>> メダロットライズ にもどる
Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.1 )
日時: 2011/06/17 14:40
名前: 通りすがりのコンビニ店員

 近所のマンホールに落ちた。
 高三にもなって何やってんだって迂闊さだ。
 けど問題はそこじゃなく、落ちたマンホールの中に街が――もう一つの世界が広がっていたこと。

「どこだ……ここ…」

 見慣れない機械がねり歩く街。
 上を向けば落ちてきたはずの穴はなく、青い空が広がっている。

「はっ…ははっ……」

 笑え。
 笑えばどうにかなるもんだ。

「って、笑えるか――っ!!」

 一人ノリツッコミが出来るのは関西人のスキル。
 頭を抱えて悶えるオーバーリアクションも関西人の持ちスキル。

 どちらも悪目立ちするのに最適。

「ちょっと君……一緒に来てもらえるかな?」

 『せれくと隊』なる白いヘルメットのお兄さんに声をかけられた。

 やだ。
 私ってモテる。
 美人は辛いなー。
 たぶん間違ってるけどそういうことにして、お兄さんについてく。
 
 …かつ丼食べさせてくれるかなぁ。

 予想通り役所のような建物に連れてかれて、自分が弁当を取りに帰る途中だったことを思い出した。






『マンホールに二次元世界』







第一話『深く考えないのが生きていくコツです』




 私は今、交番のようなところで、警察みたいな人に質問攻めにあっている。
 白ヘルメットのお兄さんは本気で私の頭を心配しているもよう。
 なによ。失礼なッ。
 人と向き合ってるのにヘルメットを脱がない人より、よっぽどマシよ。
 とういか、さっきから視界にチョロチョロ入る……人のような、動物のような、ちっちゃい機械はなに。
 喋ってるのは気のせい?
 気のせいよね。
 だって今の科学じゃ、二足歩行がやっとだったはず……あんなに滑らかに動くはずない。
 あれは機械に見えるけど、新種の動物なんだ。
 私が気絶している間にそんな動物がのさばってるとは……いやはや、今の時代は本当に早く流れるなあ。

「えー。兎想月ウサギちゃん?君の言った住所調べてみたけど……やっぱり存在してないよ」

「はぁっ?!」

 私が17年間暮らしてきた家がなくなっているはずない。
 どうなってるっ?!

「なんでデタラメ言ったんだ?なにか…住所が言えない理由でもあるのか?」

 ヘルメットのお兄さんがよく知ってる冷たい目になってる。言い方だけは優しいけど。

 でたらめじゃない。
 デタラメじゃないよ。

 けど……。

「実は…お母さんが早くに死んで、父と二人暮らしなんですけど、アル中で。暴力振るわれてて…わたし、もうっ……耐えられなくて……っ!」

 どうせ信じちゃくれない。
 面倒さいことは涙でごまかせっ!

「そうだったのか……」

 人の良いお兄さんだったので、泣いたらあっさり信じてくれた。これはいけるぞ。

「私、あの家にはもう帰れないんです」
 
 ここで上目遣い。瞳いっぱいに涙をためて。

「お兄さんの家においてくれませんか?」

           ・・
 認めたくないけど、ここはおそらく私のいた世界じゃない。
 だから何も持っていない私は、住む場所が必要。
 頼る相手が必要。
 目の前には優しそうなお兄さん。
 
 全力で落とします。

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.2 )
日時: 2011/06/18 12:57
名前: 通りすがりのコンビニ店員





第二話『二階って意外に低いよね』

 


「お兄さんの家においてくれませんか?」

 私は美人だし、スタイルいいし、大抵のことは思い通りになってきたからチョロいと思ってた。
 そりゃ立場があるし、ある程度は却下されると思ってたけど――

「ダメ」

 まさかの即答。

「でも私、本当に――」

「ダメ」

「ちょっ、話ぐら――」

「ダメ」

「――っ、話ぐらい聞いてくださいよッ!!」

「ダメ」

「――~っ!!」

「何を言ってもダメ」

 にべもなかった。

「君は家に帰るべきだ」

 その帰る家がないんだっつーのっ!

「連絡するから住所を言いなさい」

 言ったわっ!

「………ふぅ」

 反論したところで、私の問題は解決しない。

 深呼吸。深呼吸

 ここは穏便に。

「…………逃げるか」

 体育10は伊達じゃない。
 二階に窓あり。
 超楽勝っ!

「んじゃお兄-さんっ!また会ったらヨロシクねっ!!」

 座っていたパイプ椅子で窓を叩きわり、ひらりと飛び降りる――しかし、ここで想定外が。

 下に人がいた。

 いや、人じゃない。例の機械っぽい動物だ。

「ヤバっ――どいてぇえええええっ!!」

 つぶれる、つぶれるっ!
 驚いてないで早くどいてぇええええええっ!!

 わめく私をよそに、以外に例の動物は冷静だった。
 両手を広げ、落ちてくる私をキャッチする態勢。

 え?
 マジで?

 そう思った時にはすでにキャッチ済み。
 小さくて硬い指が、二倍ちかくある私を抱きかかえていた。

「っていうかお姫様抱っこおぉおおおおっ!」

 ヤバい。
 生まれて初めてじゃん。
 超ときめく。
 ときめいてる場合じゃないのにッ!

「そこのメダっ!その女おさえとけっ!!」

 窓から乗り出して白ヘルメットが叫んだ。
 
 本当にときめいてる場合じゃなかった。
 どうやら『メダ』さんは白ヘルメットの部下らしい。

 つーか、やっぱ人語わかるんだ。

「俺はただの野良メダロットだ…お前の命令をきく義理はない」

 ん?
 どうやら部下じゃないっぽい?
 ってか、やっぱ話せるんだ。それならっ!!

「お願い野良メダロットさんっ!!私を連れて逃げてっ!」

「は?」

「なっ――逃がすなよっ!絶対逃がすなよっ!!」

 泣きだす私と慌てる白ヘルメット。

「お願いっ!!お礼になんでもするからっ!」

 とっさに首に手をまわして抱きしめる。免疫がないのか、野良メダロットさんが頬を紅潮させる。

「――本当か?」

 聞き返してきた野良メダロットさんは、やたら真剣な表情をしていた。

「え?」

 心なしか、私を抱きかかえる指に力が入っている。……なんか、つい言っちゃったけど、撤回した方が良いっぽい。
 私の警報機がそう言ってる。

 けど考えているうちに白ヘルメットがっ!!
 ぞろぞろと機械っぽい動物ひきつれて下に来ちゃいましたッ!!

「本当っ!本当になんでもするから――この状況、乗り切れる?」

 私を抱え、両手がふさがった状態で。
 四方に敵。前方の奥には高笑いする白ヘルメット。
 お兄さん、そんなキャラだっけっ?!

「まかしとけ」

 不敵に笑う野良メダロットさん。
 いっさい取り乱さず――少し低い声で。

 人じゃないけど、クラスの男子より全然カッコイイ。

 思わず胸がドキリと鳴った。


             第三話へ続く。

 

 あとがき
 ――――――――――――――

 勉強が嫌過ぎた小学生時代。
 二階のベランダから飛び降りて逃走。
 足が超ジーンってしたけど二階から飛び降りても大丈夫なことを学びました。

 みんなもやってみようっ!^^(ぇ

※けが人が出ても私は一切の責任を取りませんので注意してください

Re: 『マンホールに二次元世界』 ( No.3 )
日時: 2011/06/21 16:33
名前: 通りすがりのコンビニ店員



第三話『脱兎できず』





「本当にありがとうございました」

 私はメダロットさんに頭を下げる。
 私たちが今いるのは公園で、無事に私はガラス代を弁償することなく逃走することに成功していた。

 それもこれも、メダロットさんのおかげ。

 四人の攻撃を次々とかわし(しかも私を抱いたままで)、見事に相手をまいてくれた。

「リミッターのおかげで下手な攻撃はしてこなかったからな」

 メダロットさんがよくわからない説明をした。

 リミッター?

「まっ、こっちも親切でしたことじゃない。言うことはきいてもらうからな」

 ギクッ。

 やっぱりですか。
 お礼だけ言って逃げるとか無理ですよね。

「ちなみに……いったい、私は何をすればよろしいので?」

 おそるおそる聞いてみる。
 メダロットさんは満面の笑みで答えてくれた。

「友人を盗みにいく。手伝ってくれ」

 やっぱり真っ当な頼みじゃなかった。

 とほほほ。

              第四話へ続く