型メダロットはどこに消えたのか。

「ねぇ……あんた」

 出した声は僅かに曇っていた。限界が近い証拠だった。
 仁王立ちしたまま、メダロットは何一つ言葉を出してこない。瀕死になっているプラダだけをただ見つめたまま。

「無視しな、いでさ……ちょっと、来て……くれな、い?」
「……」

 プラダの呼び掛けから少し待った後、ようやくメダロットはプラダの下へやってくる。
 ゆっくりと、足元にあるオイルを当たらないように避けながら、メダロットはプラダの目の前に立ち、見下ろす。
 プラダも苦痛に耐えながら顔を上げた。見下ろしている顔は表情など何もなく、まるで感情ができていない。ただの動くロボットのように見えた。

「……その銃、僕の、顔に……向けてくれる?」
「……?」
「首、傾げてないで……さ、さっさと……してよ」

 血迷っている行動だと、プラダも思っている。それでもメダロットはカメラアイを動かそうともせず、ただ命じられるまま片方のライフルを、プラダの顔へと押し付けた。

「そうそう……じゃ、撃って」

 自然とその言葉が出た。怯える事もなく、逃げようともせず。
 これからプラダは撃たれる。メダルが砕けなければメダロットとしての死は完全に成立はせず、機能停止という扱いになるだけ。
 しかし、何故かここで死んで終わるとプラダは確信していた。本能がそう呼んでいる。
 いつもは生きるために足掻いた。どんな手段を用いてでも、プラダは生き残ろうとした。
 それが何故、このようなところで終わろうと思っているのか。それはプラダもわからなかった。
 ライフルの充填が完了したらしく、少しだけ手に力が入り、プラダの顔を少し押す。
 メダロットからの撃ってもいいかという合図だったのかもしれない。
 プラダは迷いもなく撃てと命じた。

(後悔も何もない、ただ疲れただけだ……まぁ、闇軍団には飽きてきた所だし、丁度いい潮時かな)

 カチリ、と音が鳴った。


「……ここには、私の求める主はいなかった」

 機能停止したプラダを一瞥し、上へと仰ぐ。
 建物と建物の間から見える空。晴天で風も強くない。
 もう一度プラダを見る。何も喋らず、動かず、ただ力無く座り込んでいるだけの物。

「早く主を探し出して、私が私であるために……次の目的地は――」

 眩い光がメダロットを包む。
 光が消えると、メダロットの形状が変わった。二足から飛行型へ。
 また空を見上げ、メダロットは飛んだ。



つづく


あとがき
次の話のために色々と試行錯誤した結果がこれです。なんか色々とアレです。
次回から多分新展開が始まると思います。ゼブラーさんよろしくお願いします!

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.63 )
   
日時: 2012/09/26 20:58
名前: カヲトリス

【ナンバー0】


銀色の王が、人混みに溢れる町を見下ろしていた。
メダロット甲子園の開催に沸き立つ町。
彼はそれを見ながら、何を思うのか……。


第三十四話


【ナンバー1】


甲子園が建っている大きな街での事。


「今年の甲子園はチャリティーで行うらしいぜ。収益の内三割がエデン国修復の費用に使われるらしい」
「ふーん……あっ、兄貴たこ焼き買ってよ」
「なぁ……」
「こういう所で買うよりもスーパーで買った方が安いんだけど……しゃあねぇなぁ。俺にも半分食べさせろよ?」
「おう!」
「なぁ!」

月島 一歩とその妹の月島 葉奈はギルティのその強い呼びかけに反応して振り向いた。

「なんだよギルド。今私は温かいたこ焼きを口に頬張るという大事な使命を果たそうとしてるんだから、邪魔すんなよなー」
「いや、それどころじゃないような気がすんだけど……あの、俺達の後ろで自分達のチケットを売り捌こうとしているアイツの話なんだけどさ」
「うーん?」

ギルティにそう言われて葉奈が後ろを見てみると、そこには少し離れた所で『チケット一枚売ります』のプラカードを持った緑色のKBT、シャウラの姿があった。

「別にいいんじゃね? ここのチケットって予約が一瞬で埋まっちゃうぐらいだから、相当高値で売れるらしいし」
「いやそういう問題ではないような……なぁ、シャウラ。お前それで本当にいいのか? 甲子園だぞ? 年に一度のお祭りだぞ?」
「何の話をしているか分からないけどねギルドクン、俺と時雨は家を誰かさんに勝手に燃やされたから、生活に非常に困ってるんだなぁ。火災保険でも四割補えるか補えないかぐらいなんだよ本当に」
「う……」

闇軍団からの侵攻も大分収まり、仮初めとはいえ平和が訪れたこの時にその話を蒸し返されるのはギルティとしても非常に心苦しい物があった。

「……でもまぁ、それもどうにかなりそうなんだけどな。今時雨がお金をくれる優しい人の元に行ってるから」
「何だそれ怪しすぎるだろ!」
「まぁ、多分大丈夫でしょ……――ってそういえば、ギルドさん」
「ん?」
「お前って昔『アルデヴァラン』にいたんだよな。メダロットの楽園とかいう」
「あ、ああ……」
「じゃあ何で神無月サンはコイツの事知ってたんだろう……ま、いいけどな!」
「???」

一人で出した疑問を一人で勝手に納得したシャウラを、ギルティは不思議そうに見ていた。


そのまま彼らはぶらぶらと町を下っていった(シャウラもゆるやかにその後ろを着いてきていた)のだが、そんな彼らの前に立ち塞がる若い男が一人いた。
何故かところどころボサボサのボロボロになった若い男は、慌てた様子でシャウラに声を掛けた。

「なぁ、そのチケット売ってくれよ!」
「んー? ……ああ、いいですよ。いくら程で」
「えぇ!? それ決まってないのかよ!? えーっと、じゃあ、このぐらいでどうだ!」

男は慌てた様子で小切手に数字を書き込み、それを無理矢理KBT型の手元に押し付けた。
シャウラとギルティはその紙切れに書かれた数字を見て驚愕した。

「ちょ、お兄さんこの値段……本気か!?」
「中古車買えるぞ中古車!!」
「大丈夫大丈夫、俺のいる……えーっと、ホラ。組織? は金持ってるから!」

そこまで言った所で、青年の左手首に付いたメダロッチから声があがった。

《おい!! お前、組織の名前をそう軽々と……》
「あ、すまんすまん!! 今のは忘れていいから! というかむしろ忘れて!!」
「え? ああ、うん……分かった」
《チッ、しかし何だってこんなつまらない祭りなんかに参加させようとしてるんだ、あの男は》

苛立ったような声で言うメダロットに、青年は少し陰のある微笑みを見せながら言った。

「……最後の、サービスってやつじゃないかなぁ。俺って結局あの計画での安全は保障されてないから……」
《……お前がもし、普通の人間だったらどうしていた?》
「あれ? 『それがお前の使命だから』とは言わないんだな。いっつもそんな事ばっかり言ってるし、今回もそうだと思ったよ」
《フン、失礼な話だ……くだらん質問をしたな。今のはナシだ。とっとと行くぞ!!》
「はいはい」

一歩達そっちのけで話をし、チケットを取って立ち去ろうとする一人と一体にシャウラが声を掛けた。

「お、おいお兄さん!! あんた、名前は……」
「え、俺か? 俺の名前はな――」


「――宗夜。由愛 宗夜っていうんだ。またどっかで会ったらヨロシクな!!」

――この出会いが、この甲子園での一連の出来事の始まりであった事を彼らはまだ知らない。いや、知る由も無かったのである。


【ナンバー2・ナンバー3】


瞼越しに目に入る強い光に、雨月 惣葉は眩しそうに目を開いた。

「う、ううん……どこだ、ここは」
「グッモン、惣葉クン」

惣葉が最初に目にしたのは、電灯の光と剽軽そうな男の顔だった。

「え、えーっと、あなたは……」
「あぁ、ボクは神無月 忠吉って言います……君とボコボコにやりあってた心火さんと同じで、『結社』の人間なのよ」
「『結社』……って心火!? まさか……!?」

惣葉は慌てて周りを見渡し――部屋の隅で、坊主頭の男と騎士型のメダロットが立っているのを確認した。

「う、うわぁあ!!」
「……人の顔を見てそんなに怖がらないでほしいんだがな……」
「あ、そ、そうだ!! ベリアルはどこにやったんだよ!? ここはどこなんだよ!? というか『結社』ってなんなんだよ!?」

怯えながら質問に質問を重ねる惣葉を宥めるように、神無月は言った。

「落ち着きなよ、別に取って食おうって訳じゃないんだ、質問には一つ目から答えるよ……まずベリアルこと『ナンバー3』の事だが、彼なら今ここの中にいる」

静かに答えながら惣葉が最初に拾った、黒いメダロッチをひらひらとさせる神無月。
その言葉に嘘は含まれている様子は無かったので、惣葉はとりあえず安堵の声をあげた。

「よ、よかった……」
「勿論後で返すから、落ち着いて僕の話を聞いてね」
「おい! 神無月、そんな約束を軽々しく……」
「心火クンはちょっと黙ってて!! いつも思うんだけど、君は口下手ですぐに暴力に持ち込む癖によく出しゃばろうと思うね! 悪いけどとっても理解に苦しむよ!」
「な、何だと……」
「バロンも思う所があると思うけど、少し黙っててね。とりあえずは彼に『思い出してもらう』事が最優先だから」
「……了解」
「す、凄い……」

素早い言葉の羅列で心火とバロンをあっという間に黙らせた神無月に、惣葉は思わず感嘆の声をあげた。

「それじゃあ次の質問だね。窓がないから分からないけど、ここはライズ国だよ。メダロット甲子園の会場も、ここからなら良く見えるハズだ」
「そ、そんなに遠くの距離を移動してきたのか……でも、何でですか?」
「敬語かぁ、何か慣れないけど……まぁ、その理由は後で説明するよ。それで、最後の質問だけど」
「はい」

ごくり、と緊張した様子で惣葉は次の言葉を待った。
それもそのはず、ようやく自分達を付け狙っていた人間達の正体が分かるのである。緊張しない訳が無かった。

「僕達『結社』っていうのはね、簡単に言うと研究者なんだよ。バロンやベリアルといった『フォーミュラー・フレーム』の」
「……それで?」
「? 終わりだけど?」
「え?」
「え?」
「い、いやいや……それだけであんな監禁したりする訳ないじゃないですか!!」

動揺した声でそう言う惣葉の言葉に、神無月は心外そうな声で彼の方をがっしりと掴みながら言った。

「何を言ってるんだ君は! 君は『フォーミュラーフレーム』がどれだけのエネルギーを有した新物質かを理解してないんだ!
いいかい、もしあの宝玉で発電を行う技術が確立されたりすれば……この国の発電所と電気会社を全て潰す事だって可能なんだ。それを守れる力は当然必要だろう?」
「……そ、そんなに凄かったんですね『フォーミュラー』って」

声を荒げた神無月に少し気圧されながらも、惣葉はそう言った。

「当然!! ……そして君も……いや、いやいやこの話はまだいいか……とにかく君はかつて僕達に協力してた事もあるんだよ。だからメダロットへの恐怖心があるんだ……まぁ、どうやら記憶を無くしているみたいだけど」
「じゃあ、この前の心火との戦闘で記憶がぐちゃぐちゃしてたのも……」
「おい、さんを付けろさんを」
「心火君は本当にどうしようもないなぁ……多分そうだろうね。惣葉君は過去に、その、色々あったからさ」
「そう、だったのか……」

記憶喪失。
その言葉も、惣葉は何だかひどくすんなりと納得してしまった。
否定するにはあまりにも材料が足りないし、思えば何故メダロットが苦手だったのかも、過去の記憶にも穴が――それを物忘れとは言えない程――開き過ぎていた。

結局、黒いメダロッチから始まった最近の慌ただしい出来事に何か理由が欲しかっただけなのかもしれない。それは、心身共に疲れ切った人間が最後に別の何か縋りつく時の思考と良く似ていた。良く言えば単純、悪く言えば臭い物には蓋をする、というその思考。兎にも角にも、惣葉はその意見をあっさり信じ、納得したのである。

「当時は君を含めて研究メンバーは十二人いてね……まぁ今は半分ぐらいになっちゃってるけど」
「へぇ。それで、どうしてその研究メンバーがここにいるんですか? あっ、まさかギルドを……?」
「ギルド……? ああ、『ナンバー1』はFFの中でも話が分かるからね。とりあえずここにまで誘導はしてみたんだけど、まぁそれは後回しさ。
……新エネルギーの研究をするにあたって、実は僕達に敵対する所があるんだよ。名前はまんま『組織』っていうんだけどね」
「『組織』……そこも、『結社』みたいに新エネルギーの研究を?」
「そうだったら協力してもらってるさ……あいつらが最高に最悪な所はね、あいつらの目的にあるんだ」
「目的?」

惣葉がそう聞き返すと、神無月は頷いて彼に質問をした。

「僕たち『結社』はFFの力を使って『この世界を安定させるエネルギーを生み出す』事にある。大して彼ら『組織』は『別の世界へとその足を伸ばそうとする』事を目的としているんだ」
「べ、別の世界?」
「そう。平行世界というヤツに踏み込むらしいよ……でもそれって結局、何の解決にもならないと思わないかい?
僕達がもしFFを使用した新機関の開発に成功すれば戦国大陸を平定し、そこにいる数多の人々をこの国の生活水準まで引き上げる事だって可能なんだ。
けど彼らがする事は別の平行世界への進出……ロマンがあるのは理解するけど、結局平行世界に行っても今のこの世界が変わるとは限らない。ナンセンスだよ」
「た、確かに……」

勢いに気圧されるように彼がそう言うと、神無月は言葉を続けた。

「だからこっちもそれ相応の妨害をさせてもらうのさ……僕が『組織』に乗り込んで得た情報によると、その平行世界を開くためにはFF全機ともう一つ、『啓示者』とかいう人間の協力が必要らしい。
人一人の人生を勝手に決めてまで平行世界に行きたいかどうかはヒッジョーに疑問だけど、今回狙うのはその『啓示者』さ。彼をこちら側に引き入れるなり、誘拐するなり、場合によってはその――」
「殺す」
「心火君!! 惣葉君が引いたらどうするんだ!!」
「どちらにせよそれは最終手段だろうが……とにかく、俺達には余裕がない。雨月 惣葉。今までの無礼を許してくれるのなら、俺達に協力してくれないか?」

そう言いながら、坊主頭の男は――ゆっくりと地面に額を付けた。

「!? あの、別にそんな事をしなくても……」
「協力してくれるのか?」
「いや、それは、あの……」

答えに窮してしまった惣葉に、心火が頭を下げたまま言う。

「……俺達は、既にたくさんの物を犠牲にしてきた。仲間も何人か死んだ。人も何人か殺した。人間を研究材料にしたこともある」
「に、人間を……」
「今考えれば犠牲を払い過ぎた気がする。しかしもう今更引くわけにも行かないんだよ、俺達は」
「心火さん……」

惣葉の耳には頭越しから聞こえてくるその低い声はどことなく哀愁を含んだように聞こえた。
そして何故か、目の前で頭を下げている男の姿はエデン国で対峙した時よりもひどく小さく人間らしく見えたのだった。

「お、俺に何が出来るかは分からないけど……出来る、事なら」
「……そう、か……ありがとう」
「いやぁー、よかったよかった!! 早速他の幹部も呼んで顔合わせとしよう! ね!」

彼の気が変わらないうちにと思ったのか、黒いメダロッチを手渡しながら神無月はそう言った。
惣葉はそれを腕に付け、電源を付けながら聞いた。

「他の幹部って……さっき言ってた、もう半分ぐらいになったっていう?」
「そうそう。ちょうど今は君を入れて六人なんだよ今。その内の一人、弥生サンはちょっと忙しいから、今は来れないんだけど……あ、でも別に出て行った他のメンバーが全員死んだとかではないよ。えーっと、心火」
「何だ」
「まだ生きてる人達って……」
「如月、水無月、文月、長月だな。まぁ、随分昔の話だから今は知らんが」

その口から突然暦の名前が出てきた事に、惣葉は驚きながら問うた。

「何でいきなり暦の名前が出たんですか?」
「あははは、ウチのコードネームみたいなモンだよ。僕達は不思議と月の名前が多くて人数も十二人キッチリなんだけど、当然そうじゃないのもいるよ。今はもう『どこにもいない』睦月と葉月なんて苗字も名前も全然関係ないし」
「あ、じゃあ俺もそうなんですか? 雨月って……」
「まぁ、ちょっとカッコいいでしょ。統一もされてるし……んで心火、今その人達って何してんだっけ?」

へらへら笑いながら、神無月は坊主頭に問いかけた。

「如月は知らん。長月もだ……確か水無月は戦国大陸に渡ってたな。『メダロットよりも強くなれる人間の研究』をやってるらしい。最終的は不死身の人間を作り出すつもりらしいぞ」
「一人だけ『あの人』の改造に大賛成してただけはあるなぁ……悪趣味なヤツ」
「文月はホラ、今回の甲子園のスポンサーにもなってる製薬会社に勤めていると年賀状が来てたぞ。『ゴキブリをこの世から消滅させる』のがアイツの人生の目標だからな」
「彼女の潔癖症は突き抜けた物があるからねぇ……と、まぁ意外と普通に生活している人もいるんだよ、安心してね」
「そ、そうなんですね……」

それは普通なんだろうか、と惣葉は思いながら同意の声をあげた。

「まぁ、とにかく今から来るのは残りの一人と一体……霜月と師走だよ」
「へぇ……ん? 一人と『一体』? それってどういう……」



言い終わらない内に、部屋の扉が開け放たれた。

「よぉーっす、卯月が来てたってのはマジだったんだな」
「あら……ホントに来てたのね。記憶喪失なんですってね」

入ってきたのは男と女型のメダロット、フレイムティサラが一体。
困惑する惣葉に、まずメダロットが話しかけてきた。

「じゃあ挨拶からしたほうがいいわね。私はシモツキ。こっちの男のパートナーをしているわ。これから宜しくお願いするわね」

すっ、と手を差し出すシモツキに少し怯えながら握手をする惣葉。
しかし不思議と、彼女に手に触れてみてもいつもの恐怖心は感じなかった。

「あ、ど、どうも……メダロットも幹部になれるんですね」
「んん? メダロットがなっちゃいけねぇのかよ」
「いやそういう訳では……うわぁ」

男の方に声を掛けられ、惣葉はそちらを見上げる……が、こちらも中々癖のある人物であるように彼は感じた。
男は背が高く目つきが鋭く、中々の美形に見えた。だがしかし頭の部分に鎮座めします巨大なリーゼントがその印象をぶち壊しにしていた。

「俺の名前は『クイッフ・ホールドリー・ビッグヘッド』だ。ビッグヘッドでいい、ぜ」
「よ、よろしくお願いしますビッグヘッドさ」
「嘘よ。コイツは志和 須太郎(シワ スタロウ)。十二人の中でも馬鹿担当よ」
「馬鹿担当とは何だ馬鹿担当とは!! シモツキは俺のパートナーの癖にちょっと口が……」
「ファイアー」
「うおっ、やめんかコラ! 俺のリーゼントに炎を向けるな! 燃えたらホント洒落にならねぇから!!」

志和の頭部に炎を向けるシモツキを見ながら、惣葉は「随分、毛並の違う人達が来たものだなぁ」と思った。

「……驚いたか、ソウハ」
「あ、心火……さん」

気づけば隣には、野戦服を着た刈り上げの男が佇んでいた。

「俺達は元々の職こそ研究者だが、今はそれぞれ役割を分担しているんだよ。俺は戦闘と指揮全般、神無月は情報収集とスパイ活動。今はいないが弥生はプログラム構成。シモツキはメカニック全般。そして……おい、志和!!」
「ん? 何だ皐月っちゃん」
「お前、甲子園の警備会社とはキチンと話を付けたんだろうな?」
「当ったり前だぜ! リーゼント舐めんなよぉ!」

ご自慢の超特大リーゼントをきゅいりきゅいりと撫でながら、志和は自信満々に言った。

「……交渉と移動の足担当だ」
「こ、交渉?」
「何だ、何か文句あんのかコラ」
「え、いや別に……」

どうみても交渉ができそうもないリーゼントを眺めながら惣葉が言うと、志和はにやりと笑って言った。

「ふふん、分かるぜ言いたいことは……リーゼントじゃあ交渉なんかさせてもらえねだろ馬鹿か……そうだろ?」
「いや別に馬鹿とは」
「だがな、卯月。リーゼントってのは……こうっ!!」

叫びながら志和がリーゼントに櫛を突き立てると――髪は勢い良くほどけていき、髪型はみるみるロングヘアーになった。

「すりゃあ、ロングヘアーだ……さらにっ!」

次に彼は長い髪の毛をものすごい勢いで上に上げ――それは髪の毛一本一本を『畳む』といった表現が正しいのかもしれない――あっという間に髪の毛を七三分けにした。

「こうすりゃあ、七三分けだぁ!!」
「!!?? す、凄い、凄すぎる……」
「ふっ、この手先の器用さがなけりゃあ馬鹿の俺が研究職なんてできてないぜ……」
「あら、わざわざ私の馬鹿発言を使ってくれるなんてありがたいわね。感謝の気持ちが溢れてくるわ。手から」
「だから炎はやめろ!! ……まぁ、後は喋り方と目つきを調節しちまえばちょちょいのちょいさ。さっきも『家族思いの兄』を気取って啓示者を見つけたら連絡をくれるように頼みに行ってたのさ」
「でもアナタのお母さんは本気で家族思いよね。一週間に一回は『早く身を固めろ、リーゼントやめろ』って呪詛じみた電話を掛けてくるし」
「母ちゃんの話はよせよ!!」

わいのわいのやっている一人と一体を見て、惣葉は既視感を覚えた。

――かつて、この中に俺が馴染んでいた時もあったのだろうか・・・?

静かに自分の右腕についたメダロッチを撫でながら、惣葉はそんな事を思った。



もう一レス続きます

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.64 )
   
日時: 2012/09/09 15:43
名前: カヲトリス



【ナンバーズ持たず】


「つまり、お前は次元間を飛び越える能力を持っていたが、この世界に来てからそれが使えなくなった、と?」
「うむ! なんでだろーなぁ、あの河原で集めた石の力切れっちゃったんかなぁ」
「まずその『河原で集めた』ってのが怪しさ爆発なんだけどな」
「ふふふ、シフトさんは言葉の選択……チョイスが古いねぇ。『怪しさ爆発』だなんて……ふふふふ」
「うるせえぞそこ!」

河内率いる彼らも、ライズ甲子園が開かれる町まで来ていた。
彼らはカミュラとの待ち合わせの為にホテルの一室で、パソコン画面を開きながらの待機を命じられているのだった。
あれ程意図が読めなかったり適当な指示を繰り返すカミュラの命令をここまで素直に聞く自分はなんて立派なのだろうと河内が思っていると、メッシュがそれよりも、と前置きを置いて話しかけてきた。

「俺は本当にここにいていいのか? 正直貴様らの事が未だになに一つとして分かってないのだが……」
「遠慮がちに貴様らとか言うな……まぁ、大丈夫だろ。現場の細かい判断は俺に一任されてるらしいしな」
「ふーむ、そういうモノか……」
「それに例えあの男が反対しても俺は独断でお前を連れて行くからな」
「シフトさんもあの人が信用できなくなって反抗……レジスタンスをしだしたんだね。気持ちは分からなくもないけど、あんまりそういう事を口に出すのはよくないなぁ」
「何でだよ。口にでも出さないとやってられんだろ……」
「それは、だって、ねぇ」
「今カミュラとやらがそこにいるからな」
「!?」

メッシュにそう指摘された河内が指を指された所を見ると――そこには、ニヤニヤと笑うカミュラの顔がモニタに映し出されていた。

『私はどうやら随分信用されていないようですね』
「そう思ってるんなら画面じゃなくて実際に前に出てきてほしいんだがな」
『すみません、私も今忙しいもので……あ、でも甲子園の近くにはいるんですよ』
「ふん、そんなフォローは気休めにもならねぇな……仲間に入りたてで悪いんだがな、趣旨の分からねえ目的の為にあんまり自分の命を危険に晒したくないんだよ。いくら見返りがよくってもな……」
『ふむ、まぁそう思われるのも仕方ないかもしれませんね……ただ、覚えておいて下さい。あなたの求める物は、そこまでの価値とそこまでの暗部に入り込む必要があるのだという事を』
「……ああ、分かってるよ」

河内はそう言いながら、脳裏に自分の弟の姿を思い描いていた。


かつて情熱的な記者だった弟は、真実を追い求めるあまりにある日突然姿を消した。
どこに行ったのかも分からない中手掛かりはたった一つ、弟の遺したメモだけがあった。

――『セフィロト』は実在する。

震える字で書かれたソレだけを頼りに、彼は必死に探し求めた。
『セフィロト』を生で見る事でもいい。生きている弟でもいい。弟が死んでしまっているのなら――それを殺した人間達でも、団体でもいい。
とにかく、河内は証明が欲しかった。
両親が早死にし、世界でたった二人ぼっちになってしまった最愛の弟が姿を消すまでに至った『何か』の証明を。


ただそれだけを追い求めて、気づけば河内はこの世界の闇にまで足を踏み入れようとしていたのだった。

「おーい、それよりも俺はここにいていいのか!?」
『おや、あなたは……』
「ファーーーファッファッファ!! これなるは、誇り高き時空の旅人…その名もメッシy」
『成程、あなたがメッシュさんですか……』
「何!? 俺の登場台詞をカットするとはコイツ!」
『しかし、こうあまりにも関係がある方々が出てこられると……ふむ、やはり組織の目的を話しておくべきでしょうね』
「ようやく話すのか……でも、大体は分かるぜ」
『はい?』
「『セフィロト』に関係してるんだろ、『組織』の目的ってのは」
『おや、よくお分かりですね』
「流石に分かるさ、デスティニーとの会話でな」

――莫大なエネルギーを持つフォーミュラーを五つ集めた時に道が開かれる、次元の狭間に存在している全ての世界と時の魂と記憶を次元の狭間の奥深くで管理するモノ……それがセフィロト。そしてそこに干渉できる唯一の人物が啓示者である。

あの時の会話を思い出しながら、河内は続ける。

「そして『セフィロト』ってのはおそらく平行世界や別次元の世界にまで旅立てる力を持っている――なんだ、あんたに情報を貰わなくても他の奴らがたっぷり教えてくれるじゃねぇか」
『いやぁ実はその通りなんですよ。私達の目的はセフィロトの鍵を開き、他の世界へとその進化の足を延ばす事。これに尽きます』
「おお! という事はそれを使えば俺も元の世界に戻れるわけか!」

カミュラが語った目的に、興奮気味に食いつくメッシュ。
その言葉にカミュラは首肯して、続きを言った。

『それでは、ついでに今回の指令も……今回お頼みしたいことは我々の敵である結社の妨害です』
「『結社』ぁ? また似たような名前が出て来たな」
『本当にね……そこの目的は我々のようにセフィロトではなく、フォーミュラー自体のエネルギーを発電やなんやらに使う気らしいですが……まぁ、開発の目途が立ってない時点で夢物語でしょう。それに、もし開発が可能になってもそれがまた新たなる争いの種を生むだけですしね』
「別に、相手のスローガンなんてどうでもいいんだがな……それで? どうやって妨害するんだ?」
『多少リスキーではありますが……啓示者とフェイトを甲子園に参加させ、結社の手先を誘導させます。後はそこで手先を叩けば見事妨害完了という事で』
「今度はまた分かりやすく出たな。その……手先の人数や、特徴は?」
『まぁ、それが分かれば苦労しないという事ですね』
「だろうな……」

当然といえば当然の返答に、河内はふぅ、とため息をついた。

『あぁ、心配しなくともエントリーはしていますから安心してください。何となくですが、河内さんにエントリーを任せると忘れそうな気がしたので』
「そんな重要なエントリーを忘れる訳ねーだろ……分かったよ。何とか『結社』の人間らしきヤツを探せばいいんだろう」
『はい、それではお願いしますね……』

その言葉を最後に、通信は途切れた。

「しかし、甲子園ね……ガキの頃は憧れて憧れてしかたなかったモンに、こんな形で参加するとはな……」
「大会はワン・オン・ワン……つまり人一人とメダロット一体が参加できるらしいよ」
「ふん、俺もこの全ての身で一つのようなモノだ! この次元の旅人、メッシュにおまかせあれ!」
「ん、そういや……俺はお前ら二体の内どっちと出ればいいんだ? 甲子園」

河内のその言葉に二体は顔を見合わせ、そしてほぼ同時に言った。

「「さぁ?」」


*****


カミュラはパソコンをそっと閉じ、そしてニヤリと笑ってみせた。
今回啓示者を軟禁せずに放ったのは、決してリスキーな賭けに出るだけではない。

「啓示者とフォーミュラーは、互いの深層で呼び合うという特徴がある……」

それは別に感覚として訪れるものではない。もっと別の、自然な動きの中で細かく現れるのだ。
だからこそ、フォーミュラー達は自然と啓示者である由愛 宗夜がいたエデンに集まってきたのである。
もし、今回もソレと同じ事が起きるとするなら――。

そこまで思ってから、彼は手元に置いてあったファイルを手に取った。

「まぁ、その前にこのスパイをどうにかしなければならないのですがね……」

いくつかの紙が連なってできているソレの一枚目に書かれたその名前は――

『ライズ探偵事務所 所長  神無月 忠吉』




■あとがき


遅れてごめんなさい。河内さんの伏線はもうあっさりさせました。弟の生死はお好きにどうぞ。
結社と組織も目的をキッチリ明かして、そのどちらにも利があるように見せました……きちんとできたかな?
河内さんのエントリー云々は・・・ウン。

後はメダロット甲子園の内容をハッキリさせるためにも、もう一回茶させて頂きたい所ですが……

では、見難いという方の為に結社の幹部がどうなったかの表を張って、終了とさせて頂きます。


・睦月 → 『もうどこにもいない』
・如月 → ?
・弥生 → どうやら結社の幹部らしいがお披露目なし
・卯月 → 雨月惣葉。主人公。
・皐月 → 叉月心火。ハゲ。
・水無月 → 戦国大陸で人体研究
・文月 → ゴキブリをこの世から全滅させる事に情熱を注ぐ為就職
・葉月 → 『もうどこにもいない』
・長月 → ?
・神無月 → 神無月忠吉。死亡フラグ。
・霜月 → シモツキ。メダロット。
・師走 → 志和須太郎。リーゼント。


それでは入れ替わりで入ったゼブラー様よろしくお願いします!

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.65 )
   
日時: 2012/09/19 01:49
名前: ゼブラー

第35話 「裏、裏、裏」



―――俺、シフトは落ち着いていた。久々に落ち着いている気がする。今まではその場しのぎが多かった
ここしばらくはめくるめく展開だった。それまでの生活とはまるで違う、波乱万丈な時間だった
だからこそ今は落ち着いて物事を考えられる。一旦ここまでの『疑問』を考えてみることにした



まず『組織』。なぜああもあっさりと参加することができたのか、それはどうも気になる
そして入って早々『啓示者の奪還』の任務。今でこそ考えてみると、啓示者は『セフィロト』に干渉できる存在
それがどれほどとんでもない重要人物であるかを考えると、さらに疑問に思えてくる
 なぜ、それほどの重要人物を『新人の俺に任せたのか』
俺がどんな奴かろくに知らないどころか、実績も何もない俺になぜそんなことを任せたのか・・・仮説が二つある
 一つは、『啓示者に関する情報を知れば、消される』から。組織の人員にも啓示者のことが秘密だとすれば、だが
 つまり俺は、啓示者を奪還すれば用済みになり、消される。こういう組織ならば十分ありうる話だ
 最初から消すつもりで俺を採用し、任務を与えたとすれば、組織に入るのが簡単だったことにも合点がいく
 もしそうなら、次の甲子園で組織の刺客が俺を消しにくるかもしれない。注意せねばならない

 もう一つの仮説は、『啓示者の奪還は俺が最初ではない』ということ。
 俺が組織に入る以前にも、同じように簡易的に新人を採用し、任務にあてていたという可能性。
 そうだとすれば、そいつらは『失敗』したのだろう。失敗していればおそらく消される
 新人を手当たり次第任務に当て、俺が偶然にも成功した。それだけなのかもしれない。何せ組織の全体像が謎だから



そう考えると、俺は急に全身に鳥肌がたった。危険な世界に足を踏み入れたのだ。それなのに丸腰。あ、やべえ。そう思った
すぐに俺は『身を守る手段』を手に入れなければならない。デスティニーみたいな他人の力ではなく、俺の
・・・やはり銃だろう。大したものではなくても、無いよりずっとマシだ。
デスティニーとメッシュ達に『ちょっと自由行動にしよう』と提案し、しばらく別々に行動することにした。
フリータイムがどうこうとうさんくさい英語をごちゃごちゃ言っていた
 


 俺はすぐにPCで銃を取り扱っている店を探した。このライズ国内で銃を売るのは合法ではない。だが裏では売ってる
 銃の密流ルートを特定し、ルートの先のとある店を探り当てた。表向きは電気商品店。ラジオやらを扱っている普通の店
 店主はカウンターで新聞を広げてぶすっとしている。その店主にある言葉を言う

「今日は晴れているな。でも長靴をはいてくるべきだった」

 そう言うと店主は真顔になり、新聞をたたむと店の入り口の『営業中』の看板をひっくり返して『休み』にした
 そして店の奥の方へ行き、アゴでこっちに来るように促す。俺は店主と一緒に店の奥の方の隠された部屋へと入った
 さっきの意味不明な言葉は合言葉。それはこの店で銃を買いにきたということを意味するのだ

 そこの奥の部屋には壁中に銃がかざられ、ガラスケースにたくさんの銃が並んでいた

「あんたうちに来るのは初めてだな。何がいる?護身用か?」
「ああ」

 店主は手軽に扱える護身用の銃が入っているケースを俺にすすめた


「メダロットの装甲でも効くのにしてくれ」
「メダロット?」
「護身といってもメダロットに襲われるという可能性もあるからな」
「うーむ、その発想はなかった」

 店主が改めていくつかの銃をすすめた。メダロットが相手でも十分対抗できる威力の銃。護身用と言いきれないものだ
 俺はそれらを手にとり、構えてみた。なんとなく『合う』ものを選ぶ

「これだ」
「グロック17か」

 俺は銃には詳しくないが、どうやらこれは警察部隊も基本装備しているらしい。
 予備弾奏カートリッジをいくつか買って会計をすまし、コートの内側に銃を入れる。反対側に予備カートリッジを入れる

「・・・ところでアンタ、うちのことをどこで聞いた?」

 店主が俺に聞いてきた。俺はありのまま言った

「銃の流通ルートを特定してここを知った。合言葉もな」
「何!?ルートを見つけるなんて普通できないぞ!!それに合言葉はどうやって・・・」
「もうちょっとセキュリティに気をつけるんだな」 

 俺はそう言って店から出ていった。内心『決まったッ』と思っていた



店を出てコーヒーを買ってから、デスティニー達と連絡をとって落ち合った。俺は満足気にしながらも銃のことは隠していた
組織に知られると逆に危険だからだ。しかしデスティニーからは予想もしなかった言葉が来た



「シフトさん、今後何か買い物・・・ショッピングをするなら気をつけてください」

驚いた。こいつは俺が銃を買いに行ってたのを知っている。見張られていたということか。むしろ警戒しておくべきだった

「今組織の者が掃除・・・クリーニングをしています」

・・・え?

「ど・・どういうことだ?掃除ってなんだ?」



「あなたが訪れた店・・・ショップに残されたあなたの指紋などを全て消去してます。足がつかないように。
 大丈夫、安心・・・セーフティしてください。店主を消したりとか手荒なことはしません。1時間ほど記憶を消すだけです。
 あなたがあの店を訪れたということはなかったことになりましたので」

・・・どうやら組織は俺を常に監視しているらしい・・・デスティニーではなく監視役がいるんだろう・・・
どこかで俺がヘマして組織の存在がばれたりしないように・・・
それに、1時間ほど記憶を消すっていうのは・・・やはり薬とかそういうものなのだろう。恐ろしくなる

俺はデスティニーに『迷惑かけたな』と言って一緒に任務に向かうことにした
 メッシュ達はポカンとしていたが



・・・末恐ろしい・・・いつでも俺は消される可能性があるのかもしれない
セフィロトを経由して別世界に行くなどととんでもない目的を持つ組織だ。一人の人間を消して証拠を残さないことなど簡単だろう
・・・いや、そもそもその目的すらにも疑問だ。『別の世界に行ってどうする?』。二次元にでも行きたいのか?
進化の足を延ばすと、カミュラが言っていたが・・・どういうことだ?別の世界に侵攻するということなのか?
だが・・・なぜ?別の世界なんてそもそもあるのだろうか・・・確証がなければそんなことは言わないだろうが・・・
そしてその別世界に侵攻したところで何になる?カミュラがその辺りを明かさなかったのは何かを隠しているのか・・・
もしかすると・・・その目的すらもフェイクなのではないのか?そう思うとその方が納得できる
カミュラは読めない奴だ。とんでもないキレ者。裏社会をああいう奴がまわしているのだろう。俺でもなんとなくそう理解できる
まず間違いなく俺は奴に利用されている。それは承知の上だ。だが、その『先』が謎だ・・・



そして、『セフィロトは存在する』。弟の残したメモにはそう書かれていた。それだけ。だから『おかしい』
存在するかしないか、それをYESと書いただけ。どういうことだ?存在する証拠をつかんだのならなぜ具体的に書かない?
『どういうものか』『どうすればたどりつけるか』『どうやって知ったか』・・・詳細が不明だ。なぜ存在すると『だけ』・・・
それも、なぜ一介の記者だった弟がセフィロトについて調べていた?偶然知ったのか、それとも調べつくしたのか?
考えれば考えるほど疑問が連鎖する。何もかもが疑わしい



俺の癖だ。一旦落ち着いて考えると、あれもこれも疑問に思えてくる。昔から困っている癖だ
『なぜ太陽な上る?』『なぜ雲は流れる?』そんなことを考えだすと次々に疑問が出てくる。教師からすると面倒な子だったろう
あまり考え事をする質ではないが、一度考えこむとそうなる。だが、今、この状況ではそれが利点となるはずだ
裏社会に入るには全てを疑わなければたちまち消される。ましてや今の俺は、世界の根本に関わることに関与した。
いつ消されても不思議ではない。今ももしかすると、俺の額をスコープに納めて引き金を引こうとしている刺客がいるかもしれない
そういう仕事を俺はこなした。それも・・・全ては弟のため・・・
たった二人の兄弟だからというのも当然ある。だが、俺は『理解』したいだけだ
 なぜセフィロトの真実を知り、それをなぜメモに残して消えたのか。理解したい



俺はふうっとため息をついて空を見上げた。甲子園へ向かう道中。青い空がただただ広がっている
この空の下のどこかに、弟はいるのだろうか。全てを知るため、理解するために俺は今・・・次の任務に向かう






―――――――――――――――――――



「・・・一つ言っていい?」
「ダメ」
「・・・」

壊滅状態のエデン。そこのがれきを撤去する二人の男。ヒロキとマサキ
 ヒロキががれきをスコップでがっしゃがっしゃしながら話しかけるも、マサキもがれきを片づけながらものすごく不機嫌そうだった

「・・・じゃあ聞いていい?」
「ダメ」
「・・・」

マサキがあまりにも不機嫌そうなので何とか雰囲気を和ませようとするが
「あー肩がこっちゃったぜー」
「ダメ」
「!?」

何を言ってもこうである



「なあ、漫画買いにいこうぜ」
「ダメ」

 「昼飯おごって」
 「ダメ」

「メダの反対は?」
「うるせえ」
「!?」



ヒロキはスコップを置いてマサキに言う
「お前何でおこってんだ?」
「なんで?なんでだと!!?」

マサキもスコップを投げた。そして激怒して言う
「テメーのせいでシャインに散々コキ使われてんだ!!昨日はパーツの掃除させられたんだぞ!!復興関係ないだろ!!」
 「なんで俺のせいなんだべ」
「シュラとかいう六本腕のメダとかほっといてさっさとトンずらしときゃこうはならなかった!!」
 「それ俺のせいじゃねーべ。仕事しすぎで記憶改変しちゃってる?」

「俺を・・怒らせるな!!!」

 「何?怒ると緑の怪物に変身しちゃうのか?心拍数あげないためにジェットコースターも無理だな」
「何いってんだテメー!!」
 「お前ハルク知らねーの?」
「なんでそういう話になる!!!」
 「お前がそれっぽいセリフ言うから応えたんだろうが」
「テメーふざけやがって!!!お前はいつもそうやって周りをいらつかせてんだ!!!ぶちのめすぞこのスポンジ脳みそ!!!」
 「ちょっと言い過ぎちゃうかー!!?誰の脳みそがスカスカやねんコラ!!!」
「むしろ鉛筆削りのカスくらいだこのやろー!!!」
 「ふッ!!ふふふざけんなくらァーーー!!!」



二人が激しい口論の末、取っ組み合いのけんかになっているのを、エデンの兵士メダロットが止めに来た
「こらー!!!お前らなにをやっとるかー!!!」
 数体がかりで二人を引きはがす

「テメー!!!コンニャローッ!!!」
「ナンダァー!!!テメー!!!」

 「おい!!!こいつら独房にぶちこんどけ!!!」

『ガシャーン!!!』 ←檻が閉まる音






「ケンカ?」
エデン兵のメダがF・G・シャインに報告する
「はい、相当暴れてたのでそれぞれ独房にいれておきました。さきほど大人しくなったとの報告がありましたが・・・」
「クク・・・そろそろ反省してきたってとこか」
「どうします?あの二人の前歴を調べてみたんですが・・・
 暴行28件、公務執行妨害31件、器物破損61件、無銭飲食22件、不法侵入36件とかなりひどいですよ。
 どれも大したことないものですが回数が異常です。まあ暴行っていってもケンカ的なもののみらしいですが」
「クク・・・やっぱり妙な連中だねえ。ここにいるとまた何かしでかすかもしれないってことだね」
「ええ、今回のケンカの延長上でまた暴行事件になりかねませんから・・・」
「まあ『裏』で他にも色々やらかしてるんだろうね・・・僕の見たところあの二人はただ者では・・・」

 その時、シャインはハッと気がついた

「二人をチェックしろ!!!」



―――独房
「い・・・いない・・・」
 「こちらもいません!!!」

ヒロキとマサキが入っていた独房は両方とももぬけの空だった。窓の鉄格子が外れているだけ

「・・・ククク・・・やられたねえ・・・演技だった・・・まんまと抜け出したか・・・ククク・・・」



・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・


「ぐえへへ、上手くいったぜ!!」

 ヒロキとマサキはエデンの森の中を走っていた
「お前もうちょっとリアルな芝居できなかったのか」
「何!?ハルクとか持ち出すのとかすげー天才じゃね!?」
「俺が一瞬『?』ってなるから困るんだよ」
 二人はマサキのフィアットを『隠しておいた』場所へと向かってダッシュしていた

「まあ次はお前にもわかるようなネタで・・・」



その時、二人の目に一体のメダロットが映った



「ふっふっふ・・・このスクープ写真は貴重ですゥ。N・G・ライトとギアスの対決写真・・・これはレアですゥ」

 何やら小動物ちっくなメダロットがカメラを手ににやにやしながらぶつぶつ言っている

(・・・何だこいつ・・・)
 マサキは警戒した

「か・・・か・・・
         かゥわいいじゃねェェェェェェェかァァァァァァァァァァァ!!!」

 ヒロキは壊れた






――――――――――

空中帝国アルデヴァラン

「閣下!!おもどりで!!」
闇軍団の本拠地であるアルデヴァランに、エデンへ侵攻していたメダロット達が帰還してきた
「負傷者の安全を確保させろ。エデンへの監視を続け、動きを見せれば報告しろ」
帰って早々、メダロット達に指示を出すギアス

「ライトめ・・・やりすごしおった・・・だがもはやエデンは壊滅状態・・・
 ・・・プラダはどうした?」

「反応は消えてます。ですがプラダ様のことですからこちらのレーダーにひっかからなくすることなど簡単でしょう」
「隠れて何かをしているか・・・あるいは」

ギアスとN・G・ライトはエデン城の上で対決をしていたものの、決着とはいかなかった
 ギアスがライトの猛攻を受けひるんでいる間にライトはその場から離脱。ギアスは追撃も考えたが伏兵などの罠の可能性もあった
 それにエデンは壊滅状態。ギアスはそこで撤退することを決め、アルデヴァランへと帰還したのだ



「ライトを始末することもできず、プラダは行方をくらました・・・我々の計画は何一つ満足にいっていない・・・
 おのれ・・・一旦冷静に分析する必要があるか・・・」

「閣下、拝謁したいと申す者が・・・」
「・・・何者だ?」

 「なんでも・・・『フォーミュラーフレーム』の秘密を知っていると申す人間が・・・」

「・・・通せ」

二体のメダロットに連れられて来た男は金髪と白髪が入り混じった髪
頬骨がかなりくっきりとしており、一見痩せこけているかのような印象だった
 また、白衣をまとっていることから医者か、あるいは科学者のようにも見える

「・・・名を名乗れ人間」

 男は頭を下げた。そして顔を上げると口角を上げてニヤっとした



「私はアルバート・ゼーバッハ。フォーミュラープロジェクトの指揮をとっていたものです」



フォーミュラーに関するあらゆる『裏』に通ずる男だった



つづく



■1レスに詰め過ぎかな?まだ甲子園編の基盤部分なんであまり無茶しないように気をつけてます
ツッコミどこも多いでしょうが多目に・・・それではッ

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.66 )
   
日時: 2012/09/29 10:07
名前:

第36話 「六体目の適格者」


「そういえばさ」

惣葉が目を覚ましてから数時間が経過した。
戸惑いながらも意外に友好的な結社の皆に少しは馴れ、自分の安否以外の事を考えられる程度にはなっていた。

「ベリアルは『ナンバー3』らしいけど、FFって何体いるんだ?」

今この部屋にはシモツキと心火と志和の2人と1体がいる。

神無月は電話にでた、と思ったら「黒鏡さんからです。『ナンバー1』のところへ行ってきます」といい出て行った。
どうやら一般人を金で釣って、『ナンバー1』ギルティの監視を行わせていたらしい。
黒鏡って聞いた事ある気がするぞ……?
と思いつつ結局思い出せず、惣葉は何も言わず見送った。

「『ナンバー0』から『ナンバー4』までの5体だ」

心火が短く、シンプルに惣葉の質問に答えた。

「『ナンバー2』バロン、『ナンバー3』ベリアルについては説明する必要はないわね? それと……『ナンバー1』ギルティも知っているようだし……」

シモツキが付け加える。

「と、すると教えるべきは『ナンバー0』エグゼリオと『ナンバー4』モアって所か? まぁなんともめんどくせぇ2体が残ったな」

エグゼリオときいて惣葉は思い出した聖夜のビル(家?)で突然現われて、ギルティとベリアルを蹴散らしていったメダロットを。

「『ナンバー0』はフォーミュラー計画最初の失敗……フォーミュラーの力を解放させすぎた結果だ……」

口下手な心火を助け、そして無駄な茶々をいれる志和を燃やしながらシモツキが話す。


数年前・・・『フォーミュラー計画』というプロジェクトが世界規模で発足した。それは全世界が総力を結集して立ち上げた計画。
『フォーミュラー』と呼ばれる『莫大なエネルギーの結晶体』が発見され、それを利用したメダロットの開発プロジェクトがフォーミュラー計画。
その計画で最初に生み出されたフォーミュラーフレームのプロトタイプが『最初にして最強のフォーミュラーフレーム』エグゼリオ。
彼は最初のFF、試作機として開発された。
だが、試作ということもあり、色々な偶然が重なって、もともとFFは高性能の機体でありながら、彼はFFの中でも絶大な能力を得た。

結果、エグゼリオは彼を生み出した研究者達すら制御しきれず、研究所を破壊しながら脱走。
今の今まで彼を捕らえられずにいた。
そして、後に作られた『ナンバー1』ギルティ以降のフォーミュラーフレームは、その失敗を踏まえエグゼリオほど強すぎる能力を持たないように〝封印〟した状態で生み出された。

「そういうことか……」

惣葉は自分達がどうしてもエグゼリオに勝てなかった理由を知る。
もし彼に勝とうと思うならば、ベリアルにかけられた〝封印〟をといてやらなくてはいけないという事だった。
それがエグゼリオの言う〝覚醒〟なのだろう。

「そしてモアだが……」
「彼女はフォーミュラー計画最後の失敗の象徴ね」


エグゼリオの失敗を踏まえて進められたフォーミュラー計画はその後、制御可能なメダロットを3体生み出し、一定の成果を出していた。
そして、人工的にフォーミュラーを作る実験や、5体目のフォーミュラーフレーム『ナンバー4』モアの開発が進められた。
モアはこれまでの機体とは違い、より完全に力を制御させるためにメダルの人格を完全に初期化させられた。
つまり、記憶を消し、感情を消し、より忠実に研究者達の言う事を聞くように設定して生み出された。

しかしそれがあだとなった。
善悪の区別もつかない、喜びも怒りも悲しみもしらないモアを使って悪行を働くものがいた。
当時プロジェクトの中でも過激な意見が目立ち、要注意人物と知られていた男……名をアルバート・ゼーバッハといった。
彼は何でも言う事を聞くフォーミュラー、モアを利用し、その莫大なエネルギーで残るフォーミュラーフレームたちの暴走を誘発した。

暴れまわる4体のフォーミュラー達により、フォーミュラー計画は完全に崩壊した……かに思えた。
が、計画はなお〝組織〟によって続けられている。
ただし、その暴走事故のせいでギルティ、モアの2体のフォーミュラーフレームが行方不明となり、
また科学者達も何名かが死に、そして何名かは行方不明となった。

「行方不明となったフォーミュラーフレームと科学者……」
「ついでに言っておくと、その行方不明の科学者こそが……お前だ。雨月惣葉」

ついで、というにはいささか重過ぎる話題であるが、どうにも心火はその辺の感覚がズレているらしく実に淡々と述べた。

「オイオイ! 今コイツは記憶が無くってるんだろ?そんなショッキングな内容をいきなり……」
「いや、記憶が無いから戻るように教えているんだろう?」
「そういう問題じゃなくて……」

「いえ、大丈夫です」

顎を触りながらものを考えるようなポーズで、惣葉は冷静に言った。

「確かに今の話を聞いて、少し頭が痛くなりましたがこれくらいなら大丈夫です」

記憶が戻り始めている。
そうシモツキは感じた。
少なくともここに来たときの惣葉とは違う男に変化しつつある。
その冷静に状況を判断しようとする態度は、かつての雨月惣葉に近いものがあった。

「……あ、そういえば途中に人工的にフォーミュラーを作る実験ってでてきましたよね?アレはどうなったんです?」

「作りはしたわ。ただし、フォーミュラーほどのエネルギーを得ることは出来なかったけどね。
 それでもそれなりの予測値はたたき出したし、起動実験を行って問題が無ければ第2世代フォーミュラーフレームとしてナンバーを与える予定だったんだけどね。
 さっきの暴走事故で行方不明になってそれっきり……」

シモツキが語る。
そして志和が付け加える。

「フォーミュラーフレームの六体目、『ナンバー5』になるはずだったメダロット、名前は確か……」



――――――――――――――――――――――――――――――


「ウィネですゥ!」


マサキは突然現われた一体のメダロット、そしてそれに対する友人のリアクションに困惑していた。
よく見るとギルティと同じような結晶が額にはめられている。

「そうかそうか!ウィネっちは写真の腕も超一流だなぁ~えへへ」
ヒロキはなでくりなでくりやってた。

エデンを脱走する途中で出会ったしまったこのメダロット。
素性は分からないがヒロキの様子を見るに「こりゃ引き離すのは時間がかかりそうだ」などとマサキは思考していた。


「おい、ヒロキさっさとエデンを脱出するぞ! そのメダロットの話は」
「ウィネっちな!」
「……ウィネの話は車の中で聞けばいい、急げ!」




第36話 終わり




■申し訳ない!メダ7やってて書くの忘れてた!!!
……というわけで今回は結局フォーミュラープロジェクトってなんなのさー?っていうところを
ちょいちょいゼブさんのウィネとかゼーバッハとかのパスも受け取りつつ、自分なりにまとめてみました。
本当は一歩サイドの話で以降としたんだけど、なんか甲子園編は組織と結社が動かしやすい気がしたので、今のうちに触っときました。
やってみた感じ、科学者キャラが3人同時にでる(心火シモツキ志和)のはなんかヤリズレーって感じだったので、もうちょっと分離させればいい感じかもです。
それではお待たせしました。次おねがいします!


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