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RSSフィード APPEARANCE of TRUTH(完結)

日時: 2012/06/28 23:12
名前:

あの戦争の3年前
世界を駆け巡った者たちがいた
今…〝真実の姿〟が現れる




≪分かりやすい時系列の説明≫
APPEARANCE of TRUTH(本作)
   ↑3年前
DISAPPEARANCE(>>[225])
   ↓2年後
REAPPEARANCE(>>[429])

作者的には先にDISAPPEARANCEくらい読んでおくことをお勧めします。


★Main Characters★

◆セルヴォ ……「さて、…」が口癖なトゥルースの一員。自由奔放だが、相棒ビートとともに任務は完璧にこなす。
◇ビート ……寡黙で穏やかなトゥルースの一員。相棒の無茶な行動にも眉一つ動かさずにフォローする。
◆デュオカイザー ……性別の判別に困るトゥルース主任。実はかなりの才女だが馬鹿なフリをしている模様。
◇リネル ……本作初登場のトゥルース新人。ラヴドへの恨みは人一倍強いが、それを除くとただの女の子。

☆Contents☆

第零話【プロローグ】>>1
第一話【APPEARANCE of LINNELL】>>2
第二話【The Mission About Twelve Apostles】>>3
第三話【APPEARANCE of TINE】>>4
第四話【Sate】>>5
第五話【『パ』】>>6
第六話【N.G.ライトは神様なのか? ~最終鬼畜全部炎~】>>7
第七話【ラミエル】>>8
第八話【APPEARANCE of BELZELGA】>>9
第九話【敗北】>>10-11
第十話【APPEARANCE of GOD EMPEROR】>>12
第十一話【忘れた】>>13
第十二話【APPEARANCE of RYU】>>14-15
第十三話【黒歴史】>>16
第十四話【ラミエル2】>>17
第十五話【欠番】>>18
第十六話【不幸のメダロット~Revenge~】>>19
第十七話【作戦準備 in エデン】>>20
第十八話【DRAGON QUEST】>>21
第十九話【REAPPEARANCE of RYU】>>22
第二十話【竜の理由】 >>23
第二十一話【APPEARANCE of MESH , CALIPUR , KIDU & GENJI】  >>24
第二十二話【相棒ビートの憂鬱】 >>25
第二十三話【ハンターチャンス】 >>26
第二十四話【オイルパニック】>>27
第二十五話【ビッグブロックの魅力】>>28
第二十六話【すすたけ村の優等生】>>29
第二十七話【APPEARANCE of REEVE】>>30
第二十八話【KBT VS KBT】>>31
第二十九話【すすたけ村の転校生】>>32
第三十話 【APPEARANCE of RED】>>33
第三十一話【ネクロデス先生】>>34
第三十二話【REAPPEARANCE of NAGISA】>>35
第三十三話【最後のシ者】>>36
第三十四話【Do or Die】>>37
第三十五話【ラミエル3】>>38
第三十六話【APPEARANCE of TRUTH】>>39
第三十七話【最期のわがまま】>>40
最終話  【罪】>>41
おまけ【あとがき】>>42



Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.33 )
日時: 2012/06/17 12:39
名前:

第三十話【APPEARANCE of RED】byセルヴォ


さて、リーブが十二使徒入りしてから1ヶ月。
のこりの十二使徒は2体。
あと2体のメダロットをエデンに引き込むことが出来れば、戦争の準備は完了ってことになる。
その十二使徒達専用の部屋も、エデンリーダーにして科学部部長のカヲスによって戦艦化された。
十二使徒専用の大戦艦『ノアの箱舟』というらしい。
さて、俺たちトゥルースにもそういう派手な兵器をプレゼントしてくれてもよさそうなもんだが、
トゥルースに大型の兵器は似合わないし、必要ないとデュオさんに説明された。
まぁ……納得かな。

 さて、十二使徒任務達成まで残り2体ってところでいよいよデュオさんの情報収集も行き詰ってきたらしい。
今日まで色んなところに任務に出向いたが、現在いる十二使徒のメンバーに匹敵するようなヤツはいなかった。
しかたがなく、俺たち自身も自分の足で情報を集める事となったわけだが。

何故かまた俺とリネルのコンビで組まされた。
いや、まぁその前の任務とその前の前の前あたりはビートとセットだったし、前の前は俺1だけだったし、単なるローテーションなんだろうが
……こいつ、この前のリーブの件以来なんか暗くてうっとうしいんだよなー。

「さて、取り合えず酒場行くか?情報収集的な意味で」

リネル:「あ、はい」

「あ、はい」…じゃねーよ。
今までだったら「またお酒を飲むんですか!」とか言って来そうなもんだが……

「さて、お前……なんつーかやる気あるか?」

リネル:「あ、ありますよ……!」

何か覇気がねーよなー。
いつものウザイテンションはウザイとして。
これはこれで鬱陶しい……。
つーかそもそもコイツは何でこの糞暗いテンションなんだ?

あーあー……コンチクショーだね。
俺も先輩らしいことしたくなっちまたぜ。

「さて、リネル。ちょっと面かせよ」

リネル:「なんですか?」


「さて、お前酒は飲めるな?」



―――――――――――――――――――――――――――――――




「さて、任務中だから泥酔するほど飲むなよ」

リネル:「分かってますよ……」


「さて、おっさん!ここで一番強い酒くれ!」


リネル:「ちょちょちょちょ……!!」

「あぁ?」

リネル:「私は弱いのでいいです」

「なんで?飲むならやっぱり……」

リネル:「いいから弱いので」

「さて、まぁそっちの方が好きならそれでいい」


さて、俺とリネルは酒場で 情 報 収 集 を か ね て あくまで情報収集メインで酒を飲むことにした。
しかし、任務中に酒を飲むといえば、こいつはなんだかんだ煩いと思ったんだがそうでもなかったな……。
まぁいいか。

「さて、で? 最近なんかあったか?」

リネル:「なんかって。いきなりどうしたんですか?」

「お前のその辛気臭いテンションが俺の仕事効率を下げんだよ。全部好き放題言って元に戻りやがれっつってんだよ」

リネル:「…………」

「さて、リーブの件で何かあったか?」


リネルはグラスの酒をズズズ……と小さな音を立てて少量口に含んだ。
口に含んだ量が少量だったわりには、飲むときにははっきりと分かりやすく「ゴックン」という音が聞こえてきた。

リネル:「リーブさんを私と同じにしてしまいました」

「さて、同じ?」

リネル:「ただ平和に暮らした……そこによく分からない組織が土足で踏み込んできて全てを奪っていくんです」

さて、デュオさんからチョロっときいた事はあったな確かこいつは、元々暮らしていたところにラヴドが基地を立てるために乗っ取られたとか。
微妙に違うきもするが、リーブと自分を重ねてなんかウジウジしてやがんのか?
リネルは残りの酒を一気に飲み、グラスをテーブルの上にたたきつけた。

リネル:「私が憎んでいるラヴドと同じです。私が復讐するべきラヴドに……私自身が……」

「さて、しかし……トゥルースとしてのお前は何一つ間違っちゃいないぜ」

リネル:「分かってますよ!」

リネルは激昂して、俺をにらんだ。
と、すぐに泣きそうな顔をして俯いた。

リネル:「トゥルースにいる限り……ずっとこれを続けるんですよね」

「さて、そうだな。まぁ最初は慣れないかもしれないが……」

さて、最近、妙にうまく仕事をするようになったから忘れていたな。
こいつは、まだまだトゥルースの新人。
見た目は任務をこなしているように見えても、肝心な部分がまだトゥルースになりきれてねえ。
普通ならば、嫌われ、疎まれ、蔑まされちまうようなトゥルースの『誇り』をまだ持っていない。

リネル:「もう……私はトゥルースでやっていく自身が……無いんです……」

さて、……思ったより深刻そうだな……困ったもんだ。

「さて、お前、トゥルースになる前に聞いてるよな? トゥルースをやめることは永久にできない」

リネル:「はい……」

トゥルースはその仕事柄、エデンの上層部しか知らないような機密を多く扱う。
故に情報漏洩防止の為に、一度トゥルースに配属された場合、トゥルースから去ることは出来ない。
その分、一般兵よりも待遇がいいから俺やビートみたいに馴れちまえば問題は無いんだが……。

「さて、だったら諦めろ。お前が歩み始めたのは究極の悪の道だ……だが、それを誇れ。世界を救うのは案外、悪かもしれないぜ」

リネル:「…………」

「…………」

これ以上言いようがねえ。
馴れろ。
むしろ誇れ。
何か優しい言葉をかける事は出来ないし、する意味が無い。


ドガッシャーーー!!

、とその時、俺とリネルの後方で分かりやすい破壊音がした。

『ハッハッハー!! 酒を出せーーー!!!』

そして、そこには分かりやすくならず者な、分かりやすい山賊団の姿があった。
やれやれだぜ……。
何なんだこの世の中は……酒場に行ったらどこにでも山賊出んのかよ。
いい加減このパターンも飽きてきたぜ。

酒場の客やら店主が慌てふためく中、俺はけだるすぎてため息をついた。
面倒くせえ……とっとと酒場から出るか……。

、と思って顔を上げたその瞬間。


俺の目の前には機能停止し、スタボロになった山賊達の肢体の山が飛び込んできた。


ちょ、ちょっと待て。
俺がため息ついて顔を上げるまでに何があった!?

「さて、リネル。何が起こったんだ?」

リネル:「あ、あいつ……」

リネルは山賊達の山を指差す。
いや、ちがう。
その山の麓にいる紅いメダロットを刺していた。

紅い悪魔。

かつてそう呼ばれた型のメダロット。
ブロッソメイルだった。

???:「……………………」

ブロッソメイルはキョロキョロと辺りを見渡す。
おそらく、他に山賊がいないか探しているんだろう。
しかし、冗談みたいな速さだった。
俺とビートが組んで本気で戦ってもここまで早く敵を叩きのめすことは出来ないだろう。

???:「…………」

そして、ブロッソメイルは何事も無かったかのように酒場を後にした。


…………。


あまりの出来事に俺とリネルは呆気に取られて固まっていた。
が、そんな場合じゃない事にいち早く気付いて、俺は椅子から立ちあがった。

「さて、リネル……あいつ、追うぞ」

リネル:「は、はい! で、でもアイツどうするんですか? 派手な戦闘はデュオさんから禁止されてますよ」

ブロッソメイルってのは確か女型メダロットだったな……。
まぁ、メダルに宿る人格が男でも、女型のパーツをつけてる場合も稀にあるが……。
いや、多分、アレは女だ。
俺の勘がそういっている。

「さて、任せろ……」



「……ようは女を口説き落とせばいいんだよな?」



Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.34 )
日時: 2012/06/20 10:51
名前:

第三十一話【ネクロデス先生】byレッド


 私はレッド。ネクロデス先生に命を与えられたメダロット。
かつて、私がが生まれたとき、ネクロデス先生は言った。
まだ目覚めたばかりで、ガラスケースの中、何本ものコードを差し込まれ、上から糸でつるされた操り人形のようになった私に言った。

『悪を殺せ』

私は先生の言うがまま、ただひたすらに悪を1つ1つ殺していった。
ネクロデス先生もまた、自ら悪を殺して回った。

私が多くの悪、大きな悪を殺したときネクロデス先生は私を褒めた。
何故だかは分からなかった。
それは当然の事であるはずなのに。

悪を殺す。
悪を消滅させる。
それが正義だとネクロデス先生は語った。
私もそう思った。

ネクロデス先生は私に喋ることを禁止した。
言葉というものの恐ろしさを教えてくれた。
1度でも悪と言葉を交わしてしまえば、悪に騙され、弄ばれ、吸収される。
だから言葉を発してはいけないと。
言葉を発するというのは、相手と心を通わせることだと。
悪と心を通わせてはいけないと言った。

ネクロデス先生は喋った。
色んな事を私に教えてくれる為だ。
私はどうしてネクロデス先生は喋るのだろうと不思議に思った。
言葉は恐ろしいと言ったのはネクロデス先生本人なのに。
聞きたかったが、聞けなかった。
私は言葉を話す事を禁じられていたから。

しかし、ある日、私がそれを知りたがっている事に気が付き、説明してくれた。
1人では抱えきれない大きな悪を滅ぼす為、同じ正義の仲間と協力するため、十分に注意して喋っているのだ、って。
そして、私は、大きな悪を滅ぼさなくてもいいと言った。
私は小さな悪を1つ1つ殺せばいい。
だから言葉は必要無いと。
私もいつか大きな悪を滅ぼせるようになりたい。
そう思っていたある日のことだった。

ネクロデス先生は姿を消した。


いつの間に、どうやって消えたのかは分からない。
気が付けば、最初から存在しなかったかのように、綺麗に消えていた。

私は旅にでた。
ネクロデス先生を探し出すため。
そして、悪を殺すため。




今日はまた小さな悪を殺した。
平和に暮らしている村の人を脅かす山賊達だ。
他に悪はいないようだったので、私はまた旅を続けようよ思った。
山賊達を殺した村の隣の村へ行って、酒場に入った時だった。

セルヴォ:「さて、それにしても随分速いな……追いつくのにも一苦労したぜ」

声をかけられた。
声をかけた男の名前はセルヴォというらしい。
セルヴォは様々な美麗字句を並べて私を褒めた。
ちょっと嬉しい。
……たまに貶した。
むかついた。
でもすぐ褒められたから総合すると嬉しい事になる。


それでも私は喋らなかった。
言葉は恐ろしいものだから。
セルヴォが悪であれば、言葉を発したその瞬間、私の正義は死んでしまう。
私は数年にわたって旅をしてきたから、悪かどうかを見分ける目も少しはついてきた。
セルヴォは残念ながら、悪のような気がした。

私が一言も言葉を発しないのでセルヴォは困っているようだった。
今までにも私に話しかけてくれた人は沢山いた。
でも私は喋らなかったから、すぐに諦めてどこかへいってしまった。
当然だな、と思った。

セルヴォが困っていると後ろから女の人がセルヴォに

リネル:「取り敢えず、連れて帰ったらどうです?」

と言った。
女の人はリネルというらしい。
セルヴォが教えてくれた。

セルヴォは少し考えたような仕草をすると、通信機のようなものを取り出して、後ろの方でごにょごにょ会話を始めた。
その間、リネルが私とお話をした。
リネルは難しい女の人だった。
悪のような気がするけど、悪じゃない気がする。
なんだか難しい。

リネル:「何か欲しいものとかある?」

リネルに訪ねられた。
欲しいもの?
考えたこともなかった。
欲しいもの……強いて言うなら、仲間が欲しい。
共に大きな悪を滅ぼすために助け合える正義の仲間が欲しい。
そうすれば私はもっともっと悪を殺せる。
でも……それはかなわないこと。
私は喋らないから。

私は相変わらず喋らないのでリネルも困ってしまった。
と、その時、通信機での会話を終えてセルヴォが私に話しかけた。

セルヴォ:「さて、少し来て欲しいところがあるんだがいいか?」

私はもっと悪を殺さければならない。
でもちょっと興味がわいたから付いて行った。
なんだかセルヴォからは悪の雰囲気がする。
付いていったら殺すべき悪がいるかもしれない。



でもちょっと後悔した。
とってもとっても移動時間が長かったから。
〝少し来て欲しい〟っていうのは丸1日かけて移動する事じゃないと思う。
言葉を発しない私だってそれくらい分かる。

セルヴォ:「さて、悪いなようやく到着だぜ」

到着した。
でも、深い森の奥に連れてこられただけで、他には何も無いように見える。
おかしいな、と思っていると。

茂みの中からフワフワと大きなメダロットが現われた。
ドラゴン型のメダロットかな?
そのそばにはもう1体メダロットが、ダイヤモンド型のハードネステンがいた。
それと、同時に私武器をむける何十ものメダロットが一斉に現われて私を囲った。

ハードネステン:「いきなりこのような対応をして申し訳ありません。しかし、我々は慎重にならなければならず、それ以外の意味はありませんので」

そんな事言われても気分悪い。
この人達は悪なのかな?
ハードネステンはドラゴン型メダロットの紹介をした。
カヲスと言ってエデンのリーダーらしい。

エデンといえば、その昔ラヴドと戦争をして負けた組織の名前?
復活したということ?

と思ったら復活をしていたらしく、ラヴドを倒す為にまた戦争をするつもりらしい。
そのお手伝いを私にして欲しいという。

ラヴドといえば、昔ネクロデス先生は『ラヴドもエデンもどちらも悪である可能性がある』と言っていた。
どちらも悪……。
でも……ラヴドが悪なんだったらそれを滅ぼそうとしているエデンは正義じゃないの?
悪を滅ぼすエデンもやっぱり悪なの?
私は分からなくなってしまった。

ただ、私はここでエデンの要求をのむしかなかった。
なぜなら、やだ、って言ったら殺されるからだ。
死んでしまったら悪を殺すことは出来ない。
誰にも教えてもらわなかったけど、これくらい自分で分かる。

コクリっと私は首を縦に振った。
思えば久しぶりのYESのサインだった。
ネクロデス先生のお話をするときはよくこうやってYESとNOを使い分けていた。
ちょっと便利だな、と思っていたけど、やっぱり便利だった。

私は取り敢えず、連れて行かれるがまま、言われるがままにエデン本部の中へと入っていった。
とにかくよく分からないけど、エデンが悪だというなら殺さないといけない。
そのために生きながらえたのだから。
いつかチャンスが来るはずだから、その時にエデンを殺してしまおうと思っていた。

でも、甘かった。
エデンは大きかった。
いっぱい強い兵士がいて、賢い科学者がいて、大きな兵器があった。
私一人では殺せないな、と思った。
きっとこれがネクロデス先生の言っていた。
大きな悪なんだ、って思った。

どうしよう。
と思っていると、大きな戦艦まで連れてこられた。
ノアの箱舟って名前らしい。
私はここで生活をするらしく、中には私と同じように連れてこられたメダロット達が生活していて、十二使徒と呼ばれているらしい。

扉の前に立ったとき騒がしい声が聞こえてきた。


『さり気にやるなベルゼルガ!』

『フン…貴様こそな』

『次は漢のギャグバトルと行こうぜ!』

『フン…それは断る』

『ファッファッファ……ならばタイン俺とタイマンでやるか?』

『っしゃーさり気に来いやぁ』

『ファッファッファッ!いくぞ、カリパー、キドゥ、ゲンジ!!』

『いや、タイマンってさり気に言ったよねぇ!?』

『キッシャッシャッシャ!!お前ら馬鹿すぎだぜ!!』

バコッ!
ボキッ!

『うるさいですね……蹴り入れますよ』

『さり気にもう入れてるじゃねーかよー!』

『まぁまぁまぁまぁ!皆さん一旦落ち着きましょーや!なんか今から新しい人が来るって言うたはったし!』


騒がしい……。
でもちょっと楽しそうだった。
私をここに連れてきたハードネステンがため息をついた。
でもハードネステンも少し笑っていた。

そして、扉を開いた。
中にいた皆が私に注目した。

皆、私を取り囲んで楽しそうに騒いでいた。
煩くてとても困ったけど、とりあえず、みんなの名前を知ることは出来た。

さり気さり気と煩いのがタイン。
なんだかクールなのがベルゼルガ。
いっつも大きな声で笑っているゴッドエンペラー。
猫背の女の人が竜。
なんだかゲームのキャラクターみたいなのがメッシュ。
オイラっていうのがカリパー。
アタイっていうのがキドゥ。
我輩って言うのがゲンジ。
関西弁なのがリーブ。

そして、皆は私の名前を知りたがった。
でも私は教えなかった。
教えたくなかったわけではないけど、私は喋ってはいけないので、皆が諦めるまでずっと黙っていた。
そして、皆が諦めた。
話をしても面白く無い、とでも言いたげな顔で私から離れていった。
でも、この人だけは違った。

リーブ:「う~ん、どないしたら教えてくれるんですか?」

リーブだった。
この人は変な人だった。
どうみても悪に見えない。
でもこの人もエデンのメダロットらしい。
本人も言っていた。
どうして悪じゃないリーブが悪のエデンにいるのだろう?

リーブ:「あ、分かった! 実はまだ名前がないとか!?」

私は首を横に振った。

リーブ:「そうなんか~ちゃんとお名前はあるんですね。ほな、なんかヒントだけでも! ね?」

どうして諦めないのだろう?
これだけ黙殺していれば、もう諦めてもいいのに。
今までここまでしつこかったのはリーブが初めてだ。

リーブ:「ん? なんで僕が諦めへんねやろ? って思いました」

……え?
どうして分かったの?
この人は読心術でも心得ているの?

リーブ:「いやーなんかそういう顔したはったから、そうかなーって」

今まで、私とまともに会話ができる人は、生みの親であるネクロデス先生だけだった。
リーブは何か私にとって特別な人なのだろうか?

……そうかもしれない。
この人は、ネクロデス先生の言っていた、1人では抱えきれない大きな悪を滅ぼす為の正義の仲間なのかもしれない。
私は思った。
この人とならお話をしてもいいんじゃないか、と。
私の初めての仲間になってくれるんじゃないか、と。

勇気を出して、私は喋ってみることにした。
リーブに私の名前を伝えてみよう。

「……………………!?」


なんということだろう。
私はずっと喋っていなかった。
だから、気付かなかった。

私はもう喋れなくなっていた。
ネクロデス先生に、頭は使わなければすぐに使えなくなる、と教えてもらった事がある。
私は声をずっと出して出していなかったから、声が出せなくなっていた。

悔しい。
初めての仲間が目の前にいるのに、声がでない。
悔しい。

リーブ:「ひょっとして声が出んのですか?」

またリーブは私の気持ちを察した。
私は首を縦に振った。

リーブ:「頑張って!」

「…………?」

私は首をかしげた。

リーブ:「喋れるまで待ってますから」

リーブは幼い子供が、誕生日にプレゼントをもらうときのように、屈託の無い笑顔で言った。
私は、何としてでも、この男に私の名前をしってもらおうと思った。

「………………」

レッド。
レッド。
レッド。

「……r………」

少し音が出た。

リーブ:「おぉ!あとちょいあとちょい!頑張って!!」

「…………レ…」

リーブ:「レ?レ、何ですか!?」

リーブは大はしゃぎだった。

「レ……ッド………」


レッド。
途切れ途切れだったが何とか私は言葉を口にする事ができた。
生まれて初めて言葉を口にする事ができた。

リーブ:「レッド!レッドっていうお名前なんですね?」

リーブは大興奮だった。
ただ、私の名前を知っただけなのに。

リーブ:「皆さーん分かりましたよ!この人はレッドさんですー!」

リーブは他の十二使徒達にも私の名前を教えた。
私を離れた者達が、また、私のそばによってきて私を取り囲む。

タイン:「おいおい! なんだなんだリーブにだけはさり気に名前教えんのかよ! デキてんのか!?お前らデキてんのか!?」

竜:「…………蛆虫」

バキィ。
竜がタインを蹴り上げた。

リーブ:「い、いや違うんです。このレッドさんは何でか知らんけど、声を出すのが苦手みたいなんです」

ベルゼルガ:「フン……そういうことか」

ゴッドエンペラー:「キッシャッシャッシャ! なんだ大変だなお前! 声が出せないとか俺なら死んじまうぜ!!」

メッシュ:「ファファファ…では俺が言葉を教えよう。まずのこの名言『最強の剣じゃないのかー!!』からだ!」

キドゥ:「メッシュ空気を読もう」

カリパー:「エクスカリパー……エクスカリパー……」

ゲンジ:「カリパー、その洗脳みたいなのはやめよう」

皆口々に私の事を話していた。
こういうのは初めてだけど、不思議と悪い気はしないな。

…………あ。

しまった。
ネクロデス先生の言っていたのはこういうことだったのか。
確かに、私はたった一言「レッド」と自分の名前を口にしただけだった。
でも私はすっかり、リーブを、いやリーブ達を好きになってしまった。

もしも彼らが悪だったのなら。
私はどうすればいいだろう。
とても後悔した。
でも同時に私は私が暖かくなっている感じがした。
これが言葉の魔力。
ネクロデス先生が恐れた力……。


申し訳ありませんネクロデス先生。
レッドは悪い子になってしまったかもしれません……。





Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.35 )
日時: 2012/06/22 01:08
名前:

第三十二話【REAPPEARANCE of NAGISA】byビート



 ブロッソメイルのレッド(そういう名前だと後にリーブから報告があった)が十二使徒入りしたことで、残る十二使徒は残り1体となった。
最後の十二使徒を探し、俺とセルヴォは世界各地を歩いて回ってた。

セルヴォ:「さて、本部で地味仕事も辛いっちゃあ辛いが、ここまで十二使徒候補がいねーと退屈だなーオイ」

セルヴォはここのところずっとこの不満を口にしている。
しかし、むしろ今までがとんとん拍子に事が進みすぎたともいえる。
そもそもハードネステン1体でもラヴドの支部1つくらいなら落とせる程度の実力であって、
それと同じくらいの戦闘能力をもったメダロットを残り11体も見つけろというのが無茶な話だ。
この任務が与えられて1年が経過したが、よく1年でここまで来たものだと思う。

……もしかすると本当は戦争なんてどうでも良くて、適当な理由をつけて戦争を先延ばしにするためにこの任務が与えられたのではないだろうか?
そもそも、この新生エデンは旧エデン兵達が集まり、カヲスをリーダーにしたてあげて作られたもの。
リーダーであるカヲスに戦争を起こす意思があったのかどうかすら怪しい。
実際、カヲスは兵の増強具合よりも、科学部で行っている研究に執心している。
その研究の内容は科学部の一部者しか知らず、我々トゥルースにも知らされていない。

そんな事を考えていると、セルヴォがまた不満をもらした。

セルヴォ:「さて、運命の出会いってのはねーもんかねー。この糞平和な道を歩いてたら、いきなり十二使徒候補に出くわすとかよー」

あるわけないだろう。
……と思ったがあるかもしれない。
今思えば、この男がメッシュ達に会ったのは偶然。
レッドに出くわしたのも偶然。
2度あることは3度ある、というし……


『へいへいへい!お穣ちゃん!ここを通りたければ金だしな!!』


前方で汚いダミ声が聞こえた。
まさか!本当に十二使徒候補が?
と思ってみたが、多分違った。
そこにいたのはまさしくただのチンピラ風の男で、いわゆる小物というやつだ。
その小物が自分よりも更に弱い者、今回の場合は女を相手に力ずくで金品を奪おうとしている最中だった。

俺達はあまり目立ちたくなかったので、自然と通る道は人通りの少ない道になるのだが、
そういう道ばかりを通っているとこういう小物に出くわすのはよくあることだった。

:「失礼。僕は女性…ウーマンではない。女型のパーツをつけてはいるが僕は男…マンだ」

小物が絡んでいる女…いや、どうやら男だったらしいメダロットがいう。
ん?あのパーツは大天使型メダロット、パーティクルのパーツ……珍しいパーツをつけているな。
いや、待て。
あのパーティクルどこかで見覚えがあるぞ。
たしか……。
すすたけ村だ。
リーブの任務のときにリネルと話していたパーティクルじゃないのか?


名前はたしか……ナギサ。


セルヴォ:「さて、ビートどうした。変な正義心でも芽生えたか?」

小物とナギサのやり取りを、至極どうでもいい事のように見るセルヴォ。

「いや、あのパーティクル。見覚えがあってな……」

と俺たちがやりとりをしていると、小物のほうが左腕を上げてナギサを脅した。

『んなこたぁどうでもいいんださっさと金をだしな!』

ナギサ:「あいにく、このお金…マネーは僕の大事な旅の資金なんだ渡すことはできない」

『だったら力ずくで奪ってやんよぉ!!』

小物がいかにも小物らしいセリフと共にナギサに殴りかかった。
しかし、ナギサの目の前50㎝くらいの所に、半透明の壁が出現して小物の拳を受け止めた。
そして、殴りかかった側であるはずの小物が後方に吹っ飛び気絶した。

ナギサ:「争い…エンブロイルメント。争いは必ず自分をも傷つける。悲しく、むなしい……そんなものでは心の壁は砕けない」

ナギサはただその場に立っているだけで、小物を撃退してしまった。
何かよく分からないことをつぶやく余裕まである。

「セルヴォ、今の見たか?」

セルヴォ:「さて、雑魚が更に雑魚を返り討ちにしただけだろ?」

セルヴォはあの様子を注視していなかったから、何も感じなかったらしい。
しかし、俺は違和感を感じた。
今、ナギサが使ったのは反射。
反射という行動をするパーツは珍しく、使いこなすのも難しい。
普通のメダロットがあそこまで正確に攻撃を反射できるのだろうか?

「ちょっとミサイル撃ってみるか……」

セルヴォ:「あぁ?」

セルヴォが聞き返すのを無視して俺はナギサに向けてミサイルを撃ってみた。
ただのメダロットだったら、不意に、後方からミサイルを撃たれてすぐに反射を用意できるはずが無い。
それこそ十二使徒クラスに強いメダロットでなければ、ただ後頭部にミサイルをもろに受けて機能停止するだけ……

しかし

やはりナギサはただのメダロットではなかった。
ナギサの後頭部50cm前くらいにまたも半透明な壁が現われた。
反射だ。
反射されたミサイルはまっすぐに俺に向かって戻ってくる。

セルヴォ:「だぁー!なにしてんだテメェ!」

セルヴォが俺を突き飛ばして前にでる。
そして、左腕のハンマーで俺のミサイルを叩き落す。
その反動でセルヴォの左腕は壊れてしまったが、それ以外の被害は無かった。

「あのメダロット……十分すぎるんじゃないか?」

セルヴォ:「あぁん? ……さて、確かにあの精度と威力を持った反射は……たしかに」

セルヴォもようやく気が付いたらしい。ナギサの戦闘力に。
ナギサは振り向くと、春風のような笑みを浮かべた。

ナギサ:「なにか僕に用事…アフェアーがあるのかい? 生憎、僕は戦闘が苦手でね。戦いは簡便しておくれ」

何を言っている。
あそこまで正確な反射をしておいて。
大体、不意に襲われたにも関わらず、それだけ余裕でいられる時点で、戦闘が苦手とはいいがたい。

セルヴォ:「さて、そこまで反射を使いこなしといて、それは無いだろ」

セルヴォも同じことを思ったらしい。
ナギサはセルヴォの方をじっとみた。
すると、何かを決心したかのように、うん、と首を1度だけ振った。
そして、その顔から笑みが消えた。

ナギサの体が光った。
そして、その光はすぐにおさまり、メダチェンジしたナギサが姿を現した。

ナギサ:「僕はパーティクルのナギサ。平和…ピースを愛する者」

と、同時にナギサはレーザーのような攻撃を連射した。
レーザーとは連射できるものか?

セルヴォ:「さて、だから戦闘は苦手ってか!?」

セルヴォはナギサのレーザーを右腕で叩き落す。
こんどはパーツは壊れずに無事だ。
レーザーにしては随分威力が低いな。

……と思ったのもつかの間、レーザーの威力がどんどん上昇していく。

セルヴォ:「さて、こいつはカウントアタックか!?」

「マズイな」

俺はセルヴォの援護をしようと、ライフルをナギサに向けて撃った。
が、しかしナギサは今度はメダチェンジを解き、再び反射でライフルを防ぐ。
反射されたライフルはなんとかよけることが出来たが、右腕をすこしかすった。
あのスピードで変形と反射をこなすとは……

「セルヴォ、一旦ひくぞ」

セルヴォ:「さて、そうだな。随分分が悪いらしい」

俺はちょうどナギサにあたらない程度のところでミサイルを爆破させて、砂埃を巻き上げた。
その煙にまぎれて、近くの茂みにセルヴォと一緒に飛び込んだ。


ナギサ:「ほら、戦いは苦手だ……こんなにも心…ハートが痛むからね。どうしても僕には戦う者の気持ちが分からない……まだまだ未熟だ」

俺とセルヴォがいなくなっても、一人事のようにつぶやいて、ナギサはまた元の進行方向に向けて歩き出した。

セルヴォ:「さて、どうするよ?」

「あのパーティクル、たしかリネルと知り合いだったな」

セルヴォ:「さて、どういうわけかは知らねーが……リネル。都合いいじゃないの」

セルヴォの言うとおり、リネルがナギサの知り合いである事は都合がいい。
知り合いだと油断させて、急に襲い掛かればいい。トゥルースらしくな。
そして、もうひとつ。
リネルのデストロイはダイレクト攻撃といわれるもので、ナギサの反射を超えることが出来る。
そう、決まるや否やセルヴォは通信機を取り出した。

セルヴォ:「さて、リネルか?お前ナギサっつーパーティクルと知り合いだよな? ……そうだ。……あぁ恐ろしく強かったぜ。……あぁ今すぐ来い」



―――――――――――――――――――――――――――――――



それから1日たってリネルが到着した。
リネルが到着するまでの間、俺とセルヴォは尾行を続け、ナギサがある村に入っていくのを確認した。
すすたけ村だ。
ちなみにすすたけ村にはエデンの兵士が住民のふりをして生活をしている。
これは勿論リーブとの契約内容である、すすたけ村の平和を維持するためだ。

リネルは到着して、すすたけ村を見ると暗い顔をした。
セルヴォから聞いた話だと、リネルはリーブのときの任務で随分心を痛めているらしい。
あのときの事を思い出したのか。

「リネル、ナギサが村から出てきたら取り敢えず彼に話しかけろ」

セルヴォ:「さて、そしてアイツを脅すなり説得するなりしてエデンに引き入れろ。抵抗するなら殺してもかまわねぇ」

殺す。
という単語をセルヴォがだすとリネルはひどく顔を青ざめた。

「辛いかもしれないが、乗り越えろ。君はトゥルースなんだ」

今のリネルをふるい立たせるいい言葉が思い浮かばなかった。
どうもぶっきらぼうな表現になってしまった。
……と思ったが、思ったよりリネルは奮い立ってくれた。

リネル:「わ、わかりました。頑張ります!」

いや、奮い立ったフリをしてくれた……というところか。
体は震えているし、興奮で一瞬だけ赤くなった顔もすぐに青く戻った。

と、その時ナギサが村から出てきた。
一人だ。
誰もついてきていない。
誰も見ていない。
チャンスだ。

セルヴォ:「いけ…!」

リネルがナギサに向かって走り出す。
その直前、リネルが泣きそうな顔をしているように見えた。

リネル:「ナギサさん!」

ナギサ:「やぁリネルじゃないか。またこの場所であるとは運命…デスティニーを感じるよ」

ナギサは爽やかな笑顔でリネルに応対をする。
対象的にリネルは、暗い顔をして黙っている。

ナギサ:「おや?どうしたんだい?元気…バイタリティーが無いようだけど……?」

リネル:「いえ。大丈夫です」

ナギサ:「そうかい?元気が無いといえば、この村にも元気が無いんだ……なにやら村を支えていた若者がいきなりいなくなってしまったらしいんだ。
    僕はこの村は大好きだったんだけども少し残念……バンメージだよ」

リネルの顔は青いを通り越して白くなってきた。

ナギサ:「そういえば、昨日、妙な二人組…コンビに出くわしたよ。最初は僕から金品を奪いに来たのだと思ったのだけれど、
    なんだか、僕の力を図っているような様子だったな……フフフ……世の中は謎に満ちているね。リネルも気をつけた方がいい。」

リネル:「ナギサさん!」

リネルが右腕をナギサに向ける。
ナギサは驚いてリネルの顔を見た。

リネル:「あなたの戦闘能力はすでに調べがついています。私と一緒に来てください……」

ナギサはしばらく、狐につままれたような顔をしていたが、すぐに笑みを浮かべた。
それは、彼がよくまとっている春風のように爽やかな笑みではない。
何かを諦めたかのような乾いた笑みだ。



ナギサ:「……そうか、そういうことかリネル」





Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.36 )
日時: 2012/06/24 13:30
名前:

第三十三話【最後のシ者】byリネル


 セルヴォ先輩から連絡が来たとき、私は耳を疑った。
妙な喋り方のパーティクルで、名前はナギサ。
彼が十二使徒の候補となるほどの戦闘能力を持っている。
まさか、あのナギサさんが十二使徒なんて……。

私は急いで先輩達と合流した。
先輩達が言うに、ナギサさんは反射のエキスパートらしく、ありとあらゆる攻撃を自由に跳ね返したという。
そして、こっちの方はまだ対策はできそうだけど、カウントアタックによるゴリ押しも強力だったらしい。
まさか、あのナギサさんが……戦いには縁のない人だと思っていたのに。

私はナギサさんについて思い出した。
初めて会った時は、ラヴド兵と旧エデンの残党の戦いを見ていた。
何故、彼らが戦うのか疑問を持っていた。
次に会った時は、傷ついた私を治療してくれた。
3度目にあったときは、平和なすすたけ村が好きだと言っていた。

そんな彼が。
平和、平和としつこいくらいに語っていた彼が。
独特の雰囲気をまとい、春風のように爽やかに笑う彼が。

十二使徒として戦争に参加している姿はとても想像できなかった。
でも
だが
しかし
私はナギサさんを十二使徒にしなくてはいけない。
あの平和主義者をエデン軍リーダー直下戦闘特化集団へ無理やりにでも入れさせる。

なぜなら、それがトゥルースの任務で私はトゥルースだから。


______________________________________________________



ナギサ:「……そうか、そういうことかリネル」


ナギサさんにはいつもの爽やかさはなかった。
むしろ重苦しい空気で、息がつまりそうだった。

ナギサ:「君は昨日の2人の仲間なんだね?」

「はい、私はエデンのトゥルースに所属しています」

ナギサ:「エデンのトゥルース……闇より深き闇の使者。君のようなメダロットがか……」

ナギサさんは更にショックを受けたらしく、自嘲気味に笑った。

「エデンは今、再びラヴドに戦争を仕掛けるために兵の増強を図っています。
 ナギサさんはその中でも特に戦闘に特化した集団に所属してもらうつもりです。もしも断るというなら……」

私は右腕に力を込めた。
ナギサさんがいつ、何をしても即座に彼にデストロイをあてることができるように。

ナギサ:「投降……サレンダーだ」

ナギサさんはがっくりと肩を落として言った。

「……ありがとうございます」

ナギサ:「デストロイ……僕の心の壁を越えるのにそれ以上兵器…ウェポンは無いからね。それに僕にもメリットが無いわけでもない。
    本当の平和を知るために、戦いを起こす者の気持ちを知ろうと思っていた。そういう意味ではエデンは最高の機関だ。だから……」

ナギサさんが私の目をまっすぐに見た。
とても悲しい目だった。
この世の全ての悲しみを背負っているかのような、そんな目だった。

ナギサ:「だから関係無いんだ……エデンに無理矢理入れられることは関係無い」

「何と関係が無いのですか?」


ナギサ:「僕の心がここまでに傷つき、引き裂かれ、砕かれたこととは関係ないんだ……!」


ナギサさんはいつもより少し大きな声で、怒気のようなものを込めて言った。

「………!」

ナギサ:「フフフ…すまない。少し取り乱してしまった。あまりにもショックでね」

「……何が」

ナギサ:「君が……戦争を望む者だったって事がさ」

「そうですか…」

そんな事言われてもしょうがないじゃない。
私はトゥルース。
エデンの利益のために働く、悪。

ナギサ:「君は戦いの痛みを知っているんじゃないのかい?」

「……!?」

戦いの痛み……知っている。
いや、それこそが私のトゥルース入りを決めた原因とも……


ナギサ:「君は綺麗な目をしている。平和を望み、他人の幸せを喜び、他人の不幸を嘆くことが出来る目だ」

「な、わ、私の何も知っているんです?」

ナギサ:「違うのかい? だとするなら僕の目も濁ったものだ……」

「ち、違います! 私は今から戦争を起こす悪の組織の一員です!」

違わない。
私はただ平和に暮らしたかっただけだ。
友と生活して、お互いに幸せにくらしていた。
友の死を心の底から嘆いた。

ナギサ:「何が君を歪ませているんだろうね?」

「私は歪んでなんかいません!」

ラヴドへの復讐。
それが私を歪ませたのか?
そう、今となってはどうでもいい復讐。
罪の無い者を巻き込んでまで達したいとは思えなくなった復讐。
達成してもなにも残らない復讐。
それが私を歪ませたの?

ナギサ:「本当に、これが君の本意なのかい?」

「当たり前です。これが私達トゥルースのやり方です」

ナギサ:「それは……君〝達〟であって君のやり方ではないだろう?」

「そ、そんなことないです!」

私はトゥルースだ。
だから……ここでこうしていることは正しいんだ。
だけど……。

ナギサ:「トゥルースのリネルは……トゥルースである前にリネルであるはずだ。これはリネルの望む物語…ストーリーなのかい?」




だけど、私がトゥルースである事自体が間違いなのかもしれない!




セルヴォ:「さて、ナギサとやら。話込んでるところ悪いがこっちもさっさと帰りてえんだ。エデンに来てもらうぜ」

遠くから様子を伺っていたセルヴォ先輩とビート先輩が話に割り込んできた。

ナギサ:「そうか、君もトゥルース…真実の闇か」

ビート:「とりあえず十二使徒に入るってこといいんだな?」

ナギサ:「ああ……そうだ」

セルヴォ:「さて、おめでとさん。お前が記念すべき十二使徒最後のメダロットだ」

ナギサさんは唐突にこちらを向いた。
とても寂しそうな……まるで親友がどこか遠くへ行ってしまうような、そうな表情をした。


ナギサ:「よろしく頼むよ、トゥルースのリネル。僕はパーティクルのナギサ、運命…デスティニーに仕組まれた最後の使徒。そして……」
   
ナギサさんは一度、目を瞑った。
そして何かを覚悟したかのように、言葉を続けた。



ナギサ:「さようなら。愛しく美しき僕の親友リネルよ」



Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.37 )
日時: 2012/06/25 01:00
名前:

第三十四話【Do or Die】byリネル


ナギサさんは私を平和を望む者だと言った。
他人の幸せを喜び、他人の不幸を嘆くことが出来ると言った。
それはナギサさんの勝手な解釈で、私はナギサさんが期待するようなそんな者じゃない……のだろうか?

実はナギサさんは私よりも私の事を良く見て、よく分かっているんじゃないのか。
ナギサさんと話している時に感じた動揺はそのせいではないのか?
私には分からなくなってしまった。



最後の使徒としてナギサさんがエデンに入った事により、これからエデンは本格的にラヴドに宣戦布告をする事になる。
もうすぐ。
もうすぐ戦争が始まる……。
それはすなわち、私のラヴドへの復讐が具体的な形となって現われることであり……
かつての私の親友のような犠牲者を。
何の罪も無いのに戦争に巻き込まれて命を落とす者を作り出すことでもある。
そして、私のような復讐者がまた生まれる。

これでいいの?

リーブさんのように仲間に罵倒を浴びせられ、ナギサさんのように信じた者に裏切られる者が増える。
これが私の望みなの?

私は……本当の私は……

メッシュのように仲間に囲まれ
ゴッドエンペラーのようにいつも笑っていて
ベルゼルガのように自分の信念を貫きたかったのではないの?

どうしてこうなってしまったの……

竜のように思慮深く行動しなかったからなの?
ハードネステンのように真面目でなかったからなの?

もう嫌だ……

タインのように何も考えず
レッドのように何も話したくない

でもそれは叶わず、私はひたすら考え続ける。
私は何を望んでいたのか?
ラヴドへの復讐がそんなにも大事だったのか?
私と同じような苦しみをラヴドに与えればそれで満足して終わるのか?


…………。


…………違う。


絶 対 に 違 う ! ! 



私はラヴドに復讐がしたかったんじゃない!
私がずっと胸に抱えていた怒りの炎はラヴドに向けられていたんじゃない!!
私は。
私は……

戦争に復讐がしたかったんだ!!


どうして今更になってこんな事に気が付いてしまうの?
もう遅い……。
遅すぎる……。

でも。

遅くなかったとしたら……。
まだ、間に合うとするなら。

私は復讐をしたい。
戦争に復讐をしたい。

抗って、戦って、戦争の犠牲者を一人でも減らしたい。

そのためには……。
それを実行するための具体的な方法は……。

うん。分かった。
私のやるべきことが分かった。
決めた。
決心した。


私の仲間達……
未熟な私と一緒にいてくれた愛すべき仲間達……

今までありがとうございました!
私、リネルは今日から戦争への復讐を果たします!!


命を、懸けて……挑みます!!

Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.38 )
日時: 2012/06/27 01:16
名前:

第三十五話【ラミエル3】byデュオ


 十二使徒任務が終了し、私にはひと時の休息を得た。
私は1人でトゥルースのお部屋にいた。
1人で……。


「結局……私は駄目な上司なのね」



______________________________________________________


人間とメダロット。
その戦争はメダロットの圧倒的勝利を目前としていた。
N・G・ライトの言うように知能と生命力、両方を兼ねそろえ神に等しき存在であるメダロットにとって
人間との戦争はまさしく赤子をひねるようなものだった。

私とラミエルさんの部隊は人間達側の要人達を避難させるための戦艦に進入していた。
得に苦労する事も無く、戦艦には乗り移ることが出来、あとは、中にいる人間達側の要人を皆殺しにするだけだった。

ラミエル:「さあ! これで仕上げだデュオカイザー君♪」

デュオ:「油断しないでくださいラミエルさん。まだ戦いは終わっていません」

ラミエル:「う~ん……その通りだ♪」

ラミエルさんはいつも軽口を叩き、私はいつもそれに対してあきれてツッコミを入れる毎日だった。
しかし、今思えば、ラミエルさんは私にわざとツッコませていたのかもしれない。
部下に直接「油断するな」と命令するのではなく、あえて自分を反面教師のように仕立て上げることで部下に学ばせる。
ラミエルさんにはそういうところがあった。
その事実に気が付き始めた当時の私は、少しずつラミエルさんを尊敬し始めていた。

デュオ:「多分この扉の置奥に目標がいるのだと思います……が内側から鍵がかかってますね」

私とラミエルさんは戦艦内部の守衛達を蹴散らし、一番奥の部屋へ続く扉の前にたどり着いていた。
扉は奇妙なほどに磨き上げられ、ピカピカと光っていた。鑑のように私とラミエルさんの姿が映る。

ラミエル:「……どうしようか?♪」

デュオ:「……とりあえずレーザーでも打ち込んでみましょうか?」

ラミエル:「う~ん。撃ち込んだら跳ね返って来たりしないよね?」

デュオ:「聞かれましても……」

ラミエル:「ちょっと僕が実験しみてみよう♪」

そういうとラミエルさんはシェルターに向けてレーザーを放つ。
そういえば、そうだった。
ラミエルさんは光学系攻撃のスペシャリスト。
私よりもよほど光学攻撃に精通していた。

が、そのレーザーは見事に反射され、ラミエルさんの下へと瞬時に返ってきた。

ラミエル:「うわぉ!!??」

ラミエルさんはとっさに横に跳び、反射されたレーザーを避けた。
……どう考えても跳ね返ることが出来なければ当たっていた。

ラミエル:「いやぁ危ないところだったよ……ハハハ」

もしも何も考えずに私がレーザーを放っていれば。
反射されたレーザーは私を貫いただろう。
このとき、実は、ラミエルさんは私を庇っていたのだ。

それまでにはそんな事は幾度と無くあった。
私が行動する前にラミエルさんが自ら危険を犯し、私を間接的に救ってくれていたことが。

ラミエル:「この光沢にはメダロットでいう反射のような効果がかかっているらしい」

デュオ:「では突破は難しいですね」

ラミエル:「う~ん。どうしたらいいと思う?」

デュオ:「指揮官はラミエルさんですが?」

ラミエル:「君の方が頭が回るだろ♪」

ラミエルさんは部下の得意不得意を、その本人以上に理解しているようだった。
適材適所に部下を配置できるというその能力は、まさしく部隊を仕切る者として相応しかった。
そして、極力自分が動かず、部下に手柄を与え、経験をつませることで、部隊全体の実力を上げもしていた。

デュオ:「……解錠してみましょう」

私は両腕パーツから出ている触手のような部分で扉の解錠を試みた。
かなり複雑な構造になっていて、時間は少し掛かったが、扉は開いた。

ラミエル:「流石はデュオカイザー君だ♪ 素晴らしい!」

デュオ:「どうも」

ラミエル:「素晴らしいついでに今度2人で乗馬でもどうだい?」

デュオ:「お断りします」

ラミエル:「残念♪」

そういいながらラミエルさんはドアノブに手をかける。

ラミエル:「……じゃあ、いくよ♪」

デュオ:「大丈夫です……」


ラミエルさんが扉を開けた。
私とラミエルはすかさず、両腕の武器を構える。
しかし……

ラミエル:「っ?」

デュオ:「な!?」

扉の向こうには私たちの予想外の光景が広がっていた。

デュオ:「誰もいない!?」

ラミエル:「…………やられたな」

デュオ:「ラミエルさん?」

ラミエル:「すでにここにいた人間はこの戦艦に積まれていた脱出ポッドで逃げ出したらしい」

ラミエルさんは部屋の隅にある、脱出用ハッチを指差した。
おそらく、もともとは脱出ポッドがそこにあったのだろうが、開かれたハッチがすでに脱出ポッドを使われている事を示していた。

デュオ:「……逃げられましたか」

ラミエル:「それだけならいいんだが」


ドドーン!!


と、その時戦艦全体が大きく揺れた。

ラミエル:「クソ、やられたか……!!」

ラミエルさんは急いで通信機を取り出し、甲板にいる一般兵達に連絡を取る。
が、通じない。
そして、戦艦は音を立てて、大きく震えだした。

ラミエル:「……元々、爆破する予定だったのか、それとも、脱出してから遠隔で爆破させたのか、ともかくこの戦艦はまもなく落ちるだろう……」

自らの命のピンチに、部隊のピンチに驚いた。
が、それと同時に、普段とはまったく様子の違うラミエルさんに驚いた。
窮地に陥って初めて素のラミエルさん。
聡明なる指揮官ラミエルを見ることが出来た。

ラミエル:「デュオカイザー、君はあのポッドを使って脱出しろ」

ラミエルさんは部屋の隅に1つだけ残った脱出用ポッドを指差して言う。

デュオ:「ラミエルさんはどうするんですか!?」

ラミエル:「…………飛び降りる」

デュオ:「そんな無茶な!」

無茶だった。
確かにメダロットは人間よりはるかに頑丈な体であるが、その戦艦の飛んでいる高度を考えれば、無事ではすまない。
落下の衝撃でメダルすらも砕け散り、絶命するだろう。

ラミエル:「だが、ポッドは1つしかない」

デュオ:「ならば指揮官であるラミエルさんが乗ってください」

ラミエル:「君に乗って欲しいんだ」

デュオ:「どうして!? 私よりラミエルさんの方が……」

ラミエル:「君は私の部下だ!」

デュオ:「……!?」

ラミエルさんは普段からは想像もつかないほど険しい顔で私を見て、大声を出した。
そして、しばしの沈黙の後、今度は聞いた事が無いような優しい声で話す。

ラミエル:「君は優秀な私の部下だ。そんな部下にはどうも情が湧いてしまってね……家族のように愛してしまう。
    部下を守ってこその上官。次世代への希望を守ってこその指揮官。そして……
    家族を守ってこその私、ラミエルだ」

そういって、ラミエルさんは不意に私の頭パーツにレーザーを撃つ。
私の頭パーツは一撃で機能停止し、私は有無を言わさず意識を失う。
意識を失う中で私は見た。
いつもの笑顔で。
無邪気な顔で笑うラミエルさんを。


ラミエル:「それにしても残念だ! 一度でいいから君と乗馬に行きたかったよ♪」



そして、その後、脱出ポッドの中で意識を取り戻した私は、向こうのほうで燃え盛る戦艦を見た。
後に、エデンの別の部隊によって、ラミエルさんの死亡が確認された。

その時私は誓った。

私がラミエルさんになると。
部下のための指揮官になると。
家族のためのデュオカイザーになると。
優秀な部下のままではなく、優秀なリーダーになると。

まもなくして、エデンでトゥルースが設立され、私はそこの主任となった。
ラミエルさんのような存在を目指して、今日までがむしゃらにやってきた。
人間達への勝利、ラヴドとの戦い、十二使徒任務……。
あの方を、ラミエルさんを目指してやってきた。
やってきたのだが……



______________________________________________________


デュオ:「ラミエルさん……」

誰もいない〝トゥルースのお部屋〟で私はつぶやく。

デュオ:「申し訳ありません。私は貴方にはまだ遠く及びません」

なにも出来ない私を恨んで。
何かもをしてくれた彼に懺悔する。



デュオ:「私は優秀な部下を、1人として守れませんでした」

Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.39 )
日時: 2012/06/27 03:14
名前:

第三十六話【APPEARANCE of TRUTH】byリネル


私、リネルはトゥルースを辞めた。
辞めた、といってもトゥルースには辞表なんて出すことは出来ない。
トゥルースは本来、途中でやめることができないから。
だから私はこっそりとエデン本部から逃げ出した。

きっとこれからエデンからは裏切り者として追われる身になると思う。
セルヴォ先輩、ビート先輩、デュオさん……皆と一緒にいられなくなるのは寂しい。
でも、
それでも、
私はこれで良かったと思っている。

体が軽い。
とても気持ちがいい。
世界が輝いて見える。

トゥルースにいたときには感じられなかった気持ちがたくさん湧いてきた。
かつて、親友とともに暮らしている時と同じ気分だ。
きっとこれが私の〝真実の姿〟なんだと思った。

ラヴドへの復讐に身を焦がすトゥルースのリネルではない。
戦争への抵抗をする普通の女の子リネルこそが私の本来の生き方なのだと分かった。

私は今、村から村へと渡り歩く旅をしている。
エデンが戦争を始める前に、何の関係も無いメダロットを非難させたいと私は思ってる。
だから、力になってくれそうな人を探して、今、各地を巡っている。
もしも、戦争が始まる前に、エデンでもラヴドではない、別の、第三の勢力を作ることが出来れば……。
2つの組織の激突を止めることが出来るかもしれない。
戦争で苦しまなくてすむかもしれない。

そこまでうまくいかなくても、皆で固まって力を蓄えれば、戦争に対して無抵抗ではなくなる。
皆で手を取り合って戦争からうまく身を守り、逃げることができる集団ができるかもしれない。

そうすれば、少しは戦争の被害者が減るかな。
復讐に身を染めるようなことはなくなるかな。
私のような人が生まれなくてすむかな。

分からないけど、とにかくやるしかない!
今の私は活力に満ちている!!


、とその時懐かしい声がした。
実際にはそんなに時間がたっているわけではないけれど、私がその声を最後に聞いたのが遥か昔のように感じていた。


セルヴォ:「さて、気味が悪いくらい元気だな、オイ」

ビート:「随分と、いい顔をするようになったものだ」


セルヴォ先輩とビート先輩!

「先輩!!」

私は思わず声を出した。
トゥルースこそ抜けたものの、やっぱりこの人達がどうしているのかはいつも気にしていた。
まぁ、といってもこの2人の事だからいつもどおり任務をこなしているのだろう。

セルヴォ先輩がため息を吐いていった。

セルヴォ:「さて、そんなにトゥルースの仕事は嫌だったか?」

「え、う~ん。まぁ……嫌でした」

ビート:「そうか……たしかに、君にはトゥルースのような汚れ仕事は似合わないな」

「ハハハ……どうも」

その後、しばらく、私はセルヴォ先輩とビート先輩と談笑をした。
十二使徒任務が終わったあとに、セルヴォ先輩、ビート先輩、そしてあのデュオさんと一緒に3人でお酒を飲みにいった事。
(セルヴォ先輩とデュオさんを中心にハードネステンへの愚痴で盛り上がったらしい。そんなに悪い人じゃないと思うけどなあ)
これからの私の事。
十二使徒達の今後の事。
(第二支部ビッグブロックの管理業務にメッシュが猛烈に立候補したらしい)
色んな事を喋った。

もう戻る事は出来ないトゥルースでの日々だけれど……この瞬間はトゥルースに戻ったような気がした。
それと同時に、ふと自分がリーブさんやナギサさんにしてしまった事を思い出して、胸が締め付けられるような感覚になった。
でもこれから。
これから彼らが戦争をしなくても良くなるように頑張らなくちゃ!!


「そういえば先輩達、今日はどうしたんですか? 任務の途中ですか?」

会話の流れでなんとなく、私は先輩達に聞いてみた。
なんだったら罪滅ぼしもかねて、少しくらいなら先輩達の任務に協力しようかな、くらいの気持ちがあったかもしれない。

セルヴォ:「……さて、……まぁそうだな任務だ。……なぁビート?」

ビート:「ん……まぁ、任務だな」

と、急に先輩達の歯切れが悪くなった。
やはり、部外者には詳しい任務の内容は言えないのかな?

セルヴォ:「さて、ビート……今回の俺達の任務は?」

あれ?ちがう。
何か任務教えてくれようとしてる。

ビート:「………………」

あれ?やっぱり教えちゃ駄目なの?

セルヴォ:「さて、言いたくないならしょうがねえ!」

ビート:「いや、待て、言う!」

「どうしたんですか?先輩達なんか変ですよ?」

本当に今日の先輩達は変だ。
いつもなら得意げにセルヴォ先輩はビート先輩に任務を訪ねるし、ビート先輩は間髪いれずそれに答える。
なんだか、今日は全然違う。
まるで、任務をするのが嫌みたいな……
出来れば、任務を避けて通ろうとしているような……

あ。

そこまで考えて私は自分の体が急に重くなったように感じた。
腹部の部品が全部3センチくらい下にずれてしまったかのように感じた。
背筋がなんだか冷たくなった。

セルヴォ:「さて!俺達の任務は……」

ビート:「俺たちの任務は……」


まさか……。


私が気がついたとき、2人は同時に任務を告げた。





「「 裏 切 り 者 リ ネ ル の 抹 殺 」」






Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.40 )
日時: 2012/06/27 03:14
名前:

第三十七話【最期のわがまま】byリネル


私は走り出した。
うかつだった。
本当にうかつだった。

エデンから追っ手が来ることは分かっていた。
そして、私は元トゥルース。
エデンの中でも私を対処できるようなメダロットはそういない。
だったら、私の追っ手として選ばれる刺客は……十二使徒かトゥルースしかいない!

そして、私の癖を知っている、私の弱点を知っている、トゥルースのメンバーが私を殺しに来る事は十分考えられた。
どうして、気が付かなかったのか。
冷静に考えればわかったはずなのに。
トゥウースを抜けて腑抜けてしまったのかリネル!

とにかく、今ここで殺されることはまずい。
全力を抵抗をしなければ……。

私はまず、人通りの多いところを目指した。
現状、エデンにとって人目のあるところで殺しはしたくないはず。
ならば、先輩達の動きを牽制できるかもしれない。

「…………!?」

いや、甘い。
そう簡単にはいかない。

ビート先輩が後方から放ったミサイルが私の進行方向の道を吹き飛ばす。
私が怯んでいるすきにセルヴォ先輩は私に追いついた。
つかまるまいとして、私はデストロイを地面に向かって放ち、砂埃を巻き上げた。
それにまぎれて逃げるつもりだったが、相手がわるかった。
何せ、目の前にいるのは索敵行動をもつKWG型メダロットセルヴォなのだから。

セルヴォ先輩の左腕ハンマーが私に襲い掛かる。
このスピードはかわせない……だったらしかたがない。
あえて受ける!

セルヴォ先輩のハンマーは私の右腕を砕いた。
私は右腕を殴られた力でそのまま回転して左腕を構えた。
この角度、そして、がむしゃら行動後で隙だらけのセルヴォ先輩……いける。
私の左腕、デストロイがセルヴォ先輩の右腕を捕らえた。
見事セルヴォ先輩の右腕は大破。
脚部にも貫通し、セルヴォ先輩のスピードは封じた。

今度こそ逃げ切る。

……思ったときには私の脚部パーツを一発の弾丸が貫いていた。

「……なっ!?」

私はバランスを崩して倒れる。
そして、それは、この逃亡戦においては致命的な事だった。

目の前にいたセルヴォ先輩が再びハンマーを振り上げ、私の脚部を完全に破壊する。
そして、追いついてきたビート先輩が私の頭にライフルの銃口を向けた。

セルヴォ:「さて、大人しくしろ……そうしたら楽に往かせてやる」

ビート:「無駄は抵抗は……止すんだ」


私の負けだ。

ううん。
分かってた。
私は絶対にこの2人に勝てないことは分かっていた。
この2人は私の先輩だもの。
エデンのエリート集団トゥルースの中で生き残り続けた最強の先輩達だもの。
私が……かつて目指した先輩達……。


「分かりました。任務を遂行してください」


負けたけど悔しくない。
むしろ清清しい気分。
確かに私はセルヴォ先輩に負けた。
ビート先輩に負けた。

でもそれ以外には勝った。
ラヴドへの復讐心には打ち勝った。
嘘の自分に打ち勝った。
トゥルースの信念に打ち勝った。

私はまったく心動かされていない。
トゥルースを辞めたことをまったく後悔していない。
これで良かったとすら言える。


セルヴォ:「さて、最期に言い残すことはあるか?」

「甘いんですねセルヴォ先輩、さっさと殺さないと逃げちゃいますよ?」

ビート:「……逃がしはしないぞ」

「分かってますよビート先輩、それに私はこれでも幸せです。セルヴォ先輩とビート先輩に殺されるなら……なかなか幸せです」

でも。
まだ少しだけ、先輩達と話したかったかもしれない。
あーあ、なんでさっきあんなこと聞いちゃったのかな。
あれを聞かなかったらもう少し長く話ができたのに……。

「デュオさんに伝えてください。デュオさんの部下になれて良かったって、私はトゥルースを好きになれなかったけどデュオさんは大好きです」

セルヴォ:「……さて、伝えておこう」

「それから2人にも」




「ビート先輩、今更な告白ですけど。好きでした。廊下で頭ぶつけっちゃった時に一目惚れしてからずっと好きでした」

ビート:「…………」

「セルヴォ先輩、初めて会った時は先輩の事駄目な人だって勘違いしてましたけど、今は凄く尊敬しています。誰よりも私に多くの事を教えてくれました」

セルヴォ:「…………」


「もし良かったら、私の最期にわがままを聞いてください」


「私はトゥルースという仕事は最期まで好きになれませんでした。だからトゥルースに殺されるなんてまっぴらごめんです。だから……」

「〝トゥルースのセルヴォとビート〟じゃなくて、〝尊敬する大好きな先輩〟として、私を殺してくれませんか?」

ビート:「……リネル」

セルヴォ:「……さて」

先輩達はしばらく私の目を見つめると、無理に笑顔を作ってくれた。
セルヴォ先輩はニヤッといつものような悪そうな笑い。
ビート先輩は表情の変化こそあまり無いものの少し満足そうな顔。

あぁ……先輩達だ。

セルヴォ:「さて、糞後輩! もう面倒かけるんじゃねえぞ!」

ビート:「リネル、次の任務も頑張れよ」


「……はい! ありがとうございました!!」


セルヴォ先輩が左腕を思いっきり振り上げた。
それをみたビート先輩があわてて右腕に力をこめる。
セルヴォ先輩はビート先輩にとどめを刺させないために。
ビート先輩はセルヴォ先輩にとどめを刺させないために。

最高のコンビだ。

そして、最高の先輩達だった。

ありがとうございました。

そして……

さようなら。


愛しく尊い私の先輩達。


Re: APPEARANCE of TRUTH ( No.41 )
日時: 2012/06/27 03:15
名前:

最終話【罪】byビート



パリンッ……!


小さな金属音がなり、1つの命が消えた。
しばらくの静寂の後、相棒は言った。

セルヴォ:「さて、……任務……完了」

これほどまでに暗い「任務完了」の一言を俺はこの男の口から聞いたことがない。
たった今死んだ裏切り者リネルの屍を抱えて、セルヴォは言う。

セルヴォ:「さて、……最期の一撃は俺のハンマーだったな」

「いや、俺のライフルだった」

セルヴォ:「俺だ」

「俺だ」

セルヴォ:「俺だっつってんだろうが!!」

目をぎらぎらと光らせて、セルヴォは吼えた。

「……俺だっ!!」

柄にも無く大きな声を上げてしまった。
俺もまた随分と精神が乱れているらしい。
トゥルースあるまじき精神状態だな。

今更、メダロット1体の命を散らせたところで、俺達は何も変わらないというのに。
そして、その命を惜しんだところで、やはり俺達は変わらない。

セルヴォ:「さて、どーでもいいや。先に帰るわ」

セルヴォはそういって1人で歩き出した。

セルヴォ:「お前は、遅れて来い。報告やらメンドクセー事は全部やっといてやるよ」

「……分かった」

同じく、精神の落ち着かない相棒を1人にしてやることにした。
……俺もまた1人でいたいからな。


最期のリネルの顔が脳裏に焼きついていた。
今まで俺たちが殺してきたメダロットとは違う。
恐怖に染まり、絶望した顔ではなかった。
希望に満ちた、至福の顔であった。

彼女の精神はあの瞬間遥かな高みにあったのだろう。
俺は彼女を尊敬する。

が、俺は決して彼女のようにはならない。

相変わらず、この手を汚し続けるし、悪であり続ける。
それが俺達だ。


これが俺達トゥルースの姿であり、


これが俺達トゥルースの仕事であり、


これが俺達トゥルースの希望であり、


これが俺達トゥルースの絶望であり、


これが俺達トゥルースの幸せであり、


これが俺達トゥルースの不幸であり、


これが俺達トゥルースの喜びであり、


これが俺達トゥルースの悲しみであり、


これが俺達トゥルースの怒りであり、


これが俺達トゥルースの楽しみであり、


これが俺達トゥルースの情熱であり、


これが俺達トゥルースの誇りである。


そして



これが俺達トゥルースの罪である。


永久に許されることのない、背負い続けなくてはいけない罪だ―――――――――――――――――――









~THE END~

Re: APPEARANCE of TRUTH(完結) ( No.42 )
日時: 2012/06/28 23:12
名前:

おまけ【あとがき】by 作者



そも、地です。
なんとか完結いたしました。
ちょこちょこっとあとがきを書いて今回は終わろうと思います。
談話室はございません。そういう雰囲気の終わり方じゃなかったので。


~リネルについて~

本作で出た唯一の新キャラクターです。
ラヴドへの復讐心をもつけど、普通の女の子。
彼女は感覚的に普通の人に近いので、一人称視点でも書きやすかったです。逆に他の3人はかきにくかった!
ディサピア、リアピアに登場していない。というところからリネルがどうなってしまうのか、気にしてくれていた方は多いはず!
おおよそ予想通りな結果となりましたが……。
ちなみに彼女の過去編はやるかやらないか考えた末にやらない結論に落ち着きました。
過去編の役割としては「ラヴドへの復讐心に説得力をもたせる」ということになると思うのですが、
物語的には「ラヴドへの復讐心に説得力が無くなっていく」がメインだったので。


~デュオカイザーについて~

心の声を聞くことでかなり印象の変わったキャラではないでしょうか。
過去編とかもあって今回のデュオさんは前作、前々作とは一味違うぜ!
ラミエルさんについては絵茶会でゼブラーさんが描いた絵に凍零さんが冗談で「あれはラミエルっていってビームうってくるよー」って言って生まれたなんともふざけたキャラ。
(たしか当時エヴェ序が公開されたころだった)
その割にはかなりデュオさんを語る上で便利なキャラになってくれました。ラミエルさんに私も救われました。
ちなみにアピトゥルのデュオさんは本部で指令を送ってるだけです。
ディサピアやリアピアの時のように直接動いたりはしません。
むしろ、アピトゥルで起こった事件がきっかけで、自分でも現場に行くようになったのです。


~ビートについて~

トゥルースの中で一番キャラたってないと思ってたビートですが、心の声まで書いてみるとその素朴な雰囲気が妙に可愛いかったです。
本作では何が起こっているかを淡々とかけるので、割と便利でした。
あととってつけたかのようにビートの過去をちょろっと出してますが、セルヴォも書いたしデュオさんも書いたしビートもって流れです。
最終話の担当者が彼である理由は「セルヴォで始まり、ビートで終わる」物語にしたかったから、ええコンビやでぇ。
あとリネルの恋心は最後までスルーし続けるという鈍感さを見せ付けました。これまた可愛い。


~セルヴォについて~

トゥルースの中で一番キャラたってる人だと思ってたセルヴォ。
実際、この人視点のときは心の声がメチャクチャ書きやすかった。
けど、この人の美学的な特有の感覚みたいなのはちょいむずかった。そんな感じ。
本作では、ギャグ担当として誰よりも叫んでいただきました。(主にメッシュ編)
ギャグもシリアスもこなす万能役者セルヴォの活躍にこれからもご期待ください。


~バッドエンドについて~

本作は、最後の最後でリネルがエデンを裏切り、そしてあろう事かそれをセルヴォとビートが抹殺するという何と者救いの無いエンドでした。
いわゆるバッドエンドというものですが、まず、私はバッドエンドが嫌いです。
その理由としては、「達成感が無い」ということです。
物語の始まりと終わりでは何らかの進歩とか目的を達成したりだとか、救われた感だとかが必要だと地は考えています。
バッドエンドはそういったものを含んでくれず、なんともいえない残尿感になります。
では、何故今回バッドエンドにしたかというと、このお話がディサピアとリアピアよりも前のお話だからです。
つまり、アピトゥルではバッドエンドでもその後、セルヴォ達がまた元気になって仕事に励むことが分かっているのだから、あからさまなバッドエンドにはならないのではないかと思ったのです。
ハッピーエンドを迎える前段階のバッドエンドです。
よって、本作で救われなくてはいけないのはリネルただ1人。
ですから、リネルは最後に死んでしまうものの、後悔の念だけはまったく書きませんでした。
絶頂の幸せと満足感の元でリネルを死なせてやる。
これがハッピーなバッドエンドではなかろうか、と考えた上でのことでございます。

~その他もろもろ~

・本作における最強キャラはお竜さんです。トゥルース的にはここまで相手にしづらい敵もいなかったでしょう。
・ちょいちょい、ベビーとかシャインとかとビート、セルヴォが出くわしますが、忘れてます。だから次会った時も覚えてません。
・レッド編にて登場した謎の人物ネクロデス先生……かれの詳細はまた今度。
・黒歴史の話は個人的には気に入ってます。メタ発言っぽくしつつ、世界観に絡めつつみたいなね。
・ぶっちゃけ、今回の一番のターニングポイントはリーブ編でした。あそこから一気に後半のリネルの迷いに拍車が掛かります。
 だから、最後の十二使徒はリーブでも良かったんだけど……
・最後の使徒といえば渚カヲル!そして、ナギサの元ネタはカヲル君!これはナギサさんが最後の十二使徒になるしかねーだろ!
 って理由で最後の使徒はナギサです。「最後のシ者」ってタイトルもまんまエヴァ。
・今回のメッシュは地味に書きづらかった。次元の狭間に入る前は以外と無個性な子だったのかもしれない。
・チャン『パ』ラソードはレジェンドネタです。サーセン。
・まだいろいろある気がするけど……こんなとこで。


それでは。
これでAPPEARANCE of TRUTHはおしまいです。
皆さんの感想が無ければ一生書き上げることは無かったと思います。
本当にありがとうございます!

それでは……



次回作『THE END OF DISAPPEARANCE』でお会いしましょう!!!