>> メダロットライズ にもどる
Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.3 )
日時: 2011/06/21 16:33
名前: 通りすがりのコンビニ店員



第三話『脱兎できず』





「本当にありがとうございました」

 私はメダロットさんに頭を下げる。
 私たちが今いるのは公園で、無事に私はガラス代を弁償することなく逃走することに成功していた。

 それもこれも、メダロットさんのおかげ。

 四人の攻撃を次々とかわし(しかも私を抱いたままで)、見事に相手をまいてくれた。

「リミッターのおかげで下手な攻撃はしてこなかったからな」

 メダロットさんがよくわからない説明をした。

 リミッター?

「まっ、こっちも親切でしたことじゃない。言うことはきいてもらうからな」

 ギクッ。

 やっぱりですか。
 お礼だけ言って逃げるとか無理ですよね。

「ちなみに……いったい、私は何をすればよろしいので?」

 おそるおそる聞いてみる。
 メダロットさんは満面の笑みで答えてくれた。

「友人を盗みにいく。手伝ってくれ」

 やっぱり真っ当な頼みじゃなかった。

 とほほほ。

              第四話へ続く

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.4 )
日時: 2012/06/26 12:47
名前: 通りすがりのコンビニ店員

第四話『コンビニで二十万もするもん誰が買うかよっ!!』




 こっちにきて、わかったことがいくつか。

 ひとつ。
 日本円はこっちでも使える(ビックリ)。使えてもたかがしれてるけど。

 ふたつ。
 どうやらここは異世界らしい。
 『未来にタイムスリップ』という線も疑ったけど、図書館で歴史を探ってみたら一発だった――ここは異世界だ。

 みっつ――これが元の世界と決定的に違うこと。
 メダロットについて。
 メダロットは「メダルで動くロボット」のことで、メダロットさんの名前じゃない。
 メダロットについてはコンビニのカタログを五時間立ち読みしたから……まぁ、だいたい把握した。

 立ち読み中、店員さんが三人かわったけど気にしてない。
 最後まで熟読してやった。
 だって二十万もするんだもん。買えるかッ!!

 
 私がこっちの世界を調べている間に、菊くん……私を助けてくれたサーベルタイガー型メダロットの菊之内くん(命名わたし)には、今日の寝床を探してもらった。

 名前がないらしいので勝手に決めたら激昂してケンカになった。
 しかしリミッターがあるので無論、私が勝つ。
 勝ったらおとなしく従ってくれた。

 ついでに従うときの前置きがこれだ。

「いいか。お前の言うことは聞くけど、別にマスターの命令としてきくわけじゃない。ましてやお前が美人だからでも、スタイルがいいからでも、肌が無駄に露出しているからでもないっ!ついでに俺はワンピース(ミニスカ)派だ。わかったかっ?!」

 顔を真っ赤にして言ってくれた。
 実はケンカで勝ったのも色仕掛けがちょいちょい混じってたり。
 うん。
 着替えの服はワンピースを買おう。
 ずるしちゃったお詫びに。

「んじゃ。頼みごとの本題に入るぞ」

 コンビニに迎えに来てくれた菊くんと今日の寝床(in公園の遊具)へと歩く。
 もうけっこう遅いので、話は今のうちに終わらす気らしい。

「始めから話すから、ちゃんと聞けよ」

 とことこと歩く菊くんの横顔は、私を助けた時と同じ真剣なものだった。

 
                   第五話へ続く。

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.5 )
日時: 2011/06/26 14:57
名前: 通りすがりのコンビニ店員




第五話『類は友を呼ぶってホントだよね』



「詳しく説明すると『ベロイカ』のご令嬢の話なんだが――」

「ベロイカって?」

 私の質問に、少々顔をしかめながらも菊くんは答えてくれた。

「非戦闘パーツの専門店のことだ。戦闘力がゼロに近いかわりにデザインが凝ってる。まぁ、俗にいう着せ替えパーツだな。それの大手会社が――ベロイカだ」
 
 ドレスパーツなんかもあって女子に人気だな。と、菊くんはつけたした。

 女子なら知っていて当然の知識を持たない私を――いぶかしんでいるのだろう。

「で、そのご令嬢がどうしたのよ?」

 私は気にすることなく話を元に戻した。
 菊くんが顔をそむける。
 ん?
 そむける?

「どうしたの?」

 言いにくそうに――実に言いにくそうに。
 菊くんは顔をそむけたまま、話し出した。

「ベロイカのご令嬢は…な。じょっ…女装趣味なんだ」

 なんか必死だった。
 泣きだしそうなぐらい不憫な必死さだった。

「だから――夜な夜なつきあわされている友人が変な世界に目覚める前に……盗み出さないといけないッ!」

 じゃないと俺の少ない友人が全て変人にッ!――と頭を抱えて身悶えるあたり、菊くんも関西出身だな。

 なんだか気が合いそうだ。
 
 と、ちょっと嬉しかった。


           第6話へ続く


 あとがき
 ―――――――――――――

 なんか、ただのラブコメ化してる・・・?

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.6 )
日時: 2011/07/08 11:11
名前: 通りすがりのコンビニ店員



第六話『一夜明けて』




 ベロイカさん家(ち)は豪邸だった。
 さすがににヨーロッパのお城とまではいかないけど……なんていうか。

 儲けてんなぁ~

 って感じ。
 異世界というのもあるだろうけど、ちょっとぶっとんでる。自家用ヘリとかで登校してそう。
 まぁ、さすがにないよね。そんなこと。
 さてはて。
 お屋敷が広いわりには不用心で、人以上の身体能力を有する菊くんの助けもあり、難なく敷地内に侵入できた。

 つーか、庭ひろっ。

 庭園かよ……どこまでお金持ちなんだっ!

「で、例の友人…友メダはどこにいるのよ?」

 前を歩き、私を誘導する菊くんに声をかける。

「それがな……女装させられたショックで引きこもりになっちまったらしくてな。いるのは屋敷の奥のほうなんだ」

 なんでも友人のマスターは女物のパーツをわざわざ男用パーツに改造し、着せているそうだ。
 確かにそれでは外に出たくもないだろう。
 菊くんが心配するわけだ。

「いるのは三階の一番奥……アイツはお気に入りだからな。専用の部屋にいるはずだ」

 菊くんが顔をあげ、小さな窓がついた部屋を指差した。

 なるほど。
 あそこなわけね。

「どうするの?」

「囮になれ」

「へっ?!」

 ガシッ。

 後ずさろうとした私の腕を、ガッチリと握って菊くんがひきとめる。

「ここの令嬢は可愛いものを着飾るのが趣味でな。アイツの場合は声だった」

「ちょっ、女装が趣味だって――」

「女装も趣味だよ。フリルとレースで可愛くなりゃ、なんだってアリなんだ」

「そっ、そんな――」

 私だってフリフリのスカートとか趣味じゃないんですけどっ?!

「黙れ。間違いなくお前は可愛い。ヤツは絶対ひっかかる」

 ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと?!

 至近距離で。
 しかも真顔で。
 なに?
 
 この殺し文句ッ!!

 私が口を押えて顔をそむけたのを、嫌がってるととったのか――菊くんの態度が少し変わった。

「頼むっ!俺はアイツの精神状態が心配で仕方ないんだっ!!」

 あぁ……けど私の心配はしてくれてないわけね。

「お前は男慣れしてるみたいだし、女相手なら余裕だろっ?!」

 なるほど……今までの態度がたたったか。
 ちょっと反省。

「いいよ」

 一言返事。ただし二言つき。

「ウサギって名前で呼んでくれるならねっ」

 私のウインクは見事に決まった……はずだよね?



                第七話へ続く

――――――――――――――――――――――
 誰のセリフかわかりずらいところが多々あるかもしれません。
 酷いところは直しますので、よかったら言ってください!

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.7 )
日時: 2011/07/28 21:19
名前: 通りすがりのコンビニ店員

第七話『人生には本当の恐怖を感じることが三度ある…らしい』




 私が騒動を起こしている間に菊くんが友人を助け出す、という手筈で別れた。
 しかし騒動を起こすて言っても……どうしたもんか。
 ガラスでも叩き割るか?
 前科あるし。得意だけど。

 とか考えているうちに、お嬢様と遭遇した。
 
 お庭の綺麗なお花たちに、ドぴんくの水を撒き散らしているお嬢様と遭遇した。

 ん……ピンク? ピンクの水っ?!

「ちょっ、それ絵具じゃないっ?!」

 なんつーもん撒き散らしてんのっ?!

「えぇ…絵具ですわ。可愛らしいでしょう?」

 いっぺんの曇りのないお嬢様の笑顔。この子、自分のしてることわかってんのっ?!

「そんな事したら花が枯れるでしょうっ?!」

 私が非難すると、お嬢様は「ハッ」とした表情をして、ジョウロを手から滑り落とした。
 ピンクの水が地面にぶちまけられる。

「そっ、そんなぁ……」
 
 お嬢様は泣き出していた。

 なんでっ?!

「お花が枯れたら…わたくし、悲しいですわ……」

 あぁ…そゆことね。
 私が泣かしたみたいで焦っちゃったじゃん。

「なら、絵具をかけるのは止めてくれる?」

「えぇ……もちろんですわ」

 お嬢様は涙をぬぐい、近づいて来て私の手を握った。
 
「貴方は優しい方ですのね」

 ぎゅっと握りしめられる。
 いや、これは……手を握ったというより――

「それにとっても可愛らしいわ。お花なんかより……よっぽど、ね」

 ――手を掴まれて逃れられなくなったという方が、正しいようです。はい。

「うふふ」

 しまったと項垂れていたら、お嬢様が突然笑いだした。
 全身がぞわりと逆立つ。

「うふふふふふふふふうふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ。どう飾り立てようかしらぁ?」

 恍惚としたお嬢様の表情。
 私は悲鳴をあげた。

「ひぃっ」

 怖ッ!! 何この子っ?! 怖ッ!!!!

 とっさに振り払って逃げよとしたら、羽交い絞めにされて身動きが取れなくされた。

「あらダメよ。貴方はわたくしの遊び相手なんだから……うふふふふふ。安心して。そんな所もちゃんと躾けてあげるわ」

 ありえないありえないありえない。突然なにこの子っ?!

 ありえないッ!

「や――やだっ! 放して。助けてっ! 誰かぁっ!! 助けてぇえええええええええええええ! やだっ! 嫌だ。菊くんっ。菊くん助けてぇっ!!」

 ズルズルと屋敷の中に連れ込まれ、私の悲鳴は誰にも届かなくなった。





                            第八話へ続く。



――――――――――
待ちに待った、お嬢様登場回っ!!
しかし……………おかしいな……もっと純情電波系お嬢様を書こうとしてたはずなのに……おかしいなぁ。
どこで間違ったかな?
どこで腹黒狂気系になってしまったのかな?

おっかしいなぁ。

まぁ、けど書いてて大変面白い回でした。
ぶっとんでるお嬢様って楽しいよねっ!(ぇ

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.8 )
日時: 2012/06/26 12:48
名前: 通りすがりのコンビニ店員


第八話『菊之内くん視点――三階の一番奥は、扉からしてゴテゴテのピンクだった――』



 ドレスを着る前のアイツは、そりゃもうカッコよかった。

 
 誰もアイツに敵わない。
 アイツは誰にも屈しない。
 戦闘になれば誰よりも先に駆け、そして最後まで倒れない――自信に満ちたアイツの背中に、俺は何度も助けられてきた。
 もしメダロットの王がいるなら、アイツこそが相応しかっただろう。

 しかし…だ。
 数年前、アイツは人間に捨てられた。
 気が強く生意気で、たびたびマスターの命令を無視していたことが原因だ。


 ひどくアイツは落ち込んだ。
 アイツはマスターのことが好きだった。
 命令を無視したのだって勝つためだ。
 勝ってマスターに喜んで欲しかったからだ。

 アイツは「あんなこと言わなければ……」と、今でもしきりに後悔している。
 もっとマスターの命令を聞くべきだったと後悔している。
 だからアイツは今のマスターに逆らわない。


 男なのにドレスを着せられ、お飾り用のメダロットにされ、好きでもない歌を強要され――大好きだったロボトルを止めた。


 日に日に口数が少なくなり、屋敷から出て来なくなった。
 そして………………………………………………………………………………………………………………………ある日、女装に凝り始めた。



 俺はもうそんなアイツの姿を視たくないッ!!

 そうさ!
 こんなことで唯一の常識人を失ってたまるかっ。
 アイツまで狂ったら他の連中を誰が止めるんだ――頼むから変な性癖には目覚めないでくれぇえっ!

 
 祈るような気持ちで、俺は扉の前に立った。
 庭でウサギが上手くやってくれているらしく、アイツのいる部屋まで楽にたどり着いた。
 さすが俺の見込んだ人間だ。

 後はアイツを連れだすことが出来れば――俺はドぴんくの扉を開けた。





                             第九話へ続く


 ―――――――――――
 ダメだ。ウサギちゃんじゃないとコメディ色が薄くなる。
 しかしウサギちゃんが現在復帰不可能のため、あと何話かは菊ノ内くん目線でいきます。

頼むから菊くん頑張ってくれ…っ!

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.9 )
日時: 2012/06/26 12:50
名前: 通りすがりのコンビニ店員

第九話『菊之内くん視点――「ぴぎゃーっ」――』



 扉をあけると、地獄絵図だった。
 



 青いドレスを着たメダロットが全力で暴れまわっていて、抑えようとする他のメダロットたちが次々と破壊されては残骸となり果てている。

「え……ちょっ…ブルー……?」

 暴れまわっているのは、ブルース・ドック。通称、ブルー。
 俺が連れ出すべき相手……だが………。

「フッ――――フハハハハッハハアッハッハッハハハハァッハハハハァアアアハハハハァハァハハハハハハハハハァハハハハッハハハハァアアアァハハハハハァハハッハハハハァハハハッ!!!!!!!!!!!!」
 
 ブルーは高らかに奇声を発している。
 笑いながら動くもの全てを床に撒き散らしている。
 ちなみに俺は凍りついて動けないため、視界に入ってないみたいだ。
 
 うん。そうだな。
 このまま永遠に入らないことを祈る。

「ハハハッ――……なんだ。ソゾルじゃねぇか。久しぶりだなっ!」

 視界に入っちまったっ?!

「えっと…ブルーさん。久しぶりです。あと、今の俺の名前はソゾルじゃなくて菊之内です。その名前は二度と呼ばないで下さい」

「なんだ。お前も新しいマスター見つかったのかよ。良かったな!」

「まだマスターとは認めてません。…けど一応、ありがとうございます」

「ハハハッ!お前も頑固だなぁ。名前まで貰っといて。しかし……」

 ブルーが首をひねる。

「なんで今さら俺に敬語なんだ? しかも「さん」付け?」

 それは暴走してるアンタが怖いからだよ。
 あと、ノリ?

 ちなみに俺と会話している間も、ブルーは襲ってくる敵を粉砕し続け、残るは二体となっていた。
 ……俺が入ってきた時は十体以上生き残ってたのにな。

「ブルーさんこそ、ドレスパーツ着けて何してんですか」

 そうだ。
 ドレスパーツは戦闘能力ほとんどないはずだろっ?!
 なのにこの快進撃はどういうことだっ?!

「それが聞きてくれよ。マスターの命令で俺は女装をし、ロボトルを止めた。きつかったが、当分は我慢できたんだ。けどな……性格上、こうゆうのはやっぱ俺には合わん。頑張ってマスターの趣味合うように女装に凝ってみたりもしたが、無理だった」

 いや、俺はドレスパーツの攻撃力で敵を粉砕する秘訣を聞きたかったんだが。
 これは……回想モードに入ってる?

「ずっとロボトルがしたかった。その気持ちを無理に抑え込んでいた。そしたらシステムに異常をきたしてな、屋敷に引き籠る事態になっちまった。……けど屋敷生活で余計に俺はおかしくなっちまった。気がついたら部屋が滅茶苦茶になってて、何十体もの屋敷付きメダが俺を抑えにかかって来ていた……俺は嬉しかった。久しぶりのロボトルだ。暴れるに暴れて――暴れるほど敵が増えて――今に至るってワケだ」

 なんだ。
 ヒッキーになったわけじゃなかったのか。

 とか俺が思っているうちに、ブルーはドレスを持ち上げ華麗に跳躍。
 敵の背後にまわり、フリル付きのライフルで最後の一体の頭部を殴った。
 相手は機能停止し、メダルが飛び出る。

「おまっ…、いま射撃パーツで殴らなかったか?!」

 つーか、攻撃のほとんどが殴る・蹴る・関節技だったような……ブルース・ドックは射撃が得意なんじゃなかったのかよっ?!(そして格闘が苦手だった…はずだよな?)

「あぁん? 知らねぇのか? 着せ替えパーツは戦闘力がないんだよ。そのかわりに軽く、防御力に特化しいる。つまり関節に弾をきめて動きを封じ、強化されたパーツで殴った方が断然早く決着がつくんだよ」

 防御力うんぬんは初めて聞いたぞ。
 しかし知ってても、そんなこと現実でできるはお前ぐらいだろいうけどなっ!!



 相変わらず……恐ろしいメダだなぁっ!



「変わってない…変わってない。やっぱブルーは最高の……」

「はあ? なにニヤついてんだ? 気持ち悪ぃ。それより、ほれ。早く構えろよ」

「…………ぇ?」

「せっかく俺に会いに来たんだ。もちろん一戦交えて帰るんだろ?」
 
 ブルーの爽やかな笑顔。
 ただ指の関節をガシャガシャ鳴らすのは、その笑顔に似合ってないぜ!

「いいいいいいやぁ、おっ俺は――」

「みなまで言うな。わかってる。わかってる。いくぞ――」

 全然わかってねぇよっ!

「――ロボトル、ファイトッ!」




 十秒後。



「ぴっぴぎゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ」

 
 俺は今だかつて出したことのない悲鳴を出した。




                       第十話へ続く

 ――――――――――
 メダロッターに憧れのメダロッターがいるように、メダロットには憧れのメダロットがいる。
 みたいなのが、書けてたらいいなぁ……。

ちなみにドレスパーツの威力(射撃)はクリティカルで、5のダメージ(笑

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.10 )
日時: 2011/08/17 23:12
名前: 通りすがりのコンビニ店員



 【胡桃川事変】


 ―――――――――――――


 五年前、その事故は起こった。
 飲酒運転をした車が交差点に突っ込み、一人の少年を死亡させた事件だ。

 少年の隣にはメダロットがいた。
 無論、少年のメダロットだ。

 少年の死はメダロットをかばってのもので、酷い事故にもかかわらずメダロットには傷一つ付いていない状態だった。


 しかし――メダロットは死亡した。


 マスターが轢かれたショックで錯乱状態に陥り、少年の死が病院で確定したと聞かされた瞬間、機能停止。
 機体の中からは、真っ二つに割れたメダルが出てきた。
 以来何度造り直してもそのメダルが機能することはなかった。


 〝メダロットのショック死〟


 この事件は今後のメダロットの扱いについて学界や世間を騒がせるものとなった――
 そして同時に、メダロットにとっても――





第十話『菊ノ内くん視点―でしゃばるシリアスをどうしたものか―』





 ベロイカ邸にて。


 ボロボロになりつつもブルーを抑えつけることに成功。
 卑怯だとか汚いなどの罵倒を浴びせられまくったが、こっちはロボトルとは承知してないんだ。

 真っ向から勝負を受けなかったと文句を言われる筋合いはないっ!

 こうして俺は自らの行為を心の中で正当化しつつ、ブルーに連れ出しに来た旨を伝えた。
 ちなみに絶体絶命の状態から、ブルーをどうやって捕獲したかは極秘なのでここには書かない。

 俺は俺のファンを失いたくないからなっ!(いるか知らないが、たぶんいるはずだ。きっといるはずだ!

 しかし問題はここからだった。
 せっかく助けに来たのに、間髪いれずに断られてしまったのだ。


「俺はここを出る気はねぇぞ」

「なんでだよっ?!」

 勢い余って掴みかかる。

「リリコは俺を必要としてる」
 
 はっ?! あのお嬢様がっ?!

「お飾りのメダロットとしてかっ?!」

 瞬間、銃撃が俺を襲った。
 縛っていた縄を抜け出してブルーが攻撃してきたのだ。

 後ろに飛んで弾を回避する。普段ならドレスパーツのダメージなど大したことないが、ブルーをなだめるために機能停止の一歩手前状態にまでなってしまっていた。

 一発でも喰らったら終わるっ!!

 臨戦態勢に入る俺に、ブルーは更に連射を浴びせてきた。

「ちょっと待――」

「そんなんじゃねぇ!友達としてだっ!!」

 怒気のこもったブルーの言い様に、たじろぐ。
 
 が、ここで引くわけにはいかないっ!!

「友達だっ?! 笑わせんな! その友達のおかげで、お前のシステムはおかしくなって挙句の果てに暴走だっ!!」

「それ――は……」

 ぐっとブルーが黙る。
 俺はたたみかけた。

「お前は間違いなく戦闘狂だ!! ロボトルを止めるなんてお前には無理だ!! 欲求不満で屋敷まで壊しちまう前に出てけっ!!」

 辛そうに顔をそむけ、それでもブルーは頷かなかった。
 
「………………胡桃川」

「…――っ!」
 
 小さい、けどしっかりとしたブルーの声。
 言わんとする意味を悟って、目を見開く。




 胡桃川事変。



 半永久的に生きるダロットが死んだ事故。

 
 今までにも、似たような出来事ならあった。
 例えば、かの天領イッキが亡くなった時には愛機であったメタビーというメダロットのメダルが割れた。
 他にも歴代メダロンピックのチャンピオンや有名なメダロッター、彼らのもつ強力なメダロットにはたびたび起こってきたことだ。

 メダロットの短い歴史の中で、これらのことはメダルを酷使して強力にしていくうえで起こる〝バグ〟とされた。
 過酷な戦いで疲労したメダルが、マスターの死のショックで割れる。

 一見、胡桃川と同じように見えるが、胡桃川でなくなったメダロットはレベルもそこそこ。買われてから一年ほどしか経過しておらず、マスターである少年も他の子供と比較して違いはなかった。いや1つだけ違うのは、メダロットとの仲が非常に良かったこと――胡桃川事変は、強力なメダロットにしか起こらない今までの事件とは大きく違っていた。

 違う点はもう一つ。
 割れたメダルが造り直しても再起不能であることだ。

 通常のメダルは何らかの理由がメダルが割れても、造り直せば新しい人格として〝生き返る〟のが普通だ。
 メダルによっては、造り直す以前の記憶がよみがえるものさえいる。
 これについては天領イッキや歴代チャンピオンのメダも同じで、彼らのメダルでも〝生き返って〟いるものは多い。もっとも強力なメダルだったメダルほど以前の記憶がよみがえりにくい傾向にあるから、彼らが以前のマスターを思い出す事は決してないが。

 ある意味、これがメダロットが永遠だと言われている理由だった。
 鉄の命を壊さない限り生き、壊れても造り直せば〝生き返る〟。

 人格は新しいが、構成している〝命〟は同じ――〝魂〟は同じなのだ。

 だから以前と似たような性格になるメダも多い。
 言動や癖が同じで、うっかりすれば周りが〝死んだ〟過去を忘れてしまいそうなほど。


 永遠を生きるメダロット。
 しかしメダロットは人によって造られ、人のために、人と一緒にいきることが目的とされた。
 百年弱しか生きれない人の時間に会わせるのは、下手すれば何万年も「死なない」メダロットにとって辛いものだ。

 それにメダロットは一旦記憶しことを忘れない。
 優秀な性能がさらにメダロットを追いつめた。

 
 そんな時、起こった〝メダロットのショック死〟。
 
 完全な死。

 永遠の終わり。
 
 メダルは魂だ。
 
 魂を壊すために必要なのは物理的破壊ではなく。

 二度と元には戻らないほどの「心」の破壊。

 そのために必要なのは――?

 

 答えは、胡桃川事変、そして強力なメダロットたちに起こった出来事の共通点を考えれば簡単に出る。


 

「悪いな、菊ノ内。俺はここにいる」

 何時の間にか、攻撃は止んでいた。

 ブルーはいつもの爽やかな笑顔を浮かべていた。

「俺のメダロッターはリリコだ。最期までな」

 言いきったブルーは、相変わらずカッコよかった。







それを言われれば、同じメダロットとして納得せざる得ない理由だった。
 何より、あの表情のブルーをとめるなど俺にはできない。

 だが…だ。

 これだけは言わせて欲しい。

「ここまで来た俺は何だったんだよ……ただの不法侵入者じゃねぇか」
 
 結局、作戦は失敗のうえ犯罪者になっちまった。

「俺を連れ出しても泥棒だぜ? どっちにしろ犯罪者だ」

 フハハとブルーが笑う。

「確かに」

 俺も笑った。


 
                    第十一話に続く


――――――――――――――――
 コメディ。コメディはどこいったorz
 くっ……しかし、次回にはウサギちゃんが復活する!(はず)
 次回は完全コメディだ!(のはず)

 シリアスになったけど、前から考えてた胡桃川事変が書けてよかった。
 誰かとネタがかぶってないことを祈る。

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.11 )
日時: 2012/06/24 10:33
名前: 通りすがりのコンビニ店員

 胡桃川事変を経て、メダロットたちは探し始めます。


 ある者は「心」を賭けられるマスターを。

 ある者は「心」を預けられるマスターを。


 そして、ある者は「心」を捧げられるマスターを。

 








 十一話『餌づけと言う名の調教』





 気がついたら一週間。
 お嬢様の屋敷に軟禁されていた。

 超美味しい料理と超寝心地のいいベット。
 なんかもう自分が着てる洋服がゴスロリ系だとか、どうでもよくなってきたこの頃。

 むしろ増える体重と、可愛らしい声をもつ青いメダ(どう聴いても女声だが中身は完璧に男)が地味に攻撃してくいることの方が最近は悩みになっている。

 澄んだ声がソプラノで可愛く、見た目も青いドレスで麗しい(くどいが男)メダは、お嬢様が私にばかり構っているのが気に入らないらしく、やたら攻撃してくる。
 

 すれ違う時に足ひっかけてきたり。
 水ぶっかけてきたり。
 かと思ったら突然襲ってきたり。


 メダロットって人間に攻撃できないんじゃなかった?!


 盛大にツッコミたい!!


 しかしリミッターを外せばメダでも可能らしい。
 青いメダに狙われてる身としては恐ろしいことだ。
 まぁ、今のところは全てギリギリでかわしているので被害は皆無だったけどね(さすが私!)

 
 はてさて。
 前の一文が『だった』と過去形になってるのには理由がある。
 理由とは現在、校舎裏ならぬ屋根裏部屋の呼び出しにあっていることだ。

 呼び出し人はもちろん例の青メダ。
 屋敷つきメダを数機従え、私をシメる気満々だ。

 しかし私も何も考えずに呼び出しに応えたワケじゃない!
 危険を承知で飛び込むだけの価値があるから、ここに来たの!


「お前に聞きたいことがある……」


 やっぱり来た来た来たキタキタおやじぃ――――っ!!
 続きは『――屋敷から出て行く気はあるか?』でしょう?!


 この展開(※↓参照)を待ってたのよ!


 新入りが邪魔。
 ↓
 屋敷から追い出したい。
 ↓
 屋敷を脱出したい私と利害が一致!
 ↓
 脱出の協力者を確保!!


 我ながら見事な図式っ!


 ぶっちゃけ屋敷のガードが固いので、一人で脱出するのは不可能。
 頼りの菊くんは何時まで経っても迎えに来ないし……もしかしたら菊くんも失敗して捕まっているのかもしれない。
 
 っていうか、たぶんそう。

 だって菊くんが言ってた友メダの特徴が、青メダとまったく同じだし。
 青メダが元気いっぱいで私をシメようとしている以上、作戦は失敗したのだろう。

 だから菊くんも救出しなきゃいけないんだけど――めんどくさいので、

 
 作戦は成功。
 菊くんの友達≠青メダ。
 菊くんはすでに脱出済み。


 だと思い込むことにした!wwwww


 ごめんね菊くん!
 君なら一人でも脱出できるさ!!笑←(思いこめてない

 菊くんも私が逃げようとして捕まった時のように、メイド服(もちろんフリフリ)を着たごついマッチョたち(男)に囲まれるがいい!!←(どうみても本音

 ぐははははははははははははっ!


「――おいっ!話ちゃんと聞いてるかっ?!」

「へっ?!」

 全然きいてなかった。
 正直にそう言うと、どういう神経してるんだと青メダに怒られた。
 それで気がついたけど、青メダの怒り方が先生みたいに怒り慣れてる。

 コイツ…ッ!
 さては周りの奴らで苦労してるタイプだなっ?!
 
 とか、考えてて話をまた聞き逃してしまった(そしてまた怒られた。

「だからだ!お前はどこの組織の者だと訊いたんだ!」

 リチギに最初から話してくれる青メダ。
 意外にいいヤツ。

 けど尋ねてきた内容の意味がわからん!
 組織ってなにっ?!
 
「屋敷から出て行くか、行かないかじゃ……なくて?」

「何言ってんだ?敵をそのまま帰すわけないだろ」

 はっ?!
 敵ぃいっ?!

「敵ってなにっ?!どうゆうことっ?!」

 リチギに説明しはじめる青メダ。
 技名を喋っている最中は、言い終わるまで待ってくれるタイプだな。
 かなり、いいヤツだ。

「お前は俺の攻撃を全てかわした。明らかに戦闘訓練を受けている!どうせまたベロイカの企業秘密を探りに来たスパイだろっ?!」

「えっ?!あの攻撃って、お嬢様取られたことへの嫉妬じゃなかったの?!」

 お嬢様を守るために、試してただけ?!
 嫌がらせじゃなかったってことっ?!

「前半はスパイかどうか試してただけだ!」

 前半?
 つまり後半で殴りかかってきたのはマジで嫌がらせかっ!!orz

 やっぱり嫌なヤツ!

「はいはいはいー。見事に勘違いです。はい。私はスパイじゃありません!」

「スパイはみんなそう言うんだよ。つーか、戦闘訓練受けてない、しかも人間が、この俺の攻撃をかわせるはずないだろ!」

 メダロットは基本的に人間より身体能力が上。
 私じゃなければ、確かに無理だろう。

 けどちっちゃな頃から悪ガキで、15で不良と呼ばれた私だし。
 伊達にケンカで無敗伝説きずいてたワケじゃないし。
 町内の四天王に数えられてきてないし。

 アレぐらいなら、何とか避けれるわけで。

 ここは誤解を解くためにも、いっちょ説明を――……いや、待って。

 考えろ。そんなの私らしくない。

 ここは私らしく、関西人として――

「ふはははは!バレてしまったものは仕方ない。我こそは魔王にして――貴様の父親だぁ!」

 ――ボケるっきゃない!

「なっ……俺の生き別れた父さんだとっ?!」

 予想外に、青メダがネタにのってきた。
 どれだけいいヤツなんだ!

「さぁ、我が息子よ。私と共に来い!」

 私は手を差しのべる。
 けど青メダは苦しそうに顔をそむけ、拒絶した。

「俺はここに残る!俺の守るべきものはここにあるんだぁあああ――」


「なにしてるの?」


「――あっ…………………………………リ…リコ?」

 青メダの後ろに、お嬢様こと笈内(おいうち)リリコが立っていた。
 ご察し通り、先ほどの『なにしてるの?』と言ってのは彼女だ。
 
 リリコ嬢は残念なものを見る目で青メダを視ていた。
 周りにいる屋敷つきメダたちも、言わずもかな。

「くすっ……」

 空気が読めすぎる、いいヤツと言うのも欠点のうち。
 嫌がらせの復讐、果たせたり!

 気分がずいぶんスッキリしたところで。

「とりあえずスパイでないことをちゃんと説明するから、お嬢様も交えて聞いてくれる?」

 マスターに恥ずかしい姿を見られて灰になりかけてる青メダをつつきながら、私はリリコ嬢に笑顔を向けた。





                              第十二話に続く。



 あとがき
 ――――――――――――――――
 アメ(お姫様待遇)と鞭(メイド服マッチョ)によって調教されてたウサギちゃんの復活!
 ケンカ根性でなんとか調教済みにはなってません。
 ただ服に関しての感覚はだいぶん麻痺ってます(連日着せ替えごっこに付き合ってたから

 屋根裏部屋の呼び出しは、ブルーの独断でやってたのでリリコ嬢は知りませんでした。
 ブルーはこうやって、ベロイカ邸に来るスパイを結構ツブしてたんです。
 けど自分が戦ったらドレスパーツに傷がついてリリコ嬢にばれるので(戦闘禁止令がでてる)、戦闘は屋敷つきメダにやらせてました。
 目の前の戦闘に加われない鬱憤が、さらにブルーの追いつめていたのは裏設定(書けなかっただけだけど。
 ある意味、ブルーの暴走は自滅ですね。
 
 お嬢様については、次回でちゃんと紹介します
 機会を逃してなかなか書けなかったので、ホントに楽しみだぁ!

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.12 )
日時: 2011/11/24 13:25
名前: 通りすがりのコンビニ店員





 かのメダロットはこう言い残して息絶えた。

 

 『ボクはあなただけのメダロットだ』、と。 










 涙を流せないそのメダが、自らの命をもってして表したのは――

 

 ――溺死するほどの悲しみか、


 ――心を引き裂く苦しみか、
 

 ――生きていくのに不可欠となった愛情か、


 ――命まで繋げてしまう深い絆か、



  狂ってしまうほどの想いを抱えたメダロット。

  彼の最期の想いは、狂ってない私たちにはわからないけれど、




  とりあえず、

  そのメダは、


 
                    自らの想いを叶えたのだった。
 










 第十二話『お祭りとボロ雑巾』





 ベロイカ邸のお嬢様、笈内(おいうち)リリコ。

 リリコ嬢は屋敷から逃げ出す努力と、彼女指定の服さえ脱がなければ、心優しい金持ち(※ここ重要)だった。

 だが上の二項目を犯すとブラックな方向に、大☆変☆身 するので要注意(※身体的にあぶない)。
 二項目を犯したうえで反抗的態度のは、メイド服を着たマッチョさんたちにお世話になる(※精神的にもヤバいことになる)ので、絶対にしてはいけない。

 リリコ嬢にセクハラされた挙句、初日から脱走しようとしマッチョ集団に囲まれた私は、早々に独りで立ち向かう気力をかなぐり捨てた。


 自分でも賢明だったと思う。
 
 以来一週間、ベロイカ邸でのお貴族生活に浸かりきった私。
 脱走計画を練ったものの、青メダの勘違いによりご破算。いらぬ容疑までかけられたし、もめたりもしたが、私の説明と菊くんのマスターである判明したこと(本当は違うが、青メダの中ではそうなっている)で、どうにか疑いは晴れた。

 つーかこの時の会話で、青メダがやっぱり菊くんの友人だったことが確定。
 しかも菊くんが連れ出すのを諦めて、早々と屋敷を脱出していることが判明。

 菊くんめっ。

 次に会ったら血祭りにあげてやる……っ!

 などと、私が沸々と怒りをたぎらせている最中に、菊くんはベロイカ邸に迎えに来た。
 もちろん堂々とではなく、こっそり侵入してだ。
 完全に見捨てられたと思ってたので、かなり嬉しかった。

 うん。
 やっぱり血祭りなんてよくないよねっ!

「菊くん、迎えに来てくれたんだ?! 嬉しい!」

 素直に喜ぶと、私の部屋の扉を閉めながら、菊くんはバツが悪そうに応えた。

「まっ、まぁな……」
 
 声が上擦ってる。
 その態度に、ちょっとした興奮状態だったのが一瞬で冷める。

「………………………………菊くん、今まで何してた?」

「………………」

「もちろん、私をどうやって助けるか考えてたんだよね?」

「………………」

「まさか。まさかまさかまさかまさかまさか――計画に協力してた私を、忘れてた、なんてことはないよね?」

「………………」

「な、い、よ、ね?」

「悪いっ! すまんっ! ごめんなさい!―――今日まで綺麗に忘れてましたっ!! 許してください!!」

 土下座する菊くん。
 ほほえむ私。

 くぐもった悲鳴をあげる菊くん。
 ほほえむ私。

 三十分後、菊くんは素敵なボロ雑巾になりましたとさ。

「まぁ、これぐらいで許してやるわ」

「おっ、鬼……」

 ▼ウサギ の なぐる こうげき!

 ▼クリティカル!

 ▼ボロ雑巾 に 20 の ダメージ!

「ぐぁぁああああああ!」

 痛みに耐えきれず、とうとう菊くんは絶叫をあげてしまった。
 
 屋敷中に響くほどの悲鳴。
 
 ヤバい。
 屋敷の人たちに気づかれる!

「このバカ! 逃げるよ!!」

 ふらつく菊くんを引っ張って行って、唯一の扉に向かう。
 かかっていた鍵は菊くんが壊したので、扉はあっさりと開いた。

『ウサギが強く殴ったせいじゃねぇか……』

 菊くんが何か呟いた気がしたけど、聞かなかったことにしてあげた。
 逃げるのが先だ。

 しかし、扉が開いた先に待っていたのは――


 例の青メダ。
 ブラック・リリコ嬢。
 ひしめくメイド服マッチョたち。


 だった。



                  十三話に続く。




 ――――――――――――――

 次回!
 
 菊くん&ウサギ VS 青メダ&リリコ嬢&マッチョs

 果たして菊くん&ウサギの二人は、この窮地を乗り越えられるのかっ?!
 熱い戦いが今、幕を開ける――という話を書きたいなぁ……。

 シリアスは今回以来、当分お休み予定です。

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.13 )
日時: 2011/11/29 05:18
名前: 通りすがりのコンビニ店員



 第十三話『ファイター・ウサギVSブラック・リリコ嬢』


 右隣に青メダ。周りにマッチョたちを取り囲ませ、その真ん中で麗しのリリコお嬢様がニヤニヤと笑っていた。
 黒い。黒すぎる笑顔。見た目は美人お姉さん系なのに台無しですよー。

 ちなみに私は、扉を開けた状態のまま固まってしまっている。
 ザ・ヘビに睨まれたカエル状態。

「ウサギさん?」

 ブラックな方向に変身済みのリリコ嬢が、私に抱きついてきた。

「ひっ…」

「あなたはどこに行く気なのかしら?」

「くっ……」

 お嬢様。
 そこは胸です。
 揉まないでください。

「逃げる気ではありませんよね?」

「うぅ……」

 メイドマッチョs。
 構えないで。
 その筋肉で連続技くらうのは二度とごめんです。

「一緒にいるって、約束してくださったものね?」

「ぐっ……」

 そうなのです。
 約束しちゃったのです。
 状況的には、脅されたの方が正しいですが。

「―――だぁあああああああああああああ! 無理!! もう耐えらんない!」 

 確かに約束しちゃったけども。
 お嬢様は怖いけども。
 後ろに控えるメイド服マッチョどもは恐ろしいけども!(あらゆる意味で

「いつまでセクハラしてんのよ! このアマァ!!」
 
 いつまでも続くセクハラ生活とか!
 貴族生活が保障されてても勘弁です!

 私はお嬢様を抱き返し、両腕で腰をつかむ。絶妙な姿勢でバックにそり、相手を床に叩きつける!

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 柔道技・裏投!
 もちろん素人相手なので手加減はしてますよ!

 が、しかし!!

 リリコ嬢は手加減など無用の相手だった!!

「甘いですわ!」

 リリコ嬢は腰をおとし、肘の殴打で私の右腕を封じてきた。
 これでは裏投ができない!

 バランスが崩れ、もつれ合いながら地面に激突。
 小さな悲鳴をあげる私に対し、リリコ嬢はきゃっきゃと喜ぶ。

 くそぅ!
 こんな時でもしっかりセクハラしやがって!!
 
「おりゃぁあああああああああああああ!」

 なら私はそれすらも利用してやる!
 馬乗りになった態勢で胸を密着させ、リリコ嬢の首に抱きつく!
 
 縦四方固!!

 これは苦しいぞ?!

「ぐっ…ぅ……負け…ましたわ……」

 リリコ嬢負け宣言!!(この技で倒されるなら悔いはないわ!と語る恍惚の表情で)
 
 ウィナー、兎想月ウサギ!! 

「よっしゃぁああああああああああああ!」

 リリコ嬢を放し、立ち上がってガッツポーズ!


「なっ……リリコが負けただとっ?!」

 驚く青メダ。

「やったな! ウサギ!!」

 褒め称える菊くん。


「どんなもんよっ?!」

 ふふん、と鼻を鳴らし。
 得意顔で振り返った私を迎えたのは、今なら自分たちが攻撃してもお嬢様に危険が及ばなことを確認した――攻撃態勢のメイドマッチョ軍団だった。



                      十四話に続く。


(※)注意!
   ウサギちゃんが使用した裏投・縦四方固(柔道技)は実際のものとは少し違います。
   これについての苦情は一切受け付けません。
   

 ―――――――――――
 熱い戦いが書きたかったので書きました!
 リアルファイトで!!←

 お粗末でした!

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.14 )
日時: 2011/12/01 21:47
名前: 通りすがりのコンビニ店員

 

十四話『メダロッターなら』
 

 ぎゃ――っ!

「きゃあぁああああっ」

 ひしめく筋肉がこっちにくる?!
 汗くさっ! キモッ!! ムチムチしてるぅぅ!

 ちなみに菊くんは離れた場所で保身に走っている。
『悪いな。リミッター外れてないから助けられない……』とか、心底ほっとした表情でぬかしやがって!


 このボロ雑巾がっ!!


「――――お待ちなさい!」
 リリコ嬢の鶴の一声で、メイドマッチョたちがピタリと停止する。
「手出しは無用。お互いメダロッターですもの、決着はロボトルでつけますわ」
「いや、さっき決着はついたじゃん」
 リアルファイトで。
「あれはウサギさんがいきなり襲ってきただけです」
「……リリコ嬢。正当防衛って言葉知ってる?」
「何の約束もしてませんもの」
 こいつ、スルーしやがった。
「けどまぁ……その通りなんだよね。そしてリリコ嬢の言い方だと、ロボトルで私が勝ったら屋敷から出すって約束するみたいだけど。いいのね?」
 ロボトルはしたことないけど、一応ルールはコンビニで立ち読みしている。
 カタログに載ってた機体、パーツ、メダルの特徴は暗記しているので、どうにかなるかもしれない。
「いいでしょう。約束しますわ」
 不敵に微笑み、メダロッチをかざすリリコ嬢。
 マスターに応えて、無言でライフルを構える青メダ。

 くそ。
 カッコいいじゃん! 

「菊くん! 一週間も放置してたんだから責任とって付き合ってもらうわよ!!」
「ちっ。仕方ねーな! 言っとくけどブルーは超つえーから勝てるか分かんねぇぞ!!」
 菊くんが投げたメダロッチを右手でキャッチし、左手に巻きつける。
「なんだ、菊の内。俺に勝つ気かよ」
 フフンと青メダ。
「お前が強いのは知ってるさ。けど何時までも二番手に甘んじている気は一切ない」
 ふっと菊くん。

 そういや、もともとは仲間同士って言ってたっけ?
 あれか。ライバルってやつ!

 その時。
 メイドマッチョの一人が、タキシードを着た人物に早変わりした。


「合意とみてよろしいですねっ?!」

 
 現れたのは、コ○ンくんみたいな蝶ネクタイをしたおじいちゃんだ。
「私はロボトル協会公認レフェリー、五代目ミスターうるちです!」
 どこからともなく取り出した持参マイクで名乗り、ポーズを決めるうるちさん。
 このじっちゃん、超ノリいいなっ!
「うるちっ?!」
「うるち家だとっ?!」
 しかも、なんやら有名人らしい。
「え。なに? そんな凄い人なの?」
「うるち家は代々レフェリーを家業とし、受け継できた生粋のレフェリー! 祖先の代から厳密なロボトルを旨とし、どんな不正も絶対に許さない。彼らに審判してもらえることはメダロッター皆の憧れですわっ!! 知らなくって?!」
 知らなくってです。
 お嬢様。
 「まぁ、いいわ。うるちさんにレフェリーしてもらえるのだもの。早くロボトルしましょ!」
 ヤッ、ヤバい。熱い…! あのリリコ嬢が普通に燃えているだとっ!?
「くっ……なんかよく分かんないけど、私も燃えてきたわ!」
 基本、負けず嫌いなもので。
「それではルールを説明します! 互いのメダロットを戦わせ、先に機能停止させた方が勝者となります。勝者は敗者から好きなパーツがもらえます!! ちなみに今回に限り、ウサギ選手が勝った場合はリリコ選手は彼女を解放しなくてはなりません。よろしいでか?」

「よらしくてよ」
「望むところよ!」

 答えながら、私は心中でツッコむ。
 私が軟禁されてるの知ってたなら、警察に通報してよ。うるちさん?!

「ロボトルぅー、ファイトぉー!」

 心の中のツッコミはもちろん届くことなく、戦いの火蓋は切って落とされた。




                         十五話に続く


  あとがき
 ―――――――――――――――――
 『このボロ雑巾がっ!!』
  一度言ってみたい、素敵な言葉です。

  それでは次回予告!

  運命の対決――女装メダVSボロ雑巾!
  ウサギはリリコ嬢の手から逃れられるのかっ?!

  を、お送りできるよう頑張ります。(あくまで、頑張る…ですが)
  あと次回はラブもいれたいです。長くなると思います。
  
  お粗末でした!

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.15 )
日時: 2012/06/26 12:52
名前: 通りすがりのコンビニ店員

 第十五話『初ロボトル!』



 敵機はブルースドック。
 射撃が得意で頭部のライフルはかなりのもの。
 だがドレスパーツのため、威力はかなり落ちてるはず……ドレスパーツは攻撃力が低く、代わりに軽く防御力に特化している。(って、ベロイカ邸にあった本に書いてあった!
「菊くん! 動きを止めないで!」
 サーベルタイガー型スミロドナッドの菊くんにとって怖いのは、関節に弾を撃ち込められて動きを止められること。
 今はなんとか避けれているが、青メダは明らかにそれを狙ってきている……ヤロォめ!
「そのまま右、青メダの後ろに回り込んで!」
 遠距離はダメ。長期戦も不利。
 被弾率は上がるが接近戦でいっきにケリをつける!!
「甘いわ!! 右後ろ六十度、ライトハンド!」
 右手ライフルで殴ったぁあああっ?!
「パーツ使わず物理攻撃!! ありなの審判っ?!」
「もちろんアリです!!」
「ありなのっ?! まぁ、いいや。菊くんソード!」


「うぉおおおおおおおおお!!!!!!」


 菊くんがスピードに任せて近づき、ソードを振りかぶる。


「くぬぅうあああああああ!」


 青メダは両腕で、防御。右腕が機能停止! が、ひるむことなく頭部ライフルを射出してきた。


「ヤバッ…!」
 強力なゼロ距離射撃。菊くんは今、防御も回避も不能。あっさり頭部パーツに被弾する。


 爆発。
 爆煙が吹き荒れる。


「くっ……」
 よく考えれば、先ほど殴られたのも頭部パーツだった。リリコ嬢、始めからこれを狙ってやがったなっ?!
 私はメダロッチを確認する。
 頭部パーツのダメージケージがみるみる下がっていく。
 手遅れかもしれない絶望感が胸を締め付けた。


 56%……20%……10%…8%…3%…1%――で、止まった。
 絶望へのカントダウンが止まった。
 
 まだ0じゃない!!
 終わってない!!


「菊くん! フレクサーソード!!」
「なっ…ブルー! 迎え撃ちなさい!!」
 爆発の煙で二機の姿は見えていない。
 だが、菊くんと青メダは互いに確認できる距離にいるはずだ。


 刹那の交戦音。
 決着はすぐについたらしく、部屋に沈黙がおりた。
 二機は煙で見えないままだ。


 どっちだ……?
 どっちが勝った!?


 ばっとメダロッチを確認する。
 ダメージケージはどこも減っていない。


 ってことは――


「勝者、ウサギ選手――っ!!」
 うるちさんが、戦いの終了を宣言した。
「本当に勝った……の…?」
「あっ、ありえませんわ」
 リリコ嬢の声がした。
 視線をあげると、煙が晴れている。
 すす汚れた床の上に見えるのは、倒れた青メダとライトガラスが割れてなくなった菊くん。かなり辛そうだ。
「菊くん! 大丈夫?!」
「一応な……」
 菊くんが踏み出そうとして、崩れ落ちる。
「菊くんっ?!」
「リリコに……」
「え?」
「リリコに…確かにお前はブルーのマスターだって、たの……」
 言い終わることなく、菊くんは機能停止した。
 あわてて飛びだしたメダルを拾い上げる。
 すぐにメダロッチにはめようとして………止めた。
「ロボトル直後のメダルは疲労しているのから、外に出してる方がいいんだっけ」
 手にしたメダルが、焼けるように熱い。
 さっきまで菊くんが必死に頑張っていた証拠だ。


 ……私のために。
 私をここから助けるために。


 菊くんが何の為に戦っていたかを思い出し、私の胸のなかに暖かい何かが込み上げてくる。
「ありがとう……菊くん」
 自然とメダルにくちづける。
「…………っ!」
 途中で自分のしていることに気づいて、ぼっっと顔が赤くなった。
 なんだかメダルの熱が私にもうつったみたい。
「なっ、なにやってんだろ私……」
 誰にも見られなかったか確認して、メダルをポケットにしまう。
 よかった。本当に誰にも見られてなくて。
「………バッカみたい!」
 ほっとして一人ごちながらも、これってファーストキスに入るのかなぁ…と考えてしまい、あわてて思考から追い出したのは――自分だけの秘密。


 少しのあいだ動悸が収まるのを待ってから、私は放心するリリコ嬢に声をかけた。



 ――――――――――青メダ・リリコ嬢編終了!!!!!―――――――――
 
                         
 
 
 
   
                       だけど十六話には続くからね!


  長いあとがき
 ―――――――――――
  青メダ・リリコ嬢編、完結です。
  一応……
  
  ページの都合上、本当はあった試合後のリリコ嬢とウサギちゃんの会話は省かせて頂きました。
  けど、これでも長すぎるくらいなので…当初はもっと短い文章をいっぱいあげる予定だったのに。

  当初と言えば。
  入れる予定だったギャグ。予定がなかったのに入れたシリアス、恋愛。
  色々試してみました(おかげで話が超不安定でした。すみません!)が、やっぱり一番まともの書けてるのは恋愛系ですね。
  コメディ系と申しましたが、路線変更す………するかも、しれません。確約はなし。ズルいですが逃げさせてもらいます。

  ここにきて、やっとウサギちゃんと菊くんが地に足が着いた(今さらかよ!)って感じですので、これからはもっとマシなものを書いていくつもりです。
  この感覚が勘違いなら終わりですが…。


  まぁ作者の死亡フラグは置いといて、次回予告!

  ベロイカ邸を脱出した菊くんとウサギちゃんは、かつて菊くんが住んでいた街に向かう。
  そこで彼らを待ち受けていたものとはっ?!


  ――を、お送りするつもりです。
  次回は短いです。

  長々と失礼しました。こんなところまで読んでくれている貴方には、最大の感謝を。
  ありがとうございます!

  お粗末でした。