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RSSフィード SS書こうぜ!
   

日時: 2008/03/22 01:57
名前: 鎌兎

どうも。鎌兎です。
今回は気分転換にSSを書きましたので投稿させていただきます。

息抜きとして、皆様もSS書いてみませんか?
書いてみたいでしょう? そうでしょう?
ん・・・別にいいや?
そんなこといわずにさぁ!さぁ!さぁ!
思い切って書いてみましょうよ!



ターゲット(3) ( No.11 )
   
日時: 2009/06/20 01:15
名前: 鎌兎
参照: http://book.geocities.jp/rento_sky/

 予期した痛みは、いつまで経っても襲ってこなかった。痛みを感じる間もなく、死んだのかな、などと暢気なことを考えていた。
 ゆっくりとまぶたを開く。
 そこでは、私の予想だにしない展開が待ち受けていた。
 真っ赤な液体が、地面へと垂れる。それは黒く大きな染みを作った。ぽたりぽたりと絶えずに赤い水滴は落ち続ける。その度、染みは大きくなり、土が滲んでいく。
 水滴の出所を、目で追う。そこで、私は今度こそ驚愕した。
 さっきまで私を襲っていた男の手に、深々と刃物が突き刺さっていた。
 そこから血が吹き出し、地を黒く染めていた。
 私は、声が出なかった。
「ぐ、あああああああっ」
 男――関谷くんが、初めて悲鳴を上げた。
 やっと、痛みと、自分の状況に気がついたのだろう。
 そして、彼の体が大きく揺れた。いや、倒れたのだ。私の横に突っ伏し、痛みにのたまう。
「うあああっ」
 そのとき、私の目に別の人間が映った。
 一瞬で理解した。
 この人が、私を助けてくれるのだ、と。
 私は立とうともがくが、両手を縛られていて上手くバランスがとれずに寝転んでしまう。なおも立ち上がろうとするが、膝が震えて立つことができない。
「やはりきたか……っ」
 私の横で、狂気に満ちた声が発せられた。
 関谷くんが、自分を転ばせた人物に向かって、言葉を投げかけたのだ。
 その彼の口調は、まるで闇の向こうにいる、顔もわからない人間の正体を知っていうかのようだった。
「ああ、おまえを殺しにきたんだ」
 声は、男のようだった。
 そしてまた、彼も関谷くんのことを知っているようだった。
「殺しにきたなんて物騒だな」
 関谷くんは立ち上がる。けれど、その足元はふらついていて、気力だけで立っているような感じだ。
「刃物を振るって、女子を犯そうとしているやつにいわれたくはない」
「まったくだ。だがな、最初はおまえがやろうとしていたことだ。だから、おまえにそんなことをいわれるなんて、心外だな」
 私は耳を疑った。関谷くんと話しているこの男も、私を犯そうとしていた? 最初はこの男が、私にこんなことをしようとしたいた?
 わけがわからない。
 私は今、どんな状況下にいるのだろうか。
「ああ、だからこそ、おまえを殺すんだよ、関谷」
「よく俺だとわかったな」
「ここからなら、薄っすらだけど顔が見える」
「それだけじゃないだろう、理由は」
「教室で、偶然女子の会話を聞いた。おまえが、山科に興味があるんじゃないかってな。そして、僕はあの手帳を落とした。これも偶然だ。あの手帳を誰かが拾ったとして、内容を読んですぐさま実行に移そうとは思わないはずだ。だけど、そうじゃないやつもいる。僕にこの前、話しかけてきたのは君だ。『おまえ、山科に興味あるのか』って。これは、不安からの行動の表れだ。女子がいっていた内容も考えれば、合点がいく。そして、手帳を読んだおまえは焦った。僕に、山科を殺されてしまう、そう考えたおまえは、僕よりも早く計画を実行しようと、先回りした。そして、僕の計画通り、犯行に及んだ。僕の計画を使ったのは、それが一番確実だったからだろう。そして、自分も快楽におぼれたかったからだ。僕から彼女を守ることだって、なんなくできたはずだ」
 私は、彼のいっている内容の半分しか理解できなかった。もう、なにかを考える余力は残っていなかった。
「ははっ……」関谷くんが乾いた笑いを漏らす。「ほとんど正解だよ。でも、ちょっと違うところがある。俺は、手帳を見ておまえの計画の内容を細かく知った。でも、それ以前から、おまえがなにかしようとしているのは知っていたんだ。おまえが、ずっと山科のことを観察しているのも、放課後、山科を尾行しているのも、俺は知っていた。なにかあるな、とは思っていたんだ。そして、今日のおまえは、どこか気を張っていた。だから俺は、おまえがなにをしようとしているのか、知らなければならないと思ったんだ。狙いは、手帳だった。おまえが、以前から大事そうにしているのを、なんども見ている。なんどもなんども読み返しているのも。今日、帰り際にまで見ているのも。その手帳に、なにかがあると、俺は確信していた。絶対見なければならないと思った。そして、それは成功した。おまえが、席を立ち、トイレにいっている隙に、見ておいたんだ。おまえは必ず、一日に一回トイレにいくだろう」
「なるほど、うかつだったな。トイレにまで手帳を持っていっては、逆に怪しまれるだろうと思って置いておいたんだけどな」
 完全に、私の存在は忘れられているようだった。今なら、この場所から逃げられるんじゃないか。そう思って、ちょっとずつ後退し始める。音を出さないように、静かに這う。
「さて、話は終わりだ。僕はこれから、君を殺す」
 陰で見えない男が、じりじりと関谷くんに迫る。そして、一歩大きく前進し、一気に詰め寄る。白刃がきらめき、関谷くんを襲う。彼は間一髪でこれをかわすと、襲ってきた男の背後へ回り込んだ。しかし、反撃には転じない。腕の痛みで、それどころではなかったのかもしれない。けれど、腕に刺さっていた刃物を抜き、無傷の腕のほうで、それを構えなおした。関谷くんも、臨戦態勢だった。
「山科さん」
 私の目の前にきていた男がいう。その声音には、さきほどまでの威圧感はこもっていなかった。
「これにちょっと触って」
「え……?」
 目の前には、刃物の柄があった。どうしてだろうか。まるで意味はわからない。だけど、手を伸ばしてそれを握った。
「ありがとう。さ、早く逃げて」
 うなずいて、私は両足にしっかと力を入れて踏ん張る。不思議と、膝の震えは収まっていて、すんなりと立つことができた。
 ただ、それでも両手を後ろで縛られているため、走ることはできない。早足で歩こうにも、さっきまで恐怖で笑っていた足は、思うようには動いてはくれなかった。
「待てっ」
 背後から関谷くんの怒鳴り声が聞こえる。私は、それに構わず、公園の外へ出ようと必死に足を動かした。
「さあ、あとは……」
 私の背後で、地を蹴る音がした。


 白刃が街灯に照らされ、きらめく。
 とっさに身を引くと、さっきまでいた場所に刃物が突き刺された。
「くっ……」
 数歩、間合いを取る。刺された腕を見る。傷はだいぶ深い。血がとめどなく溢れてくる。ただ、アドレナリンが大量に放出されているせいか、ほとんど痛みを感じることがないのが幸いだった。
「このっ」
 薄闇の向こうの人影を目掛けて、無傷の腕で刃物を振るう。薄闇の中、刃先を濡らしている俺の血液が飛び散った。感触はない。刃物は空を切った。
 闇の中、きらりと光るものを見て、一歩、二歩と後退する。目の前を、鋭利な刃が通り過ぎる。
 たらりと、生暖かいものが頬を伝う。手を伸ばし、触ってみると、それは血だった。額から垂れてきている。さきほど、かすったのだろうか。傷は浅いだろう。しかし、予想以上に流れ出ていた。額は、傷が浅くとも、地が多く出る箇所だ。
「ちっ」
 血を拭う。ひとまずは、それしかできなかった。
 正直、やつのことを甘く見ていた。いつも一人でぽつねんとしていて、見るからにひ弱そうなあいつだ。組み伏せてしまえば、簡単に勝負がつくと思っていた。しかし、あいつは動きを捉えさせないように動いている。刃物を取り上げようにも、この暗闇では難しい。
 足音が止まる。どうやら、動きを止めたようだった。俺とやつの荒い息が静寂に包まれた公園を支配する。
「おまえの負けだ」
 息を整えていると、暗闇の向こうから声がした。やつの声だ。
「どういうことだ」
 俺は、たまらず訊き返す。
「山科さんは、もう家に逃げ帰っているだろう。おまえは、もう終わりだ。山科さんが証言すれば、おまえは捕まるだろう。つまりおまえは、社会から死ぬことになる」
「おまえのいっていた〝殺す〟ってのは、そういう意味か」
「そうだ。おまえは、社会から完全に死ぬことになる。俺が、おまえを殺すんだ。出所したところで、世間はおまえに冷たい目を向ける。もう、まともには生きていけなくなるんだ、おまえは」
 嘲笑うかのような口調に、頭に血が上るのがわかる。
「このやろう……っ」
 地を蹴り、突進する。刃物を構え、突き刺すが、空を切ってしまう。しかし、相手の動いたほうに合わせて、立て続けに刃物を振るった。やつの後退にあわせて踏み込み、振るう。捉えた――そう確信する。次の瞬間、金属音が公園に響いた。刃物を、刃物で防がれたのだ。しかし、やつの刃物は、勢いに吹き飛ばされ、俺の背後へと飛ばされる。
 決まった。
 今度こそ確信して、刃物を振り上げた。そのとき、左目に額の血が流れ込む。
「うっ」
 思わず動きを止めてしまった。
 瞬間、どん、と腹に鈍い衝撃が走った。片方の手で、突き飛ばされたのだ。後方によろめき、背後から地面に落ちる。背中を打った衝撃で、刃物を手放してしまった。血のついた刃物は、やつの足元へと転がった。
 やばい。
 本能が急きたてる。慌てて身を起こし、後方へと落ちた刃物を探す。幸いにも、刀身が街灯を反射していて、すぐに見つけることができた。
 それを拾い、構えなおす。やつは襲ってこようとはせず、ただ息を整えているだけだった。
 なにかがおかしい。
 俺の中の冷静な部分が、頭を回転させる。
 やつは、なにを狙っている――?
 そして、はたと気づいた。
 俺は、完全に負けたわけではない。
 まだ、大丈夫だ。まだ、逃れられる術はある。
「ははっ……笑わせてくれる。俺を、殺すだと?」
「なにっ」
 相手がぴくりと反応したのを、暗闇を通して感じる。
「そこから、これが見えるか?」
 俺は、傷ついた自分の腕を上げた。
「この、傷ついた腕が」
「……っ」
 相手は息を飲む気配が伝わる。
「これは、誰がつけた傷だ?」
 つまり、俺の腕に傷がある以上、傷をつけた相手がいる、ということだ。
「これが、警察に見つかれば、おまえも一緒に終わりだ。お陀仏なんだよ」
 静寂。
 とたん、笑い声が聞こえた。
「なにがおかしい」
「いいや、自信たっぷりにいうから、いったいどんな策かと思ってななんのことはない、すでに想定済みだ」
「なんだと?」
 今度は、俺が眉を吊り上げる番だった。
「それは山科さんがおまえから刃物を奪って、正当防衛のためにつけた傷だと判断される」
「しかし、刃物には指紋がついているはずだ」
「ああ、そういえば、手帳の必需品欄に、〝軍手〟と記すのを忘れていた」
「――っ」
「俺は軍手をつけている。したがってその包丁には、君と山科さんの指紋しかついていない」
「待て、いつ彼女がこれに触った」
「逃げる直前に柄を握らせておいたんだ」
「なんてことだ」
 愕然とした。もう、打つ術はなかった。
 膝をついた俺を、やつは見下ろす。その構図が、やけに気に食わなかった。いつも、目立とうとはせず、誰とも話さず、俯いて座っているだけの、こいつに。みんなから、空気扱いされているこいつに。今、見下ろされている自分。ひどく、惨めで情けないかっこうだ。
 一矢、報いたい。
 そう、強く思った。
 このまま捕まるくらいなら、こいつを殺してからだ。
 その考えに、頭が一杯になる。次から次へと、憎しみの念が沸いて出てきた。
「さて、あとは……」
 やつはそういうとこちらに歩み寄ってきた。
 飛んで火にいる夏の虫だ。
 俺は、地面を見ながら、口元を吊り上げた。
 やつが、俺の目の前で止まる。同時に、強く刃物を握りなおした。
「さて、手帳を返してもらおうか」
 いまだ――起き上がりざま、刃物を突き刺す。
「うらああああああっ」
 深深と突き刺した感触があった。
 刃物は、やつの胸に、根元まで突き刺さっていた。
 地に落ち、瀕死の状態で、なおやつは口を開いた。
「手帳は……返して、もらえなかったか。まあ、いい。ほとんど、計画、どおり……だ」
 途切れ途切れに話す。
「計画どおりだと?」
「もとから、僕は……これ以上、生きていく気なんて、なかったんだ」
 息も絶え絶えに、今にも死にそうなのにも関わらず、それでも続けた。
「手帳さえ……返してもらえれば、完全に君を、犯人に、できたのに。でも、僕を、殺して、しまったんだから……君は、立派な犯罪者だ」
 そこまでいって、やつは力尽きた。
「そういうことかよ」
 俺は、唾を吐き捨てる。
 あいつは、もとから今日を命日に決めていた。そして、計画を実行した。いや、しようとした。そこで、俺という邪魔が入った。だから、計画を変更して、俺に自分を殺させようとした。そして、邪魔をした報復に、俺を殺そうとしたんだ。この人間社会から。
 そこまで考えて、おかしなことに気づいた。
「俺……手帳なんて持ってないぞ」
 あいつは、俺が手帳を持っているようなことを、正確にいえば拾ったようなことをいっていた。
「でも、俺は……〝手帳なんてはじめから拾ってなんていない〟」
 空を仰ぐ。しかし、星空は木々が邪魔をしていて見えなかった。
 そして、ある考えにいたったとき――突然、胸の辺りに痛みが広がった。そして、そのまま、俺の意識は遠のいていった。完全に意識がシャットダウンされる寸前、声が聞こえた。
「当たり前だよ。手帳は俺が持ってるんだし」
 どこかで聞いたような声だった。


「ふう、かなり大変なことになってんなあ」
 公園の茂み。道路からでは見えない位置に、今、死体が二つ、転がっている。
 すべては、放課後、教室で拾ったあの手帳からだった。
 手帳には、ある犯罪に関する詳細が事細かに書いてあった。
 正直、驚いた。
 腰を抜かしそうになったといってもいい。
 それは、あまりに完〓だったからだ。完〓すぎて、不測の事態さえも、計画通りになってしまった。つまり――転がっている死体は、二つ。計画どおりでは、製作者と女子の死体が。現在は、製作者と不測の事態の二つ。
 この計画は、俺にも十分に可能な内容だった。ただ、決行日が今日だったのには驚いた。というより、焦った。山科は、いつも教室の片隅で本を読んでいるようなおとなしい女子だったが、それなりに興味があったからだ。今、俺のポケットにあるこの手帳には、彼女の名が記載されていた。犯したいと思ってしまった。
 俺は、教室を飛び出した。家に帰り、手袋を用意する。いくら必需品欄に書かれていないからとっても、刃物を扱う以上は指紋には気をつけなければならないと思ったからだ。
 そこから、全速力で公園へと向かった。
 そこではすでに、行為が行われようとしていた。俺は茂みに隠れていた。飛び出そうかと迷っていると、別の男が現れ、山科は逃がした。俺にとっては逃げる山科よりも、この二人の生死のほうが重要だった。二人が死ねば、あとはやりやすくなる。山科を独り占めできるのだ。俺は、成り行きを見守ることにした。
 そして、あとから現れた男は死んだ。
 俺は、行動に移す。すでに死んだ男の近くに落ちていた刃物を握り締め、茫然自失状態の男にこっそりと近づき、手をやつの前に回し、心臓目がけて刃物をつきたてる。
 わざわざ前から突き刺したのは、自殺に見せかけるためだ。
 死んだ男のものを選んだのは、指紋がついているためだ。
 気づかれないか、かなり緊張したが、興奮状態にあった男は、俺に気づくことはなかった。
「これで、俺に注意が向く可能性は低くなったかな。まあ、すぐにばれさえしなきゃいいか」俺は、ほくそ笑んだ。「山科は明日、学校くるかな」


The end


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