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RSSフィード 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】
   

日時: 2012/06/06 17:28
名前: ゼブラー

時は戦国、世は乱世・・・

『伝説』の時代、宇宙がはじまる遥か昔、ただ一つだけの『世界』が存在していた
大きく繁栄した巨大な『第一大陸』と・・・もうひとつの大陸、『戦国大陸』

(過去ログを含む、伝説(レジェンド)無印、終わりなき旅、すべての始まりにして終わりなる物語シリーズ参照)



あの物語で、サーガ達が旅をする『第一大陸』とは違う大陸、『戦国大陸』の物語
サーガ達が旅するよりも昔、サーガが世界大会に参加するよりも昔、あの物語の最初よりも昔の物語・・・



メダロット達は武器を手に戦う!!!武者!!!騎士!!!侍!!!武闘家!!!ならずもの!!!人々は戦う!!!
 己の『誇り』のため!!!大いなる『大義』のため!!!偉大なる『志』のため!!!
  この物語はその戦国の大陸で戦う者達の熱き物語!!!





世界設定
 宇宙がはじまるよりもずっと昔。ただ一つだけ存在する世界。動植物は存在するが人間はまだ存在していない
 この頃のメダロットは『生物と機械の中間の存在』であり、完全なロボットではない。血も涙も流す

戦国大陸
 世界がはじまった最初は元々一つの大陸だったが、いつの時代にか二つに分裂し、第一大陸と戦国大陸の二つの大陸となった
 分裂した当初は『開拓時代』と呼ばれる時代。そのころから人々(メダロット)は戦い続けている

戦う者
 多くは軍隊を組織し、軍と軍が戦いを続けている
 大きく分けると和風と洋風の二種。侍と騎士。厳密に言うと侍は軍に所属しない者で、所属する者は武者、武士と言われる
 軍は無数にあり、日々消えては新しく組織され続けている。それぞれに目的はあるが、多くは『天下統一』のためである



主な軍団

・蒼の軍 (武者タイプ)
他の主な軍に比べ勢力は少ないが今最も勢いのある軍。決まった拠点を持たず、大陸中を転々としている
総大将は『六爪流のマサムネ』。まだ総大将として未熟な部分もあるが、人一倍熱いガッツを持つ
副官にマサムネの右腕『弐炎流のムサシ』がおり、マサムネをサポートしている

・紅の軍 (武者タイプ)
開拓時代からの古株軍。『白の軍』との二大勢力として常に戦国の中心となっていた大きな勢力を持つ軍
総大将は『武神 シンゲン』。普通のメダよりもふたまわり以上大柄な体格で、大らかな性格、人望も実力もある。
戦闘隊長に『双槍 レッカ』、忍者部隊長の『ノウマル』など強者が多い。レッカとマサムネはライバル関係

・白の軍 (武者タイプ)
開拓時代からの古株軍。二大勢力のもう一方で、紅の軍よりも兵力は少し少ないが集団戦法と戦略でそれを補っている
総大将は『戦神 ケンシン』。シンゲンとは永遠のライバルで実力は完全に互角
副官に『壱超流のコジロウ』がおり、蒼の軍のムサシとライバル関係

・ゼネラル軍 (騎士タイプ)
ギル王国という土地を守るために組織された軍。他軍へ攻撃は仕掛けず、ギル王国を守ることだけが目的
総大将は『黄金王 ゼネラル・ギル・アレクサンダー』。ギル王国の王であり、民を守ることを第一に考えている
騎士団長に『双頭の翼竜 レオンハルト・ロードアゲイン』がおり、防衛軍でありながらとても強力な軍である

・ヴァン軍 (騎士タイプ)
現在最も勢力が大きな軍であり、最も残虐な軍。倒した軍の残党を無理矢理傘下にし、凄まじい勢いで勢力を拡大している
総大将は『恐怖の将 ヴァハムート・ヴァン・ヴォーマルハウト』。戦国最強と言われるほどの実力を持つ
将軍幹部に『武闘家のアレックス』、『弓の名手のゼフィランサス』、『狂戦士のベヒモス』らがいる、最も天下に近い軍である



上記の軍がトップ5であり、他にも無数に軍がある



Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.10 )
   
日時: 2012/11/12 14:09
名前: ゼブラー

第十話 「檻の中の騎士達」



 「・・・・・う・・・うう・・・」



ある男が檻の中で目を覚ました。全身が痛む。視界もぼやけている。
 周りが石のような壁と鉄格子で囲まれていることくらいは理解できた。

 「・・・ぐ・・・っくそ・・・」

なんとか体をおこそうとするが、激痛で思うように動けない



「気がついたか」

 隣の牢から声がした。鉄格子で隔たれた隣の牢から
 なんとなくだが、その声の主が『敵』ではないと思える

 「・・・・・ここは・・・」

「ヴァン軍の城の牢屋だ」

 「・・・そうか・・・っくそ」

「ここには私とお前しかいない。ヴァン軍ってのは捕虜はとらないらしいが・・・なぜか私とお前は・・・ということだな」

 「・・・あんたもヴァン軍と?」

「ああ・・・・・君の名は?」



 「アーサー」



「そうか。私はカインだ。とりあえず、どうするか考えよう」









 ―――白の軍本拠点・白城

城内の稽古道場。何人もの武士達が竹刀での稽古を行っていた。実践練習。それを総大将、ケンシンが見守っていた。

 『だァーーー!!!』 『とりゃァーーー!!!』
『バシッ!!』 『ドッ!!』 『ダァン!!』


ケンシン「・・・・・」



「ぐあッ!!」
 『ドダッ!!』

一人の武士が倒れた。
 すぐにその武士は竹刀をついて立ち上がり、戦う意志をみせる。



それがだめだった

ケンシン「止め!!!」

 ケンシンの一声に、道場内の武士達が稽古を止め、ケンシンの方を見る

ケンシン「お前、今立ち上がる時何をした」

「え・・・」

指摘された武士はとまどう



ケンシン「竹刀を杖にして立ち上がっただろう。竹刀を杖にしてはならないと昔習ったはずだぞ。
 竹刀は刀だ。刀を雑に扱ったり杖にしてはならない。剣士として当然のことだ。わかったか!!」

「!!・・はっ・・・はい!!」

ケンシン「・・・稽古に戻れ」



 ケンシンの号令一つで武士達は稽古を再会する。
それを見守るケンシンの傍に副官のコジロウが報告にきた

コジロウ「主君(あるじ)、決戦の準備は整いました。いつでも・・・」
ケンシン「・・まだだ」
コジロウ「は?」
ケンシン「機というものがある。まだなんだ」
コジロウ「・・・はい」



ケンシン(シンゲンとの決戦はすぐだ。・・・だがヴァハムート・・・お前はどうする?)






 ―――ヴァン軍本拠点・天厳城

城内でヴァハムートのいる『龍の間』へ鎖でつながれた残党兵達がつれていかれる。『気晴らし』にされるのだ。
 その列を横目で見、滅入るベヒモス

ベヒモス「・・・(投降した兵でも関係ない・・・か・・・)」

 ヴァン兵「ベヒモス将軍」

 ヴァン軍の兵がそんなベヒモスに声をかける

ヴァン兵「・・・大丈夫ですか?」
ベヒモス「ああ・・・まだな」
ヴァン兵「・・・ヴァハムート様は何を考えておられるんでしょう?・・・軍を増強せず・・・あのような・・・」
ベヒモス「さあな・・・あの方の心の内は誰にも理解できない・・・誰にも・・・」



ヴァン兵「そういえば・・襲撃した村や町で騎士を捕虜としてとらえたと聞きましたが・・・」
ベヒモス「らしいな。だがなぜ捕虜に?今までそんなことなかったのに」
ヴァン兵「詳しくは知りませんが・・・反攻してきた騎士だとしか」
ベヒモス「・・・この城の牢屋が使われるのはどれほどぶりだろうな。・・・もしかして」
ヴァン兵「何か?」



ベヒモス「あの騎士達を、ゼフィランサスとアレックスの『代え』にするつもりなのかもしれない・・・」
 ヴァン兵「!!?」

ベヒモス「無理矢理配下にするのではなく、ヴァン軍の本体の一員として・・・」






 ―――天厳城・牢屋
アーサー「・・・いてェ・・・」

カイン「・・・傷口ふさいでるか?」

アーサー「・・・もっと早くアドバイスしろ」

カイン「ふさいでなかったのか・・・」



アーサー「・・・アンタはここに来て長いのか?」

 石の壁にもたれかかり、カインに聞くアーサー

カイン「・・・お前が来る5日ほど前だ。感覚が合ってればな・・・」

アーサー「・・・どうして俺達は捕虜に?」

カイン「さあ・・・私は大陸を旅する騎士、無所属のな・・・偶然訪れていた町にヴァン軍が来て・・・この通り」

アーサー「・・・いでで・・」

 体をおこすアーサー

カイン「大丈夫か?動けるか?」

アーサー「大したことねーぜ・・・」

カイン「・・・なぜこの檻にいれられたか謎だ・・・ヴァン軍は捕虜をとらないはず」
アーサー「投降したのか?アンタは」

カイン「いいや、立ち向かった。だからこそ謎だ。反攻したのになぜとらえたのか・・・」

アーサー「・・・」

カイン「お前は?アーサー」



アーサー「俺は・・辺境の村のただの騎士。毎日毎日修行の日々で戦う相手もいない・・・だから戦いたかった。
 かといってどっかの軍に入るのもガラじゃねえし、軍を創設するのも気が向かない・・・ただ毎日力をたくわえるだけの日々・・・
 そんな時に・・・奴らが・・・俺はここぞと戦いに向かった。村人は皆カタギ、俺だけが戦った。
 何人かヴァン兵を倒したが・・・ヴァハムートが現れた・・・立ち向かったが・・・話にならなかった・・・
 奴の一振りで俺の剣はへし折れ、二振りで俺を地に叩きつけた。たったの二振りで・・・思い知らされた・・・
 その後何発か蹴りをくらい、兵達にズバズバと斬られた後に意識を失った」

カイン「・・・」

アーサー「戦いたいって思ってたのに・・・その結果がこれだ・・・くそッ・・・」



 カインはあえて、何も言わなかった









 ――――――第六地区

ムサシ「いっこうに動きがないな・・・」
 蒼の軍が本陣を張り、紅、白、ヴァン軍の3つの軍を監視し続けている。むやみに手が出せない状況だった。

マサムネ「ぐむー・・・ヴァン軍で分裂があったとは聞いているが、その分裂して組まれた連合軍の動きも謎だ・・・
 どこに潜伏してるかも謎だが、連中の標的はヴァン軍オンリーと考えて大丈夫なのか?」
ムサシ「たぶんな。連合軍はヴァン軍しか眼中にないだろう。ってことでヴァン軍は連合軍と戦うことになるだろうからほっておこう。
 紅白軍は今にも決戦をはじめそうな緊張状態。俺達はどう動く?このまま高みの見物とするか?文字通り」



マサムネ「いーや!!回りが滅ぼしあって、何もせずに天下統一しちゃったーなんてかっこわりィーだろ!!
 俺達だって戦う!!戦ってこその勝利だ!!じゃなきゃあ意味がないぜ!!!」

ムサシ「だよな、それでこそ蒼の軍だよな」






 ―――紅の軍本拠点・紅城
レッカ「親方様!!我らはいつでも戦う準備はできておりまする!!しかしなにゆえ!!戦いをはじめないのですか!!?」

 戦闘隊長のレッカが総大将、シンゲンに言う。やたらに大声で

シンゲン「・・・機がまだだ」

 シンゲンは腕組みしたまま眉を細めて言う

レッカ「それはいつになれば!!?」

シンゲン「・・・」

 ノウマル「親方様、具体的に教えてもらえませんかね?」



シンゲン「・・・私とケンシンは、この大陸の開拓時代から戦い続けてきた。現役で一番永い。だから何かと通じるものがある。
 話さなくても互いに『今だ』とわかるものなのだ。今までにも総力をかけた決戦というのは何度かあった。今回もその一度にすぎないのかもしれん。
 だが、今回『こそ』最後の決戦にするために機を待つ。準備、気候、戦況・・・だが、もうすぐだ。もうすぐ決戦の時だ・・・」






 ――――――連合軍本拠点

ヴァン軍の天厳城から遠すぎず、近すぎない場所。山に囲まれたその場所に連合軍は本陣を構えていた
 分裂戦での傷を治し、戦に向けての準備をすすめている

ゼフ「ストーム、軍の連携に不備はないか?」

ストーム「当初はバラバラの軍が集まっただけだったから戦法が違ったが、訓練で克服し、今や一つの軍といえるほどになった」

ゼフ「連合ならではの弱点は克服できたということだな。だがやはり・・・ヴァン軍に立ち向かうには戦力が必要だ・・・
 数だけでヴァハムート様に勝つことはできない・・・強力な戦力がないと・・・」

ダスト「まだヴァハムートのことを様付けで言うのか?」

ゼフ「・・・あれ?無意識に言ってた」

アレックス「戦力強化なら、アテがある」



ゼフ「銃使いか」

アレックス「その通り」

ダスト「あの二人か?第一大陸の連中だぞ。仁義がない」

アレックス「いや、仁義はあるはずだ。何より、我らを窮地から助けてくれたのはあの二人だ」

ストーム「助っ人に、か」

ゼフ「実はまだアテがあるんだ」

ストーム「え?」



ゼフ「『7人の騎士』の話を?」

ダスト「・・・聞いたことがあるな。凄腕の騎士が集まってヴァハムート討伐を掲げているとか」

ストーム「無所属のならず者達の集まりなのでは?」

ゼフ「腕は超一流だと聞いている。それに目的も同じ、強力な助っ人になるはずだ」

アレックス「その騎士達はどこに?」

ゼフ「・・・それなんだが・・・謎でな・・・」

ダスト「本当にその騎士達がいるのかも謎だがな。ただのでまかせかもしれん」

ゼフ「謎だらけの騎士達だからな・・・これから7人の騎士の情報を探る。アレックスは銃使いを」

アレックス「ああ」










 ――――――天厳城・牢屋

アーサー「う・・・」

カイン「立ち上がれるか?」
アーサー「ああ・・・で、どうする?」

カイン「ここからどうやって脱出するか考えがあるか?」

アーサー「あるわきゃねえだろ・・・」

カイン「・・どうする?」

アーサー「・・・俺に聞いてんのか?」

カイン「・・・他にいないだろ」

アーサー「・・・知るか!!」

カイン「ハハハッ・・・」

アーサー「おッ!!おめー笑ってる時か!!」

カイン「いや、お前えらく傷だらけなのに元気だなーと思ってな」

アーサー「う・・うるへー!!」



カイン「・・・はァ」

 アーサー「・・・どした?」

カイン「・・・こんなとこでこんな形でお前みたいなやつと会うなんてな・・・別の形で会えなかったのかなあって・・・」

 アーサー「・・・お前もたいがい変なやつだな。この状況でそんなこと考えねーだろ普通」

カイン「・・・そろそろ本気で考えるか」

 アーサー「・・・だな」






カイン「・・・ここにいたらヴァン軍に参加させられるか、斬られるか、どっちかだ」

アーサー「ヴァハムートの手下なんて冗談じゃねえ」

カイン「だろうと思った。なら、暴れるか?」

アーサー「・・・それっきゃねえだろ!!」

カイン「それだけ痛めつけられてもか?」

アーサー「ったりめェだ!!」

カイン「・・・なら私達二人で、ヴァン軍壊滅としゃれこむか!!」

アーサー「お前も?・・・」



カイン「ったりめェ、だろ」

アーサー「・・・真似すんじゃねー」

カイン「ハッハハ」

アーサー「・・・ふ・・・ふふ・・・へへへ・・・」

カイン「何笑ってるんだ気色悪いな」

アーサー「なンッ!!?」






 『ザッ』

カイン「!!」

アーサー「!?」

 二人の檻の前に、一人の男が現れた。フードというか、布で全身を覆い隠している男が・・・

アーサー「・・・ヴァハムートのお呼び出しか?」

カイン「・・・いや・・・ヴァン軍の者じゃなさそうだぞ・・・」



 「お前達が捕虜の騎士だな」

アーサー「・・誰だアンタ」



 『スラァッ・・・』

カイン「!!」

その男が布の中から刃を光らせた

カイン(剣!?・・いや・・何か・・)



 その刃は、『腕と一体化していた』

『スパァッ』

そして檻を斬りあけた



 「俺は『7人の騎士』、ジョセフ・トルネェド。お前達をここから出してやる」



次回を待て!!

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.11 )
   
日時: 2013/01/07 14:19
名前: ゼブラー

第十一話 「足手まとい」



―――ゼネラル王国・・・

アレク「はァ~・・・今日も空は青い・・・たまには緑になったりしないのだろうか」
レオン「何言ってんですか陛下」
王の間にてアレクサンダーが窓から外を眺めていた
アレク「いやなに、シンゲンもケンシンも、ヴァハムートも今は大きな争いをしていない。それだけでずいぶんと平穏に思える。
 それでも、中小軍の争いがない日はない。常に戦いがあるのがこの地だ。なのに平穏に思えるというのは・・・異常なのだろうか」
レオン「・・・」



アレク「この大陸は・・・病にかかっているのかもしれないな。争いを決してやめられない病に・・・
 大きな争いがないだけで、争いは毎日あるというのに、それでも平穏に思えるというのは『慣れ』ているのだろう。
 恐ろしいことだ・・・本当に・・・」

レオン「陛下・・・」



「まッ、それもすぐに終わるさ」



 部屋の隅の方から声がした。レオンハルトは声の方を向く。アレクサンダーは見向きもしなかったが声の主が誰か気づいていた
レオン「ジークフリードさん!!」



部屋の窓枠に座っている一人の騎士がそこにいた
 眼帯というか、バイザーのようなもので右目を隠した以外はシンプルな見た目。だが羽織ったマントはとてもボロボロだった

ジークフリード「まッ、久方ぶり」

アレク「来るなら門から入れと言ってるだろう」

ジークフリード(以降ジーク「まッ、手続きとかめんどいからなー」

 アレクサンダーとジークフリードは旧知の仲であるらしく、フランクに会話している。アレクサンダー王様なのに
レオン「だからと言って城壁越えて窓から入るのはどうかと思いますが・・・」
ジーク「まッ、俺さんの仕事柄こーゆーのは普通だかんな」
レオン「泥棒でしたっけ?」
ジーク「ちげー。トレジャーハンターッ。いい?トレジャーハンター。そこ間違えんな。クールに言え」

 ジークフリードの職業は『トレジャーハンター』。世界各地のお宝を探す冒険家である。
 マントがボロボロなのは旅の過酷さと年季を感じさせる



ジーク「見てみこれ、この剣。これこそ俺さんがトレジャーハンターとしての最大の功績さね」

 ジークフリードは腰にたずさえていた剣を手にとる。刃は黒いが、特に変わったところのない剣だった

レオン「もう聞きましたよ。『神器』でしょ?」

ジーク「おいおいおーい・・・もっと丁重にもてなせって」



 ・・・神器とは、この世界が創られた時、『天上参大神』らと『創世神』らが創りだした神の武具のこと
 神器は『持ち主を選ぶ』。神器がふさわしい者を選び、その者以外が神器を扱うことはできない
 そして神器の力は『持ち主の精神力に比例する』。神器だからといって強いということではないのだ
 精神力が強いほど、神器の力も増幅する、特殊な武具なのだ



アレク「で、何の用だ?」
ジーク「ずいぶんだねー。まッ、特に何かってことでもないけど、すぐに戦は始まるさ」
アレク「・・・」
ジーク「シンゲンもケンシンもチャージ中だろ?今までの歴史上こーゆー時期は何度もあった。
 あの二人が準備して、両軍大決戦。定期的っつーか風物詩っつーか、クールじゃねーな」
レオン「つまりもうすぐ紅白の大きな戦いがあるということですか?」
ジーク「まッ、そーゆーこと。それに『風が妙だ』。不穏な空気っつゥーか・・・」
レオン「え?」



ジーク「俺さんも『開拓時代』からこっちこの大陸で仕事してるが・・・この空気は『歴史が動く時』の空気だ。
 今度の紅白戦がやばいのか・・・それともヴァハムートが何かしでかすのか・・・あるいは・・・」

このジークフリードも永い間この大陸を旅し続けたことでかなりの実力と知識がある。風のようにつかみどころのない男ではあるが・・・

アレク「嵐の前の静けさということか」

ジーク「まッ、歴史が動く時ってやつかねェー」






――――――――――

アーサー「お・・・お前は・・・」

 眼の前に現れた謎の男、ジョセフが左腕を振るうと、牢の檻だけでなく、アーサーとカインの両手足の枷まで斬りはずした

アーサー「ぎょっ!!」

カイン「・・・これは・・神器か?」

ジョセフ「そう、『嵐の神器』だ。もっとも・・今となっちゃあ『俺自身でもあるがな』」

 ジョセフが牢の中へ入り、カインに手をさしだす。カインはその手をとって立ち上がり、次にアーサーに手をさしのべる
 カインよりも重症のアーサーはゆっくりと立ち上がって「いてて・・・」とつぶやく

アーサー「どういうことだ?・・・あんた自身ってーのは」



ジョセフ「この左腕は『神器と融合している』。元々は剣の神器だったが、無理矢理左腕と混ぜられた」
 アーサー「な・・えェ!!?」
 カイン「・・・どういうことだ」

ジョセフ「ヴァハムートの奴が『神器』に興味を持ち、神器使いを捕まえて神器を体の一部にする実験をしだしたのさ・・
 神器の力を征服しようとしたのさ。だが失敗だった。結局神器を体の一部にしたところで何もメリットはなかった。
 それどころか・・・神器のパワーでこっちの体そのものが危険なぐらいだ。その結果からヴァハムートは実験をやめた。
 ・・・まァ、被験者は俺を含む2人だがな。大体銃をロストテクノロジー扱いしてるこの大陸でそんなことできるはずがない」

カイン「・・・あの・・それよりもここを出る方が先では?」
ジョセフ「おっとそうだったな。ここに潜入するのは簡単だが脱出するのは難しいぞ」



ジョセフがざっと脱出ルートを説明する。出口は2つ。この城の城壁はボロボロなのでそこから出入りできる。
問題はそこまでの道のり。城内にはヴァン兵がうようよいる。見つかれば文字通り多勢に無勢。全員脱出は難しい

ジョセフ「とりあえず走って脱出だ。行けるな?」
カイン「なんて安直な・・・」
アーサー「だったら早く行こうぜ。こんなとこ1秒でも早くとんずら・・っぐ」
 アーサーが足を進めるがケガのダメージがまだある

ジョセフ「どうした。・・・そうかお前ダメージが・・・」
アーサー「んなろ~ッ・・・これくらいのケガでへこたれてられねえぜ」

 『すっ』

カインがしゃがみ、背中をアーサーに向ける

アーサー「・・・あ?」

カイン「ほれ、乗れ。お前の足じゃろくに走れないだろ」

ジョセフ「名案だ」
アーサー「なにィ!!?こ・・この俺がおぶさってもらうだとォー!!?ふざけんな俺にもプライドってもんが」
ジョセフ「乗るなら早くしろ。でなければ帰るぞ」





 【天厳城脱出大作戦・開始】

ジョセフが先行して城内の廊下を見る。後方でアーサーを背に乗せたカインが待機する

ジョセフ「どうやらヴァン兵はいなそうだな・・・今がチャンスだ」
カイン「どっちに行くんだ?」
 アーサー「なんで・・・俺が・・・こんな・・・」

ジョセフ「あっちだ。警戒レベルが低い方の出口へ行くぞ」
カイン「ああ」
 アーサー「俺は騎士だぞ・・・こんなこと・・・」

ジョセフ「今だ。行くぞ」
 『ダッ』と素早く廊下を駆ける



 ヴァン兵「あ」
 ジョセフ「あ」





廊下の角でヴァン兵とエンカウント

カイン「・・・ちょっと」



   ヴァン兵「侵入者だァーーー!!!ものどもであえであえーーーッ!!!」

 天厳城内のヴァン兵らが一斉に動きだす

アーサー「何やってんだよ!!」
カイン「想定の範囲外」
ジョセフ「っく!!行くぞ!!走れッ!!!」

 『ダダダッ!!!』と一斉に走り、その場から離れる
だが、走り去ったその先には『スデに』



アーサー「うおお!!?廊下いっぱいにヴァン兵が!!!道がふさがれたァー!!!」

 城内の通路にびっしりとヴァン兵が壁となって構えていた

     「ここはとおさんぞおおおおお!!!」
  「これだけの数を相手に3人では勝ち目などないッ!!!」

カイン「この通路はだめだ!!通れないぞッ!!!」



ジョセフ「いや、『関係ない』」

 『シュァッ!!!』

    「ッ!!?」

ジョセフが左腕の神器を振るう。
 すると、通路いっぱいに構えていたヴァン兵を一斉に薙ぎ払った



アーサー「な・・なんだァ~!!?どうなってる!!ジョセフの腕の剣の『刀身』であの攻撃範囲はありえねェー!!!
 それに距離だって離れている!!この位置からじゃあどー考えても射程外だ!!!なぜ攻撃が!!?」

ジョセフ「これが神器さ。『普通や常識などありはしない』。お前が知っている世界よりも、実際、世界ってのは広いもんだ」

アーサー「~~ッ・・・」

カイン「・・・おいおい、会話はゆっくりテーブルを囲んでからにしないか。今は・・・」




 ベヒモス「緊急事態だってのにな?」

ジョセフ「!!」

 ヴァン軍将軍、ベヒモスがそこに現れた

ベヒモス「捕虜をつれてこの城から脱出とはな・・・ずいぶんとなめられたもんだ」
ジョセフ「この俺を捕まえるのに将軍一人とはな・・・ずいぶんとなめられたもんだ」

 ベヒモス「ふん・・・」

ジョセフ「ここは俺が引き受ける。お前らはさっき説明したルートで脱出しろ」
カイン「しかし・・・それはフラグってやつじゃあ・・・」
ジョセフ「さっきもいっただろう。『普通や常識などありはしない』。この俺が、心配だというのか?」

カイン「・・・アーサー!!しっかりつかまってろ!!本気ダッシュだ!!」
アーサー「げげー!!」

 アーサーを背負ったカインはその場から一気にダッシュで駆ける



ジョセフ「・・・意外だな。てっきりあの二人を追うかと思ったが。何もしないなんてな」

ベヒモス「貴様の始末が先だ。お前は大変なことをした」
ジョセフ「貴様の始末は後回しでいいがな。お前は邪魔なだけだ」

 ベヒモス「ほら・・・またした・・・」
 ジョセフ「・・・あ?」



ベヒモス「俺をッ!!!コケにするんじゃあねえええええッ!!!」

 『グアオッッッ!!!』





カイン「ぐうう!!うおおお!!!」
 『ドガァ!!』 『バシイ!!!』

カインは群がるヴァン兵をその巨体でおしどけながら進む。ジョセフが言っていた脱出口へと

アーサー「っく!!おろせカイン!!こんなのだまってられるか!!お前ががんばってるのに俺はおんぶだなんて!!!」

カイン「黙ってろ!!お前が降りたところで足手まといになるだけだ!!」
アーサー「なッ!!てめーこっから出たらぶちのめすからな!!」
 カイン「そうそう!!そうやって悪態ついときゃいいんだ!!」

カインが少し、笑顔になっていた



 ――――――『ガギィン!!!』

ジョセフ「っぐ!!」
ベヒモス「ふんがァ!!!」
 『ドガァッ!!!』とベヒモスの一撃が城内の床をぶちこわす

ジョセフ「あぶねー。なるほどさすがは将軍ってだけはあるな」

ベヒモス「この俺をいらつかせた代償は高ェぜ・・・神器使い!!」






カイン「も・・・もうすぐだ・・・」

カインはボロボロになりながらやっと出口がある城壁、つまり外へ通じる道にきた
 外の光が、暗闇の中にさしこむ閃光のようだった

アーサー「ここまでくれば出れたも同然だな!!カイン!!がんばったな!!」
カイン「ああ・・・」

 城の外へと足をすすめ、城壁へと向かう。

 ・・・・・が



アーサー「・・・マジか・・」

 城の外には、剣や槍を構えたヴァン兵達が待ち構えていた

「脱出するっていうんならなァ~~~・・・外に出るのは当然だなァ~~~?」
   「きづかねーとでも思ってたのか?それともお前らが気づいてなかったのか?」
 「おれたちの休憩時間を仕事時間に変えやがって・・・ミンチにしてやるぜェーーー!!!」

カイン「・・・くそッ」

 アーサー「・・・もう・・俺を降ろすしかねえな・・・降ろしても・・・こっから何ができるか・・・」





ジョセフ「しゃッ!!!」
 『ギィンッ!!!』
 ジョセフの攻撃をガードするベヒモス

ベヒモス「おおおッ!!!」
 ガードしたまま押し返してジョセフを吹き飛ばす

ジョセフ「っとお!!!・・・パワーはすごいな」

ベヒモス「この程度か神器使い!!神器ってェのはなんでもできる最強の武器だと思っていたがな!!」

ジョセフ「そんなことない・・神器だからって無敵ってことじゃない。ただ単に、不思議はことができるってだけだ。
 こんな風に」

『ズエァッ!!!』

 ベヒモス「ッ!!?」

一瞬、ベヒモスめがけ突風が吹いたかと思うと、その突風は『斬撃の嵐』だった
 それを瞬時の反応でギリギリガードする

ベヒモス「・・・ぐうう・・・!!?」

 ベヒモスがガードを解くと、ジョセフの姿は忽然と消えていた



ベヒモス「・・・っくそ・・・」






 カイン「ぐぼァァ!!!」

アーサー「がはァ!!!」

 ヴァン兵達にボコボコにいためつけられる二人。武器も持ってない丸腰な上、ダメージを受けている二人は手も足もでなかった

カイン(・・・っぐうう・・・!!!・・・あれは・・)

 カインはボコボコにされながらもあるものを見つけた
城壁から外へと流れている水路だ

カイン(・・そうか・・・脱出口・・・あれが・・・だが・・・この状況で出たところで・・・追手がすぐに・・・)

 アーサー「ぐはァ!!!」

カイン(・・・・・)

 カインは渾身の力を振り絞った



カイン「うおおおおお!!!」
 周囲のヴァン兵をなぎ倒す。そしてアーサーを囲んでいるヴァン兵達にタックルし、アーサーの足をつかむ

アーサー「!!?」

 そしてアーサーをその水路へと『ザバァ!!』と放る

アーサー「ッ!!?っぐっぱあ!!!おい!!!何を――」



カイン「本当に『足手まとい』だったな・・お前だけでも・・・・・
 ・・・・・ふふ・・・これがフラグってやつだな・・・ここは俺がなんとかする・・・」

アーサー「なッ!!?カイン!!!てめー!!!」



水しぶきを上げながらアーサーは流れに乗る。
 ヴァン兵達を迎え撃つカインの背を見つめながら。
  体の傷やダメージで、カインを助けに行こうにも行けなかった

アーサー「ふざけんな!!!てめーをぶちのめすっていっただろ!!!お前も一緒に出るんだろーが!!!おい!!!
 ちくしょう!!!てめー!!!『絶対助けだす!!!絶対にだ!!!』――――――」





 その後、もう一つのルートから脱出したジョセフが、この川の流れる先の合流地点に行くと、倒れているアーサーを見つけた



次回を待て!!

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.12 )
   
日時: 2013/01/09 00:22
名前: ゼブラー

第十二話 「アーサーくんと7人の不思議な騎士たち」



 ジョセフが見つけた時、アーサーは気を失っていた。
 アーサーが意識を取り戻すと、カインはどうなったのか、何がどうなったかなどを聞いた。
 ある程度のことは想定していたが、カインが城に残ったのは想定外だった。しかし、もう戻れない
 二度はない。もう潜入することなど無理だろう。仕方なくジョセフはアーサーを連れて『帰る』ことにした



ジョセフ「・・カインは無事のはずだ。元々、とらないはずの捕虜としてとらえられていたんだ。今更消しはしないだろ」
アーサー「・・・そう思ってなきゃやってられねーよな・・・」

 ジョセフ(・・・)

アーサーに肩をかして歩くジョセフ。カインのような巨体ではないから背負えない。スピードは遅いが、ゆっくりが今はいいくらいだ

アーサー「・・・なんで俺達を?」

ジョセフ「ヴァン軍は捕虜をとらない。なのにお前らは捕虜になった。何か企んでたんだろうな。それを邪魔するためってとこか」
アーサー「・・・なぜ?」

ジョセフ「7人の騎士の目的は『ヴァハムートをぶちのめす』ことだ。それぞれ理由がある」



 アーサー「俺は決めたぜ・・・ぜってーカインを助け出す・・・そんでもって・・・ヴァハムートをぶちのめす!!!」

ジョセフ(・・・・・簡単な奴だな・・・たく)



 ――――――それからしばらく歩いた
休憩を時々とりつつ、確実に歩き続けた二人は、なぜか森の中を歩いていた

ジョセフ「・・・」
アーサー「・・・おい・・・なんでこんなとこ歩いてる?」
ジョセフ「・・・」
アーサー「・・・・・もしかしてだが・・・道に迷った、なァ~んてことはねえよな?」
ジョセフ「・・・」プイッ
アーサー「目をそむけるな。おい。おい!!」



 ジョセフ「うるせェーな。ジョークだよジョーク。ジョーク・トルネェド」
アーサー「なんなんお前!!?」
ジョセフ「俺達が今向かってるのは7人の騎士のたまり場だ。隠れ里だってことくらい理解できないのか?」
アーサー「!?」

 森の中に村があった。隠れ里。こんなところに集落があるなど思いもしないだろうという場所だった

アーサー「ここか?・・・ここが・・・」

 ジョセフ「『セキマの村』だ」



隠れた村だからなのか、規模は大きくなく、人の数も少ない静かな村だった。ゲームでいう隠しマップの村という感じ

ジョセフ「ここだ。ここが俺達『7人の騎士』のアジトだ」
アーサー「ここだって・・・」

 喫茶店。紅茶やコーヒーを飲む喫茶店だ

アーサー「サ店じゃねェーかッ!!!またジョークトルネードとかいうんだろ!!」
ジョセフ「いやマジだが」
アーサー「マジ・トルネード!!?」
ジョセフ「お前何言ってんのマジで」

 店の扉をあける。『カランコロンじゃらん』と音がした

アーサー(ここが?・・・7人の騎士のアジト・・・きっとどいつも『やばい』やつなんだろうが・・・カモフラージュか?・・・
 こういうとこにいるとは思わないだろうということか?・・・とにかく・・・俺も気を引き締めるか・・・)



「おお、ジョセフ。戻ったか!!」
ジョセフ「戻ってないとでもいうと思うか?そーいうことをいちいち聞くな」
「上げ足をとるなよォ~心配してたんだぞ」

 店内のカウンター席に座る、赤いボディカラーの男と、店のカウンターの内側にいる白いボディの細長い男がいた
 アーサーの目には、どちらもどこかズレている気がした。村の者か・・・とりあえず

アーサー「・・・おいあんたら、出てってくれるか?このジョセフって男は色々やばいし、これからここに来る連中もやばい。
 あんたらは関わらない方がいいぜ。マジな話」

「・・・うん?」
 「何を言ってるんだこいつは」

アーサー「・・・いや、あの」

ジョセフ「この二人も『7人の騎士』だ。拍子抜けか?」

アーサー「!?何ィ!!?」



 「ップ!こいつ、俺達をただの一般人と思ったのか?・・・いや待て、それって俺達が『そう』見えたってことか?
  おい~!!それってヒドイぞォ~!!俺はなァ!!『トニー・L・フレイア』ってんだ!!しっかり覚えろ!!
  覚えた!!?どうだ!!?言ってみ!!?リピート・アフター・トニー」



 「トニー、そう絡むんじゃないよ。えーっと君がヴァン軍の捕虜だね?トニーはちょっと面倒なところがあるが気にするな。
  私は『ゼルア・R・テマール』。7人の騎士の一人だ。もちろん、トニーもね。
  ここは私が任せられている店でね。ゆっくりしていってくれね」



アーサー「・・・おいジョセフさんよ・・・これもジョーク?」
ジョセフ「なことない」

 アーサー「冗談だろォ!!こいつらどーみても素人じゃねーか!!7人の騎士ってのはヴァハムート打倒が目的の騎士だろ!!!
      もっと強面でごっつい連中のはずだろーが!!!」
 ジョセフ「いつそんなことをいった?こいつらもまぎれもない仲間だ。お前は見た目で判断してるだけだろう」
 アーサー「!!?・・ッ・・・」

意外ッ。イメージと違うッ

 アーサー「・・・じゃ・・・じゃああれだ・・神器使いとか?」
 ジョセフ「いや、神器使いは俺を含めて7人では3人しかいない。この二人は違う」
 アーサー「・・・」ジトー

トニー「あッ!!ジトーっとした目で見てやがるッ!!不審に思ってるなァー!!?」

アーサー「・・・そりゃあ・・・」フシン
トニー「だったらおったまげさせてやるッ」
 『ギャンッ』とトニーが何かを取り出す。それは金属の塊であるのがわかるが、何なのかは理解できなかった



トニー「さァさァ!!トニーのショーの始まりだよォー!!」
 『チャキチャキシャキィ!!』っとその金属を手で高速で『形を変えていく』。すると、剣に形を変えた

アーサー「!!?」

トニー「ほいほいほいッ」
 また『チャキチャキッ!!』と、まるでバタフライナイフのように高速で変形させていく。今度は槍になった

トニー「ほほいッ」
 今度は斧に変形する。粘土のように形を変えるのではない。いうなれば、『ルービックキューブを高速でする』みたいだった
 もしくは『あやとりの糸』のように、様々に形を変えるのだ

トニー「どうよ?こいつァ色々な武器に変形するトランスフォーム武器さッ」

アーサー「な・・・なんだそりゃあ・・神器じゃねーのか?」

トニー「違う違う。普通の武器さ。ほらあるじゃん、形を組みかえるおもちゃ。それと同じ」

アーサー「違うだろ!!それ剣に変形したり槍にしたりするけど明らかに物理法則っつーかそういうの無視してるだろ!!
 大きさ的にありえないだろ!!どういう構造してんだ!!」

トニー「まーたそういう細かいことをいう・・・そういうことはもう気にするなっての」

アーサー「開き直り感がひどいぞ!!」



ゼルア「トニーは器用だからな。私はこれだ」
 ゼルアが細長い腕をアーサーに見せる。その腕の肘のあたりに、何か見慣れぬものがある

ゼルア「『音速の弾丸』だ。ブースターといってな、これはものすごい勢いで加速を付けるものだ。
 この大陸では失われた技術。手入れには数年かかる大変なものだ。といってももう何年も使っていないがね。
 このブースターで加速した私の鋭い腕で敵を撃つ。『格闘式のライフル』だ。ライフルは知ってるか?」

アーサー「・・・ああ・・・大体理解したが・・・もういい・・・」

ゼルア「あれ?もういいのか?この動力などの説明がまだなんだが・・・」

アーサー「もういい!!頭がこんがらがる!!」

ゼルア「あらそう」



ジョセフ「面喰ってるな。というか、頭の整理でいっぱいいっぱいか?」
アーサー「新しい情報が多すぎるんだよ・・・まさか7人全員こういう風に説明を聞かなきゃならんのか?」
ジョセフ「そういうことだ。ほれ、もう一人来たぞ」

 店の扉が『カランコロンじゃらん』と開く
店に入ってきたのは、ガタイのごつい、がっしりとした男



「むむむ!!トルネェド!!無事戻ったか!!ははは!!私は何も心配などしていなかったさ!!ああ!!」

アーサー(うおッ・・・こんどはイメージ通りの強そうな男が・・・)

ジョセフ「・・・ゴードン・・お前また葉っぱ食ってきたのか?におうぞ」

 「む、葉っぱではない。薬草だ。自然の栄養だぞ!!うむ!!」

ジョセフ(・・・やっぱ違う)



 「むむ、そなたがジョセフの連れてきた者か。我が名は『アスゴード・T・クエイク』だ!!うむ」

ジョセフ「皆は『ゴードン』と呼んでいる。神器使いだ」

アーサー「こいつが・・神器使い・・・あれ?・・・神器ってどんだけあんの?」
ジョセフ「さあな。俺が知る限りで・・・6つ?・・・くらいか」
アーサー「それ以上あるかもしれないってこと!?」
ジョセフ「まあそういうことだ」

 アーサー「・・・(どういう世界なんだよ・・色々めちゃくちゃすぎるだろ・・・)・・・
      で・・ゴードン?・・・あんたの神器ってーのはどこにあるんだ?」
ゴードン「む、みたいか?ならばさがっていろ」

 ゴードン以外のメンバーがその場から数歩下がる。
 そしてゴードンはふふんっとした表情で右手を上へあげる



すると、雷が発生し、ゴードンの手に集中した。その雷にアーサーは触れてしまったものの、何ともなかった
 不思議な雷がひときわ光った瞬間、ゴードンの手には大きな『ハンマー』が握られていた

ゴードン「これぞ我が『雷の神器』、『ミョルニア』だ。このミョルニアは天を裂き、大地を砕く。うむ」

 アーサー(・・・地の神器だと思ってた・・・名前的に・・・)

トニー「いっつも思うけどよー、お前の神器、地の神器とかにとっかえた方がしっくりくると思うぞッ」
ゴードン「む、何を言うフレイア、『神器は持ち主を選ぶ』。ミョルニアの持ち主は私以外にはない。逆もまたしかり、だ」
トニー「だって『クエイク』なんて名前だとよー、100人中96人が地の属性だと思うぜー。アーサーもそう思うよなー?」
アーサー「え?・・・あ・・まあ・・・な・・・」
ゴードン「むゥ・・・ならばしかたあるまい。そなたらにはこのミョルニアの一撃をお見舞いして――」
 トニー「ミョルニアさいこー!!」
アーサー「やっぱり雷の神器だよねッ!!」

       ジョセフ(・・・馴染んできてる)



ゼルア「おっ、もう二人来たみたいだ」

 『カランコロンじゃらん』と扉の音が店内に透き通る。今度入ってきた二人の男は、不思議な外見だった。
一人は左目にバイザーをし、『左腕がマグマになっていた』。めちゃくちゃに聞こえるが、そうとしか言いようがない
もう一人は『左右非対称の外見だった』。右側が白っぽくて曲線的で丸みをおびている形。左側が黒っぽく、角ばった鋭角的な形

 アーサー「おいおい・・・こいつらもなのか?・・・個性的じゃないと入れないのかここは?」



ジョセフ「腕がマグマになっている男の名は『マキシマム・ザ・メルトン』。神器使いで俺と同じ『神器を体の一部になってる』」
アーサー「え?」

ジョセフ「ヴァハムートの実験台になったもう一人だ。こいつの神器は『破の神器』。手甲(ガントレット)の神器だ。
 腕に装着して、あらゆるものを破壊するマグマを自在に操ることができたが、その神器を腕と一体化させられた。
 ・・・だが、こいつは『最初の被験者』だった。俺はその次。こいつの実験はリスクが高すぎた。
 神器のエネルギーがこいつの体を焼き、左目は焼きただれ、声を失った」

アーサー「・・・で、左手が神器の力そのものになったのか」

ジョセフ「こいつのことはマキシと呼べ。しゃべれないが、聞きたいことがあれば言え」

マキシ「・・・・・」アクシュッ

 マキシはアーサーに握手をしようと手を出した。だがマグマの左手をつい出してしまい、あ、違う違うって感じで右手を出した

マキシ「・・・・・」マチガエタッ

アーサーは苦笑しながらその手をとった



ジョセフ「で、こっちのアシンメトリーの名は・・・『マルク・D・ガーランド』」

 アーサー「マルク?・・・ガーランド・・・どっかで聞いたことが・・・」

ジョセフ「だろうな。こいつは『元ヴァン軍の将軍』だ」

アーサー「!!?」



ガーランド「昔の話だ。過去は振り返らない。『今が見えなくなる』。
 私のことはガーランドと。マルクとは言わないでくれ。その名前はなんだか・・・マスコットみたいで私のイメージにあわん」

ジョセフ(イメージて・・・)
トニー(名前まで対照的なんだなー・・・)
ゼルア(なんか子犬ちっくな名前だもんね・・・)

 アーサー「そういえば・・・昔聞いたことがある!!ヴァン軍の将軍が姿を消したって・・・」

かつて、ヴァン軍の将軍はベヒモス、アレックス、ゼフィランサスの他にもう一人いた。
 『ダブルハートのガーランド』。恐ろしさと優しさの両方をもつ騎士

アーサー「だが・・・なんでヴァン軍の将軍が打倒ヴァハムートの7人の騎士に?・・・」

ガーランド「・・・まあ・・・昔からヴァハムートには疑問的だったんだが・・・どうするか決められずにいた。
 優柔不断でな。ヴァハムートが天下統一できると確信してはいるものの、それが正しいのかどうか・・・
 そんな時にな・・・『やつ』と出会った・・・」

その場にいる騎士達、アーサー以外のメンバーが微笑した

アーサー「・・・誰だ?そいつは・・・」





 その時、『カランコロンバギャンッ!!!』とすごい勢いで扉が開いた。音の通り、ベルが壊れた

「あッ!!またこわしちまった!!」



 ゼルア「・・・またか・・・一体何個ベルを壊せば気がすむんだい・・・」

「っせー!!だったら最初からつけんな!!大体意味ないだろこれ!!音があってもなくても!!」

入ってきた男は、真紅のボディで、ガタイががっしりとした騎士。

 ガーランド「・・・こいつさ・・・こいつが『7人の騎士』の最後の一人・・・
       『メテオ・フラムベルク』だ」

アーサー「!!」



メテオ「あん?誰だこいつァ・・・」

ジョセフ「俺がつれてきたヴァン軍の捕虜だ」

メテオ「ほォー・・・まあ関係ねーや」

アーサー「何ッ!?」

 メテオはどかっと椅子に座る

メテオ「俺は『ヴァハムートを倒す』。それだけだ。それ以外何もねェ。お前が俺らの手助けになるかどーかも、どうでもいい」

アーサー「・・・何なんだこいつは」

ジョセフ「7人の騎士きってのひねくれ者で変わり者だ。正直、むかつくだろーが我慢しろ」

メテオ「っせー!!」

ジョセフ「・・・俺も何度こいつを斬ろうと思ったことか・・・」
メテオ「何だよ俺がなんかしたってのか?」

ジョセフ「思い当たる節もねーのか」
メテオ「ねーな」

   ジョセフがメテオに斬りかかろうとするのをトニーとゼルアがなんとか止める

トニー「おさえろジョセフ!!ここでキレても何にもならない!!」

メテオ「おーおー・・・血の気の多いこって」

トニー「メテオもあおるんじゃねー!!仲間割れしてどーすんだ!!」

 メテオ「っせー。俺はヴァハムートの野郎さえぶちのめせばいいんだよ!!!」

アーサー「・・・なんだってそこまでヴァハムートにこだわる?・・・いや気持ちはわかるが――」



 『ダァンッ!!』
メテオがテーブルを叩いた

アーサー「!!?」

 全員が静まり返った。ジョセフもトニーも、ゼルアもゴードンも、マキシもガーランドも



メテオ「・・・わかるはずねェ・・・誰にも・・・
 ・・・ヴァハムートは・・・俺の『全て』を奪った・・・」



次回を待て!!

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.13 )
   
日時: 2013/01/09 01:08
名前: ゼブラー


第十三話
「時には、昔の話を」



――――――――――どれほど昔なのかは定かではない。メダロットに寿命はないから時間の概念が曖昧なのだ
 今から10年前か、1年前か、もしかすると1カ月ほど前なのかもしれないし、100年も前なのかもしれない。
 だが、この時、メテオ・フラムベルクの平和で楽しく、素晴らしい日々が送られていたことは間違いない。
 まだメテオが、剣を手にとり、ヴァハムート打倒を志すよりも昔・・・・・





辺境の村、『イグニス』

 「こんなもん使えるかこのやろーーー!!!」

「何だとォー!!!とっとと帰りやがれコラァーーー!!!」



 ・・・いや、平和ではなかった。ものすごい怒号を互いにあびせる二人の男の片方がメテオだ。
メテオは『鍛冶職人』であった。剣や槍を作る職人。このイグニスの村で武器職人としてメテオは生活していた

メテオ「俺の作った剣に文句があるなら二度と来るんじゃねェーーー!!!」

 「誰が二度も来るか!!!この剣は重芯がずれててまともに使えねーんだよ!!!」
どうやら剣を売った客が文句を言ってきているようだ
メテオ「そういうつくりなんだよ!!!使いこなせりゃ使いやすいんだよ!!!」
 「こんなもん不良品じゃこらァ!!!」

『ガシャーン!!』と剣を放り投げる客

メテオ「あーーー!!!やりやがったなー!!!」

 「このヤブ職人ーーー!!!」

その客はぴゅーっと去って行った

メテオ「あのやろ~・・・俺の剣を・・・」
 メテオはその剣を手にとって机の上に置いておいた

この場所はメテオの家。鍛冶職をする工場でもある。まわりは道具やらなんやらが散らばっている雑な感じ。
鉄を熱する窯や打ちつけるとんかちなどがあるしっかりした工場だが、どーも生活スタイルがいいとは言えない感じ
まあ、本人も職人気質なのでそういうことには無頓着であり、本人も自覚している



メテオ「この重芯のズレをうまく扱えればすっげえなめらかに使えるっつーのに・・・」

 見ての通り、メテオの作るものは『個性的』である。万人受けするような武器は作らないのだ
 ひと癖ある武器だらけだが、上手く扱える者にはかなり評判な武器である。が、その半面扱える者は少ない

メテオ「・・・ふん!!仕事仕事!!」

 メテオは椅子に座り、とんかちを手にとって、熱した鉄を叩いて鍛える仕事を始めた
 『カンッ』 『カンッ』という音が甲高くなる。その音は工場内だけでなく、外にも聞こえる音だった



それからしばらくすると、店の扉が開いた。
 ゆっくりと、メテオにばれないように工場内に入ってきたのは、この家の隣に住む女性

「・・・(そ~っ・・・)」

メテオ「ばれてるぞ」

「っ!!」
 メテオの一言に逆にびっくりする



「でへへ・・・びっくりさせようとしたんだけどな~」

 その女性の名は『ホリィ・コフィン』。
 メテオの隣人であり、色々と世話をしてくれる女性である



メテオ「なんでびっくりさせようとしたんだよ」
ホリィ「いや~さっきおっきい怒鳴り声がしたからまたお客さんにおこられたのかなーって」
メテオ「っせー!!」
ホリィ「だから気分転換させてあげようと思って・・・でへへ」
メテオ「・・・お前が来ると気分は変わるわな」
ホリィ「えっ」
メテオ「お前のほほんとしてっから気がぬけるんだよ」
ホリィ「えー」



 ホリィは手に持ったバスケットをメテオに見せつける

ホリィ「せっかくサンドイッチもってきたのになー。そーゆーこというのかなー?」

メテオ「あ」

 メテオは手を伸ばしてバスケットをとろうとする。
 それをスイッとかわすホリィ

ホリィ「♪」

メテオ「・・・くれよ」
ホリィ「言うことは?」
メテオ「よこせって」
ホリィ「言う事は?」
メテオ「くれ―――」

          ホリィ「いうことは?」



メテオ「・・・ごめん」

ホリィ「よろしいッ」
 バスケットを机に置く



ホリィ「ほれほれ、食べな食べな」
メテオ「・・・」ムスッ
ホリィ「むくれるなら食べない?」
メテオ「食べるっつーの!!」

 毎日、毎食分、ホリィはメテオの食事を作ってくれる。メテオが鍛冶職で大変だから、ということでホリィが勝手にしている
 メテオが「飯作ってくれ」って言ったことは一度もない。だがホリィは何もいわず毎日こうして食事の準備をしてくれる
 生活に無頓着なメテオをホリィが補う。それが今や習慣となっている。

ホリィ「サンドイッチはねー、はさまれてるきゅうりが一番おいしいんだって。はさまれた方がいい味するんだって」
メテオ「きゅうり入ってねーけど?」
ホリィ「・・・でへへ」
メテオ「いやいやいや」

 サンドイッチを食べながら会話をする二人。メテオにとってこの時間は貴重なものだった。
 ほとんど一日仕事のメテオの大事な休憩時間である。それだけでなくホリィとの時間はやはり気分転換になるものだからだ

ホリィ「さっきのお客さんさ、メテオの作った剣がだめだって?」
メテオ「ああ、ったく素人だぜ。俺の鍛冶職の腕を理解できねー雑魚だ」
ホリィ「うーん、仕事のことは全然知らないけどさ、もうちょっとお客のニーズにあったもの作ったら?一応は商売なんだし」
メテオ「っせー。俺はプロの職人だ!!俺には俺の流儀がある!!」
ホリィ「ガンコだなー」
メテオ「っせー!!」



ホリィ「でもすごいよねー。こーゆーの作れるのって。私は料理くらいしか作らないけどさすがにこれは難しそうだ」
 壁にかけてある剣や机の上に置いてある剣などをまじまじと見るホリィ

メテオ「飯と鍛冶職が同じなことあるかッ。だったら鍛冶屋は廃業だっつーの」
ホリィ「そういうことじゃないのに。同じ作ることでもだいぶ違うってこと」

 メテオ「あ、お前そのへんのモン触んなよ。お前ドジだから――」

     『サクッ』

ホリィ「痛いー!!」

メテオ「だからいっただろォーがッ!!!」



 剣の先で指を斬ってしまったホリィに、メテオは包帯を捲いて手当した

ホリィ「・・・ありがと」グスン

メテオ「もうそのへんの触るなよ。お前ドジだからあぶなっかしいんだって」

ホリィ「でへへ・・・」

メテオ「いやいやいや。なんで照れんだ」

ホリィ「だってメテオ、『剣が壊れるとかの心配じゃなくて、私がケガするって心配してくれた』から」

 メテオ「ッ!!・・・・・っ・・・っせー!!」

ホリィ「でへへ」





 手当を終え、食事も終え、メテオは仕事を再開し、ホリィはそのままちょこんと座っていた
メテオ(・・・くそッ・・・なんか気まずいじゃね~かッ!!・・・なんでこいつはあんなことさらっと言えるんだよ・・・)

ホリィ「そろそろ家(隣)に戻るね。晩御飯の準備しなくちゃ。なんと今日はホリィちゃん特性カレーでござーい!!」

メテオ「ナニッ!?お前、前にカレーで大失敗したじゃねーか!!またか!!どーせならシチューにしてくれよ!!」

 ホリィ特性シチューはメテオの大好物だ。カレーは以前、果物をいれまくった挙句、辛くないアメーライスになったのだ

ホリィ「だーじょーぶ!!チャレンジするのは大切なことだよ!!今度こそカレーに仕立て上げるから!!果物はなし!!」

  たったった・・・と走って帰っていくホリィ。その後ろ姿を見てメテオはため息をつきながら笑顔になった

メテオ「・・・ったく」

 こんな、何気ない日々がメテオはとても楽しかった。もちろん、大変なことだってある。
 仕事で忙しい時、思うように剣が作れない時、客とケンカする時・・・だが、それも含めてメテオの日々は充実していた
 ホリィとの楽しいひと時、村の人との交流、仕事の達成感・・・マイナスもあればプラスもある。何ということのない日々






 ――――――夜

メテオ「ッフゥい~~~ッ・・・あー疲れた」

 肩をゴキゴキしながら仕事を終えるメテオ。外はすっかり夜になっていた

 隣の家から食事の準備の音が聞こえてくる。ホリィがカレーを作ってる音だ
  部屋の窓を開け、空を見上げる。夜空にいっぱいの星が輝いていた

メテオ(・・・あの光輝く『星』ってーのはなんなんだろーな・・・夜になると輝く・・・不思議だ・・・
    ・・・この世界ってーのは・・・知らないことがたくさんあるんだなあ・・・)

珍しくセンチメンタルな気分になっていた。今日は特に感情の上げ下げが大きかったからなのだろうか

メテオ(・・・ホリィ・・・ただの隣人・・・のはずなんだけどなァ~・・・)

 ふーっとため息をつき、窓枠に肘をつく

メテオ(なんなんだろうな~・・・もうホリィ無しじゃいられねー感じになってきてるな~・・・
 いっつもニコニコ笑顔でよ、飯作ってくれるし、一緒にいるとこっちまで笑顔になっちまう。
 ・・・でもちょっとドジで、変わり者で、たまーに凄味をみせるんだよなー・・・
 ・・・・・ってなんでこんなこと考えてんだよ・・・ホリィはただの隣人だ。それ以上でもそれ以下でもねー。
 飯とかの支度をしてもらってる分、俺も支えてやらなきゃな。ドジだからな・・・ハハハッ)



 『ドンガラガシャーンッ!!』

「うあーん!!」



メテオ「・・・ホントに」



 続く

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.14 )
   
日時: 2013/02/07 21:30
名前: ゼブラー



メテオとホリィの何気ない日々は平和に過ぎていった
 戦国の地においてこの平和な日々はカタギならではのもの。騎士や武者にこんな平穏はほぼない
 逆にいえば、メテオが騎士でも武者でもない、ただの鍛冶職人だからこそ平和に過ごせていたのだ



そしてとある日、メテオの店に客人が来ていた。常連の客が

トニー「なるほどねェ~。もう一緒に住んでるくらいの感覚なのねェ~」

メテオ「っせー!!てめェ冷やかしに来たんだったらけえれッ!!」

 トニー・L・フレイア。メテオの作る武器を以前扱ってからはそのアクの強さを気に入りった
 それ以来、メテオの作る武器の試用を度々やっている旅の騎士。このイグニスの村の住人ではない

トニー「まあそう怒鳴るなって。こないだのあの剣とか槍とか斧とかに変形できる武器。あれすっげえなおい」
メテオ「ふふんそうだろうそうだろう・・・あれ作った時は俺の才能ぶりにびびったもんだぜ」
トニー「(おだてやすいなあこいつ・・・)ってことでさ、あれ俺にくれない?どーせ他に扱える奴いないんだろ?」
メテオ「・・・うーむ・・・確かにあれはお前ぐらい器用じゃないと扱えないからなあ・・・だがかなりの完成度だし・・・」



トニー「で?ホリィちゃんとの関係はどーなのよ?」
メテオ「ッ!!?なッ!!?てッ!!?っせー!!!」
トニー「落ち着けや」
メテオ「どーもなにもねーよ!!!ただの隣人だっつーの!!!っせー!!!」
トニー「そお?俺から見るともう夫婦だぞ」
メテオ「フーフッ!!?ッガ!!?ッブ!!?」
トニー(あからさまだなあこいつ・・・)

 メテオ「あ・・・て・・・てめえもう帰れこらッ!!!冷やかしじゃねーか!!!色んな意味で!!!」
 トニー「え、じゃあお前何も思ってないの?」
 メテオ「さっきからそう言ってるだろッ!!!」

トニー「ふーん、でもホリィちゃんの方は気があると思うけどなァー」







メテオ「マジで?」
トニー(小学生かこいつ・・・)





 ・・・30分後
トニー「まあその本に書いてる通りにすりゃなんとかなるだろうべ」
 トニーが持ってきた本をペラペラめくるメテオ
トニー「それは『第一大陸』の俺の友人がこっちに来た時にくれたもんだ。お前にやるよ」
メテオ「こんなもんが第一大陸にはあるのか・・・文明すげー」



ホリィ「あ、トニーさん来てたんだ」
 ホリィが夕食を持ってきた。メテオとトニーは何やら話をしていたようだ

トニー「あ、やあホリィちゃん。そんじゃメテオ、俺ァ帰るからな。上手くやれよ」
メテオ「お・・おう・・って!!っせーってんだテメーは!!!」
トニー「にししッ・・・そんじゃあねー」

 トニーはにやにやしながら店を後にした

ホリィ「なんだもう帰っちゃったか。で、何の話?」
メテオ「なッ・・なんでもねー!!仕事だ仕事!!!」
ホリィ「そお?まあいっか。今日の夕食はなんと!!どっじゃあ~~~ん!!!ホリィさん特製シチューでえす!!!」
メテオ「おおおおおお!!!」

 メテオは大好物のホリィ特製シチューを6杯たいらげた





 次の日ーッ
メテオ(うしっ、この本に書いてる通りに言ってみよう・・・・・・・・・
 いや違うぞ。これはあれだ。いつもホリィには飯作ってもらってるからそれのお返しっつーかそういうのだ)

ホリィ「どしたのメテオ?梅干しみたいな顔して」
メテオ「っせー!!」

 一旦メテオは『ごほんっ』とのどの調子を整えて、心を整えてから口を開いた

メテオ「あ・・・あのさ、今度の休みさ、ピクニックでも行かないか?」



・・・・・・

ホリィ「へ?」

 メテオ(あれッ!!?なんか反応が!!?俺ミスった!!?)

ホリィ「・・・この戦国大陸でピクニック?
                    ・・・ップ」

 メテオ(ッ!!!しまったァァァァァァ!!!そうじゃん!!!その辺でピクニックなんてしてたら矢が飛んでくるっての!!!)

ホリィ「いやいいよ気持ちだけでも十分・・・ップ!!」

 メテオ「ッ~~~~~!!!」

ホリィ「あれだよね、いつか『第一大陸』に行った時にね、そうしようね・・・ップクク」

 メテオ「ってめーこらホリィー!!!」

   ホリィ「プゥハハハハハ!!!」





その次の日ーッ

メテオ(っく・・・昨日は失敗したが今日こそは・・・何なに?『メダアームズの曲でいい雰囲気に!!』?・・・
 なんだよメダアームズって・・・向こうで流行ってんのか?・・・そんなもんこっちにはねえぞ・・・
 ・・・えーっと・・・『ギャップは最大の武器なり!!』・・・ギャップか・・・
 ・・・ちょっと待て!!『最大の武器』!!?『武器』!!?このギャップとやらば第一大陸では最強の武器だというのか!!?
 そうと聞いたからには俺も武器職人として黙ってられるか!!このギャップってーのがどんな武器か調べて―――)

ホリィ「どしたのメテオ?ぎゅってしたスポンジみたいな顔して」

メテオ「のあッ!!?いきなりびびらせんじゃねー!!!」
ホリィ「いや普通にしてたけどなんか考え事してるみたいだったから・・・」
メテオ「ううむ実は『ギャップ』ってーのが第一大陸では究極の武器らしい・・・それを考えててな」

 ホリィ「・・・メテオ・・・」スーッ
 メテオ「え、なんで引くんだおい」

ホリィ「ギャップっていうのが何かも知らないなんて・・・」ウーオ
メテオ「なんだよそのやっべえみたいな反応!!!おい!!!」





また次の日ーッ

メテオ(ギャップって武器じゃねーのかい・・・なんかここんとこ失敗だらけな感じだ・・・もうミスれねえ・・・
 何なに・・・『この会話で100パー決まりだぜ!!!』・・・・・・嘘っぽいなおい・・・)

ホリィ「どしたのメテオ?キウイの断面みたいな顔して」

メテオ「どーいう顔だそりゃ!!・・・あ・・・いや・・えーと・・ホリィ、話がある」
ホリィ「え、何改まって」

 メテオ(えーっと・・・とりあえず暗記はしたぜ・・・これをその通り言う!!)

 ホリィ「?」



メテオ「おしごとはなにをなさってるんですか?」(棒読み)

 ・・・・・・

 ホリィ「ふ?」

メテオ(あれ?・・・何か・・・反応が・・・?)

ホリィ「えーっと・・・まあパンとか作って売ったりしてるけど仕事って感じでもないし、メテオも知ってるじゃん?」

メテオ「・・・・・・えーっと・・・
 ・・・しゅみはなんですか?」(棒読み)

  ・・・

ホリィ「・・・・・えーっと・・・メテオと話したりすることかな」

メテオ「ほんとうですか。じつはわたしもです。きぐうですね」(棒読み)

ホリィ「・・・・・」

メテオ「ぜひこんどのやすみにごいっしょしませんか」(棒読み)
ホリィ「おいどうした」



メテオ「ってなんだこの会話ァァァ!!!成り立ってねェじゃねェかァ!!!」
 『スパァン!!!』とトニーからもらった本を床に叩きつけるメテオ
 ホリィ「ッ」ビクッ

メテオ「書いてるコト全部話が違うじゃあねーか!!!ふざけんなコラァ!!!あっちとこっちじゃ話が違うってんだ!!!
 大体俺は俺だ!!!ホリィはホリィだ!!!関係ねえ!!!」

ホリィ(メテオ・・・相当疲れが・・・)

メテオ「ホリィッ!!!」

 『ガシッ』
 ホリィの両肩をつかむメテオ




ホリィ「え・・・ちょ」

メテオ「お・・・俺ァな・・・」

 ホリィの目を見つめるメテオ。しかし、急激に体の中が熱くなってきたのを感じた

メテオ(うぐぐ・・・めちゃめちゃまっすぐな目で見てやがる・・・やっべえ・・・
 ・・・でも俺も目を反らせられねえ感じ・・・ぐ・・・ここはもう一気にいうしかねえ!!!)



ホリィ「メテオ?・・・どしたのほんとに」

メテオ「あ・・・あのな!!!・・・お・・・俺はな・・・・・
 ・・・お前のこ―――」
『ガチャッ』



トニー「やっほいメテオー!!こないだの本返しても・・・ら・・・・・い・・・・・に」

 メテオ「・・・」
 ホリィ「・・・」

突然、トニーの訪問。肩をつかんで見つめあってたメテオとホリィを見て、トニーも二人も動きが止まった



トニー「・・・あ・・・ははは・・・あの・・・お邪魔しちゃった?・・・えーっと・・・その本もうあげるから・・・それじゃ」
 『バタンッ』

 ホリィ「・・・」

メテオ「トォォォォォォニィィィィィィィィィィィィ!!!」
 『グァォォォッ!!!』と、凄まじい勢いでメテオがトニーを追いかける



    「ウヒー!!!ワザトジャナインダヨー!!!」
    「ウルセー!!!ブチノメシテヤルー!!!」

ホリィ「・・・でへへ」






 その日の夜・・・

メテオはもうやけくそ気味に鍛冶仕事に取り組んでいた。もう昼間のこと全部なかったことにする勢いで鉄を叩く

メテオ「・・・っだーーー!!!もう!!!こんなんじゃ仕事にならねー!!!」
 どーにも集中できないメテオ。頭をぐしゃぐしゃっとする

メテオ「っくそ・・・なんてこった・・・昼間のことを思い出すと体の中からめちゃくちゃ熱くなってきちまう・・・
 ・・・なんかそうなるともう大声でかき消さないと体がもたねえ・・・っぐう・・・」



ホリィ「メテオー!!」

 突然、ホリィの声が外からした

メテオ「おあッ!!?(びびった・・・)な・・・なんだ?」

 メテオは店から外に出る。ホリィが手招きして店(家)の裏側に来るように促す

メテオ(なんだってんだおい・・・)

ホリィ「こっちこっち!!」

 店の裏に積んである木箱を足場にして店の屋根に登っていくホリィ

メテオ(・・・こいつミョーにアクティブだな)



メテオも同じように屋根に上る。するとホリィは屋根に座って、隣を手でぽんぽんと叩いた
 そこにメテオが座る
メテオ「で?何だってんだ?」

ホリィ「ほら!!上見て!!」
メテオ「上?」





 そこには、夜空に満天の星空が広がっていた

メテオ「うお・・・」

ホリィ「ねッ!!すごいっしょ!!」

メテオ「ああ・・・すげえ」



 しばらく二人は星空を見上げたままだった。しばらくの沈黙の後、ホリィが口を開いた
ホリィ「あの『星』っていうのは、この世界の『生命の光』なんだって。世界中の生命の数だけ星として光ってるんだって」

メテオ「それマジか?つまりあの星の数が世界の人口ってことか?どういう仕組みでそうなってんだ」

 ホリィ「『天上参大神』の『光』の神のゼノがそうしてるんだってさ」
 メテオ「ゼノがねー・・・ギアスは第一大陸にいて、ゼノは空で星を光らせてるのか」

 ホリィ「でもさ、この戦国大陸では毎日たくさんの生命が失われてるのに、あんなに星がたくさんあるんだよ。
     なんだか不思議な感じだよね。この村でこうして平和にしてるのに、ちょっと遠くでは戦いがたくさんあるなんて」
 メテオ「・・・」

ホリィ「・・・あっ、別に、その、メテオが武器を作るのがどーとかそういうことじゃなくて」
メテオ「誰もそんなこといってねーだろ」
ホリィ「・・・でへへ」



メテオ「俺はな、別に戦のために武器を作ってるんじゃねえよ。結果的にはそういうことになってるけどな・・・
 俺は『誇り』と『信念』を守るために武器を作ってるんだよ。俺のじゃねえ、誰かのだ。
 俺の作った武器で、誰かが自分の『誇り』や『信念』を守れるために作ってるんだ。だから妥協だできねえ」

ホリィ「おー、かっくいー」
メテオ「絶対理解できてないだろお前」
ホリィ「でへへ」
メテオ「いやいやいや」

 ホリィ「・・・へへへへへ」
 メテオ「・・・ハハハハハ」



 二人の笑い声は夜空に澄みきった

メテオ「・・・ホリィ。いつもありがとな」
ホリィ「お?珍しい、メテオがそんなこと言うなんて」
メテオ「・・・そうだな、その一言言うのにここんとこ色々空回りしてた」
ホリィ「ああ・・・そういうことだったのか・・ププッ」
メテオ「なんだよ」
ホリィ「素直じゃないなーって思ってさ」
メテオ「っせー」



ホリィ「メテオ」

メテオ「うん?」

ホリィ「ありがとって言ってくれてありがと」






 第十四話
 「いつか、星空の下で」



 続く

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.15 )
   
日時: 2013/03/06 03:11
名前: ゼブラー




 第十四話

 「ありがとう」






 今はどの辺りだろう



 どの辺まで来ただろう



 メテオとホリィ、二人の人生の今は何章目くらいだろう





 二人の日々はただただ過ぎていった



 朝が、昼が、夜が、毎日が



 それぞれに、輝いて





 アホな冗談で涙流して笑ったり



 くだらないことで互いを困らせたり



 毎日がいつまでも続き、笑顔があふれていた






 そんな、いつも通りのある日のこと

  ホリィにメテオは言った



   『星を見に行こう』





 星の降るような星空の下で―――――

メテオ「なあホリィ」

ホリィ「うん?」

メテオ「前に一緒に星を見た夜があったろ」

ホリィ「あー、色々あった日ねー・・っぷ!!」

メテオ「っせー!!・・・あー・・・その時な、俺・・いつか、星空の下で・・素直になろうと思ってたんだ」

ホリィ「?・・・」

メテオ「なんつーか・・・すっげえはずかしいけど・・・な・・・」

ホリィ「・・・」

メテオ「その・・・えーっと・・・」

ホリィ「メテオ、ちゃんと聞いてるから」

メテオ「・・・・・あー・・・」

ホリィ「・・・」



   メテオ「ホリィ・・俺はお前が・・・―――――」



   ホリィ「――――――・・・でへへ・・・ありがとう」



――――――二人は星空の下で永遠を誓いあった



 こんなことは妙なことでもある
 この世界において、メダロット同士結ばれるということは多くないことだ
 機械と生物の中間の存在であるメダロットが、生物のように子孫を残すことをしなくてもいいのだ
 だが、少ないものの、メテオとホリィのように互いに一緒にいることを決め、子孫を残す者もいる
 それ以外の方法でどうやってメダロットが誕生しているか、それは今は話すことではない
 これは、メテオとホリィのお話なのだ





――――――そして・・・

メテオ「こ・・こいつが・・・お・・・俺の子か・・・」

ホリィ「俺『達』でしょ」

メテオ「俺もとうとう父親になったのか・・・うう・・・」



ホリィ「名前考えないとねー」

メテオ「ふふふ・・・実はもう考えてあるッ」

ホリィ「へ?」

メテオ「俺のメテオ・フラムベルクからとって、『ニコラス・フラムベルク』。錬金術師みたいでかっこいいだろ?」

ホリィ「実は私も考えてた」

メテオ「ほう?」



ホリィ「『フリオニール』・・・いい名前でしょ?」

メテオ「えーでも俺のもいいぜー?」

ホリィ「なら、『ニコラス・M・フリオニール』。どう?」

メテオ「M?・・・」

ホリィ「メテオのM。メテオと私の子だから・・・でへへ」



メテオ「・・・へへッ・・・きっとこいつは強い男になるぜ」

 ホリィ「鍛冶職人にする?」

 メテオ「半分お前の血なんだ。職人には向いてねーっての」

 ホリィ「むゥッ」

メテオ「こいつはきっと騎士になるだろうぜ。立派なな」

ホリィ「騎士かー・・・礼儀正しい騎士だねきっと」

 メテオ「どうかな?俺の血だぜ?きっと世界中に指名手配されるような男になるぜ」

 ホリィ「えー、しっかりした子になるって。教科書みたいな・・お手本みたいな騎士に」



メテオ「どっちにしろ俺達の子だ。すげえ奴になるぜ」

ホリィ「でへへ・・・うん」



――――――



 メテオとホリィの子、フリオニール。新しい『星の光』が増え、メテオとホリィの未来は輝いていた



 いつまでも続く明日を歩いていた



 笑ったり泣いたりしながら



 何気ない時間を



 『道』を一緒に進んでいた



 今はどの辺りだろう



 どの辺まで来ただろう



 二人の人生の今は何章目くらいだろう



 いつまでも続く明日を



 一緒に歩いていた






 だが――――――



     「フゥハハハハハハハハハハハ!!!」



平和な日々は終わった



奪われた



この男に





ヴァハムート「我が名はヴァハムート・ヴァン・ヴォーマルハウト!!!天下を統一する大将軍なりィ!!!」

 ヴァハムートが部下を率い、このイグニスの村を襲撃した



 村に火を放ち、
        丸腰の住民達を無残にも斬り捨て、
                        踏みにじる

イグニスの村を滅ぼしても何か利益があることはない。メテオの作る武器が脅威だとかそういう理由でこの村を滅ぼすのではない

        ヴァハムートの気晴らしというだけ





メテオ「・・・くそッ!!なんてこった!!!」

 メテオの家、鍛冶屋にホリィとメテオはいた。すでに村には火が回っている。家の周囲にはヴァン兵が
 最悪の状況だが救いはあった。フリオニールはこの時、『セキマの村』にいる友人に預けていたのだ
 ここしばらくの間、メテオとホリィの二人で一本の剣を作る作業に集中するため、フリオニールをあずけていたのだ

メテオ「俺が連中をなんとかする!!ホリィはその間に村を出ろ!!なんとかして!!」
ホリィ「でも・・メテオはどうすんの!!」

メテオ「俺は何とかならァ!!」
 ホリィと作っていた剣はまだ未完成であったからすでにある武器の斧を手に取るメテオ

メテオ「こんなこと言うのも俺らしくねえがな、守るべきもんのために戦うってことだぜ」



 メテオが外に出て、周囲のヴァン兵を斧でなぎ倒す

メテオ「うらあ!!」
 『ドガンッ!!』

鍛冶職人であり騎士ではないメテオだが、その実力はかなりのものだった。
 数人のヴァン兵をたたきのめすメテオ

メテオ「っどうしたどうしたおらァ!!(っくそ!!ホリィが出られる状況じゃねえ!!1人倒したら1人きやがる!!!)」




ヴァハムート「ほう・・騎士がいたとは」

メテオ「!!!」


 そこにヴァハムートが現れた
 何も言わずにヴァン兵達は後へさがり、ヴァハムートが前へ出る

メテオ「てめえがボスかこのやろう・・・」

ヴァハムート「この村には騎士などおらんと思っていたがな」

メテオ「騎士じゃねえ!!俺は鍛冶職人だ!!」

 斧を振りかぶり、ヴァハムートに斬りかかる

『ガギィン!!!』



ヴァハムート「ぬ・・こいつ・・・」

 右手に持った剣でメテオの斧を防ぐヴァハムート

メテオ「てめえなぜこの村を!!」

ヴァハムート「なぜ?理由などいるか?」

メテオ「!!!ふざけんな!!!」

 『ッガァン!!!』

ヴァハムート「貴様・・腕はあるようだな・・・だが!!!」

  『ッド!!!』

メテオ「!!!」



左手に持った剣でメテオの腹部を刺した

メテオ「っぐ!!・・・が」

ヴァハムート「所詮は鍛冶屋か・・・戦いの基本はない」

右手でメテオを殴り、地面に叩きつける



ヴァハムート「だが面白い!!貴様は騎士になれば我が部下にふさわしいほどになるだろう」

メテオ「ッ・・っせー!!」

 『ガァン!!!』

起き上がりながら斧をくらわせるメテオ

ヴァハムート「ぬう!!!」

 『ギィン!!!』
   『ガンッ!!!』
『ドガンッ!!!』



メテオとヴァハムート、互いの武器が火花をあげる
 だが、メテオの方が押されていた

メテオ「っく!!!」

ヴァハムート「どうした!!!やはり鍛冶屋は鍛冶屋か!!!武器を作れても扱い方は知らぬか!!!」

 『ガヴァッ!!!』

メテオ「!!!」

 ヴァハムートの剣がメテオの腹部をえぐった

メテオ「っがはッ!!!」

両膝をつくメテオ





ホリィ「メテオ!!!」

 メテオ「!!?」



メテオが振り向く。家の前にホリィが出ていた。メテオを気にかけて

メテオ「ホ・・・ホリィ・・・お前・・すぐに・・・」

ホリィ「メテオを置いて行けるはずないじゃん!!!」

メテオ「・・・んなこと言ってる場合じゃ・・・」

 ヴァハムート「・・・ほお?・・・貴様の連れか?・・・フゥハハハ、ならばそやつを斬るとするか」

 メテオ「!!!!!」



ホリィのもとへ行こうとするヴァハムート
 が、



 『ガシッ』
 その足をメテオがつかむ



メテオ「てめえ・・・ホリィに指一本触れんじゃねえ!!!」

 足をつかむ力が凄まじく、ヴァハムートの足がメキメキと音をたてる

ヴァハムート「!!?こ・・こいつ・・・フン!!!」

 『ガンッ!!!』と逆の足でメテオの顔を蹴る

ヴァハムート「貴様!!もう有無を言わせぬ!!!」

 メテオを立たせ、さらに『ザンッ!!!』と斬る

メテオ「っがふ!!!」

 だが、メテオも負けてない
 ふらふらになりながらも斧を振るう

ヴァハムート「このヴァハムートにここまで立ち向かった者は貴様だけだ。だがッ!!!」

 『ドスゥッ!!!』

 メテオの腹部をヴァハムートの剣が貫通した

メテオ「ッ!!!」



ホリィ「メテオーーー!!!」

 がくっと両膝をつくメテオ

メテオ「ッ・・・がふ・・・」



ヴァハムート「・・フゥハハ・・・面白かったぞ・・・メテオとやら・・・だが・・・『だが』だ・・・
 貴様が鍛冶屋でなく、騎士であったなら・・・もっと面白い戦いになっただろう」

メテオ「ぐ・・うう・・・く・・・」

ヴァハムート「終わりだ」



 ヴァハムートの剣がメテオめがけ剣を振り下ろす






 『ッッッ!!!』



メテオ「!!!!!」



ホリィ「ッ・・・かはッ・・・」





 メテオの前にホリィが割って入った



     メテオ「ホリィィィィィィィィィィィィ!!!!!!」



ヴァハムート「なにッ・・・」



 刃に体を斬られ、倒れるホリィ



メテオ「ホリィ!!!!!ホリィ!!!!!」

 メテオがホリィを抱え上げて声をかける
 ホリィの目はうっすらと開いていたが、光がかすれていた



ホリィ「・・でへへ・・・見て・・・られなくて・・・」

メテオ「お前ッ!!!・・・こんなッ・・・」





ヴァハムート(邪魔が・・・・・っく・・・何だこの妙な感覚は・・・・・
 ・・・・・だが放っておいても問題はない・・・すでにメテオも致命傷・・・それにここも燃えつきる・・・)

 ヴァハムートは二人を見下ろしながら振り返る
 メテオはホリィのことを気にかけることだけしかできなかった
 部下をひきあげさせ、燃えあがる村を後にする



ヴァハムート(・・・なんなのだ・・・この感覚は・・・・・気晴らしなどにならぬ・・・)





メテオ「ああ・・・ホリィ・・・・・ああ・・・ホリィ・・・・・こんなの・・・こんな・・・」



ホリィ「メテオ・・・・・笑って・・・メテオは・・・・・笑ってる方が・・・似合う・・・・・」



メテオ「ッ・・・ホリィ・・・・・無茶なこと・・・言うなッ・・・」



ホリィ「今まで・・・楽しかった・・・・・たくさん・・・たくさん・・・笑ったね・・・」



メテオ「・・ああ・・・そうだ・・・だから・・・もっともっと・・・これからもずっと俺と一緒に笑っていよう・・・」



ホリィ「・・・でへへ・・・メテオ・・・・」



メテオ「・・・ホリィ・・・」






     ホリィ「今まで・・・いっぱい・・・ありがとう」





ホリィは静かに、
 ゆっくりと目を閉じた



メテオ「あああ・・・あ・・・あああああ・・・・・ホリィ・・・・・
 ・・・うああ・・・・・ああ・・・そんな・・・こんな・・・こんな・・・・・
 うああああああああああああ!!!!!あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」






・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
・・・




毎日笑顔をありがとう



落ち込む時に明かりをありがとう



隣にいてくれてありがとう



たくさんたくさん、ありがとう



いっぱい、ありがとう






     その日、星の光がまた一つ、消えた



                    続

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.16 )
   
日時: 2013/04/11 02:29
名前: ゼブラー

第十六話 「我こそは」



 ―――時は戻り・・・イグニスの村
メテオ「・・・俺はヴァハムートを・・・絶対にブチのめす。奴の首をぶった切る」

 ホリィがメテオをかばってヴァハムートの手にかかったというあらすじを聞いたアーサー

アーサー「・・・」

ゴードン「いつ聞いても・・・うゥ・・・うぐう」

アーサー「あんたらは皆知ってたのか?」
ジョセフ「まあな。俺達は皆メテオの決起にあてられて戦うことを決意したようなもんだ。
 それぞれにヴァハムートへの復讐の気持ちはあったが、実際に行動となると・・・」

ゴードン「私は神器を扱う者として!!そしてメテオの友としてヴァハムートを打倒す!!!うむ!!!」

トニー「俺は・・一応ホリィちゃんとも仲よかったからな・・・だからこそ・・・ヴァハムートをッ」

マキシ「・・・」

ガーランド「俺は自分自身の過去との決別のため・・・『前へ進むため』」

ゼルア「私も・・メテオとホリィさんには色々とお世話になったりお世話したりした仲だった・・・
 メテオと・・・ホリィさんのためにも」



アーサー「・・なら決まりだな。俺も一緒に戦うぜ!!!」
 ジョセフ「ダメだ」

 バッサリ

アーサー「へェあ!!?なんで!!?」

トニー「ヤバいなんてレベルじゃあねーんだっての。そんな皆がやるなら俺も、みたいなので参戦するなってーの」
アーサー「で・・でも!!」

ジョセフ「それだけじゃない。お前じゃ正直力不足だ」
 アーサー「っぐ・・・」
ゴードン「神器使いであればまだしもだったな、うむ」

アーサー「ちょっと神器探してくる」
トニー「はいはい」

ゼルア「・・そういえば・・でも・・・確かヴァン軍の城に神器があるという話を聞いたことがあるな」
 トニー「でたよお人よしゼルアのアシスト。どういう情報だ?」
ゼルア「い・・いや本当だって!!以前ジークフリードが言っていた」
トニー「でたー。うさんくせー。あの泥棒騎士の言うことなんてアテになるかえ」



ガーランド「確かに・・・話は聞いたことあるな」
 ゴードン「そうかお主ヴァン軍だったなうむ」

ガーランド「だがどこまで本当か知らないぞ。それに、『神器は持ち主を選ぶ』。神器があったとして扱えるかどうかだ」
アーサー「大丈夫だ!!神器があるなら俺のものだ!!俺も!!あんたら7人の騎士と一緒にヴァン軍と戦うぜ!!」

ゼルア「しかしその神器と別に、まだ神器があるとも聞いた」

アーサー「マジで!!?2つも神器あんのか!!?」



 ガーランド「『邪剣』か」

ジョセフ「!!?本当か!!?」
トニー「やっべーなそりゃ」
マキシ「・・・」ウーオ

アーサー「?」



ゼルア「異色にして最も危険な神器、『魂を喰らう』といわれることなどから邪剣と言われている。誰も手にしたことがない。
 触れれば邪剣に『喰われる』。通常なら神器に『適格者』以外が触れると反発する程度だが邪剣の場合は喰われる。
 2本の大剣で1つの神器。色々と異色な神器だが今まで持ち主に選ばれた者はいない・・・」

トニー「それをヴァハムートが手に入れた・・・なんてこった」

ジョセフ「作戦を練るべきだな」

メテオ「作戦?そんなもんなくてもヴァハムートを――」
ゼルア「メテオ、ちゃんと作戦を考えないとヴァハムートにたどりつくことすらできないぞ」

メテオ「・・・っせー」



ジョセフ「作戦を考えよう。神器を探す者、ヴァン軍の敵を足止めする者。邪剣対策に・・・」
ゼルア「紅白軍に協力してもらう。紅白軍の戦争を止めに行かなくては」

 トニー「紅白だあ?ヘタに手ェだすとヤバいだろ」
ゼルア「いや・・ヴァン軍と戦うには連合軍だけでなく紅白軍の協力も必要だ。邪剣は危険すぎる・・・
 紅白軍の戦争を止めに行く者も編成しよう」

アーサー「カインの救出もな!!」

ジョセフ「そうだな・・ではガーランド、ゼルアは紅白戦争を止めに、ゴードンとトニーは城の敵をひきつけろ。
 俺とアーサーでカインを救出。メテオとマキシはヴァハムート目指して攻めたてろ。だがヴァハムートとは戦うな」
メテオ「あァ!!?何言ってんだ!!」
ジョセフ「邪剣がある以上、ヴァハムートの力は未知数だ。いっとくがこれはおおげさじゃないぞ。マジでヤバい。
 俺もカインを救出したらすぐに合流する。ゴードンとトニーも手が空き次第来い。ゼルアとガーランドもな」

トニー「つまり全員で戦うってことか」

ジョセフ「その通り。メテオがヴァハムートを倒したいってのは承知してる。だが、負ければ意味がない。だから勝つために戦う。
 全てはヴァハムートを倒すためだ」






 ――――――その頃、ヴァン軍本拠点、天厳城にて

カイン「・・・・・・う・・・ぐ・・・」

 天厳城内の牢屋にカインが鎖でつながれていた。ボロボロの姿で
 全身に剣や刀がいくつも刺さっているその姿から、ヴァハムートによって『気晴らし』をされたのが推測できる

そして、ヴァハムートがカインの牢の前にまた現れた

ヴァハムート「さて、今日ははいてくれるかな?貴様らを脱走させようとした者のことを」

カイン「・・・」

 天厳城に潜入してアーサーを救出したジョセフのことを聞きだそうとするヴァハムート。
 カインが何か言う前に、すでに剣を手に持っていた。『答えなどどうでもいいことがわかる』

ヴァハムート「・・・どこに行ったか言え」
 『ザクゥ』

カイン「ッ!!!・・・く・・・」

 カインの腹部に剣をゆっくりと刺す。もはや痛みが多すぎて感覚がゆるくなっている

ヴァハムート「ほらほら」
 その剣をぐりぐりとえぐる

カイン「・・・し・・・知っていたとして・・・・・言う・・・もの・・・か・・・」



ヴァハムート「そうだろうな」
カイン「ッ・・・」

ヴァハムート「すでに潜入者が何者かは知っている。ベヒモスらの話からな。昔我が軍の実験台になった神器使いだろう?
 じゃあなぜ聞いたのか?そう思っているか?お前がはくかと思ってな。お前が痛みから解放されたいがために裏切るかと、な。
 それはそれで一興だろ?お前の心を壊してるのだ」

 カインの目の前は真っ暗だった。おそらく目隠しをされているのだろう。視界が真っ暗な状態で長時間放置されるだけで気が狂う
 その状態で剣や刀を刺されている。それでも正気を保っているカインはすさまじい精神力だということ

カイン「こんな・・・目隠しなどで・・・・・私が恐れると・・・思ったら・・・・・」

ヴァハムート「目隠し?なんのことだ?」

カイン「・・・!?・・・」



ヴァハムート「『お前の両目はすでにえぐりとってあるのだ』。目隠しなど必要ないだろう?」



 カイン「!!?・・・う・・・うあああ・・・・・うああああああああああ・・・・・」






 ―――ゼネラル軍本拠点・ゼネラル王国

アレク「・・そうか」
 ゼネラル軍総大将、アレクサンダーは部下からの報告を聞いていた。その顔は曇りがちだった

ジーク「んで?」
 ジークフリードが頭の後ろで腕を組んで窓際に座ってアレクサンダーに聞く

アレク「連合軍が勢力を拡大してる。ほとんどの中小軍に呼び掛け、賛同した軍が集まってる。天厳城を包囲してるらしい。
 もう石をなげればすぐに戦争になる状況らしい。それに、紅白軍も」

ジーク「シンゲンとケンシンのおっさんらは・・・まッ、ベテランどもの考えてることなんて知ったことじゃあねーが」
アレク「あの二人は開拓時代からずっとライバルだ。それらの『意地』ってものがあるんだろう」
ジーク「っかー、ジジむせー。んなことやってっからいつまでも天下とれねーんだっての。クールじゃないねー」

 レオン(・・・それぞれ実力ではヴァハムートとはまた別に戦国最強といわれる二人の武者を・・・)



アレク「実は我々にも連合軍として参加の声がかかってるんだが・・・」
レオン「参戦するんですか!!」
アレク「・・・いや・・・私は・・・ヴァハムートとは戦いたくない・・・」

レオン「・・?・・・なぜです?・・・」

ジーク「・・・」

 今までふざけ気味だったジークフリードの顔色が変わる

アレク「・・・いや・・・」

レオン「・・・?」



ジーク「まッ、かなり危険だな。聞いた話じゃあヴァハムートは『邪剣』を所持してるらしいぜ」

 アレク「何!?・・・本当か?」

ジーク「まッ、当然っちゃあ当然だな。それに『誰よりも適材者』だな」
レオン「邪剣・・・ですか?・・・」

 レオンハルトだけが何も知らないみたいだ。それを見たアレクサンダーはひらめいた
アレク「そうだレオンハルト、『書物庫』へ行ってくれないか?」

 レオン「っげえ!!!」



アレク「む?何だその反応は?」
レオン「い・・・いや・・・あの・・・ちょっと私はあそこには~・・・」
アレク「何か露骨にいやがっている風に見えるが?」
レオン「いやッ!!断じて!!そんなことは!!ですから『あの人』にそういうことは言わないでくださいまし!!」
アレク「なら行ってくれ。『あいつ』に話を聞いてみてくれ。行かないなら私が行くが・・その時ついつい口がすべったりしたり・・・」
レオン「行きます・・・」
 レオンハルトは泣いていた





 ~書物庫~
ゼネラル城の書物庫はとても広い。大陸中のあらゆる文献が保存されているためとても広い
 しかし、私物化されている
 そう、『私物化』されているのだ。それも一人の女に

レオン「・・・はァ~・・・」
レオンハルトは書物庫の前でため息をついていた。ここを私物化している女が苦手なのだ。レオンハルトだけではない。城中の皆が
書物庫の入り口の扉の上の看板には『ノック厳守』の文字が書かれていた

レオン「・・・」
 『コンコン』と二度ノックする。お手本みたいなノックだった

それから扉をゆっくりと開ける



レオン「失礼しま・・・」
 レオンハルトは口を止めた
 中にいた女性が見るからに怒っていたからだ

「・・・・・貴様・・・」

 大きな机の上に分厚い本がいくつも散らばっていた。察するに、本を積み上げていたのが崩れたみたいだ

レオン「いッ!!いや!!ちゃんとノックしました!!!しました!!!」

「ノックの音で気が散って崩れただろォがァーーー!!!」
 『ドギャス!!!』



・・・・・



 「で、なぜ?なぜゆえにわたーしの邪魔をしくさりやがったこの黒やさ騎士偽善ファイナルボケ野郎」

小柄な女性(メダ)が腕組し、その前でひれふさせられていた

レオン「い・・いえ・・・あの・・・陛下がその・・・話をきかしてもらうようにと」
 「うっせー鼻タレノータリン天然ゴールドマンのことなんか知るか。わたーしの研究邪魔すんじゃねークラ」

レオン「・・・(研究て・・・本タワーしてたのに)」

 「おいこらナメクジくらわすぞ」
レオン(エスパーか!!)



 この女性の名は『リナ』。ゼネラル城の書物庫を私物化してある研究をしている『魔法使い』である。
 その魔法とは、『神器』によるもの。リナは神器使いで、杖状の神器を扱うことで森羅万象のあらゆる事象を操作できる。
 そして研究とは、その魔法を神器なしで扱えるようにするためのもの。風を発生させたり、火を発火させたり自由にできること。
 神器を使わない魔法、『エーテル』とリナは名付け、その実用化の研究をしている・・・のだがまあ難しい状況だったり

リナ「おいこら」

 エスパーか!!

レオン「あの・・邪剣をヴァハムートが所持している・・と聞いたのですが」

リナ「マジか」

レオン「たぶん」

リナ「まあ・・そうだろうなーとは思ってたけど、いやかなりヤバいなそれ。どーすんの」

レオン「え!?いやだから!!どうするか『魔法使い』のあなたなら・・・」

リナ「無茶いうなアホかお前」

レオン「・・ぐ」



リナ「つってもお前行く気なんだろ?」

 レオン「!!?」

リナ「『え?ナンノコト?』みたいな感じだがおみゃーの心くらい読めるわ。ヴァハムートとの戦いに参戦したいんだろ?」

 レオンハルトは図星をつかれた。自身の『正義の心』が『悪』であるヴァハムートと戦うべきだと叫んでいるのだ

リナ「でもー、でもー、ゼネラル軍は保守きめこんでるしー、自分はー、ゼネラル軍だしー、こまったなー、ってとこだろ」

レオン「・・・うう・・」

リナ「お前やっぱアホか」
 『こつん』と本の角でレオンハルトの頭をこづくリナ

リナ「アレクが、お前の主君が『そんなんダメー』って言うと思うか?一人でおつかいくらいさせるっての」
レオン「し・・しかし私はゼネラル軍の騎士団長!!城をあけるわけには・・」

リナ「じゃかしいわオラ!!はよ行けオラ!!」
 本を魔法で中に浮かせ『ドガ!!』『ドガ!!』と本の角でどつきまくるリナ

レオン「痛い痛い!!」

リナ「オラ!!とっとと行け!!はいはいはい!!MOVE!!MOVE!!MOVE!!」
 『ゴン!!』『ゴン!!』『ゴキャ!!』

レオン「はッ!!はーーーい!!!」

 レオンハルトは宙に浮く本の角でボコボコにされながら書物庫をあとにした



リナ「・・・ったく」

 ジーク「まッ、不器用だな~。クールじゃないねー」

 どっから入ったのか、いつの間に入ったのか、ジークフリードが書物庫の中で腕を組んでいた

リナ「うっせー泥棒片目泥棒すまし泥棒」

ジーク「泥棒じゃねーって、トレジャーハンター。おーけー?」

リナ「うっせー泥棒トリプル泥棒ぷんぷん泥棒」

ジーク「クールじゃないねェ~。なんでレオンを鼓舞させた?」

リナ「うっせーあいつは優しすぎるから後押しせんとなーんもできねーからだ。あんな状態で騎士団長なんてできっか」

ジーク「不器用だね~」

リナ「うっせー燃やすぞ」






――――――そして・・・戦国大陸南東の合戦場・・・
 東にある白の軍の本拠点と南にある紅の軍の本拠点の中間の場所。開拓時代以来幾度となく行われた紅白戦の合戦場である
 その合戦場に、白の軍、紅の軍が対峙していた。それも全勢力がびっしりと並んで。
 互いの軍の旗を掲げ、武者達が整列し、後方に総大将が構えていた。



今にも開戦しそうな状況で、紅の軍の忍者、ノウマルが前に進み、両軍の間に立った

ノウマル「えー・・・本日はお日柄もよく―――」
 と、言ってるノウマルが突如、『ボンッ』と煙になって消えた
 するとまた紅の軍の中からノウマルが前に出てきた。さっきのは分身だったのだ

ノウマル「・・・というのは今日は雰囲気じゃないな。ああ、承知してますぜ。これは紅白大合戦。マジな合戦だ。
 この戦の開戦は拙者、ノウマルが受け持たせてもらいやす。この火薬玉が空ッ!!で爆発するのが開戦のしるしとします。
 双方、よござんすね?」

ノウマルが手に火薬玉を持ち、両軍に目配りをする。そして、その火薬玉を上空へ投げる。
同時にノウマルが『ボンッ』と煙になって消える。これも分身だったのだ。
 投げられた火薬玉が上空へあがる



 『どーん!!!』

シンゲン&ケンシン『かかれェい!!!』
紅軍『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
白軍『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』



 両軍激突ッ!!!






 ―――天厳城周辺・連合軍本陣

天厳城を囲む形に、ゼフィランサス、アレックスが率いる連合軍が陣をとり固めていた。
元の連合軍に加え、他のあらゆる中小軍が参加し、ヴァン軍包囲網は着々と進んでいたのだ

ゼフ「ずいぶんと大きな連合になったもんだな。まあ、ヴァン軍を倒すまでの間だろうけどな・・・
 アレックス、銃使い達は?」

アレックス「連合軍に正式に参加はしないが協力関係になってくれる。だがどういうことか、我々と一緒に並びはせんと言っていた」
ゼフ「え?」
アレックス「あの二人なりのポリシーみたいなものらしい。協力はするが連合軍ではない、という主張らしい」
ゼフ「なんだそれは。やはり向こう側の連中は考えてることが理解できん・・・」

 アレックス「それで、そちらの方は?『7人の騎士』を探すと言っていたが・・」
 ゼフ「空振りだったさ。どこにいるのか見つからなかった・・・だがもし本当に7人の騎士がいるなら、来るだろうさ」



ストーム「ゼフ!!アレックス!!妙だぞ!!!」

天厳城を監視していた兵からの報告を受けたストームが声を荒げる
ゼフ「どうした!!・・・!!?・・・な・・・何だ・・・これは・・・」

 ゼフィランサスは天厳城を見て、目を疑った・・・





 ―天厳城内・隠された間―

ヴァハムート「・・・」

 ヴァハムートは城内のある部屋に来ていた。その部屋には『二本の剣』が床に刺さっていた
 その剣はうずうずしく、禍々しい形な上、何か黒いオーラのようなものを発していた



ヴァハムート「時は来た」

 二本の剣に手を添え、引き抜く。
  剣から禍々しいオーラが発生し、ヴァハムートを包む



ヴァハムート「ぐ・・・ぐうう・・・おおお・・・オオオオオ」



 ヴァハムートの姿が少し変わった。銀色のボディは、黒に近い銀。まさしく白金の反対の黒銀の姿になっていた。
 体の形も禍々しい外見になっていた。
 その二本の剣こそ、『邪剣』。『ソウルブリンガー』と『クロノスエッジ』。魂と時の神器。


 「・・・フゥハハハ・・・フゥハハハハハハハハ!!!これぞ『邪剣』の力!!!いや・・・我が力か!!!神器は精神力の力!!!
  そう・・・これこそ我が刃!!!我が剣!!!我が力!!!我は・・・我こそは!!!」

 ヴァハムートは、今までの剣を背に背負い、両手に邪剣を持ち、マントをひるがえして宣言した





ヴァハムート大将軍「我こそはヴァハムート大将軍!!!天下は!!!我が物なりィィィ!!!」





―連合軍、ヴァン軍へ攻撃開始―
―レオンハルト、行動開始―
―7人の騎士、行動開始―
―紅白大合戦開戦―



―ヴァハムート、大将軍を名乗る―
次回を待て!!

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.17 )
   
日時: 2013/09/03 01:05
名前: ゼブラー

第十七話 「紅白大合戦」



 ―紅白合戦場―

レッカ「それがしに続けェーーー!!!」

 『ゾァッ!!!』と紅の軍勢が一斉に突撃する。白の軍勢も負けじと前進する。しかし

白部隊長「盾を前へ!!!」

 『ガッ!!!』と白の軍の最前列の兵達が一斉に体を覆い隠すほどの盾を構え、地につける
 それが横一列に一斉に並び、壁になった

レッカ「!!?」

 紅軍の兵達が盾の壁へ激突する。なんとか突破しようと攻撃するもそう簡単にはできない

白部隊長「放てェ!!!」

 盾の壁となった兵達の列の後の列の兵達が一斉に弓矢を構える。斜め上へ矢角を構え、放つ

レッカ「!!!上だ!!!」

 『ゾォンッ!!!』と一斉に『矢の雨』が紅軍の兵達に降り注ぐ。空を隠すほどの矢の数。紅軍は前の盾の壁に阻まれ動けなかった
 盾の壁で足止めされている所へ矢の雨。これが白軍の戦略だった。
 紅軍の兵達が矢を受け、倒れていく

レッカ「っく!!!まずい!!!こじあけろ!!!こじあけろ!!!」

 紅軍側が盾の壁を突破するために、槍をもった兵達が盾と盾の間に槍をねじこみ、こじあける

レッカ「進め進め!!なだれ込めえ!!!」

 壁を崩した紅軍が白軍の軍勢になだれこむ。
 しかしッ



『ガンッ!!!』とまた白の軍の盾を持った兵達が盾で壁を作り直した。つまりッ!!!

 レッカ「!!!」

 白軍の軍勢の中になだれこんだ紅軍の兵達と、紅軍の本隊とが分断された。例えるなら・・・
 赤い絵の具と白い絵の具を張り、板で分断させてるものを、板を一旦はずしたとする。
 赤い絵の具が白い絵の具にまざっていくのを見てから、また板で分断させた、といった所か

つまり!!紅軍の先行部隊は白軍達に囲まれた。退路はふさがれ、分断されたのだ。これも白の軍の戦略。ケンシンの戦略だった

レッカ「しまった!!!誘い込まれた!!!」

 白軍に囲まれた紅部隊は四方八方から攻撃される

レッカ「ぬぬぬ!!!負けるかァ!!!」

 紅部隊も応戦するも危機的状況だった



シンゲン「ノウマル。レッカ達が囲まれた。援護しろ」

ノウマル「ういうい!!」
 『シュバッ』



ノウマル「レッカの兄貴!!助太刀に来たぜ!!」
 白軍に囲まれてる紅部隊の中にノウマルが現れた

レッカ「ノウマル!!」

ノウマル「逆に考えるんだぜ。囲まれたなら、内部から崩せるさ、と!!」
レッカ「そうか!!皆のモノ!!盾を構えた者たちを崩せ!!拙者とノウマルが周囲を引き受ける!!」

 レッカとノウマルのコンビネーションで周囲の兵達を蹴散らす。そして、白軍の盾の壁を内側から崩した

紅部隊長「進め進め!!レッカ殿達に続けェーーー!!!」

 『うおおおおおおおおお!!!』

紅軍と白軍の兵達が完全に入り混じっての戦いになった。赤い絵の具と白い絵の具が完全に混ざった





シンゲン「むう・・・乱戦になったか・・・もはや小細工など不要!」

 シンゲンが立ち上がり、戦線に向かおうとする。だがそれを遮る声があった



「私が出よう。手土産がまだなんでね」

シンゲン「!・・・ガーベラ」

ガーベラ「散々待たされたんだ。暴れさせてもらうよ」

 その声の主は、女武将ガーベラ。後に、地球という世界では『トレミー』というメダロットの元となるメダ
 赤いボディが目立つ射撃タイプなのだが、すでに銃器の機能は壊れているため、薙刀と刀を使い分けて戦う

ガーベラは多くの部下を率いて戦線へ向かう

ガーベラ「おまい達!!久々の戦だ!!気合いいれてくよ!!」

 部下達『うおおーーー!!!』




白軍武将「!?主君!!紅軍に動きが!!」

ケンシン「何・・・!!・・・あれは」



ガーベラ「どきなどきな!!ガーベラ隊のお通りだよ!!」
 『ズバァ!!』
  『ドギャァ!!』

ガーベラ率いる『ガーベラ隊』が白の軍の兵達を蹴散らしながら進軍してきた

ケンシン「ガーベラだと!!?なぜ奴が!!?」



レッカ「!!ガーベラ殿!!」

 ガーベラ「何とろとろやってんだい。あたし達が手柄をもってっちまうよ!!」

 レッカ「かたじけない!!」

ケンシン「シンゲン・・・ガーベラという隠し玉をとっていたか・・・」





 ガーベラとは戦国において珍しい女武将である。かつて『ヴァン軍に所属していた』実力者。
 ヴァン軍にはアレックス、ゼフィランサス、ベヒモス、ガーベラ、そしてガーランドといった面々が将軍としてその名を馳せていた
 その中でも、ガーベラ率いる『ガーベラ隊』は強襲部隊として多くの軍勢を襲撃してきた『荒くれ集団』である
 別働隊のように扱われ、遠方への遠征が多かったがその分その恐ろしさは大陸全土にもとどくほどであった
 だが、ある時期以降ガーベラ隊は行方不明となり、戦死したと扱われていた
 その時すでにヴァン軍にはガーランドも脱退しており、将軍はアレックス、ゼフィランサス、ベヒモスだけとなっていた・・・
 そして、どういうことか、今は紅の軍の隠し玉として戦場に駆り出ていた

シンゲン「ふふ、ケンシンよ・・・さすがの貴様もガーベラ隊は想定していなかっただろう」

ケンシン「次の策に移行する!!『不敵の第八小隊』を前線に送れ!!」




アーロン「遅いぞケンシン。待ちくたびれたぞ!!」

スタイナー「やっと我々の出番である!!」

バレット「いつでもOKだぜ!!」

ガラフ「援護は任せろ」



 対する白の軍が繰り出した手。『不敵の第八小隊』。白の軍の特殊部隊といえる、4人のベテラン兵達のことだ
 それぞれが後に地球のメダロットの元となるメダ達である。
 アーロンはバンカラン、スタイナーはエンデバー、バレットはキン・タロー、ガラフはクローテングーと言われる
 スタイナー(エンデバー)の武器は封印を解除しなければ使えないのだが、この時代では関係ない。普通に剣。
 それぞれが手持ちに武器を持ち、ベテランならではの戦いをみせる

アーロン「行くぞスタイナー!!バレット!!今日の飲みはビリッケツがもつんだぞ!!」
バレット「んだとお!?おさきにいくぜえー!!」
スタイナー「何ぃ!?そうはさせぬのであるー!!」
 『ダダダッ!!』

ガラフ「・・・狙うは・・・まとめ役だ」

 ガラフは両手で弓を構え、『ぐぐ・・・』と弓を引く。そして『ッ!!』と放った
 その矢は『パァンッ!!』と、紅の軍の小隊長の頭を跳ね飛ばした

レッカ「!!・・気をつけろ!!『光陰の矢手、ガラフ』殿がいるぞ!!狙撃に注意を払え!!」



シンゲン「ぬう・・・第八小隊か・・・こうなれば・・・」



ケンシン「・・・私も出る。もはや戦略など不要だ」

シンゲン「私が行く。巻き込まれないように気をつけるよう皆に伝えろ」





 ―ゼネラル城―

レオンハルトはリナに鼓舞されアレクサンダーのもとへ走っていった

レオン「痛い!!痛い!!本が!!本が!!」

 まだ宙に浮いた本に叩かれてた

アレク「どうしたレオン。何だそれは?本?ああ、リナの仕業か」

レオン「陛下!!これなんとかしてください!!本が!!角!!角!!」

 そうこうしてる間に本は叩くのをやめ、ひゅーんと戻っていった

レオン「いだだ・・・角・・・角で・・・」
アレク「大丈夫かレオン」

 レオンハルトはハッとして気を付けする

レオン「へ・・陛下!!お話があります!!私――」

アレク「ああ、いいぞ」



レオン「ヴァン軍の・・・ってあれ?」
 レオンハルトが全部言う前にアレクサンダーが返事した

レオン「えっ・・あの・・・」

アレク「ヴァン軍と戦う連合軍に加入したいのだろ?我が軍は参加はしないが・・・『レオン個人は参加してもいい』」

レオン「ほ・・・ホントですか!!」

アレク「だが気を付けることだ。ただ単に正義の味方になりたいからって関わるには大きすぎる戦だ」

レオン「・・・はい」



リナ「ほんじゃ行ってこいや」

 レオン「うおあ!!?り・・リナさん!!」

 レオンハルトの後にリナがいた

リナ「ほれ、これ使え」

 リナが示したもの、それは巨大な葉っぱだった

レオン「?・・・な・・・なんですかこれ・・・」
リナ「木の葉を集めて巨大な木の葉にした。乗れるぞ。これに乗っていけばヴァン軍のとこまでびゅーんヒョイだ」
アレク「魔法ならではだな。何でもありか」
リナ「乗るなら早くしろ。でなければ」

レオン「乗りますよ!!もう・・・」
 レオンハルトが巨大な木の葉に乗る。すると

『ビュンッ!!!』
レオン「うえあ!!?」

 すごいスピードで移動し、窓から飛んで行った

リナ「言ったろ。ビューンヒョイ。移動後は元の木の葉に戻ってすごいエコ。エコ大事」

アレク「・・・リナ。どうやら私達の作戦勝ちだな」
リナ「わたーしの、だろ。ふざけんな金色天然王」

アレク「レオンに自分の意志で行動させるため。君の所へ行かせ、君に鼓舞させ、そして意志を強くさせる作戦だった。
 これで、レオンも成長するだろう・・・」





 ―天厳城周辺―



アレク「!?なんだ!?今・・・何か・・・」

 ヴァン軍の拠点、天厳城を取り囲む連合軍がざわついた。一瞬、天厳城の中から『何か』が発せられたからだ

ゼフ「どうなってる!!何だ今のは!!」

連合軍兵「げ・・現在調査中ですが・・・何が何だか・・・」




 『ズゾゾゾゾ・・・』

ゼフ「!!?」

 そうこうしている間に、すでに動きは起こっていた。
 天厳城を中心に、地面が『黒い影のように変色してきた』

アレク「なんだあれは!?黒い・・・水!?」
ゼフ「いや・・・影のような・・・」

 『ぐもももも・・・・・』



アレク「!!?」

 その黒い影が、『形を成していく』。メダロットの形に。無数の、数え切れないほどの

アレク「な・・・何・・・だ・・・」





 ―天厳城内―

ベヒモス「何だこれは・・・何がどうなっている!!あれはなんだ!!」
ヴァン兵「そ・・それが我々にも・・・」
 ヴァン軍内も混乱していた。状況がつかめていなかったのだ。しかし、一人の男の一声でそれの混乱は止まった。ぴたりと



ヴァハムート大将軍「あれは『影』。我が配下だ」

ベヒモス「!!ヴァハムート様!?その・・・姿は・・・?」
ベヒモスらヴァン兵はヴァハムートの姿を見て驚いた。両手に大きな禍々しい剣を握り、その姿が禍々しく変化していたからだ

ヴァハムート大将軍「我は『邪剣』を覚醒させた。そして・・・大将軍となった。あの影は我が配下だ」

ベヒモス「大将軍・・・」



ヴァハムート大将軍「あれらは『この戦国の地で散っていった魂を再形成させたもの』だ」

ベヒモス「!!?」



―紅白大合戦、さらに加熱―
―レオンハルト、紅白合戦場へ向けて移動中―
―天厳城周辺にヴァハムートの力で影の兵が大量出現―

次回を待て!!

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.18 )
   
日時: 2014/02/17 23:01
名前: ゼブラー

第十八話 「影の兵」



アレク「これは・・・影が形を・・・」

 天厳城周辺に現れた黒い影はメダロットの形をとり、そのどれもが武器を手にしていた

ゼフ「・・・『邪剣』の力なのか?・・・」



その時、『びゅーんひょいっ』とレオンハルトが葉っぱに乗ってその場に来た

アレク「!!君は・・・ゼネラル軍の騎士団長」
 レオンハルトが乗ってきた葉っぱは、木の葉に分離した
レオン「うう・・・怖かった・・・あなたがたは連合軍の方々ですよね?」
アレク「あ、ああ」

レオン「私も加勢に来ました!!ゼネラル軍は参戦できませんが、私一人だけでも!!」
ゼフ「なんとも心強い味方だが・・・あれを見てはそうはいえないな・・・」
レオン「!?・・・なんですか・・・あれは・・・」



黒い影のメダロット達が武器を握り締め、うめき声のようなものをたてている

 「数ではこっちが上だったのに・・・」
 「なんて兵力だあ・・・」
 「やべえ・・・どうすんだ・・・」

影の兵達の出現に、連合軍の兵達はどんどん士気が下がっていった。数では上という優位な状況が覆ってしまい、不安になったのだ



「何を怯えているッ!!!」

 突如、連合軍の一人の男が声を上げた



「我々はヴァハムート討伐という大義名分のもと、集った同士だろう!!!今皆が見ているものもヴァハムートの手の者だ!!!
 なれば!!我々の敵であることになんら変わりはないではないか!!!ひるむことなどない!!!我々が『正義』だ!!!
 奴らは『悪』!!!我らは『正義』!!!どちらが正しいかなど明白!!!武器を握れ!!!戦だ!!!心を奮い立たせるんだ!!!」

その男の啖呵に、おびえきっていた連合軍の兵達は「そうだ!!」「その通りだ!!」と互いに声を掛け合い、士気を向上させていく



ゼフ「・・・やるな、あいつ。何と言った?」
ラムー「『サイファーズ・ザサラメール』という男だ。中小軍の大将だが・・・いずれ大物になるだろうな」
ゼフ「・・・サイファーズか・・・」

アレックス「サイファーズ・ザサラメールの言う通りだ!!皆の者!!勇気を奮いだせ!!今がその時だッ!!」

 『うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

 サイファーズ、そしてアレックスの声にこたえるように連合軍の兵達が武器を天に掲げ、気合いを入れる
アレックス「突撃ィーーーーーッ!!!」

 『ごうッ!!!』と連合軍が一斉に駆けだす。包囲していた天厳城めがけ、影の軍団めがけて






トニー「伝達だ!!ヴァン軍と連合軍が衝突してるぞ!!」
メテオ「マジすかッ!!」
トニー「マジすよッ!!」

ジョセフ「来たか・・・ゼルア、ガーランド、二人は紅白軍の戦を止めに」
ゼルア「ああ!!」
ガーランド「おう」

ジョセフ「ゴードンとトニーは連合軍と連携して攻め、メテオとマキシはヴァハムートを囲め。俺とアーサーはカインの救出だ」
ゴードン「うむ、先ほどの作戦通りだな」
メテオ「おいジョセフよ・・・俺ァヴァハムートを前にして何もせず待つってのはできそうもねえぞ」
ジョセフ「ダメだ!!いくらお前でも・・・一人、もしくはマキシと二人だけでヴァハムートに挑むのは危険すぎる」
マキシ「・・・」
トニー「向こうは『邪剣』を持ってんだからな」
メテオ「・・・ッチ」

ジョセフ「さあ行くぞ!!」



メテオ「・・・ゼルア、前に言ってたよな」
ゼルア「え?」
メテオ「・・・もし俺に何かあったら・・・アイツを・・・フリオニールを任せるぜ」
ゼルア「・・・・・」

 メテオの子、フリオニール。彼は今、ゼルアに預けられている。ホリィを失ったその日以降、メテオはフリオニールに会っていない
 フリオニールをゼルアに預けたのは、合わせる顔がないからだ。フリオニールにとってゼルアは育ての親ということになる






 ―天厳城周辺―

ストーム「だああ!!」
 『ズバア!!』

ダスト「どあああ!!」
 『ズバア!!』

「たああああ!!」
             「うおおおお!!」

         「負けるかああああ!!」

                          「おおおおおあああああ!!」

    「らああああああ!!」

ゼフ(・・・皆が戦っている。だが、この違和感はなんだ?この『影』のような兵達は・・・何か違和感がある
 ・・・何だ・・・この妙な感覚は・・・それを皆も『気づいている』・・・一体・・・)

アレックス「ゼフ!!何をぼーっとしている!!」
ゼフ「あ、ああ!!」

 連合軍が天厳城周辺に現れた『影』を相手に立ち回る。しかし、皆が何か違和感を感じていた
 この影は一体何なのか・・・しかしどこかで『知っている』気がした・・・
 その謎は、解き明かされた



「・・・・・ひさしぶりだな」

アレックス「ッ!!しゃべった!!」
ゼフ「どうやらただの幻影ではなさ・・・!!?なッ!!?ナニッ!!?」

アレックス「おッ・・・お前は・・・そ・・・そんなッ!!?」

ゼフ「・・・ぐ・・・グラント?・・・」



 その影は、以前にヴァン軍とゼフィランサス達が戦った時にヴァハムートの足止めをかってでた男、タイタン軍総大将グラントだった
 それに続いて、他の連合軍の兵達も気づいていった。今戦っている影達が、『戦国大陸で散っていった者達』であることに





 ―紅白合戦場―

白軍隊長「大将が前へ行かれるぞッ!!道を開けィ!!」

紅軍隊長「親方様が先陣に進まれるぞッ!!気をつけろォ!!」

 紅軍と白軍の合戦。両軍の総大将が互いに武器を手にとり、戦場へと足を進める



シンゲン「すまんな。私の得物は大きくてな」
 『ズオッ』

 シンゲンが手に握った武器はとてつもなく大きな大剣であった。シンゲン本人は普通のメダよりも2倍近く大柄な体格をしている
 その武器はシンゲンの7,8倍も大きな、大木の如く大きな剣、『覇国』。大陸一巨大な剣である。
 それを片手で握りしめ、前へと進むシンゲン



ケンシン「まったく、お前は周囲への配慮がなってないな・・・それも、今日までだ」
 『ズアッ』

 対するケンシンは普通の刀を腰に帯刀している。あえて言うなら『反り』がなく、まっすぐな刀身をした刀であった
 『瞬(またたき)』と呼ばれるその刀は、名刀中の名刀であり、扱うケンシンの実力もあって『瞬刀』とも言われる
 抜刀術のようにも扱え、他人にその刃を見せることなく(見えないほどのスピードで)斬撃をくりだせる



シンゲン「いつも思うが、お前のスピードには脱帽ものだ。私の『覇国』とその刀、どー考えてもマトモな勝負にならないのにな」
ケンシン「・・・フン、前置きはいい。さっさと終わらせるぞ」

 『ッッッッッ!!!』

 両者の刃が交差し、周囲に衝撃波が走る。互いの刃はぶつかりあい、完全に互角であった
 超超巨大なシンゲンの剣に対し、通常サイズのケンシンの刀がなぜ互角なのか。
 それは『ケンシンの刀を振るうスピードがあまりにも速く、何千何万と一瞬で刀を振っている』からだった

 つまり、シンゲンの大きな一撃に対し、ケンシンは普通の一撃を何万回も叩きつけて互角に持ちこんでいたのだ
 あまりにもぶっとんだことだが、そういうのはもはやこの世界では不思議なことではなかった

シンゲン「ぬうッ!!」
ケンシン「フンッ!!」

 この二人のあまりにも常識外れな戦いは、この一度の交撃で始まった



 ―天厳城周辺

レオン「っく!!何という数だ!!連合軍の方々、援護が必要なら申し出てください!!」
連合兵「ああ!!お前もな!!」

 レオンハルトはヴァハムートが繰り出した『影』達と戦いながらも、連合軍の兵達を気遣っていた
レオン「うおおお!!」
 『ズバァ!!』と影の敵を斬り倒す。今できるのは、連合軍の兵達を守るためにも眼の前の影と戦うだけだと思い、一心不乱に戦っていた



アレックス「グラント殿!?な、何故!?」
グラント「・・・・・俺は・・・ヴァハムート大将軍によって再びこの地に立つことができた・・・」
ゼフ「なにを言っている!!お前は・・・ヴァハムートにッ!!」

グラント「ああ・・・お前達のために捨て石となった・・・だがまたこうして立っていられるのは・・・ヴァハムート大将軍のおかげだ」

アレックス「・・・ヴァハムート・・・・・大将軍・・・」
ゼフ「お前達・・・奴の軍門に下ったか!!」

グラント「俺だけじゃない」

クアトル「・・・ああ・・・俺達もな」
カトブレパス「・・・・・」

ゼフ「!!?お前達・・・・・」

 かつて、ゼフィランサスがヴァハムートの下を離れる際に散っていった者達が、シャドウとなって立ちふさがった

クアトル「今の俺達は・・・大将軍のしもべだ・・・・・覚悟しろ!!」

ゼフ「っ!!!」


ベヒモス「あ・・・あれは!?どういうことだ!?なぜ・・・何が!!」
 城の周囲で起こっている異変にヴァン軍の者達も戸惑いを隠せなかった。周囲で連合軍と戦っている者達は、かつて自分達が倒した者達
 さらにはかつてヴァン軍として共に戦っていた者達もいる。散っていった者達が影から形を作って戦っているのだ

ヴァハムート大将軍「『シャドウ』というモノだ。あっち側の大陸ではそう呼ばれている。『闇』ともな。心を持たぬ影だ」

ベヒモス「シャドウ・・・」
ヴァン兵「そ、そう言えば聞いたことがある。向こう側の大陸では『シャドウ』が蔓延し、大規模な戦争があったと!!」
 この時代は、『第一大陸』で行われる『世界大会』と、メタB達がシャドウ達と戦った時代との間の時代である。
 メタB達がシャドウと戦ったことを伝え聞いているヴァン兵は、ヴァハムートが言うシャドウはその『シャドウ』であると気づいたのだ

ヴァハムート大将軍「貴様らのように怯えることもなければ逆らうこともない、まさに我にとってふさわしい部下だ」
ベヒモス「っ・・・」

ヴァハムート大将軍「さあ、貴様らも行け。我に歯向かう奴らを八つ裂きにしろ」



 ―――――

ウェスタン「おい、始まったみたいだぜ」

キッド「ああ、行くか」

 二人の銃使い。第一大陸からの使い、ウェスタンとロック・キッドの二人も天厳城へと向かう



 そして・・・・・

 ―紅白合戦場―

紅兵「だありゃあああ!!」
白兵「うおおおおおお!!」

 『キィン!!』 『ズバァ!!』 『ドシュッ!!』

レッカ「っく!!さすが白の軍!!やるな!!」

アーロン「フ・・・シンゲンの一番弟子のレッカか・・・さすがだな」

 紅の軍と白の軍の合戦がさらに白熱している中・・・



 『ドドドドドドドドドド!!』

アーロン「!!?」
白兵「な、何だ!!?何かが来る!!!」

レッカ「あ、あれは!!!」





マサムネ「時は来た。我ら『蒼の軍』はこれより!!紅白合戦場へと侵攻する!!!行くぜェェェーーーーー!!!」

 『ウオオオオオオオオオオオオオ!!!』





―連合軍とヴァン軍、開戦―
―7人の騎士、各方面へと活動開始―
―ヴァハムート大将軍、ヴァン軍と共に戦場へ―
―紅白合戦場に蒼の軍乱入―



次回を待て!!

Re: 伝説外伝 ―アナザーレジェンド― 【戦国乱世】 ( No.19 )
   
日時: 2014/07/25 18:49
名前: ゼブラー

第十九話 「ALL HAIL VAHAMUTO」



シンゲン「マサムネだと!?なぜヤツがここに来る!!」
 『ガギィ!!』

ケンシン「フ・・・大方我らの戦いの隙をついて漁夫の利を狙おうというところだろうな!!」
 『ギギィン!!』

 シンゲンとケンシンが言葉を交わしながら互いの刃を交える。
 紅の軍と白の軍の全面対決の最中に蒼の軍が突如乱入してきたことに戸惑いながらも迎えうつ両軍の兵達

スタイナー「おのれ青二才のマサムネめッ!!ケンシンとシンゲン公が決心した対決を邪魔するとは無粋な奴!!」ズババ!!
バレット「だが野心がある証拠だ。俺達も長いこと現役続けてるからな。後の連中にとっちゃ眼の上のタンコブなんだろうぜ!!」ズガガ!!
アーロン「かと言って・・・負けるつもりはサラサラないがな!!」ズバン!!
 白の軍のベテラン武将達は会話を交わしながら紅軍の兵達、そして蒼の軍の兵達を倒す。歳の甲


レッカ「マサムネどのォォォ!!」バッ!!
マサムネ「!!!レッカァ!!!」サッ!!
 『ギャギィィィッ!!!』

レッカ「やはり来たな!!待っていたぞマサムネ殿!!」グググ・・・
マサムネ「おう!!天下の前にてめぇの首をとるのが先だからな!!」グググ・・・
 紅軍の武将、レッカは両手の槍を振り上げながら、蒼の軍の大将であるマサムネに斬りかかった
 マサムネは六本の刃を持つ刀を両手に構えて迎えうつ


コジロウ「!!」
 『ガッキィン!!』

ムサシ「・・・待たせたな、コジロウ」
コジロウ「遅かったな!!ムサシ!!」
 蒼の軍の副将、ムサシが両手にビームの刃を握り、白の軍の副将であるコジロウに斬りかかった

コジロウ「勝負だッ!!!」



 ・・・・・・一方・・・ヴァン軍の本拠地、天厳城周辺・・・

 『うおおおおおおおおおおおお!!』
『ズバァ!!』     『ドガッ!!!』   『バギャァ!!!』
  『ボゴッ!!!』 『ズババン!!』  『ドザァ!!!』

 対ヴァハムート連合軍の兵達とヴァン軍の兵達、そして『闇』によって復活した兵達が乱戦を繰り広げていた

 『ガギィ!!』

ゼフ「っぐ!!・・・目をさませ!!お前達はヴァハムートに操られて――」
 『ドガァ!!』
ゼフ「ぐあ!!」
グラント「そうだともゼフィランサス。大将軍の手によって我らは復活を遂げた。それも『シャドウ』とやらによるものらしい・・・」
クアトル「自分でも操られてるのを理解している!!だが快感さ!!かつての自分よりも強くなっているというのもその身で感じているのだ!!
 かつては俺達も天下をとろうと軍を旗上げしてこの戦国の地で争っていたが、今となっては到底不可能だと痛感させられるよ!!」
アレックス「何を・・・」

 『闇』に支配されたかつての仲間達の攻撃に防戦一方の連合軍の兵達。以前は仲間だった者達と戦うことへの抵抗という理由もある
 しかし、それ以前に『シャドウ』に支配されている兵達はかつてよりも強くなっているのだ

レオン「っく!!」キィン!!
 ゼネラル王国の騎士団長であるレオンハルトは誰よりもこの状況に苦戦していた
 誰よりも優しい男である彼は目の前のシャドウ達に手を出すことができなかったのだ

レオン「やめてくれ・・・私は君達を斬ることなどできないッ・・・やめてくれ!!」

シャドウ兵「変わっていないですね、団長」
レオン「!!?」
シャドウ兵「あなたは誰よりも優しさにあふれた方でした。あなたの部下として働けたのは私達の誇りですよ」
 レオンハルトの前に対峙しているのは、かつてゼネラル軍の騎士団の一員としてレオンハルトとともに戦った騎士達だった
 かつての戦で散っていった仲間達・・・

レオン「お、お前は・・・・・・まさか・・・そんなっ・・・」

シャドウ兵「驚くのも無理はありませんね。ですがこうしてあなたと相対することができるのも大将軍のおかげですよ
 そして・・・大将軍の命によりあなた達を討ちとらなくてはならない!!」
 『ガキィン!!』
 元部下の刃を寸でで受け止めるレオンハルト。受け止めることしかできなかった

レオン「やめろ・・・やめてくれッ!!・・・私に・・・どうしろというのだ!!」ググ・・・
シャドウ兵「無論、誇りを持って私と戦ってもらいますよ!!」バッ!!



クアトル「かつての俺達はあの程度の力しかないのに天下をねらっていたなどと思うとむなしくなるな!!
 そのことを思い知らせてくれた大将軍には感謝しているくらいだ!!」

ゼフ「・・・クアトル・・・貴様、そこまでおちたか!!」グッ!!
アレックス「よせゼフ!!クアトル達とは戦えない!!」
ゼフ「自分のことをあんな風に言う奴は俺の知っている友人ではない!!天下をかけてしのぎを削った我が友ではもうない!!」


ベヒモス「その通りだ」
 ゼフ「!!!」
 『ガキィンッ!!!』

ゼフィランサスは背後に現れたベヒモスの一撃を咄嗟に気づいて防いだ

ゼフ「貴様・・・ヴァン軍本陣も出陣という訳か!!」グググ・・・
ベヒモス「その通りだ」グググ・・・
ゼフ「おのれ・・・我が友人達を無理矢理従わせ、まどわせ、誇りを失わせたな!!!この報いはお前の首だけではすまないぞッ!!!」ギリッ・・・
 ゼフィランサスの眼光はかつてないほどの怒りに染まっていた

ベヒモス「・・・俺がすすんでこの兵法に賛成したと思っているのか?」
ゼフ「!!」
ベヒモス「俺が・・・敵として戦った仲である誇り高き男達をこのような姿にして従わせるようなことに嫌悪感を抱かないと思うのか!!」
ゼフ「・・・・・・ベヒモス・・・お前も・・・」



ヴァハムート大将軍「どうやら残った最後の一人の将軍も我が下を離れたがっているらしいな」

ベヒモス「!!!」


 「!!!・・・ヴぁ・・・ヴァッ・・・・・・」

天厳城から出てきた男を目にした連合軍の兵の一人が、声を震わせながら叫んだ



 「ヴァハムートだァーーーーーッ!!!」

アレックス「!!!ヴァハムート・・・様・・・」

ストーム「ヴァハムート・・・」
ダスト「ヴァハムート・・・」

 「ヴァハムートだ・・・」    「ヴァハムート・・・」   「ヴァハムートだ・・・」

連合軍の兵達が口々にその名をつぶやく。足がすくみ、手の震えが止まらない。誰もが恐怖と絶望感に包まれていた
 連合軍だけでなくヴァン軍の兵達も身体が動かなくなる。誰もが戦いを止め、武器をゆっくりと下ろす。シャドウ兵達も同様だった
 ヴァハムートが戦場に足を踏み入れただけで今までの乱戦が嘘のように止まった


ゼフ「ヴァハムート・・・様・・・っぐ・・・」
 かつてはヴァハムートの下で将軍として動いていたゼフィランサスでさえ蛇に睨まれた蛙のようだった
 ヴァハムートの姿は以前にも増して禍々しい者へと変化していたからだ

ヴァハムート大将軍「我に反旗を翻した者どもと同じように謀反か?空に向け石を投げても無意味なことと同じだとなぜ気づかない?」
 ヴァハムートは一歩ずつ、ゆっくりとゼフィランサス達の場へ近づいてゆく
 それに応じるように、周囲の『シャドウ』に汚染された兵達はひざまずき、ヴァハムートの前に道を開く

ヴァハムート大将軍「こやつらのように自身の意志を失い、ただ我の言うことに素直に従う誇り無き者どもの方が優秀のようだな」
 頭を垂れるグラントやクアトル達を見て言う。ゼフィランサスはその言葉に怒りを覚えたが、恐怖の前では行動に移れなかった

ヴァハムート「この戦国の地のあらゆる場所にこやつら『影』は現れている。今ごろシンゲンやケンシン達も苦労しているやもしれぬな」


レオン(!!まさかッ・・・ゼネラル王国にも!?)

ヴァハムート「貴様ら無能な兵よりも『影』の兵達の方が実に優秀よ。あらゆる地に現れ、あらゆる感情を捨てて戦えるのだからな」
ベヒモス「っ・・・わ、私は・・・ただあなたの行き過ぎた行為に――」
 
ヴァハムート大将軍「行き過ぎ?行き過ぎというのは・・・
                                 こういうことを言うのだ」

 『ッッッ!!!』

ゼフ「!!?」

 『ドサッ・・・』 『ゴロゴロ・・・』



ヴァハムートはひざまずいていたクアトルの首を、手に握った邪剣で斬り落とした

ベヒモス「ッ!!!なッ!!!何をッ・・・」

ヴァハムート大将軍「感傷に浸っているようでは天下などとれぬ。この程度ですくむようでは我の後を歩くことはできんぞベヒモスよ」

ベヒモス「その者の首を斬る必要など何一つないというのにッ・・・なぜ・・・
 ・・・今までも十分すぎるほど非道をしてきたのにまだ『さらに』するというのかッ!!」

ヴァハムート大将軍「慈悲などない。まだ足りぬわ」
 『ザンッッッ!!!』

 たて続けにクアトルの首も落としてみせるヴァハムート。クアトルもグラントも、何一つ言葉を発さずに動かなくなった

ベヒモス「ッ!!!・・・ぐっ・・・うぐっ・・・」

ヴァハムート大将軍「鳥が虫を啄むのを見て涙を流すような腰ぬけは我が軍にはいらぬわ」

ベヒモス「きさっ――」


 『ドゴッ!!!』
ベヒモス「!!!」

 怒りに堪え切れなくなったベヒモスがヴァハムートに斬りかかろうとした瞬間、横から他の男がヴァハムートに拳を叩きこんだ
 アレックスだ

アレックス「っ・・・ううっ・・・あなたはっ・・・っく・・・ヴァハムート様・・・・・・
 ・・・私は今まであなたを裏切ったことに・・・どこかでまだ迷いがあった・・・
 ・・・・・・だが・・・もはや迷いはないッ!!!あなたのような邪悪な者はここで止めなくてはならないッ!!!」

 だがヴァハムートは意に介していなかった



ヴァハムート大将軍「誰にものを言っている・・・我は大将軍ぞ!!」



 ・・・・・・一方、紅白合戦場では・・・

マサムネ「なんだっ!!こいつらはッ!!」
 『ズバァ!!』
 突如無数に現れたシャドウ兵達と戦う蒼の軍、紅の軍、白の軍の兵達
 それまでは三つ巴の乱戦となっていたが、シャドウの出現により戦況は一変していた

レッカ「っく!!おのれもののけめ!!」


シンゲン「ケンシン・・・これはどういうことだ?」
 『ドズバァ!!』

ケンシン「知るはずがないだろうが。だが・・・俺達の戦を邪魔する不届き者なのは確かだ。さっさと始末するぞ」
 『ズズズバババ!!』


ムサシ「なんて数だ!!斬っても斬ってもキリがないぞ!!」ズババン!!
コジロウ「無粋な連中だ。ムサシ、こいつらを片づけてから決闘の続きといくぞ」スパァン!!



 ・・・・・・・アレクサンダーが統治するゼネラル王国・・・

ゼネラル兵「援軍をよこせ!!このままでは突破される!!」ギィン!!
ゼネラル兵「ダメだ!!数が多すぎる!!」ガィン!!

 ヴァハムートの放った『影』が、戦場から離れた場所のゼネラル王国にも牙を剥けていた
 騎士団長であるレオンハルトが不在のゼネラル軍は防戦一方。兵達は王国を防衛していたが、圧倒的物量差に押され気味であった

ゼネラル兵「城門に近づけるな!!絶対に街に入られてはならん!!」
 兵達の懸命な防衛線にもかかわらず、シャドウ兵達は城の城門に迫り、こじ開けようとする
ゼネラル兵「ダメだ!!門から引き離せ!!」
 『ドススッ!!』
 しかしシャドウ兵達の数は無尽蔵。城門を守ろうとするゼネラル兵も数十人のシャドウ兵を相手にしてどうすることもできなかった
ゼネラル兵「グアッ!!っく!!まずい!!突破される!!!」

 その時である!!

 『カッ』
     『ッキィィィ・・・・・・ッン・・・』


突然、シャドウ兵達が凍りついた。ゼネラル王国を襲撃していた無数のシャドウ兵達全てが瞬きの間に氷の彫刻のようになったのだ!!

ゼネラル兵「・・・これは・・・まさかリナ殿の?・・・」


リナ「そゆこと。あたくし様さまのスーパーマジック魔法で悪い連中みんな凍らしたってこと」
 魔法使いの女、リナが『魔法』を使ったのだ。杖の神器を振るい、自然事象を操作したのだ

ゼネラル兵「・・・ありがとうございますリナ殿」
リナ「いらねーんだよそゆ礼。ここはわたーしにとっても家だし守って当然だろ。それより魔法でバリア張るからとっとと城壁の中戻れ」
ゼネラル兵「あっ、はい・・・(この人は掴みどころがないが・・・すさまじい力を持っているのは確かだ・・・)」

リナ「ったく、メンドクセー雑魚を放ちやがってヴァハムートめ・・・無限雑魚とかずるい上に適当なもんだよまったくさッ」



 ―――・・・・・・

 『ドゴン!!』

ヴァハムート大将軍「それが本気か?我を倒すと戯言を口にする割にはもう少しだけ力があると思ったが、かいかぶりだったみたいだな」
 アレックスの拳がヴァハムートの顔面に炸裂するものの、ヴァハムートの頭部はわずかに揺れる程度でしかなかった
アレックス「っく!!・・・」

ヴァハムート大将軍「拳を振るうというのはこういう風にするのだ!!」フォッ
アレックス「!!?」
 『ド ガ オ !!!』

アレックス「ぐ あ !!!」

   『ド オ ア !!!』

ゼフ「!!!アレックス!!」
 ヴァハムートの拳がアレックスに炸裂した。邪剣を振るわず、その拳でアレックスを殴りつけただけだ。
 だがアレックスの身体はすさまじい速度で吹き飛ばされた

アレックス「グ・・・・・ア・・・お・・・・・」

ベヒモス「な、なんて力だ・・・俺に次ぐ巨体のアレックスを吹き飛ばすなんて・・・」


ヴァハムート大将軍「『影』どもよ!!我に歯向かう雑魚どもを始末しろ!!我が部下は今やお前達のみ!!他の者は皆敵ぞ!!!」
 『ザッ!!!』
 シャドウ兵達がヴァハムートの言葉に応じて武器を構えた

ベヒモス「!!?」
ヴァン兵「なっ!!ヴァハムート様!!なにをッ――」

ヴァハムート大将軍「粛清よ。貴様らのような無能を一掃するのだ」
ヴァン兵「!!!そ、そんなッ・・・」


シャドウ兵『UUSSSYYYAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
 シャドウ兵達が一斉に攻撃を再開する。その矛先は連合軍の兵達だけでなくヴァン軍の兵達にも向けられた

ゼフ「ヴァハムート大将軍!!これがあなたのやり方か!!!自分についてきた部下達も邪魔者と斬り捨てるのか!!」
ヴァハムート大将軍「我が天下に無能な者は不要!!我にひざまずくことすら畏れおおいわ!!」
ゼフ「っ・・・」

ヴァハムート大将軍「我に歯向かうのならかかってくるがいい!!我を恐れぬのならかかってくるがいい!!その度胸があるのならな!!!」

 「いいぜ。かかってってやる」



 『ザッ』

ヴァハムート大将軍「・・・・・・ほう・・・勇気のある者がいたか・・・
 ・・・・・・・・・・・貴様・・・・・確か・・・・・・・」



メテオ「久しぶりだなこの野郎・・・覚悟しやがれヴァハムート!!!」



―ヴァン軍、完全解体―
―7人の騎士、参戦―



次回を待て!!


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