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RSSフィード リレー小説 メダロットRise
   

日時: 2012/10/29 01:08
名前: 凍零

※お知らせ
・今まで使っていた「リレー小説 メダロット ライズ」は都合上、凍結することになりました。
 これからはこちらで話を進めていきたいと思います。
 ご迷惑をおかけしますが、今後ともよろしくお願い致します。
・メンバーに雪の城さんを追加しました。



リレー小説をやるにあたって
■順番(略敬称)
1:凍零
2:ゼブラー
(3:鎌兎)
(4:土竜)
5:カヲトリス
6:地
7:雪の城


一周したらまた最初に戻ります。
()がついている間、その人の順番は抜かしてください。

■この小説について
今まで「リレー小説 メダロット ライズ」で投稿していた話を再構成し、設定等も一部変更しています。
なので、上記の小説とは全くの別物と思ってくださって構いません。

■注意事項
・次の方が投稿するのは、前の方が投稿し終えて3日経ってから。3日経ってからの1週間以内が基本的の原則です
※修正期間中は10日間ルールは無しで、書いた人の次に書く人も、同じ日に投稿してくださって構いません。
ただし、一日一周のみです。

細かい事等に関しては「リレー小説 メダロット ライズ」を参考にしてください。



Re: リレー小説 メダロットRise ( No.77 )
   
日時: 2013/01/31 07:08
名前:

第46話 「ナギサ」



「爆弾!?」

動揺が走る。
ガスマスクの男(いや、性別は判断できないが多分こういうのは男だろう)達もお互いに顔を見合わせる。
彼らにも爆弾の事は話されていなかったのだろう。

「おや、バレてしまいましたか」

カミュラはあっさりと白状した。

「そうです。FFと啓示者を回収した後、ここは爆破して皆さんには消えてもらう算段でした」

それを聞いて一番動揺したのは実はカミュラの味方であるはずのガスマスクの男達だった。
もう一度言うが、彼らはそんな事を聞かされていない。
この後、彼らはカミュラがFFを組織の本部に持って帰るまで、河内達を見張っておくよう指示されていた。

「おい、お前達」

ガスマスクの男たちに河内が語りかける。

「それがお前らの上司だ。部下なんて使い捨ての駒としか思ってねえ!
お前らも俺と同じで切り捨てられたんだ俺みたいにな!!」

それを聞き、ガスマスクの男達はお互いの顔を見合わせると、一斉にカミュラに銃口を向ける。
あっさりとした逆転劇。
しかし、カミュラは不敵な笑みを浮かべている。

「やれやれですね……」

フェイトが言う。

「で? どうするカミュラ? これでお前に残された道は〝死〟しかないようだが?」

それを無視してカミュラは片手を顎にあてて、ぶつぶつつぶやいている。

「できれば安全に事は運びたかったのですが仕方ない……FFは額のフォーミュラーさえあればなんとか作り直せるはず……ならば一旦破壊してしまうのも手でしょうか……」

「おいこの期に及んで余裕こいてんじゃねえ! ぶっ殺されたいのか!!」

フェイトが怒号を浴びせると、カミュラは顎から手をはなし、言う。

「あぁ、失礼。ところでこんな時私のような人間が余裕でいられるのはどんな時だと思います?」

「あぁ!?」

フェイトの脅しに対し、カミュラは何の恐怖もなく話を続ける。

「1、 死をかくごしたとき
2、勝利を確信しているとき
3、なにがなんだかわからないとき」

「知らねぇよ!」


ドドドドドドド!!
フェイトがそう怒鳴った瞬間に、ガスマスクの男たちがカミュラに向けて一斉にその手に持つ銃器をぶっ放した。

しかし、カミュラは死んではいない。
全ての銃弾はどこからか現れた3体のメダロットに阻まれた。

「ご苦労様です」

カミュラはメダロット達に何の心もこもっていない労いの言葉をかける。
ギルティはその3体のメダロットに見覚えがあった。
いや、メダロット自体とは初対面だ。
しかし、そこからあふれ出るオーラというか雰囲気のような何かを以前に感じたことがある。

「……システム・SHADOW?」
「あぁそういえばナンバー1はシステム・SHADOWと戦闘した経験がありましたね。ご名答ですよ。
 この3体のメダロットはあなたが倒したナコムと同じシステム・SHADOWを搭載したメダロットです」

平然と答えるカミュラに一歩が問う。

「ちょっと待て、なんで闇軍団のシステム・SHADOWをお前が……!?」
「答えるまでもないでしょう?」

カミュラは口元を釣り上げる。
と、同時に3体のメダロット達はカミュラを持ち上げ、飛行を始める。


「 我 が 組 織 は 闇 軍 団 と 協 力 関 係 に あ る と い う 事 で す よ 」

カミュラはそう言い残して、システム・SHADOW搭載型の3体のメダロットと共に空へと飛んで行った。

「や、闇軍団と……!?」

カミュラの去ったあとを見ながら驚愕の表情を浮かべる一同。
組織は闇軍団とつながっていた。
エデンの地獄絵図を作り上げたあの闇軍団とだ。
それらと直接対決した一歩、そして組織に属していた河内は特にショックが大きそうだ。

「そんな場合じゃないでしょーがッ!!」

シモツキが声を張り上げる。

「爆弾よ爆弾!! 爆弾がこの会場に仕掛けられているのよ!」

一歩と河内はその言葉で我に返る。

「お、おうそうだったな……ここから逃げないと」
「逃げても無駄よ」
「え?」

シモツキのシリアスな雰囲気の返答に一歩は頭上にクエスチョンマークを浮かべる。

「爆弾の規模が大きすぎるわ」
「ど、どれくらい?」
「……もしこの爆弾が爆発したら地図を書き換えるレベル」
「ウゲェーーーー!!!」

それを聞いた瞬間一同ザワついた(ガスマスク含む)。
爆弾の威力は半径数十キロを更地に変えるほど。
今から逃げたところでその爆発から逃れる事はできない。

「な、何考えてやがんだ組織は!?」

顔をしかめる河内。

「あんたんとこの組織だろーがッ!!」

怒る一歩。

「うるせー!知らなかったんだよ!!」

怒り返す河内。


「その爆弾はどこにあるんだ?」

ヒロキが尋ねる。

「えっと……あの壁の中よ!」

シモツキは甲子園会場の壁の1つを指差して答える。

「もしかするとその爆弾を止められるかもしれねえ! 壁から掘り起こすぞ!!」


―――――それから30分後


その場にいた全員(ガスマスク含む)の協力によって、組織の仕掛けた爆弾が壁から発掘された。
爆弾は半径10メートル程ある大きな爆弾で(こんなものよくバレずにしかけたものだ)デジタル時計のようなものが取り付けられており、カウントダウンしている。

「だ、ダメだ……」
「あぁ、お手上げだな……」

爆弾を見て、ヒロキとマサキが言う。
爆弾の見かけから察するに時限爆弾であることは分かる。
その残り時間は30分を切っていた。
いくら(何故か)その手のものに詳しいヒロキとマサキであっても、この規模の爆弾を30分で解体して爆発を防ぐのは不可能だ。

「ど、どうすんだよ!!」

一歩が問うが、それに答える者は誰もいない。
皆、全てを諦めて、意気消沈してしまっている。

「皆、急いで甲子園会場の外へ逃亡……エスケープするんだ」

と、その時何かを決心したかの様にデスティニーが声をあげた。

「どうする気だ?」
「爆弾の威力を少し抑えるんだ。この会場を吹き飛ばすくらいの威力は残ってしまうけれど、外に出ればなんとかできると思うよ」
「ほ、本当か!?」
「あぁ、でもこの会場にはまだ人が残っているかもしれない。みんなで協力して避難誘導をしてくれるかい?」

一同の行動は早かった。
普通ならば、組織側のメダロットの。
それもカミュラの次くらいにうさん臭そうなこのデスティニーの言葉を信じる理由はない。
しかし、今は普通の状況ではない。
藁にもすがる思いで、皆デスティニーの言葉を真に受けた。

会場内をくまなく見て回る者。
放送室に行き、マイクで会場全体に呼びかける者。
外へでて、屋台の周りにいる者に避難を呼びかける者。
一体、誰と誰が敵で味方なのか分からずごちゃごちゃになっていたが、一丸となって避難誘導をする。

ただし、デスティニーをよく知る者。
河内、宗也、フェイトだけはデスティニーのそばに残る。
彼らはデスティニーが何を考えているか分かってしまった者達だ。

「デスティニー……お前まさか」
「そのまさかだよ、悲しみに綴られた天命を持つ者、啓示者さん」

デスティニーは彼の最も得意とする行動、反射を利用するつもりなのだ。
彼の張る反射の壁で爆弾を包み込み、その威力を減少させるという極めて単純な作戦。
しかし、彼の反射をもってしても、威力を減少させる、程度しかできない。
彼の言葉通りならば、少なくとも会場は崩壊する。
そして、反射の壁を展開している間、彼は爆弾から離れる事はできない。
……それはすなわち。

「お前、死ぬ気か!?」

河内が言う。

「そう、僕もそろそろ生の終着点を迎えるときが来たようだね……」
「そ、そんなあっさりとお前……」

河内はそれ以上の言葉を発することは出来なかった。
この状況下でデスティニー1体の犠牲で難を逃れることができるなら、それがベストな選択肢としか思えなかった。
彼が今ここで命を捨てる決断しなければ、何人もの人間とメダロットが死んでしまうのだ。
河内一人の命ではない。
組織も結社も関係の無い大勢の命が消滅するのだ。

河内が悔しそうな顔で俯くのを見て、デスティニーは春風のようにさわやかな笑みで言う。

「気にすることは無いさ、死とは新たなる生への旅立ち……命の循環へと再び回帰する、それだけさ……
 それに次元の狭間を悪しき者から守るというセフィロトから受けた僕の任務が遂行しても、
失敗してもいずれにせよ僕という個体は役目が終われば消滅する。生と死は等価値なんだよ、僕にとってはね」

「デスティニー……」

「さぁ、行ってくれ。残された時間は少ない。僕にできる事は君たちの命を救う事だけだ。
 その命をどこへ、どのように運ぶかは君の意志に託されている……。
 河内さん、啓示者、フェイト……君達という未来に幸運…ラックを」

そういって、デスティニーは爆弾を反射の壁で覆い始めた。

「デスティニー……今まで世話になったのに、こんな事になって、スマン!!」

宗也は腰を直角にまげて頭を下げる。

「謝る必要はないさ、これが僕に課せられた運命…デスティニーなのだから」

デスティニーは背を向けて宗也をなだめる。
死を迎えるというのに、相変わらず柔らかな物腰だ。

「……行くぞ、啓示者」

河内が声をかける。
すでに爆弾タイマーはのこり5分となっていた。
デスティニーは2人に声をかける。

「ありがとう、君達に会えて、嬉しかったよ」

デスティニーは振り返らなかった。
背中で河内と宗也が走っていくの感じたまま目を瞑る。

「君は行かないのかい?」

河内と宗也が走り去った後、デスティニーともう一人、フェイトだけがその場に残った。

「俺は30秒もあればここから脱出できるからな」
「フフフ…そうかい」
「……お前とは長い付き合いだったが、いつも何を考えているかよく分からなかった。
 っていうかさっきの会話もほとんど意味不明だった。セフィロトだの任務だの」
「それは失礼。詳細…ディティールは河内さんに聞いておくれ」
「だが、一つだけ。この土壇場で分かることがある」
「なんだい?」
「お前……本当は死ぬのが怖いんじゃあないのか?」
「…………」

デスティニーは少しだまったあと、フェイトの方へ振り返る。

「驚いた……経験とは何にも勝る知恵となるのだね」
「フン、怖いならカッコつけずにそう言えばいいものを」
「フフフ…彼らを心配させたくなくてね」
「どうせ心配してただろう」
「返す言葉もないよ」
「…………」
「…………」
「お前、死ぬんだな」
「あぁ、いずれ死ぬ身だから覚悟はしていたのだけれどね。
君や河内さん達との記憶が消滅…ディサピアレンスしてしまうと思うと、やはり怖いよ」
「まぁ、俺には関係ない話だがな」
「そうかな?」
「あぁ?」
「君が命ある者である限り、死の恐怖…The terror of deathは常に君について来る存在さ」
「死の、恐怖、か。ますますもって俺には関係ないな」
「誰よりも他者に死を与え、誰よりも多くの死を見てきた君こそ、もっとも死の恐怖に近いと僕は思うけどね」
「……やはりお前は何を考えているか分からんな」

フェイトは振り返り、出口に向かって歩み始める。
運命の二機と呼ばれた二体の最期の会話はなんともあっけなく終わってしまうのだ。
しかし、これくらいの方が彼ららしいのかもしれない。
彼は決して仲良くなかった。
まったくと言っていいほど真逆の性格だった。
その2体が最期にこうして言葉を交わした事自体に意味があるのではないだろうか。

「死の恐怖The terror of death……何故だか妙に頭に残る言葉だ。お前の遺言として覚えておいてやろう」
「あぁ、いつか君が真実の死を迎えるときにでも思い出しておくれ」

そして、フェイトは出口に向かって走り出した。
30秒もあればここから脱出できると言うだけあって、あっという間にその姿は見えなくなった。

そして、会場にはデスティニーただ一人だけが残された。

爆弾が爆発するまで残り1分を切っていた。

「フフフ…これが僕の運命…デスティニーか。勿論、受け入れるよ。僕はその為にここにいるのだから
 だが、それでもセフィロトよ、1つ願いがある。もしも僕が再びどこかの世界で生を受ける事があるならば、
 その時は僕のように、戦いの中にいる事を運命づけられた者を……そんな悲しき天命を僕は助けたい。
 そんな運命を僕に与えてくれないかい?」

爆弾が爆破するまで残り20秒。

「その者に与えてあげたいのさ、平和という癒しを……」

残り10秒。

「静かでいて」

残り9秒。

「心地よくて」

残り8秒。

「広くて」

残り7秒。

「落ち着く」

残り6秒。

「そんな波打ち際のような」

残り5秒。

「砂浜のような」

残り4秒。

「〝渚〟のような癒しを与えたい……」

残り3秒。

「どうか命の輪廻の果てで」

残り2秒。

「僕に与えてほしい」

残り1秒。

「そんな運命…デスティニーを――――」



残り0秒…………。



この日、1つの運命が幕を閉じた。
数えきれないほど多くの運命を救って。
消えていったその小さく、儚い運命にもしも次があるならば。
再びどこかの世界で命が与えられたのならば。

彼に渚のように平和な運命が与えられる事を祈る。


第46話 完


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あとがき

やりたい放題できた。
カヲさん。
ありがとう。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.78 )
   
日時: 2013/02/05 23:03
名前: 雪の城

第47話 「先へ!」

甲子園ごと爆破ってそれはないだろ……。


時雨はぐずぐずと泣いている幼女の手を引きながら、甲子園跡地を黙って見つめた。
爆破のアナウンスがあるまで隣にいたヨシノはアナウンス終了する前にどこかに駆け出して行ってしまい、今この場にいるのは自分と鈴とシャウラだけだった。


途方もない感覚で見つめる。


壊れてしまえばそれはそれで仕方がないと思う。
鈴が楽しみにしていた大会が出来なくなったのは痛手にしかならないが、壊れてしまったのだどうにもできない。


ただ。


ただだ。


この爆破からの避難誘導をしていたのは、一歩達だった。
ということは少なからず自分達が関わっていたという可能性がある。


「しぐ~大会~」
「どうがんばっても、延期か中止だな」


シャウラが答える。それに同意するも
正直大会のことよりもこれからが心配で仕方がない。
こんなことに関わっていたら自分も鈴もどうなるか解ったことではない。


ポケットに入れた携帯がなる。
名前を見ればヨシノだった。あの時は正当に聞えたが今思えば詭弁でしかない方法で、連絡先を交換した。


「だれ?」
「ヨシノ」
「うっし。うでのみせどころだ」

どこで見せる気だ。
自然に手を伸ばしてきた鈴をいなし、わざと高くあげてから出る。


《無事だったようだな》


電話の奥から聞こえる声に突然消えておいてそれはないだろうと突っ込む。
笑い声が聞こえてからヨシノが言う。


《爆破騒ぎやっぱり他人事じゃないみたいだ。けど、今は合流しないほうがいいし深入りしないほうがいいな。多分あんたの事までは割れないさ》
「最初からそのつもりだ」
《そっちの幼女はどうだかな》


さっきまで泣いていた隣の娘は今はやる気に満ち溢れている目をしている。


「なんとかする」
《そうか。おれは判断を間違えた尻拭いしてからとんずらすることに決めた。元の世界には戻りたいけど死んだら意味ないからな。じゃあ、また》


「また」と言ってヨシノの電話は切れた。幼女は時雨を見て頬を紅潮させていう。


「どうだった!」


さて、どうやって答えようか。












「今回の責任は俺にある」


河内は無事脱出を済ませると、一歩達に合流し深く頭を下げた。
深く深く頭を下げたまま、続けて言う。


「ここにあいつの言うままお前らを揃えたのは俺だ。あいつに今まで従って、騒ぎを大きくしたのも俺だ。すまん」


言っていることは理解できるが、一歩達は河内が悪くないと理解している。
河内がしなければ他の誰かがしたことでしかない。
首謀者が彼でない限り、彼が正常な判断能力を持っていたとしてこの結果は止められなかった。


空気が重くなる。


一歩は首を横に振る


「あなたは」
「そうだな。あんたが目先しか考えないクズだからこの結果を招いた」


携帯を閉じる音と共に声が響く。


「誰がやっても」
「啓示者。あんたも無実だと思うなよ。責任ある立場が暢気にすごすからこうなる」
「待てよ!じゃあ宗也にずっと閉じ籠ってろとでもいうつもりか」
「そうだけど?」


しれっという言葉に冷たい視線が刺さる。


「あとおれFFが集まるなんて聞いてないんだけど」
「聞いてれば予測できたとでもいうつもりか」
「丸ごと爆破までは予測出来なかったけど。噂に聞いたことがある有能な探偵ならば、爆破予測は出来ただろうな。まぁ、どっ」
「どっちにしろ、結果論。そう言いたいんだろ」


惣葉の低い声がヨシノの話を遮る。
全員の目をしっかりみてから、心火、バロン、志和、シモツキを順にしっかり見てからベリアルへ頷き言う。


「俺達がしなくちゃいけないのは、“これから”だ」
「惣葉。お前、様子おかしくね?」


ヒロキが尋ねればそれに惣葉は微笑み答えた。


「あぁ、戻ったみたいだ」







―――――――――

原作読む時間が結局なかったので、ディスティニーたんの話を膨らますことが出来ず
惣葉くんの本性が解らなかったけれど話を動かそうと試みた結果
明言せずにのばしました。
後半のヨシノのターンを最初ヒロマサや妹で書いてたなんて外道なことは・・・ない。
ヒールっぽいことを言っても許されるキャラっていうのは誰なんでしょ。

追記:うっかり話数、タイトルを書くのを忘れておりました。一番上にかいてあることだけど、追加しました。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.79 )
   
日時: 2013/02/10 18:17
名前: 凍零

第48話 道標



 会場が爆発した瞬間だった。惣葉は懸命に走りながら、しかし標準以下の体力では到底間に合う筈もなく。
 足が地面から僅かに離れる。走っていたせいで前に体重をかけていたため、そのまま前のめりで倒れようとした時、会場が光に覆われた。
 光はあっという間に会場全体を包み込み、走っていた者達は一度足を止めた。そして、惣葉の目の前を守るようにして走っていたベリアルが、惣葉が爆風で飛ばされようとした所をなんとか受け止める。すぐさま心火が惣葉を抱え、ベリアルと共に走り出した――惣葉は僅かに残っている意識を食い止めながら、その時ふと、頭の奥底で何かが見据えていた。



「お前は――」

 何かが、惣葉自身に訴えかけていた。
 どこかで聞いたことのあるような声。人の声ではなく、機械によって音声が発せられているような声帯。メダロットだ。
 知らない内に目を瞑っていたようで、ゆっくりと目を開ける。そこで、惣葉は何かがおかしいと気が付いた。

(俺、ベリアルに受け止めてもらって、それで……)

 心火に抱えられ、会場から脱出しているのが、今の状況だ。
 しかし、そこにいるのは惣葉だけで、誰かに抱えてもらっているような感覚は無い。寧ろ、惣葉自身がそこに立っている。ベリアルも河内も一歩も、誰もいない。
 ふと、惣葉は思い出す。訴えかけていた声が、果たしてどこから発せられたのか。
 その疑問に答えようと、目の前の空間が突如歪む。驚きながらも身体は動かず、目の前で起きている怪奇現象をただ見るだけだった。

「お、お前は……あの時の……?」

 忘れようにも、その圧倒的な存在感は忘れる事ができなかった。聖夜の家に突然現れ、ギルティとベリアルを赤子同然にあしらい、そして姿を消した者。
 エグゼリオと名乗ったFFのメダロットが、惣葉の目の前にいた。

「お前は、何をしているのだ?」
「え……?」

 一体何を言っているのだろうか、そう言おうにも、喉からそれが出てこなく、エグゼリオの言葉を耳にすることだけが精一杯だった。

「お前は、逃げているだけの臆病者だ。 真実に目を背けて、その反動でベリアルも本来の力が発揮しないまま」
「な、何の事だよ……?」
「フォーミュラーフレームに選ばれ、お前はセフィロトの真実を見抜こうとしていた。 ベリアルというフォーミュラーフレームを媒体にして」
「えっ……」

 抜け落ちていた何かが、惣葉の記憶の奥底から、沸騰していくように。
 無意識の内に身体が動いた。しかし逃げる事はせず、頭を両手で抱え込む。
蓋を閉めていた情報網というものが一斉に湧き出し、すぐにでもパンクしてしまうようなそれは、惣葉の頭の中へと包み込んでいく。

「あっ……がぁ……!?」
「そしてセフィロトの怒りを買ったお前は、無意識の内にベリアルという媒体を切り、セフィロトで見た記憶、そしてそれまでのお前という存在を閉じ込めた」
「うぅ……ぐ……がぁ」
「だが、それももう終わりだ。 お前もベリアルも、そろそろ目覚めてもらわなければならないからな。 そして……」

 エグゼリオの声すら聞こえない程の叫び声を上げ、遂に情報が頭に揃いきった。
 両手が頭からだらんと、力無く落ちていく。瞳孔がこれでもかというくらいに開き、口を大きく開けて息は荒い。全身に汗が流れ、気持ち悪い。
 気持ちを落ち着かせようと、しかしそれは叶わなかった。髪を無理矢理持ち上げられ、すると目の前にはエグゼリオの顔が、カメラアイから惣葉が映り込む。
 そのカメラアイが、笑ったように――まるで何か企みがあるかのように、細くなった。

「セフィロトの真実を完全に知るために、まずは戦国大陸へ赴け。 そこにフォーミュラーフレームが一人……そしてもう一つ、後はわかるだろう、雨月惣葉よ――」

 鷲掴んでいた手が離れ、同時にここにいる意識がなくなり――




「戻った……? まさかお前、記憶が……?」

 バロンの問い掛けに無言で頷く。ただそれだけなのに、バロンは呆気にとられていた。
 無論それはバロンだけではなく、周りにいた者全員――ではなかった。ヨシノに言われ放題にされ、更につい先程まで共にいたデスティニーがいなくなり、どうしようもない焦燥感に襲われている河内を除いて。
 呆然としている状況の中、惣葉が前に踏み出す。その先には心火がいて、向き合い。

「心火、次の目的だけれど」
「次の目的……?」
「ああ。 けど、その前に」

 心火が向いている方へと惣葉は身体を向けると、その瞬間メダロット達が何かに反応したかのように、人間達はけたたましい音がする方向へ反応し。
 それは車だった。赤いランプとサイレンが特徴的であるパトカーが、甲子園会場へと、何台も何台も押し寄せていく。
 その状況に、心火は惣葉の言う事を察知した。勿論それは心火だけではなく、河内も、一歩達も充分にわかりきっていることだった。

「そうだな、ここの処理はセレクト隊にまかせておいた方が良さそうだ」
「話は、結社に戻ってから言う。 けど、その前に……」

 周りもセレクト隊のお世話になるつもりはないようで、一目散に逃げ出す者もいれば、落ち着いて逃げる者が映った。
 そして惣葉は、逃げ出そうとしていた内の一人の腕を、強引に掴んだ。
 その相手は一歩だった。振り解こうとする前に、惣葉は持てる力を全て出して両手で一歩を引っ張った。

「アニキ!?」
「一歩!」

 葉奈とギルティが一歩の異変に気が付き、ヒロキとマサキの制止を遮って駆けつけていく。
 二人に邪魔される前にと、惣葉急いで一歩に対して口を開いた。

「月島一歩……でしたよね?」
「な、何言ってるんだよお前? まさか記憶が戻ったとか言いながら実は」
「簡潔に言います――」

 言い終えたところで丁度葉奈とギルティが来て、惣葉は呆然としている一歩から手を離すと、すぐさま逃げ出す。
 葉奈が一歩の心配をしながら、ギルティは逃げていく惣葉を追おうとするが、セレクト隊の存在を思い出すと、ギルティはやむを得ず一歩と葉奈の手を掴んで走り出した。

 何故惣葉が知っているのか、そして何がわかるのだろうか、ギルティに引っ張られるようにして走る一歩は、惣葉の言った言葉が頭から離れようとしなかった。


 ――貴方の両親の事で話があります。 後で、指定された場所へ来てください。


第48話 完





惣葉の記憶はどう戻そうか→そういえばエグゼリオというチートがいた事を思い出す→その結果がこれだよ!
そして遅くなって申し訳ありません…。
これで良いのかわかりませんが、ゼブラさん次よろしくお願いします。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.80 )
   
日時: 2013/02/18 23:54
名前: ゼブラー

第49話 「月島一家」



月島一歩は惣葉に言われた通りの場所に来た。そこは結社のアジト。
ちょっと前は惣葉がおびえながらいた場所。ちょっと前には一歩が惣葉を奪い返しに来た場所
そこに妹の月島葉奈をつれてきた。惣葉は『できればギルティはつれてこないで』と言ったので2人だけで来た

 二人がその場に再び訪れた時、そこには惣葉が待っていた。他の結社メンバーの姿はない



「・・・お前一人か?」
「皆さんには席をはずしてもらってます。その方が・・・あなた方にとっていいと思うので」
「・・・ていうか、なんでお前敬語になってんだよ。なんか感じ違うぞ」
「記憶が戻ったと言いましたよね。とにかく、あなた方二人には言っておくべきことがあるのです」
「・・・」

 一歩は先が見えないといった顔をしており、葉奈は惣葉に対して警戒しているのか眉を細めている






 「かつて、FFの起動実験の際、FFが想定外の暴走を引き起こし、研究者数名が重症に。2人が犠牲になりました。
  その二人は『月島 歩(あゆむ)』と『月島 桜』。お二人のご両親ですね?」

 『!!!!!!』

一歩と葉奈は目を見開いて驚いた

「な・・・なに?・・・」

 「どういうことだおい・・・惣葉!!!」

一歩が惣葉の襟をつかんで詰め寄る



「聞いている話ですが・・当時、ナンバー0・エグゼリオの脱走事件の後でFFの実験は慎重に扱われていたんです。
 そして歩さんと桜さんが指揮して数名でFFの起動実験を行ったのですが、想定外の暴走を引き起こしてしまったんです。
 実験に携わっていた数名の研究者は重傷に、お二人は・・・」

「・・・うそだろ・・・」
 一歩がへたりこむ

「私も当時のことは話に聞いているだけですが、月島夫妻は未知のフォーミュラーの研究者として抜擢され、プロジェクトに参加。
 半ば無理矢理FFの開発に携わって、家族に会う時間もなかったと・・・」

一歩と葉奈は幼いころに両親が行方不明になってそれっきりだった。月島夫妻はプロジェクトから離れられなかったのだ



「・・・」

葉奈は思ったよりも落ち着いた顔をしていた
「葉奈さんは・・・ずいぶん落ち着いてますね」

「そりゃあ・・・ずっと昔から行方不明だったから・・・今さらというか・・・薄々感づいてたというか・・・」

(・・・強い人だ・・・この女性は・・・)

 だが、一歩はそうではなかった。
 頬に一滴の涙を滴らせていた



「そりゃあよ・・・俺だって思ってたよ・・・長い間音信不通でよ・・・もう『すでに』って・・・・・・
 ・・・でも・・・でもよお・・・心のどっかでは希望があったんだよ・・・いつの日かひょっこり戻ってくるんじゃねえかって・・・
 そんで・・・色々文句言って・・・今までのうっぷんをぶちかましてやろうって・・・ちょっとは思ってたんだよ・・・」

(兄貴・・・)





そんな一歩を見ながら、惣葉が気まずそうに口を開く

「・・・こんな時に・・・非常に酷な話ですが・・・・・・その暴走したFFというのが・・・・・ナンバー1・・・
 つまり・・・ギルティなんです」



『!!!???』

「当時まだナンバー1に名前はなかったのですが・・・その一件で『ギルティ』という名が――」

「ちょっと待て」

 葉奈が惣葉の話を遮る

「ギルドが・・・暴走して・・・っていうことなのか?」

 惣葉はうつむき加減で答える
「・・・はい」



「・・・ギルド・・・が?・・・親父とお袋を?・・・うそだろ・・・おい・・・惣葉!!」

 「・・・ただ言えるのは、当時のナンバー1はまだ自我もない状態で暴走も事故です。だからナンバー1の責任とは・・・」

「・・・兄貴・・」

「ギルド・・・・・が・・・」



惣葉は気をつかってその場を後にし、月島兄妹二人だけにすることにした

「・・・葉奈・・・俺・・・俺どういうことか・・・全然・・・・・・やべえ・・・頭がこんがらがってる・・・
 俺達の・・・家族を・・・ギルティが・・・」

「・・・」

 葉奈は気づいた。一歩が『ギルド』ではなく『ギルティ』と言ったことに

「俺・・・ずっとお前だけが家族で・・・もっと家族がほしかったのかもしれねえ・・・だからギルティが家族になってはしゃいだ・・・
 でも・・・その新しい家族のギルティが・・本当の家族の親父とお袋を・・・」

「!!!」

 その言葉に葉奈は反応した



「『本当の家族』!!?それじゃあギルドはニセモンだって言うのか!!?」

 「!?・・・は・・・葉奈・・・」

「ギルドだって家族なんだろう!!?あんたが連れてきたんじゃないか!!!私だってギルドがうちに来た時は内心はしゃいでたさ!!!
 なのに・・・今になって家族じゃないって言うのか!!?事故だっていってるじゃない!!!ギルドの意志ではないんだぞ!!!」

 「・・・で・・・でも・・・」

「でもじゃねえーーー!!!てめえいつからそんなフヌケになりやがった!!!それでも月島一歩か!!!」

 「葉奈・・・お前・・・」



これは一歩がフヌケなのではない。むしろ一歩の反応が正常と言えるのだろう。混乱するのも無理はない。
 葉奈の方が強いのだ。強すぎる心の持ち主なのだ

「そりゃあ私だって!!・・・私だって複雑な気持ちだよ!!!だけどギルドだって家族だろう!!!アンタがそう言ったんだろ!!!」

 葉奈はそう言い放ち、一歩をその場において走り去っていった



「葉奈・・・・・でも・・・だけど俺には・・・お前みたいに強い心はないよ・・・・・っぐ・・・
 ・・・く・・・・・ううう・・・・・・」



つづく

■一歩がこれからしばらく凹みながらギルドへの複雑な思いの葛藤と戦うって感じにしたくてこうなりました
葉奈は強い。一歩でも凹むことはある。という感じです。難しい展開ですがこれもこれでなんとかなるはず!!!

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.81 )
   
日時: 2013/02/23 12:58
名前: カヲトリス


神無月 忠吉は哲学者の父親と科学者の母親の元で生を享けた、次男坊である。
他の子よりも遅めの子であった彼に父親と母親、そして研究職に就いていた兄は静かにそして着実にこの世が何で成りたっているかを教えた。

――曰く、それは秩序。
――曰く、それは法。
――曰く、それは技術。
――曰く、それは努力。

年老いた両親と、忠吉と大きく年が離れた兄は彼に潤沢な知識を教え込んでいく。
やがて彼らがその天寿を全うしたその後も――忠吉は悲しむことなく堂々と自らの道を進み続ける。
何故なら知識は、父と母と兄が生きていた証は彼自身の中に存在し続けるのであるから。
それが存在し続け、そして彼の中で発展し進化し活用され続ける限り、彼らは死なない。

しかし、今。
神無月 忠吉という一人の人間は、肉体的な死を迎えようとしていた。
他者に彼の、彼らの知識を、今までの生を伝達するという大事な役目を果たせないまま。


……思えば『影』と言う物は騒乱の終わりが漂う、いつもその時にやってくる。
月島 一歩はエデンでの戦いの最中、FFナンバー0であるエグゼリオと相対し。
そして今兄妹は自らの親の、そして隣の相棒の真実を知ろうとしている。

雨月 惣葉はエデンでの戦いの最中、結社の男こと心火とその相棒に完敗し。
そして今自らの内に隠された記憶の蓋が、完全に開きつつある。

河内 拓馬はエデンでの戦いの最中、奇妙なる一体の道化と二人の少年と出会い。
そして今彼は一体の大天使の犠牲という運命の元、組織への疑いの根を生やしていく。

そしてここにもまた一人、『影』がちらつく者がいる。
赤きに青きに良しに悪し。
『影』は死の淵の彼に何を見せるのか、それとも何も見せずにいるか。



第50話 「」



「……遺族感情という物を考慮しないで言うのなら、もうあまり長くはないと思われます。出来る治療は、全て行ったのですが……」
「はぁ」

黒鏡 時雨はその時、「え、知らんがなそんなん」と思った。


あらすじ。甲子園超爆破とかいう超すげえ出来事に放っておかれて幾星霜(数時間)、やる事もなくなってしまった彼と幼女こと紅堂 鈴がグラップラー刃牙ごっこをしていると一本の電話が掛かってきた。
電話の内容はこうである。『あなたのご友人の、神無月 忠吉さんについて少しお話が……』
いや、ちゃうねん。
俺別にその人と友人とかそういうのじゃないっていうか、仲間の連絡先とか上手く隠ぺいし過ぎワロタ――
はい、あらすじおしまい! つまり貧乏くじを今回も引いたんだよ彼は!


「……」
「……はぁ」

シャウラをメダロッチ内に、鈴を外に放り出して時雨は病室で静かにため息をついた。

火事にあった自分の家に怪しげな救いの手を伸ばし、その手に金を握らせながらそのまま何か気づいたら瀕死の状態に陥っている神無月。
悲しむには材料が足りず、見捨てるには金が余りという複雑な気分の時雨と、酸素マスクを付けた神無月がいる部屋の戸が叩かれたのはその時だった。

「どうも」
「……よぉ」
「お、ういっす」

外から現れたのは、中性的青年コトヒラとSRU型ロンガンことヨシノであった。
先程まで記憶が戻って、ヘタレからイケメンへの性格チェンジを果たした惣葉の近くにいた筈の彼らが何故わざわざこっちに戻って来たのか。
その理由は――。

「惣葉とあの兄妹がどこかに行った後、メダロッチに通信があったんだよ……『あなたのご友人の、神無月 忠吉さんについて少しお話が……』って」
「貧乏クジ仲間だったのかお前も!」
「一緒にしないでくれよ……」

何と貧乏クジは一本ではなく二本だった。しかも似たような奴と繋がっていた。

「……まぁ、とはいえ惣葉の用事があるのは一歩達兄妹みたいだし、結社の人達はどっか行っちまったし、河内さんはヨシノが苛めた所為で凹んでるしな」
《悪い奴だなぁ、お前のメダロット》
「そしてヒロキとマサキとは仲良くなりたくないからな」
「悪い奴だなぁ、お前のメダロッター」

メダロッチの中にいるシャウラと時雨がほぼ同じ事を言うのを聞きながら、ヨシノはベッドの近くに置いてあった丸椅子に座る。
そして静かに、目を瞑って横たわる瀕死人の顔を見つめた。

「……死ぬのか、この人……」
「ああ、大分危ないとは聞いてるけどな……」

微妙な表情――その顔は、時雨のソレとはどこか方向性の違いを感じさせた――でそう言うコトヒラに、ヨシノはふうんと曖昧な返事を返した。

「何か、嫌な気持ちになるな。メダロットなのにこういうのは変なのか?」
「……お前のは、当然の気持ちだと思うぞ」
「何でそんな事言い切れるんだよ」
「…………」

「……なぁ、アイツらって実は仲悪いのかな?」
《知らんがな》

何か殺伐としたモノを感じる一人と一体のやり取りを聞き、時雨とシャウラはこっそり端の方で言いあった。
……と、その時。

「おい! 神無月! 神無月は無事か!?」
《落ち着いて。無事じゃない事は分かりきってるでしょう?》

メダロッチを持った一人のリーゼントが、目立つ頭と共に扉を突き破って現れたのだった。





……暗い。
神無月は、酷く暗く何も無い場所にいた。
目を瞑っているのか、耳は聞こえているのか、匂いを嗅ぐことはできるのか。彼が何も感知できないこの場所。
目覚める事のできない神無月は、やがてふと一つの知識にありつく。
まぁ、真っ黒な世界では他にやる事も無かったと言えなくもないが……ともかく、彼が考え出した事は自らが所属する団体の事であった。


『結社』。その目的はフォーミュラーというエネルギーを利用し、世界に技術革命を起こすこと。これは母と兄の影響。
そして、この技術を使い戦国大陸などの荒れ果てた地に秩序をもたらす事。これは父の影響。
神無月は家族の思いと共に、今までの人生を歩んできた。

しかし不思議な物だ、と彼は思う。
フォーミュラーという、火力よりも水力よりも原子力よりも強い力を持つあの宝玉。
メダロットという人よりも冷静で、人よりも感情の少ないソレですらも暴走を起こしたのだから、もしかしたらフォーミュラーという物体は人の手では扱い切れる物ではないのかもしれない。
そう、それはまさに神の手による物のような……。


そこまで考えた彼は、何の気無しに別の知識へと手を伸ばす。
その名は『組織』。自分達と敵対する団体の名。
フォーミュラーの持つ莫大なエネルギーを使用し、別の世界へと旅立つことを目的とする神無月の敵。
彼らは何故そんな目的に拘り続けるのか。かつて捕まえた『組織』の人間が言っていた言葉を、神無月はふと思い出した。

――他の世界に行くっていうことは、理屈じゃないんだ。本能なんだよ。

暗闇の世界の中、何気なく頭に浮かんだその言葉。
神無月がその言葉に何か違和感を感じていると――ふと唐突に、猛烈な息苦しさを感じた。

まるで強引に水の中に入れられた時のような、焦りと圧迫感。
突然の感覚に動揺しもがき出す神無月の前に、先程滂沱の様に記憶が、情景があふれてくる。

――それは、人々が暗闇と煙の混乱に陥る中聞こえた銃声だった。自分が撃たれた日だ、と彼は思った。

――それは、かつてと比べて段違いに内気そうになった少年の顔だった。自分のかつての同僚が戻ってきた日だ、と彼は思った。

――それは、自分が初めて『結社』に来た時の心地よい緊張感だった。自分がこれからの未来に希望を感じた日だ、と彼は思った。

――それは、病床の上でやつれきった父親の姿だった。自分が悲しみと哲学の全てを受け継いだと感心した日だ、と彼は思った。

――それは、母が初めて自宅で実験を見せてくれた時の光だった。自分が技術への感心を持った日だ、と彼は思った。

――それは、年の大きく離れた兄が未熟ながらもさらに未熟な彼に必死に勉学を教える姿だった。自分が他者へのどれだけの協力で成り立っているかを悟った日だ、と彼は思った。

――それは、それは、それは、それはそれはそれはそれは――……


――それは、人ではない何かが大きな繭の中にいる姿だった。

はて? これは、何だっただろう、と彼は思った。


……
…………
……それは、彼がいつか見たアニメの映像だった。
その作品の登場人物の一人は、謎だらけの作品中の世界に疑問を持っていた。疑問を持つことを恐れる人間達を見下していた。
彼は主人公に敗北し、しかしそれでもなお世界に対し疑問を持ち放浪し始める。
かつて隆盛を極めていたと思われる砂漠を歩き、そして辿り着く……彼がいる世界の真実に。


――それは、人ではない何かが大きな繭の中に入り、五つの粒子が世界に向けて散らばる情景だった。
粒子は恐ろしい程の光を放ち、やがてその輝きは遠のいていく。

彼は、それが何かを知っていた。


……思えば『影』と言う物は騒乱の終わりが漂う、いつもその時にやってくる。
『影』は、彼にこの世界の真実を『思い出させた』。
この世界に住まう『真』の人間なら、誰でも知っている筈のその真実を。



……
…………
………………

志和とシモツキがやってきた、そのすぐ後。
神無月 忠吉は体調が急変し、医者の緊急治療室での治療の甲斐なくそのまま静かに息を引き取った。





医者が葬儀社に連絡を取る、と言ってから立ち去ってからすぐ。
その場には、突然の死に呆ける時雨達と扉越しに冷たくなっているだろう神無月だけが残されていた。

「…………」
「…………」
「…………」

空間に向かって放たれる言葉は、しばらくなかった。

時雨とシャウラは死者への黙祷を表すべきかどうなのか――無理もない、今まで人の死に直面した事もなく、まだ若い彼らにこの状況で咽び泣く事はほとんど不可能に近いだろう――を戸惑い、
コトヒラとヨシノはほとんど面識もない、冷たくなった神無月がいるであろう治療室の扉を見つめ――その瞳は扉というよりも、何か死に関連した自分自身の記憶を見ているようにも感じられた――只ひたすら沈黙に徹し、
そして、志和は静かに立ち尽くしていた。

「……覚悟は、していたんだがな」
《志和……》

白い扉を見つめながら二度三度頭の巨砲を撫で、志和が沈黙を破る。
その声にいつもの元気はないが、かといって涙が混じったソレでもない。

「今までもこういう事はあったんだよ。フォーミュラーフレームなんてもんは人の手には相当余る代物だからな、俺の身近でも二人ぐらいいなくなっちまった……」
「…………」
「……やっぱり、辛ぇな」

そうぽつりと呟くと、彼は再び黙り込んでしまった。
一番心苦しく思っている志和が黙りこめば、当然その場には沈黙が再び広がる――筈、だった、が。


「――感じるぞ……」


「「!?」」

何も無かったはずの空間がひしゃげ、その『中』から銀色のボディが現れる。
病院の蛍光灯に照らされ、光を堂々と反射するその機体。
圧倒的な威圧感を周囲にばらまくそれは、まさに――

「ナンバー0、エグゼリオ……!!」
「お、おい……マジかよ……」

「……何だ、FFはいないのか。何か懐かしい感じがしたような気がしたのだが……まぁいい。所詮ここは、ナンバー3のメダロッターの寄り道でしかない……」

意外さと残念さを込めた声でそう言いながら、エグゼリオは右手を空間に向ける。
瞬間、数秒前に現れた時のように再び空間がねじ曲がり――

「愚かなる者共よ、聞け。FFの覚醒がほど近い今、セフィロトへの道も着実に近づいている」
「……! お前はセフィロトへと行くのが目的なのか!? そんな所に行って何になる!」
「何に……? フン、知れたこと」

体を静かに空間へと沈み込ませながら、銀の星は静かに呟く。

「――この力が、莫大なエネルギーを持った選ばれし我々が指し示す先の世界が見たい……唯、それだけだ」





■あとがき


今回起こった事→神無月死す、のみです。
とはいえ地さんに人殺る時は一話丸々使えと言われたので頑張りました。どうでしょうかね。
後、途中のアニメのキャラは多分凍零さんなら分かってくださる筈。敵役のアイツです。

それではお疲れ様でした。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.82 )
   
日時: 2013/04/08 23:35
名前:

第51話 「more」


戦国大陸はその名の通り、戦をしている。
この戦は大陸の支配者を決める為に行われているものであり、大陸の覇権を求めて戦う軍はメダロットのみで構成される軍、人間やメダロットの混成軍など種類は様々だ。
その鎮静にはライズやエデンも介入しようと試みたことは幾度とあるが、いずれも失敗に終わっており、戦は相変わらず終わる気配を見せない。
そんな戦国大陸が、エグゼリオが惣葉に行くよう命じた場所であり、心火が渡ろうとしている場所である。

話は変わってフォーミュラーフレーム達は元々一つの場所で研究をされていたが、数年前の暴走事件より、皆散り散りになった。
ナンバー1ギルティはアルデヴァランへ、ナンバー2ベリアルはメダロッチに入ったまま行方不明、ナンバー3バロンは心火によって回収された。
そして事件のトリガー、ナンバー4モアはというと、あてもなく世界を彷徨っていた。
当時のフォーミュラー計画の研究者から意図的に感情を奪われていたモアには目的がなく、故にどこにでも行ったが、行ったところで特に何をするわけでもなかった。

そんな状態で彷徨い続けて数年。
モアは戦国大陸を訪れた。
そして、モアは戦国大陸のとある軍によって捕まった。
モアを捕まえた軍はただ、敷地内に侵入した怪しいメダロットを捕まえたというだけなのだが、そのうちに、モアが普通のメダロットでは無い事に気が付く。
そして、彼らはモアの研究を始めた。
嫌悪という感情すらないモアは抵抗することなく、軍の研究所に監禁され、恐怖も悲しみも感じることなく、そこでおとなしく研究されていた。

しかし、あまりに唐突に、彼女の無感情な世界は破壊された。

彼女を研究していた軍が壊滅した。
戦国大陸最強とされる軍によって。
そして、モアのいる研究所にも当然攻め入られる事となる。

「フゥハハハ! 殺せ殺せ、抵抗する者は例外なく殺せ!!」

炎上する研究所の中で声高らかに笑い声をあげる白銀のガンキング。
彼こそが、戦国大陸最強の軍の総指揮官。
名をヴァハムート・ヴァン・ヴォーマルハウトという。
逃げ惑う研究者達を両手に持った剣で貫き、足で踏みつぶし、薙ぎ払い、そして殺す事を存分に楽しみながら研究室内を侵略していく。

そして、ついには研究所の最深部までたどり着く。
ヴァハムートは小さな水槽に閉じ込められたモアを発見するやいなや、水槽を剣で破壊し、中にいたモアを無理矢理引きずり出した。
小さな結晶のようなものが彼女の体の周りに浮いており、額には銀色のフォーミュラーがはめられていた。
ヴァハムートはモアの首下に剣の切っ先を突き付けて言う。

「女、貴様何者だ?」

モアは無表情で、淡々と答える。

「フォーミュラーフレームナンバー4〝モア〟かつてはそう呼ばれていました」

「フォーミュラーフレーム?」

ヴァハムートは怪訝な顔をする。
彼の聞いたことのない言葉である。
フォーミュラーフレーミとは一体何なのか、興味が湧かないでもなかった。
しかし、彼にとってもっと重要な事があった。
殺意だ。
圧倒的な悪意を持って怯え、逃げようともがく者をできるだけ無残に破壊しつくして殺す。
今の彼にとってはそちらの方が更に興味深く、楽しみでもあった。

「何の事だか分からぬが……死ね」

ヴァハムートはモアが怯えるのを待った。
恐怖を感じるのを待った。
怒りを持って反撃してくるのを待った。
しかし、

「はい、殺してください」

モアはヴァハムートの期待した感情を1つも感じさせることなく、平然と自らの死を受け入れた。

「……何だと?」

ヴァハムートは剣を下ろす。
モアはそんな彼に静かに言う。

「今まで私はただの研究対象としてしか見られていなかった。科学者たちは誰一人として私に何の『感情』も向けてはくれませんでした。しかし、今、あなたは私に〝殺意〟という『感情』を向けてくれました。初めてです。私に『感情』を向けてくれた方は」

ヴァハムートの圧倒的な殺意を向けられた時、モアの世界は変わった。
普通ならば、ヴァハムートの過剰な殺意をむけられれば、恐怖のあまり気絶するか、下手をすればそのままショックで絶命してしまうかもしれない。
それほどの惨劇を生み出す殺意なのだ。
しかし、モアにとってそれは、自分に初めて向けられた感情。
それが殺意であったとしても、怒りであったとしても、憎しみであったとしても、感情を向けられたという事自体に喜びを感じたのだ。

「私は貴方の願いを叶えたい。ですから貴方が死ねとおっしゃるなら私は死にます」


「 つ ま ら ん ! !」

ヴァハムートは剣を捨て、自らの拳でモアの横っ面を思いっきり殴りつけた。
モアは無抵抗に殴られ、倒れた。

ヴァハムートは今まで幾度となく命を破壊してきた。
今日も今までと同じように目の前のモアを破壊してやろうとしていた。
しかし、モアは今まで破壊してきた命と明らかに違った。
恐怖しない。
逃げない。
命乞いをしない。
そんなモアの姿を見ても、そんな彼女を殺しても、ヴァハムートの心は満たされることは無いのだ。
床に倒れ、ぐったりしたまま動かないモアに、顔をしかめながらヴァハムートは言った。

「貴様を殺すのはつまらん。 何処へなりといくがいい……」

そして、剣を拾い、その場を離れようとモアに背を向けた。
3、4歩ほど歩いたところで、ヴァハムートは立ち止まった。
後ろからモアがついてきていた。

「なんだ? 」

「貴方は〝何処へなりといくがいい〟と言いました。これは私が望む場所へ行ってもいい、と私は解釈しました」

「だからどうした?」

「私は貴方のそばにいたいです」

モアにとって、ヴァハムートは特別な存在へと変わっていた。
彼はモアにとって感情を向けてくれた〝初めての男〟。
今まで感情を持たなかったモアに、感情が芽生えたきっかけ。
そんなヴァハムートにモアは何らかの強い感情を抱いた。
今まで感情を知らなかったモアにはその強い感情が何なのかは未だ分からなかったが、彼についていけばいつか答えが出る……ような気がした。

ヴァハムートはしばらく黙って、モアをにらんでいたが、やがて笑みを浮かべた。

「ククク……ハハハ……フゥハハハハハハ!! 面白い、ならば我がヴァン軍へ貴様を加えてやろう。散々利用した挙句、捨ててくれよう!!」

実はヴァハムートにとってもモアは特別な存在であった。
その事実に本人が気付いているのかどうかはおいておいて、モアはヴァハムートに殺意を向けられて、逃げも恐れもしなかった〝初めての女〟だ。
それが原因かは分からないが、ヴァハムートはこの不思議な女に興味を抱いた。


「我が名はヴァハムート・ヴァン・ヴォーマルハウト、この戦国大陸を統一し、そして世界を統一する大将軍なり!!」


戦国大陸に向かおうと考えている惣葉達にとって、モアを回収しようと画策している心火にとって、このヴァハムートという男は、大きな壁として立ちはだかるだろう。


51話 終わり

―――――――――――――――――――――――――――――― 
なんかみんな、カオスで何していいか分からんかったので、テキトーに戦国の話出してきてお茶を濁しました。
ごめんちゃい。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.83 )
   
日時: 2013/03/03 02:28
名前: 雪の城

第52話「決起集会」


とりあえず、神無月さんのことを知らせよう。と病院にいたメンバーにシモツキが持ちかけた。
それでも、病院関係者に話しかけられたら困るだろうと判断したヨシノはコトヒラとシャウラへそこに残るように言いつけ、コトヒラはそれをしぶしぶだが了解した。

時雨は外に鈴を待たせてあることもあり、裏側の出口から一歩へ電話をかけた。4回ぐらい音がなってから、一歩の「はい」という声が聞こえた。
だが、それは前聞いた声と違うように感じた。
もっとハキハキしていて、明るい感じの良い声だった。それが、今は暗く落ち込んだ小さい声で、正直耳を済まさなければ聞こえないように感じた。

「いきなり悪い。今時間あるか?」
《・・・ああ》

大丈夫だろうか。こんな状態で人の訃報を伝えてもいいのだろうか。
時雨は耳にあてた携帯を握る手に少し力をいれた。一拍呼吸をおく。

「悪い報告だけど、いいか?」
《悪い?》

少し一歩の声に苛立ちを感じた。間をおく。

「また、後で」
《いや。いいよ、言ってくれ》

明らかにおかしい。なんかこの世で今以上に悪いことなんてないだろうとまで言ってしまいそうな雰囲気だ。いや、あくまで仮想でしかない。単純に気分が悪いだけかもしれない。

《言ってくれ。時雨》
「分かった」



河内は結社の人と別れてからしばらくただひたすらに歩いていた。体を動かさなければ頭がどうにかしてしまうそうなほど、ひどく疲れていたのと、少しでもカミュラの情報を得たかったからだ。得てどうするかはわからない。けれど、知りたかった。
けれど結局何もできず、河内が歩き出してから一番最初に話したのは、ヒロキだった。
ただ、電車を駅のホームで待っていただけなのに、「早まるな」と言われたのが原因で、それを駅の近くにある喫茶店で「死ぬつもりではなかった」というのを説明していた時、電話がなった。
非通知だ。
出なくてはいけないと直感的に思い、二人に断ることなく電話に出た。

「河内です」
《ヨシノだ》

あの時の出来事が思い返される。ヒロキとマサキも「あのロンガンにボロクソに言われたから死のうとか思ったんだろ。おっさん気が早いって!」と言われたのに対し否定したばかりだが
今は聞きたくない声だった。それに、電話番号を教えたつもりはない。

《番号勝手に調べて悪い。伝えたいことがあったんだ》
「もう説教なら」
《あの爆破について言うことはなにもない。惣葉が言ったことが全てだ。だけど、それよりもっと最悪な事態になった。河内、あの停電トラブルの時、銃、放ったよな?》

高知はヨシノの言葉に息が止まったような感覚がした。最悪の事態が頭によぎる。隣にいるヒロキとマサキが河内の顔を覗き込み、電話の相手を聞いてくる。
電話の向こうから特徴的な声が聞こえる。

《それにあたった人、亡くなった》

出なくてはいけない理由がはっきりと分かった。携帯を握った手が震え始める。何かを返さなくてはいけないのに、声がだせない。冷や汗が滝のように溢れ出す。
組織に入るときに覚悟はしていた。
けれど、こんな無残な結果になるなんていうことは予測していなかった。
いっそのこと罵ってくれ。そう思うのに、電話の奥からはなにもいってこない。ただ、無音が続くだけだ。

手にもっていた電話が無理やり奪われた。

驚き前を見ればヒロキが電話を耳にあてていた。

「テメェ誰だよ。ってまた、お前。ああ?・・・ありえねェだろ」

怒りから落ち込みへ表情の変化が激しいヒロキを不審に思ったのか、今度はマサキへ携帯が移動した。

「ねェって!」

だが、マサキの反応はヒロキに比べるととても大きかった。立ち上がり大声で言ったそれは、静かで落ち着いていた喫茶店にはとても目立つ。河内はマサキへ手を差し出した。

「携帯返してくれ」
「けど、オレ納得できねェし」
「おれの携帯だ。返してくれ」

強く要求すればマサキはしぶしぶそれに従い、携帯を河内に返した。河内は電話をとれば、近くに見えるカプセルホテルの名前をヨシノに伝えた。

《どういうこと?おれにこいっていうことでいいの?》
「ああ、真剣に話をしたい」
《それは奇遇だ。おれもおっさんと話がしたかった。けど、話がしたいのはおれだけなんだ。コトヒラを巻き込まないと約束するならば、そこに行ってやってもいい》
「最初からそのつもりだ」
《じゃあ、今から向かうよ》

電話が切れた。前にいる二人にもそれを話して別れようと考えていたが、やめた。
表情を見ただけで何を言おうとしているかすぐに理解ができる。

「ヨシノとふたりっきりとかねェだろ」
「ぜってェ。ついていくからな!」
「分かった。じゃあ、来てくれ。ただ、お前ら警察が来ても困らないよな?」

最悪のパターン。ヨシノは来ずに警察に犯罪者、殺人者として届けるかもしれない。そうした場合、そこにいたヒロキとマサキにもいらない疑いがかかる可能性が非常に高い。当然全力で彼らの関与は否定するつもりではあるが。

ヒロキとマサキの顔色が変わる。
二人はとても苦々しい笑みをうかべ、片手をあげると首を横に振った。

「隣の部屋でいいっす」



ヨシノは思ったよりも早く、単身で指定した部屋に来た。色々覚悟を決めるにはあまりにも早く、その部屋にはまだ大丈夫だろうと考えていたヒロキとマサキも居た。
だがヨシノは部屋にあがるとヒロキとマサキをみても表情を変えはしなかった。さも、いるのは当然とばかりに一瞥して、ソファに腰掛けた。マサキが問う。

「早いな」
「電話切ってから、コトヒラに断ることなく向かったからな」
「いいのかよ」
「コトヒラああみえて結構執着心が強いんだ。単身でおっさんのところに行くっていったら間違いなくキレるからな」

それは大変だなと思うことも、自身が「おっさん」と言われる年ではないと思うことも、河内にはできなかった。
ただ、ヨシノの言おうとしていることと自分の意見が一致しているのはなんとなく理解できていた。
重かった口を開く。

「自首することにきめたんだが、一つ相談がある」
「断る」

即答された。しかも三人にだ。
少しぐらい悩んでくれてもいいはずだ。相談を聞いてくれるだけでかまわないすら言えない空気になってしまっている。ヒロキが首を横に振る。

「自首しちまったら、カミュラに騙されたままじゃねぇか!しかも尻拭いだけさせられてよ!」
「それもそうだけど。俺はやっぱり、あれだけの銃撃で死ぬとはおもえねぇんだ!そうだろ」
「それに。この状態でのこのこ警察に出てってみろ、爆破事件もあんたのせいにされるのがオチだ。あと、おっさん。おれは 河 内 拓 馬 が 殺 し た とはいってない」

河内が驚いていると、ヨシノがさらに重ねる。

「ああ、シフトが殺したんだとかいう綺麗事をいうつもりないぜ。おれもマサキに賛成っていうこと。殺人未遂ならば立証できるだろうけれど、あの銃弾が原因で死ぬのは少し損傷が少ないと思う。まぁ、人によってはありえるかもしれないけれど、看護婦がいうには少し回復もしてきたのにいきなり悪化したということだからな。より怪しくて仕方がない」
「つーことはよ、神無月を殺した犯人が別にいるっていうことか?」
「ああ、しかも、誰にも気づかれずに殺したんだ。そうとうのプロに決まってる」
「――組織か」

河内の言葉に今度は三人が同時に頷いた。ヒロキがいう。

「このまま出頭すると、河内は爆破と殺人両方の冤罪がかけられるってわけか。けど、そいつらぶっ飛ばしたあとなら、殺人未遂だけになる。するしかねぇよな」

河内は頷いた。

「最初から、落とし前を付ける気でいた。当たり前だ。必ず、俺がカミュラへの復讐をしてみせる」

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.84 )
   
日時: 2013/03/12 22:10
名前: 凍零

第53話 



 葉菜と別れてからどれくらいの時間が経ったのだろう。
 甲子園の事件の影響か、いつもは賑わっている商店街がやけに静かだ。人通りが少なく、学生や自転車が素通りする程度の状況になっている。

「はあ……」

 溜息をするのもこれで何度目か。最早数えきれないくらい吐き出して数えるのも野暮ったらしい。
 何も考えずただ歩き続けている内に商店街はもう一歩の背を向いていた。思わず振り返り商店街の甲板を見る。それもすぐにやめ、再び足を動かし途方も暮れない散歩を続けていく。
 腕元で何か音が鳴っている事に気付いた事で一旦足を止めて腕を上げる。
 発信元は考えなくてもわかっていた。ギルティしかいない。出ようとボタンを押そうとし、思わず引っ込める。惣葉から話された事がギルティと会話させづらくさせてしまっている。
 まだ音は鳴っている。このまま出るべきなのか、出ないべきなのか。そう考えている途中に、音は鳴り止んだ。
 出なくて良かったと思った。それと同時に出た方が良かったという後悔が生まれる。どちらが正しいかは一歩にはわかる筈もない。

(くそ……なんだってんだよ)

 じっとメダロッチを見つめたまま一歩は苛立ちから歯軋りする。それしか今の鬱憤を晴らす方法が見つからなかった。
 そのせいか、ポケットに入れている携帯のアラームが鳴っているのに気付くまで少し時間が掛かってしまった。

「……はい」
『いきなり悪い。 今時間あるか?』
「……ああ」

 掛けてきたのは時雨だった。甲子園会場で別れの挨拶も何もする暇も無かったから今になって連絡してきたのだろうか。

『悪い報告だけど、いいか?』
「悪い?」

 一歩が考えていた事と全く違う話で少し拍子抜けする。しかし悪い報告という言葉から不吉極まりない事を話してくるに違いなかった。
 まだギルティの件で整理がつかないというのにも関わらず。それでも聞くべきだと思い、今はギルティについて考える事をやめることにする。

『また、あとで』
「いや。 いいよ、言ってくれ」

 ギルティについて考えていなくても自然と声が震えてしまう。一歩の様子がおかしい事に恐らく時雨は察知しているに違いない。
 時雨に何か言われてしまう前にも話を進めるべきだった。それが懸命であるし、今一歩の事について聞かれても何も答えられないだろうから。

「言ってくれ。 時雨」
『分かった』

 受話器の先から深呼吸が送られてくる。それ程言う事が悪すぎるのだろうか。

『神無月が……死んだ』
「……へ?」
『だから、死んだんだ。 神無月忠吉……どうやら、甲子園の時のいざこざで殺されたようなんだ』
「う、ウソだろ……?」
『本当だ。 今さっき……亡くなったみたいだ』




 病院の住所を聞くと相手の返事を待たずに通話を切り走り出す。とにかく走っていれば気が免れると思っていたから。
 神無月が搬送された病院は意外にも近くにあったようで迷わずに済んだ。病院の入り口まで行くとそこには時雨が。そして隣にはシャウラが走ってきた一歩に気付いたようだ。

「意外と早かったんだな」
「ああ。 偶然近くを通りかかってたからな……それで、神無月は?」
「……ついて来て」

 誰もが無言で時雨の後をついて行くだけだった。一歩以外は既に神無月の状態を知っていると二度と見に行くのは辛いものだった。それでも、時雨とシャウラはもう一度見に行く事を決める。
 エレベーターを待っていても降りてこなく痺れを切らして階段で上って行く。気付かない内に全員早足で上って行ったからか案外早く到着する。
 この先に神無月だった者がいる。そう思っただけで一歩は思わず生唾を飲み込んだ。息を整え廊下へ向かい――そこには先客が一人。

「あれ、お前……」

 時雨の声に神無月だった者をガラス越しから見つめていた者が振り向く。それは先程まで一歩といた惣葉だった。

「皆さんは確か甲子園で……それに、月島一歩さんも」
「お前も、誰かから神無月の件を聞いたのか?」
「はい。 非常に……残念です」
「そうか……」

 時雨と惣葉が話している間に一歩は惣葉が見ていたガラス越しの向こうを見据えた。
 神無月だった者がベッドの上にいる。顔には白い布が被られている。身体の上に掛けられている薄めのシーツは微動だにもしてない。呼吸をしていないから。
 本当に死んでしまっていた。嘘でもなく紛れもない事だった。

「惣葉、君は神無月の事を誰から聞いたんだ?」
「それは」
「多分、あのスキンヘッドのおっさんだろ? 確か心火っていう奴」

 答える前に時雨が自身有り気に答える。その通りであり惣葉は時雨の問に肯く。

「それってもしかして、お前、結社っていう組織と繋がりがあるっていうことだよな?」
「……そうですね」
「ということはさ、お前は何か知っているのか? 神無月の事を?」
「……すみません。 神無月の事については、俺はあまり話した事が少ないので、彼がどういう経緯でこうなったのかは、さっぱりなんです」
「嘘……じゃないか。 それじゃあ、もう一つ聞きたい事があるんだが」
「はい?」

 時雨は一度一歩の様子を見る。酷く落ち込んでいるのかガラス越しにいる神無月だった者をただ見据えているだけで突っ立っているだけだった。
 今は放っておいた方が良い。暫くは惣葉との会話を優先するべきだと思いもう一度惣葉と顔を合わせる。

「さっきここで、エグゼリオっていう変なメダロットと会ったんだが……もしかして、神無月が死んだ事と何か関係とかあるのか?」
「……それは恐らく、関係ないと思います」
「何でだ? それじゃあ、結社と関係が?」
「それも有り得ません。 エグゼリオについては、俺も良くわかりません……けど、一つだけ言えるとするなら、奴は今の状況を見ているだけに過ぎない、と」
「つまり……傍観者気取りか?」

 恐らくは、と言いながら頷く。エグゼリオに関してはこれ以上惣葉から聞いても何も進展はないだろう。

「そうか……悪いな、突然変な事聞いて」
「いえ、気にしないでください。 ところで、貴方の後ろにいる子は……?」

 一緒に同行していたシャウラの事ではないらしい。振り返ると目の前には何も見えない。
 誰もいないと思ったがそうでもなかった。先程からシャウラが気付けというような視線を送り足から何か突かれているような感覚。どうやら時雨も誰なのかが検討がついたようだ。

「しぐ~、まだ?」
「わ、悪いな。 もう用事は済ませたからよ」
「そうなの?」
「ああ……すまん、ちょっと用事があるから、ちょっとここ等で退散させてもらうわ」
「は、はい。 気を付けて」

 シャウラと時雨から離れないように一緒に歩いている幼女、鈴は時雨を真ん中に先程来た方向とは逆の方へと歩いて行った。階段ではなくエスカレーターで降りて行くのだろう
 これで今ここにいるのは惣葉と一歩だけになった。ただ神無月だった者を見ていた一歩も時雨達の帰りには気づいていたようで既にエレベーターに乗った時雨達を見送っていた。
 ほんの少しだけ気まずい沈黙が流れる。というのも二人して何を話せば良いのか。しかし惣葉には話すべき事があった。それをどのタイミングで話すかだが、それは恐らく今しかないだろうと本能が叫ぶ。

「一歩さん、あの……」
「……なんだ?」
「……いえ。 ここで話すのは何なので、場所を変えましょう。 それと、ギルティを呼んでください」
「ギルティを?」
「はい。 これは貴方とギルティにも問題がある事ですから……」


第53話 完




そろそろ本格的に話を進めないと色々とやばいですね・・・。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.85 )
   
日時: 2013/03/21 09:25
名前: カヲトリス


前回までのあらすじッッッ!!

何か知らんが、病床でゴロっていた奴がコロっと逝った!!

惣葉は記憶を取り戻して何か凄い性格変わってた!
一歩は自分の親がギルティの暴走で殺されてしまった事を知った!
河内は……お前何やってんの? とりあえず若者に責め立てられるわ復讐を決意するわ散々だった!


第54話


数日後。神無月 忠吉の葬儀が行われた後。
その間にも彼らは混乱と悲しみの中にいたが、いつまでもその思いに囚われていても仕方がない。


「……チッ」

叉月 心火は結社のアジトで他の人間達を待ちながら、小さく舌打ちをした。
神無月の葬儀が終わった後、結社は行動を開始する事にしていた。本当はもっと早くに動くつもりだったが、仕方ない。
それに伴って彼ら――一歩や惣葉達――にも連絡を寄越した。自分達の作戦に乗ってくれるなら、今日この日この時間にこの場所に来い、と。
こちらがもたもたしていれば、敵達は最後のFFナンバー4ことモアを回収してしまうだろう。迅速に事を動かさなければならない。
……そうとは分かっていても、やりきれない事ぐらいある物だ。

「ふぅ……」

彼は一人、随分前に止めていた筈の煙草に火をつけた。
最後に吸ったのは数年前。FFの暴走事故が起こり月島一歩と葉奈の両親が死んだ、その日だった。
あの日のあの事件がきっかけとなり、彼とその仲間達はFFの研究を成就させる事を決意した。
今日もそうなのだろうか。辛さから逃れるように付けたこの煙草は、自分に何かを決意させてくれるのだろうか。

「…………」

考えていても答えは出ない。それでもいい、と心火は思った。
答えは自分ではなく、これから来る人間達と数が、表情が教えてくれるだろう。

――扉が、開かれた。





結社のただでさえ小さい部屋に、ぎっしりとたくさんの人とメダロットが集まる。

「(こんなに人数がいるなんてな……)」

先日惣葉に再び呼ばれた一歩とギルティは、エグゼリオに戦国大陸に赴くように言われた事を彼の口から告げられた。
当然一歩はメダロット甲子園でウィネの言葉を聞き、戦国大陸に最後のFFがいると知ってはいたが、エグゼリオもその事を知っていたとは予想外だった。

「(アイツは、一体何が目的なんだ……?)」

まるで何でも知っているかのような態度でいる、銀色の星。
……彼は知っていたのだろうか。自分の両親を殺したのが――

「……人数は揃ったみたいだな。心火は説明が下手糞だから、これから少しの間俺が仕切らせてもらう。いいか?」

ごちゃごちゃとした集団の一番前で、志和がそう切り出した。

「話の前に先に言っておく。お前らの中には何人か……というかほぼ一般人の奴らがいるな。俺達だって『結社』って名前なだけの唯の理系軍団だが、まぁそれでもお前らよりは戦闘経験とかはマシだと思ってる」

あれから惣葉との会話中ですらギルドとは直接顔を合わさず、メダロッチに入れたまま気まずくぎこちない会話を繰り返すばかりだった。
まるで惣葉が落ち着いた分、自分が情緒不安定になったようだと一歩は思った。
何とかしなくてはいけない。それは分かっているのだが……

「つまり何かって言うと、そういうスキルが必要な場所に俺達は今から行くって事だ。ここに集まったからにはもうウダウダと言う気はねぇが、覚悟はしておけよ」

葉奈は、と一歩は思った。
葉奈は、何故あそこまで心の整理ができるのだろうか。
複雑な気持ち、と言っていた。だがその心の方向性は、間違いなく未来へと、前へと向いている。
自分を叱る程の強い心を持った妹。彼女が、もし彼女が――。

「さて、詳しい説明に入るぞ。俺達にはまず大きく二つの目的がある。『結社の目的』じゃないぜ、『俺達の目的』だ……」

――彼女が、自分よりも先にギルドに出会っていたら?
あの夜の日、コンビニに出かけたのが自分ではなくギルティだったら?

「まず一つ目。FFナンバー4であるモア、コイツを回収する為に戦国大陸へ行くチームだ。知ってると思うが、戦国大陸は内戦に内戦を重ねてボロボロの状態になってるって話だ。このチームはここからボート、若しくは飛行機なんかを使って俺達結社の知り合いがいる所まで向かってもらう……まぁ、到着まで何事も無ければの話だが」
『不吉な事言わないの』

いや、違うか。そこではない。『分岐点』はそこではない。
――もし、エデンへ向かうのが葉奈ではなく自分だったら? ギルドと共にしばらくの旅をするのが妹だったら?

「もう一つ目は、うっかりすりゃもっと痛い目見る確率が高いかもしれねぇ……俺達を嵌めて殺しかけ、デスティニーを犠牲にしやがった『組織』への復讐を行うチームだ。これはシフトのおっさんと啓示者っつう頼りになるツテがあるから、遠慮なくブチ壊してもらえりゃいいが……何しろ闇軍団と手を組んでるような連中だからな。充分警戒しろよ」

……何か、変わったのだろうか。
今ここで苦しんでいるのは俺ではなく、葉奈になっていただろうか――。

「(……何、考えてるんだ俺は!?)」

信じられない考えが頭をよぎった事に、一歩は驚愕した。
それはつまり、『葉奈は自分よりギルドとの関わりが薄いから心のケジメを付けられた』と考えてるような物ではないか!

「分かってると思うが、どっちも相当危険だ。正直命すら結構やべぇ……が、それを見越してお前らはここに来たと思ってる。お互い頑張ろうぜ! 俺からは以上!」
『……それじゃあチーム編成をする必要があるから、それぞれ希望の方を言って頂戴ね』

参った。自分は思っていたよりも酷く疲れているようだ。元気だけが取り柄だったのに……。

『……歩。一歩!』
「あ、え、うん?」

自分の手首から聞こえてくる声を聞き、一歩は現実に引き戻された。
ボロボロの部屋の中、皆が自分の方を不思議そうに見ている。

『何やってるんだよ、一歩。お前はどっちにするんだ? 俺なんも聞いてないぞ』
「す、すまん……ギルド。お、俺は戦国大陸に行くことにするよ。FFはなるべく集まってた方がいいんだろ?」
『全く……こういうのはもっとパートナー同士で相談すべきだろうがよ』
「…………」

その言葉に返事をすることが、彼はできなかった。
――一体、俺はどうしちまったんだ?



周りの人間は決意を固めていたのか、さくさくと自分の命を掛けたチーム割りは決まっていく。
その表情は様々だったが――どの顔も一様に、ある覚悟の色を表していた。
……ただ、一人を除いて。



【チーム:戦国大陸行き】……雨月 惣葉、月島 一歩、叉月 心火、ギルティ、バロン、ベリアル、ウィネ

【チーム:組織撃退】……月島 葉奈、郷屋 ヒロキ、空条 マサキ、コトヒラ、シフト、由愛 宗夜、志和 須太郎、ヨシノ、フェイト、シモツキ



■あとがき

今回起こった事→チーム編成、もう行くぜ。

大分雑で短いですが、多分もうやる事ないしいい加減話進めんとって思ったんで必殺の「数日後……」やってしまいましたすみません。
本当は一歩に「俺はここに残る」とか言わせたかったのですが、そんなんしたらまたグダグダしそうなのでもうさっさと行きます、すみません。
チーム割りはもうある程度意見聞いた上での独断ですが、どうでしょうか? ミス等ありましたらお伝えくださいませませ。

Re: リレー小説 メダロットRise ( No.86 )
   
日時: 2013/03/23 22:07
名前: 雪の城

第54話 「よくよく考えたら一人場違いが居た件についてー!」



戦国大陸に行く面々とは別れ、復讐組は河内の部屋に行くことに決めた。
元々ヒロキ達が作戦会議を開くのに使っていた為、不自由はないかと思われたが一人部屋に10人はきついものがある。
宗夜、志和、コトヒラは各々のメダロットをメダロッチに仕舞い、人数を減らしてから床に座った。葉奈がベッドに座り、残った他の面々が円になる形になるように座ると、志和が話を切り出す。

「さて、どうやってエデンに行くかだ」
「ビッグブリッジを通るしかないだろ」
「ビッグブリッジ?」

葉奈が言った言葉にコトヒラが首を傾げる。それに河内が怪訝な表情を浮かべながら、島にかかる大きな橋を指差した。

「ここを通って行くのがエデンへの行きかただ」
「他の集団はないんですか?」
「ないだろ」
「ある」

葉奈が否定した言葉に宗夜が苦々しい表情で答えた。それを受けて河内も笑った。

「船だ。検問に引っかからずに移動できる手段として利用した」
「そりゃあいい!使おうぜ!」
「検問に引っかからずって、啓示者、貴方も狙われているのですか?」
「昔の話だけどな」
「昔って片付けていいほど昔ではねぇし。今も狙われていると考えていいだろーよ」

志和が続けて言えば空気は重くなる。沈黙が続く。
それを破ったのはヒロキだった。

「検問といえやー、オレ達もやべえな」
「は?」

ややドスの聞いた葉奈の声に全員がヒロキから視線をそらし葉奈を見るが、葉奈はヒロキを睨みつけたまま動かない。
ヒロキは苦々しく笑う。

「オレとマサキ脱獄してきたんだった」
「だっダツゴク!?」

それにコトヒラだけが立ちあがり体を引くが、志和と河内、宗夜、葉奈はため息をついただけで流した。

「そんなことか」
「いや、いやいやいやいや!そんなことかじゃないでしょう!?河内さん!」
「俺はテロ容疑がかけられている。それに比べたら脱獄など可愛いものだ」
「脱獄なんかで驚いてたら身がもたねぇぞ。コトヒラ」

それに志和が続くもコトヒラは首を横に振り、疑いの目で6人を見る。一人立ったまま居世界の恐ろしさに体を固まらせていると、メダロッチから高い声がした。

≪あんたらと違って、コトヒラはまともなんだよ≫
「まともな人間を巻き込んでいいのか。ヨシノ」

それに河内がやや上ずった声で尋ねればヨシノの言葉がつまった。再び場が静かになり、沈黙が続いた。

≪……コトヒラに犯罪の肩棒でも担がせてみろ。あんたら社会的に 抹 殺 してやる≫

ドスの聞いたヨシノの小さな声がしっかりと全員に聞こえれば、ブチっとキレる音が聞こえメダロッチの反応がなくなった。葉奈が言う。

「連れてく必要あるの。コトヒラって」
「ヨシノが必要なんだろ」

その言葉に誰かが答えるよりも先に、コトヒラ自身が答えた。葉奈を見て小さく頭を下げる。

「足までといにはならない。ヨシノの言った事は気にしなくていい」
「けれど、コトヒラが言った事は本当だぜ。志和達を拘束できたあの作戦がありゃあ、闇軍団だってたいしたことねぇだろ」

志和の表情が歪むがすぐに息をつき、頷いた。

「あのありえない作戦なら、可能性はあるな。認めたくねぇけど、ヒロキとマサキの動きも良かった。それにオレとシフト。お前が加われば問題は感じねぇ」
「お前がそういってくれるとは意外だ。だが、礼を言う」
「フェイトも力になれるぜ」
「フェイトはあんたの近くに居ないとだめだろ」

すぐに葉奈は突っ込めば、話を続けた。

「私だって戦える」
「女の子が戦うのは危険だろ」

それにコトヒラがすぐに答えるが、葉奈はそれを鼻で笑えば首を横に振った。

「すくなくとも、あんたより強いし、ビビりじゃない」

コトヒラは口を開きかけたがすぐに閉じた。葉奈はその態度を見て眉間にしわを寄せればふいと違う方向を見た。ヒロキは髪の毛を掻きあげて小さく唸る。

「で、船はどうすんだよ」
「前は組織のものを使ったからな」
「結社にはないのか?」

葉奈が問えば志和は首を横に振った。

「小型しかない。密入国するにはいいものだが、4人までしか乗れない」
「オレたちは全員で10人だぜ?」
「往復するのはデメリットが大きいな。メダロットを出さないにしても・・・7人か」
「襲われたらどうする。メダロットがいないと難しいだろう。3人は確定だし、残りの1人はフェイトで決定か」

河内が言った言葉で全員が黙った。
船で侵入組がヒロキ、マサキ、宗夜、フェイト。
その4人だけだというのが凄く不安でならないのだ。ヒロキ、マサキが揃っただけでもなにかあるぞ。という空気になるのに、それに宗夜が加わるのだ。
ストッパーがいない。いや、葉奈が加わらないだけマシというものなのだろうが。
コトヒラはメダロッチを見てから、それを外し、ヒロキに向けた。

「ヨシノを一緒に連れて行ってくれ」
≪はぁ!?≫

苛立ちの募った声がメダロッチから聞こえるが、コトヒラはそれを無視し、動揺するヒロキに向けた。

「ヨシノは頭の回転が速い。メダロッチから出さなくても十分役に立つはずです」
「お前いいのかよ。独占欲強いってきいたぜ」
「正直ヨシノから離れたくはない。けれど、俺の所には志和さんも河内さんもいます。そちらは狙われる人しかいない状況です。危険が高すぎる。だから、ヨシノお願い」

志和が頷く。

「ロンガンならばメダチェンジをすれば潜水パーツだ。メルトは威力が高い印象がある上、回復のエキスパートだからな。船での移動の時にはうってつけかもしれないな」
「けど、こいつ嫌がってねぇ?」
≪コトヒラにお願いされていかないわけにはいかない。理屈も解る。一時的に離れてやる≫
「ヨシノはヒネデレなんだ。気にしないでくれ」

ヒネデレってなんだ。
と突っ込む前に、葉奈がじゃあと話を切り出した。

「残った私達はどうやっていく」
「それを考えていたんだが、たしか大会の会場でエデンの観光客を募っていたと思ってな」

河内が言った言葉に志和は頷いた。

「よし。それに便乗しよう」
「チケット買いに行くのはコトヒラが行ってくれ」
「解りました。では、早速行ってきます」

コトヒラは立ち上がれば部屋から出た。その姿を見ながら全員は無事、乗り込める状況になる事を願った。



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ヒロマサは見つかったらやばいメダがいる。
やばいメダがいる。やばいメダがいる。

ちなみに観光は復興支援の為の観光です。観光産業でがっぽがっぽ儲けて復興に役立てようぜ!!!

一応
観光バス(?)側は 河内さん、志和さん、シモツキ、葉奈、コトヒラ
船側は、宗夜君、ヒロキ、マサキ、フェイト、ヨシノ


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