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Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.18 )
日時: 2011/12/10 10:52
名前: 通りすがりのコンビニ店員

 第十八話『踊る作戦会議inホテル!(上)』



 居場所がない。
 帰る場所がないと人は不安になる。
 食べものがない。
 食べる物がないと人は、どんどん活力をなくす。
 着るものがない。
 ずっと同じ服を着ていると人は暗くなり、億劫になる。
 
 これらは人だろうがメダだろうが同じこと。
 
「いいっ?! この三つは生きていくうえで、欠かしてはいけないものなのよ!!」
 私は力説し、持っている黒ペンでホワイトボードにどでかく衣、食、住、と書いた。
「しかーし!! 誠に残念ながら今の私たちは衣、食、住、どれも持っていない。欠けている。つまり負け犬よ!」


「「「「ま、負け犬……」」」」


 たらりと一滴汗を流し、ベットに正座した四機は声をそろえた。
 前から思ってたんだけど、メダロットの正座ってなんか笑えるね。特に多脚。
「不服そうね。そんな言い方しなくてもって、思ってるんでしょう? 甘い。甘すぎる! そんな考え方してるから居場所を奪われるのよ!! 特にそこの三機っ?!」
 ぐっ とうつむく三機。
 そう言えば自己紹介もしてないから、お互い名前も知らないのだけど。
 まぁ、いいか。相手も気にしてないし。
「たとえ相手がどんな条件を提示しても、『家』を賭けた戦いなんてするもんじゃないわ。菊くんにもそう注意されてたんでしょう? なのにふらふら勝負受けちゃって、騙されて、負けて、追い出されて。馬鹿じゃないの、あんたら?」
 おぉ、すごい。
 下げてる頭部が凄い勢いでベットにめり込んでいってる。
「あんたたちは責任として、明日からバシバシ働かせるから。文句は許さないわ。わかった? わかったら返事っ!!」 
「「「はい!」」」
「違う。返事は『かしこまりました。女王様!』よ!!」
「「「かしこまりました。魔王様!」」」
「誰が魔王じゃコラァ!」
 三機をどつきまわす。
 結構痛いが、顔には出さない。
「もう、ありえない。絶世の美女を捕まえて魔王だなんて。マジありえない!」
「それは言い過ぎだろう……」
 いらない水を差した菊くんにも美女の鉄槌を。
「とにかく! ホテルに泊まるなんて今日だけよ。明日からはちゃんとした着替え、食事、住む場所。全て揃えるから、そのつもりでいるように」
「揃えるって……どうやってだ?」
 いっきに衣食住を揃えるのは無理だろう…という菊くんの言葉に、私はニヤリと笑う。
「菊くんは予備のパーツ持ってたよね?」
「あぁ」
「で、パーツは結構なお金で売れる」
「まさか……」
「こういうのは前資金があればどうにかなっちゃったりするのよ。わかって、菊くん」
「ちょ、」
「それでは計画を発表します」
 あわてる菊くんをスルーし、私はベットに地図を広げた。
 有り金、最後の品だ。
「この地図は近辺一帯が描かれた物よ。明日から張り込むことになるのは……たぶんここら辺と、ここ」
「おいおい……その場所は」
「言い草からして合ってるみたいね。そう、私たちもやるの」
 全員を見渡し、不敵に笑んでみせる。
「『狩り』をね」


                      十九話に続く。


  あとがき
 ―――――――――――――
  次回予告!
 
 『狩り』をめぐって対立する菊くんとウサギちゃん。
  ウサギちゃんは非道メダロッターの道に走ってしまうのかっ?!


  第十九話、『踊る作戦会議inホテル!(中)』をお楽しみに!


  次回の長さは、今回より長くなります。
  お粗末でした。

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.19 )
日時: 2011/12/17 09:38
名前: 通りすがりのコンビニ店員


 第十九話、『踊る作戦会議inホテル!(中)』



 『狩り』専門のメダロッターが嫌われている理由。


・獲物が一機のときだけを狙い、三機でフルボッコに持ち込む。
・できるだけ疲弊しているメダをターゲットにする。
・相手がロボトルを断ると悪態をつく。時には暴行を加える。


 王道派メダロッターではありえない行為。
 ゆえに彼らは嫌われている……と菊くんは説明してくれた。


「俺は反対だ」
「菊くん……」
「『狩り』なんて最低のメダロッターがすることだ。俺はしたくない」
 断固とした口調。
 譲れないものがある目。
 カッコイイよ菊くん。
 だからあえて言おう。
「菊くん……バッカじゃない?」
「なっ…」
「最低で結構。外道で結構! 生きていくためには甘ちゃんなこと言ってられないのよっ?!」
「「「よ! 魔王の鑑!!」」」
「だから誰が魔王じゃコラァ!」
 三機をどつきまわす。
 いいかげん学習しろよ、こいつら!!
「俺は嫌だぞ!」
 ツッコミもせず、頑として菊くんは否定する。
「そう?私からしてみればよくできてると思うけど。自分より弱い相手を探すのは当然だし、ルール上に問題がないなら、3対1で挑むのも戦略のうちでしょ?」
「それは……そうだが。断ったらリンチにするんだぞ?」
「ライン引きぐらいするわよ。やり方は汚くても、ルールは守る。相手に暴行は加えないわ。かわりに言葉で脅すか、挑発する。それならいいでしょう?」
「…………」
「菊くん? 崖っぷち状態じゃ手段なんて選んじゃられないの。確実に勝たないと困るのはあんたたちだし」
 実際にパーツを取られるのは菊くんたちだ。
 特に予備パーツを持っていない三機については、完全に退路を立たれている。戦って勝つしかない。
「言っとくけどね。私一人ならバイトでも何でもして、どうにかなるの。けどここにいる『全員』で生き延びようって考えるなら、これしかないって言ってるの。私は」
 鬱ですなー。
 菊くんからキノコが栽培できそうなオーラが吹きだしております。
「……わかった。俺も協力する」
 しぶしぶといった動作で、菊くんが頷いた。
「うんうん」
「ただし、やるのは挑発まで。脅しはなしだ」
「うぅー。それだと獲物に逃げられる可能性が……」
「それでも、なしだ。じゃないと協力できないな」
「ぐっ……仕方ないなー。他の三機もそれでいい?」
「「「問題ナッシング!」」」
 特に異論はなし。
 どうでもいいけど、こいつらよくハモるよなぁ。
「よし。方針も決まったことだし、これから細かい作戦に入っていくわけだけど――」
 言葉を切って、チラリと四機を見る。
「「「「だけど?」」」」
 四機は目をパチクリさせて、仲良くハモってくれた。
 いや。
 ほんと期待通りハモってくれるね。
 しかも今度は菊くんまで。
「そろそろ自己紹介しない? じゃないと話が進めにくいんだけど」
 五秒間の沈黙。
「「「そう言えば……」」」
 どうやら三機は、私の名前も知らないことに今気づいたようで、
「自然に溶け込み過ぎて、すっかり忘れてたな……」
 菊くんまで今気づいたようです。
 マジかよ。
「待て。ってことは……俺が両方を紹介するのか?」
「そりゃ、菊くんの仕事でしょ。ここにいる全メンバー把握してるのあんただけなんだから」
「これまでの様子見る限り、紹介する必要もあんま無いと思うんだが……」
「名前すら分かんないのは問題だよ」
「「「そうだ! そうだ!」」」
 三機が私の言葉に加勢する。
 それを見て、菊くんは何とも言えない表情になった。
 ちなみに自分も菊くんと同様に考えて、ここまで流してきたのは棚上げしておく。
「まぁ確かに。これ以上メダの紹介を遅らせると、この小説的にも――」


 つるんっ


 何か大変危険なことを言おうとした菊くんが、バナナの皮で滑ってこけた。
「菊くん?!」
 慌てて、こけた菊くんを抱き起こす。
「いや……大丈夫だ。転んだだけだ」
「本当?」
「あぁ……ただ、俺はいったい何を言おうとしてたんだ? なぜか続きが思い出せない……」
「あぁ、それはね。メダロットはバナナの皮で転ぶと次の行動を忘れるんだって」
「そうなのか?」
「うん。ベロイカ邸にあった資料本に書いてあった」
 暇つぶしに読み漁ってたんだよね。
「そ、そうなのか。初めて聞く話だけどな。……しかし、どうしてホテルの部屋にバナナの皮なんかが」
「あぁ、それはね。菊くんが作者の逆鱗に――」


 つるんっ


 私はバナナの皮で滑ってこけた。
「あれ? 私は何を言おうと……」
 なぜか思い出せない。
「人間にもバナナの皮は効くのか……なんて恐ろしい兵器だ!」
 菊くんが意味がわからない事をブツブツ呟いている。
「そうだ…菊くん! はやく仲間の紹介してよ!!」
「あぁ、そうだった。また忘れてたな。つーか、お前らも何で黙ってるんだよ。早く言えよ」
 菊くんが、三機を小突いた。
 それに応えて、三機が言い返す。


「「「紹介終わるまで、色々ややこしいから喋るなって作者が――」」」


 つるんっ


 三機が同時に、バナナの皮で滑ってこけた。


「「「あれ、何を言おうとしてだっけ……」」」


「………………」
「………………」
 忘れたはずの何かを、私と菊くんは悟った。




                  二十話に続く


  あとがき
 ――――――――――――
  作者の逆鱗に触れたものは、神のバナナによって裁かれる!
  ワハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!


  次回予告!
  
  ついに三機が何のメダロットか明かされる!!
  いったい彼らはどんな奴らなのかっ?!


  第二十話『踊る作戦会議inホテル!(下)』をお待ちください!! 
  来週は今回よりやや短いです。
  
  お粗末でした。

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.20 )
日時: 2011/12/23 19:46
名前: 通りすがりのコンビニ店員


 第二十話『踊る作戦会議inホテル!(下)』



 とりあえず、自己紹介として三機に名乗ってもらった。
「ワシはプリミティベビーの、ビィービと言いますのぉ」
「私はゴットエンペラーのデストと申します」
「俺はビーストマスターのロイだ!! よろしくな!」
 ほのぼのと応える者。可憐な乙女のように楚々としてお辞儀する者。意味もなく、元気いっぱいに飛び跳ねる者。
 三者三様で名乗ってくれた。
「……はーい、先生。カタログを見る限り最凶のラインアップなんですが、話と違うくないですか?」
 確かこの三機はすっごく弱くて、だから菊くんと青メダでわざわざ面倒を見てあげていた……って聞いたんだけど。
 どうなってんの、菊くん先生?
「いや、何もおかしくない。こいつらには重大な欠陥があってな」
「この三機をおとしめるほどの……欠陥っ?!」
「馬鹿なんだ」

 ずってーん

「なっ、なんじゃそりゃ……」
 盛大にずっこけてしまった。
「笑い話じゃないぞ。こいつらの馬鹿さは本物だ」
「え?」
「まずはビィービはアホだ。常にぼけーっとしてるから、よく迷子になる」
 これ、お年寄りにありがちな症状だよね。
「次にデスト。こいつは比較的まともな部類にはいるが、天然バカだ。信用し過ぎると後で痛いめ見るぞ」
 やりきれない表情の菊くん。
 痛いめ見ちゃったんだね……。
「最後にロイ。基本的なバカだ。時々つっぱしって、暴走することがある」
 ちょ、おいおい。基本的なバカってなんだ。基本的って。
「三機の共通点としては、物事を深く考えられないことが挙げられる。特にロイに関しては、考えることすら放棄してるから酷いな……」
「…………………」
「ちなみにレベルは、ロイが3。デストが2。ビィービが0だ」
「はっ?! メダルの一般平均って40ぐらいじゃなかったっ?!」
 0って何さ。ゼロって?!
 私の罵声に答えたのは、菊くんじゃなくロイだった。
「俺たち、元は金持ちのメダロットなんだよ……」
「ロイ……?」
 だからパーツがやたら良い物なのね。
「けどマスターが社会人になって、捨てられてしまって……」
「デスト」
「どうせお飾りメダロットで、大した愛着も見せなかったしのぉ」
「ビィービ……」
 しんみりと落ち込む三機。
 三機には三機の事情があり、レベルが低いことを気にしているようだ。
「うぅ……ごめん。責めるような言い方して」
「いいんです。本当のことですから」
「ぐはぁっ!」
 良心が……良心が痛い……っ! そんな悲しそうな顔しないでぇええ!!
「わかった。かわったわ……私があんたたちのメダロッターになって、メダとして恥ずかしくない様に育ててみせる!! いざとなったら見捨てて一人で生活しようと思ってたけど、それも止めるわ!!」
「おまっ…前回あんなこと俺に言っといて、そんなこと考えてたのかよ……」
 菊くんが小声で何かつぶやいたがスルーする。
「だから皆、私についてきてくれるわよねっ?!」
 私の呼びかけに感動して、目を潤ませる三機。
「「「はい!」」」

 テレレテッテテー♪
▼赤子 が 仲間 に なった!
▼神帝 が 仲間 に なった!
▼獣王 が 仲間 に なった!


▼ウサギ は 下僕 を 三機 手に入れた!


「おい。今、とんでもない説明が入らなかったか……?」
 苦笑いの菊くんが何か言ったがスルーする。
「そうと決まれば、明日の作戦考えるわよ!! ついでに私の作戦を無視ったり、ミスったやつは処刑だから覚えときなさい!!」
「「「イエス・マム!」」」
「…………………………なんだこの集団」
 冷静な菊くんのつぶやきは、やはり私にスルーされたのであった。


 
                   第二十一話に続く。


  あとがき
 ―――――――――――
  またまた金曜日にup。今週は土日にあげれそうにないので、今日あげておいきます。


  恐怖のボスメダ三機登場! けどレベルは0~3。
  プリミティベビーの略し方が、あまり良くないのが心残りです……他にぴったりな表現ってないですかね?
  あったら是非教えてほしいです。


  次回予告!
 
  次回はウサギちゃんの過去がちょっぴり明かされるぞ!
  彼らは果たして、次の日までに目的の衣、食、住、を揃えることが出来るのか?!


  第二十一話『ウサギ女王様の微笑み』にご期待下さい!
  次回は長めです。


  お粗末でした。